久石譲 ときいて皆さんはどんな音楽が思い浮かべますか?
あの夏へ
人生のメリーゴーランド
SUMMER
などいろいろあるでしょう。
人によってはNHK 人体シリーズや
大林宣彦 のふたり
(改めて聴くと90年代感があるのが微笑ましい)
最近手がけたアニメーションのOST
などマイナーな作品が好きな方もいるでしょう 今回はそんな名曲を量産し続ける久石さんを作家的に分析してみる記事です。
はじめに
久石譲 のタイアップは3つにカテゴライズできます。
第一にスタジオジブリ 作品の主題歌・劇伴。第二に北野武 をはじめとする実写映画、非ジブリ アニメラインへの楽曲提供。第三にその他cmタイアップ楽曲や交響曲 やノンタイオリジナル楽曲。しかしながらジブリ というコンテンツの大きさ故、実写映画、CM等に提供した音楽はあまり語られませんし、作家としても「久石らしさ」を言及する記事がさほどないので、当サイトで思い切って「久石譲 の音楽」のより俯瞰的にみた角度で解題していこうと思います。ただし全てのディスコグラフィー を押さえるのも文章的に無理があるので一部記述が薄いところがあるかもしれませんがご了承ください。
基礎として押さえておきたいミニマルミュージック
・ 基礎としての押さえておきたいミニマル音楽の概要
久石譲 を作曲家風に形容すると「ミニマル・ミュージック 」が大前提にあります。
ではまずミニマルミュージックとは何かを説明します。簡単にいうとパターン化された音を反復した音楽です。勘の言い方は既に気づかれたかもしれませんが、このひたすら繰り返す技法を取り入れたのがジムノペディ 三部作でお馴染みのエリック・サティ という人物です。
エリックサティ(1886~1925)
(劇場版涼宮ハルヒの消失 やぼくのなつやすみ 2などでも劇伴として引用されました。)
ミニマルといえば基本、このジムノペディ を想像していただければ間違いないです。
少し脱線しますが、サティの影響はその後印象派 と呼ばれる人たちにも継承され、その代表格が「月の光」「アラベスク 」「亜麻色の髪の乙女 」などで知られるクロード・ドビュッシー (1862-1918)だったりします。機能和声からの脱却を果たした人ですね。この時期を印象音楽と言います。
そしてこの反復を用いた実験・前衛音楽を手掛ける作曲家がその後たくさん現れます。
その先鋒としていたのがジョン・ケージ 。そこからテリー ・ライリーやスティーヴ・ライヒ 、ラ・モンテ・ヤング、フィリップ・グラス などが後に続きます。では各人がどういった音楽作家であったのかを紹介します。
ジョン・ケージ
この人の音楽で一番知られているのは4m33s。4m33sひたすら無音というあれです。
そんな人が他にどんな音楽を作っているかというと、In the Name of the HolocaustであったりBacchanaleだったりするのですが、ミニマリズム というよりかは実験サウンド 性が多いですね。ヴェーベルン のフォロワーとしてみると ラ ・モンテ・ヤングとかにもにつながったりするのでミニマルの歴史を語る上では外せない存在です。この人が開拓した実験的なアプローチは久石さんも相当影響を受けているはず。
一押しはこちら the オマージュって感じがして好きです。
ラ ・モンテ・ヤング
概念上ミニマルの生みの親さとされている彼の音楽は基本的にギターの弦を鳴らして、そこからちょっとしたメロディが付加されているものである。元来あるミニマルの刺激的な高揚感が今では環境的な音楽と化している(例えばThe well- tuned pianoはどこを聴いても「同じメロディ」を反復をしているだけ。)つまりは、奏者が楽器の音出しをするのに非常に近い感覚である。そういったちょっとした「音出し」的なものをひたすら繰りラ ・モンテ・ヤングもケージ同様に20世紀前衛音楽の旗手の役割の一旦をになっていたアントン・ヴェーベルン 的な音楽から学んだと推測する。
ヴェーベルン の場合、バガテルあたりがミニマムらしさをうかがえる。
余談ですがアントン・ヴェーベルン 、ケージとこれらの共通は全てシェーンベルグ に帰結したりします。まぁそれほどドデカフォニー(十二音技法)が強烈だったというだけの話ですけれども。
テリー ・ライリー
我々がドラッグ映像などで想像するような音楽。つまりは電子オルガンメロディでゲームサウンド 的な音の崩しが象徴である。A Rainbow in Curved Air を聴けば一目瞭然ならぬ一聴瞭然。明らかに俺の音楽を聴けと言わんばかりの音の展開。様々な鳴らし方で展開していく様は、教会音楽におけるオルガンのそれとは全く違う。クラヴィコード 的なサウンド 性(以下の動画の楽器がクラヴィコード )
VIDEO www.youtube.com
を取り込んだこの楽曲の新鮮さはその後に大きな影響を与えたのは想像に難くない。おそらくミニマムの枠を超え、とりわけプログレ への影響が大きいと筆者は考える。 Poppy Nogood and the Phantom Band
はピンク・フロイド のAtom Heart Mother的ともいえる音楽
で21mという音楽長編は最初こそオルガンテイストだが、途中から(おそらく)ソプラノサックスが介入してメロディを奏でる構成をみると、コルトー レンの流れ(時代的に考えるとgiant stepあたり)を組んでいるのは間違いない。というかモードジャズ期の連中(マイルスデイビス だったコルトレーン )があまり強烈すぎるというお話。ジャズのお話はいずれジャズ史の時に語りますので、気になる人はそちらを待ってください。 In cではハ調の音階全てが鳴り響く音楽。どんどん重なり合う。シャトル ランの音楽がどんどん早くなるあの感じが一音一音ずつ重なるようにといえばイメージしやすい。こちらは趣向的な意味でミニマルの礎を気づいた一曲であろう。
スティー ヴライヒ Six Pianosは70年代に作曲されたものだが、曲というより、一つのフレーズを反復するだけの楽曲であることから、明らかにミニマルサウンド とみて差し支えに。最もIt's Gonna Rainというある種のドラックソングを1965年に書いていたライヒ がオリジネーター の一人であるが。ちなみに筆者はいわゆる四傑と評されている「ヤング、ライリー、ライヒ 、グラス」の中では一番気に入っている作家である。ストラヴィンスキー とかチャーリ・ーパーカーとか好きなんだろなっていう感じがたまらないです。
フィリップグラス 1975年に初演を果たした「浜辺のアインシュタイン 」で有名。 どちらかというとオペラや協奏曲を手がけることがおおいため先述してきた作家たいが書くようなソロ音楽はあまりないが、「浜辺の〜」を聞くだけでその音楽性というのはミニマルを踏んでいることがわかる。
個人的な一押しはこちら
あらゆる楽器で繰り返しを試している.83年とプログレ も落ち着いた時期ではあるがこの手のサウンド は珍しい。というか、ミニマルでありつつ情緒が表現されていることが自分がこの作品が好きな理由かなぁ。
なんというかゲームオブスローンズ(邦題:七王国の玉座 /氷と炎の歌 ) のシーズン6 8話の
ワイルドファイアと言われる鬼火でハイ・スパローとかマージョリー を教会ごとぶっ飛ばすっていうサーセイの悪魔的な所業が行われるために作られたLight of the Sevenに近い恐ろしさがある。余談ですがlight of the sevenは曲としてもすぐれてますが、この音楽は映像ありきなのでどれほど爽快でありながら悪魔的な音楽かを知りたい人はゲームオブスローンズのシーズン1-6をみてください。最終章は面白くないので別にみなくてもいいです。
以上の作家たちがミニマル史における重要人物なのですが、そんな彼らの音楽手法もバルトーク や、ドビュッシー の全音 音階、あとパガニー二の悪魔的な技巧で作曲された24の奇想曲などからの影響力を感じられ、クラシックに分類される作家は偉大だなと思ったり。
番外編『オスティナート』
このジャンルはオスティナートという意味合いからわかるように「執拗」に繰り返すといったまさにミニマルの音楽の原点というべき音楽体系です。では一般的にどう言った楽曲を指すか。これは説明するまでもないと思いますが代表格はなんといってもグスターヴホルスト の火星 戦争をもたらすもの
でしょう。ホルスト の組曲 :惑星がどのような作品かは以下の記事を参照してください。
sai96i.hateblo.jp
あとは基礎練習でお馴染みバルトーク 作曲のミクロコスモス(超絶かっこいいです)も典型的なオスティナート。枝としてのミニマルが印象派 の音楽性であるならば、幹としてのオスティナートは恐怖・破壊的なテーマを持つ感じの曲が多いように見られます。さてここでオスティナートの作風を満遍なく使った国民的音楽を作った日本人作家といえば 伊福部昭
そう、誰もが知るオスティナート日本曲とは「ゴジラ のメインテーマ」
誰しもが何気なく聴いていたあのメロディ。実は音楽史 をしっかりと踏んだ技法を踏んでいるからこその説得力ということです。ちなみに地震 速報の音楽を作曲しているのは伊福部達 で血を引く人間が作曲しているところがなんとも言えない感じになります。
あの音の元ネタも多分このVIVACE のイントロからきてる。というか間違いない。
まぁそれはそれとしてこうしてできた流れの音楽に国立(くにたち)音楽大学 の作曲学科在学中の久石さんは影響を受けます。A Rainbow in Curved Air wを聴いてミニマル作家になったと言われるほど(実際はライヒ じゃないのかと思ったりしますが)ですから、特に色濃いに影響を受けているのはライリーでしょう。
あとミニマル提唱者としてのジョンアダムスとかも入ってますね
では前置きが終わったところで次は実際に久石音楽からミニマリズム を読み解きます。
ミニマル視点から見る久石音楽
Clifside Waltz III(あの夏、一番静かな海。)
これは明らかにサティを意識していますよね。 Clifside Waltz IIIから察せるように当然IとIIもあります。三部構成含めここまでちゃんとオマージュをしています。
Sonatine I ~act of violence (sonatine)
裏打ちでなってるピアノメロディはマイクオール ドフィードのチュブラーベルズの系譜
SUMMER
今や、夏の定番楽曲となった、久石譲 の代表曲「SUMMER」この曲はミニマル楽曲としてあまりに傑作ですね。上の原 曲も十二分に楽しめますが、劇伴という側面を感じてしまい、「曲」としてみたとき幾ばくか表現に物足りなさがあるのですが、その後作られた数あるバーションの中で私が劇伴としてではなく、曲として楽しめるのがこれです。
Summer
Joe Hisaishi
クラシック・クロスオーバー
¥255
YOUTUBE の公式動画にも上がっているの是非聴いてください。
Joe Hisaishi - Summer
Bus Stop (あの夏、一番静かな海。)
木琴主体でバックでピアノだったりが支える構造は久石音楽印というか節といってもいいほど聴きてには定着していると思いますが、それらもおそらくミニマル音楽からの着想です。さきほど、久石音楽に最も影響を与えたのは、実はライリーではなくライヒ ではと書きましたが、そう思う最大の理由はこの曲にあります。
Music for A Large Ensemble
どうですか、クレジットを隠して聴けば「作曲:久石譲 」と言われても全く違和感がないほど、久石サウンド 節の一つの源流になっています。
kids return
この音楽は珍しくギターが乱入してきたり、主旋律が琴だったりと和風とロック のごた混ぜな曲なんですけれども、これも展開としてはミニマルですね。summer同様この曲も「映画」としての音楽で聴くなら原曲でもいいんですけれどこれをretakeというかアレンジしたバージョンのほうが、単曲としてみたときに楽器の表現が重厚になっているのでおすすめです。
やはり弦楽器(というかこの場合はチェロ)とピアノ組み合わせっていいですよね。
原曲アレンジの魅力というのは本来こういうものだと実感します。
海獣の子供 OST
今作は久々のミニマルに徹した作品なのである種、定着した久石音楽よりかは緩急ある変化球と言える作品。どれも素晴らしいがこの5曲はサントラの枠を超えた凄さがある。アンビエント も少し入り混じったりするし趣向そのものに惹かれる。
嵐の中のふたりなんかは実験音楽 。
光る夜の海へ なんかではIn C的。つまりはだんだんと重なり合っていくというライリーが開拓した道に通ずるところがある。
宇宙の誕生は、その名に恥じない壮大さと華麗な音の混じり合いが素敵。あとやっぱり宇宙なのでホルスト の組曲 的とも言える。
生命の理由と生命の繋がりはセットで聴いた方がいいですね。特筆すべき点は、生命の繋がりの後半です。ストラヴィンスキー 的というか、火星的というかミニマルより講義的な繰り返し技法のオスティナート的という。
ミニマル作家としての音楽 ムクワジュアンサンブル
最後に、あまり知られていない久石音楽ムクワジュアンサンブルについて
1981年に(これがジブリ 参加する2,3年前っていうのもなかなか熱いですね)ムクワジュ・アンサンブルというグループを結成し、アルバム『ムクワジュ』を発表 私が思うに久石音楽の一つの解答をだしたといってもいい作品だと思います。特にPulse In The Mindなんかは現代音楽やミニマルとして生きてきた中で作り上げた極上の一品だと思います。(というか、最近ヤバイでおなじみのPuhyunecoのakaneのルーツも結局この辺り、つまりミニマルと現代音楽の境目にあるのではないかと思ったり。長谷川白紙はそれをもうちょいメジャーな存在)
Flash -Backなんかはそれこそジョンケージ的なアプローチでひたすら太鼓がなっているだけですが、そこに魅力を感じてしまう一曲です。
脱線しますけど、既存作家を例に捉えるなら坂本龍一 のソロアルバム的とでもいいましょか。A Wongga Dance Songとかその辺り。この曲はシーケンスが全盛の時に作った感があって面白いですね。
話を戻しましょう。ミニマム作家としての一つの到達点といっていいアルバムなのにituneにはMKWAJUしかないという悲しさ;;
そしてMKWAJUを聴けば伊右衛門 のcmでおなじみのあの名曲の前身となっているのは明白であります。この曲、cmの枠に止まるには惜しいほど傑作なので未聴の方は絶対聴いてください。
この曲もいろんなバージョンがありますが、オケとピアノのバランスが取れている点などからこのバージョンに落ち着く。
(脱線)
あとサントリー はいい加減、伊右衛門 新テーマ曲 を音源化するべき。
まぁ、今やってるcmの音楽を高木正勝 さんに引継ぎで投入してるのは1000%すぎる正解なのでサントリー は作家のもつ技量を組んで起用してるから、その姿勢はさすがです。
VIDEO www.youtube.com
高木正勝 さんの特集はいずれやります。が、ここで数曲紹介しておくと
は誰もが認めるメロディア スの秀作。
ちなみに熱風の音楽は、夢と狂気の王国 っていうジブリ ドキュメント映画に使われてる曲で、だからこそタイトルが熱風=ジブリ っていうのが個人的に泣けるなーって思うところです。高木さんは、一作品ぐらいジブリ に楽曲提供しても久石音楽とは違う路線だけど絶対に外さないのでいつか本編でコラボしかないかなと思ったり
閑話休題
では次にクラシックとしての側面を探っていきます。
クラシックから読み取る作家性
・クラシックの側面から見た久石音楽の源流
音楽の授業なんかでも「古典派」「バロック 派」などを目にすることが多いと思います。その中の一つのロマン派の作家で久石音楽に強い影響 を与えている作家が2人がいます。
それぞれの代表曲
・ワーグナー
ワルキューレの騎行 などでお馴染みの方です。
・ドヴォルザーク
新世界などで有名
と言ったところで、これらを全く聴いたことがない人はいないほど、名曲を作り上げた巨匠です。では具体的にどういったところに影響を垣間見ることができるか
フルで聴いていただかないとわからないのですが、試聴だけでもテイストがワルキューレ であることは一朝瞭然です。まぁこの曲がワルキューレ に寄せてるのは崖の上のポニョ を構想している時に宮崎さんが流していたという裏話があるので、作家性云々というよりオーダーに寄せた感じがあります。とはいえ、作品がワーグナー 的テイストの音楽で作られていることに違いはないので例として挙げます。
さて、ドヴォルザーク の音楽がどう影響を与えているかなんですが、これは「ほぼトレース」したといっていいほど弦楽器系の楽曲はドヴォルザーク 的です。
ドヴォルザーク ですといってブラームス はあげないのかよというツッコミはなし
人生のメリーゴーランド
これなんて、久石さんからすれば「引用元は当然わかるよね」と言われているようなものである程度クラシックを愛好していればサビのメロディから察しがつけるはずです。
ドヴォルザーク 交響曲 第8番 3楽章を聴いてみましょう。
そしてこの3楽章をきいてピンとくる楽曲があると思います。
余談ですが金ローといえばこのOPで始まり、髭のおじさんが映写機を回している映像の時代が好きだった方も多いですね。あの映写機を回すアニメーションをジブリ 制作人が、音楽を久石が作っていたというほぼジブリ 状態といっていいものです。
閑話休題
cinema nostalgiaから読み解く 映画音楽性
このcinema nostalgiaの弦楽器の運び方や緩急の付け方は三楽章の後半を聴けば誰でも「なるほど」と手を打つと思います。それと同時若干マーラー も入ってるような気もしますが、全体の作風はやはりドヴォルザーク を踏襲しています。しかしそれだけでcinema nostalgiaの格式高い感じになるかといえば否です。では映画の劇伴たり得る要素はどこからの影響かといえばニーノロ ータしか考えられません。
ニーノロ ータは映画マフィア映画の金字塔と言われてる「ゴッドファーザー 」のメインテーマを作曲した偉大な方です。その音楽がこちら
※ゴッドファーザー という映画をみたことがない人はこんな三文記事を読む前に三部作をみた方が圧倒的に得です。ちなみに筆者はゴッドファーザー シリーズでは2が一番好きです
この音楽から読み取れるフランスを想起させる音楽のテイストこそcinema~の深みが出るというものです。
ニーノロ ータ的音楽は当然この一回切りというわけではなく、風立ちぬ のOST などにも顕著です。旅路(妹)ではいかにも「フランス」を意識した音楽ですし
カストル プなんかは
A New Carpet
系統の音楽と言っていいでしょう。
おくりびと のdeparture
Joe Hisaishi - Departures
の前半(3m24s-4m36s)は完全にマーラー を意識しています。
このようにオーケストラの作品は辿っていくと影響元が非常に分かりやすいです。(セオリーにのっとっているからこそ)
他にもクラシックからの影響というのも当然あります。それはストラヴィンスキー 、バルトーク 、ブラームス 等。そもそも国立の作曲学科に在籍していた方なのでこれらは基礎教養として当然知っているでしょうし楽曲に生かしているとはおもいますが、素人の私がこれ以上の領域(クラシックに分類される作曲家一行)に足を踏み込むとそれこそバッハやヴィヴァルディまで遡ることになり、それには専門的な知識が必要になるのでこれ以上深い考察をしたい場合は個々で行ってください。
今更書くことでもありませんが、聴きてが思う久石譲 の音楽らしさはこのアウフタクト にあったりします。
この技法が使われている楽曲で最も有名なのが
どちらも 曲が1拍より前から始まっていますね。
久石楽曲を例に例えると 以下のような曲が該当します。
Joe Hisaishi - Angel Springs
Joe Hisaishi - Ballade
Joe Hisaishi - Nostalgia
これらはほんの一部であって他にもナウシカ のオープニングであったり人生のメリーゴーランドやsummerなど代表曲といって差し支えない曲には大体取り入れられてます。
若干マイナーな曲ではありますが、他にも
と数々の作品にアウフタクト が入っています。
作家の基礎、スタンダードとなるミニマムから古典としてクラシックの踏襲をした要素を兼ね備え、その上にアウフタクト などの一種の調味料があって初めて「久石譲 の音楽性」というのが現れるいうことがわかります。
最後に
本編に記載していないだけで他にも久石さんが影響を受けた作品はありますが、おそらく核となっているのは本記事で紹介し切れたと思います。そもそも久石譲 の名前は藤沢守で、久石譲 はクインシージョーンズ(MJ作品のプロデューサー)の捩りとかそういった当たり前なことを省いた上でいろいろ書いてきました、今回その中で感じたのは初期こそ傾倒していたのは芸術系だったのが、だんだんとポップスになっていく遍歴をなぞれたことです。多分それはブライアンイーノに走ったあたりだと推察できる。イーノとかそこらへんの人たちの台頭っていうのは音楽史 的にみてもやっぱり異質と言われている。それこそアンビエント (環境音楽 )な方向に進路を変えた影響力っていうのはそれこそ芸術的なアプローチ、或いは単なるミニマルの形が電子的でもありグラムロック を踏襲しつつ新規開拓をした2/1とかは名曲だし。
だからこそ
を書けたのだと思う。
ミニマム作家という基盤こそ揺るがず、そこからクラシック、アンビエント 、ポップスとあらゆる楽曲を手がけてきたのは本当にすごいと思う。それは作曲学科で本格的に勉強をした以上の何かがあるからだと今回音源を通してわかった。
冒頭にも書きましたが世間的にはジブリ の影響の大きさもあって「ジブリ アニメ」音楽は非常によく愛されていますが、非ジブリ コンテンツへ提供した音楽が語られることがあまり内容に思います。それは音楽好きとしてはあまりに勿体ないです。作品単位でアプローチの違う久石楽曲はジブリ 的なサウンド とは別の魅力があります。あの夏へ、よりも明るく作家性によりそった「SUMMER」や、北野武 映画のHANA-BI のメインテーマ「HANA-BI 」やエンディングテーマに該当する「Thank You, ... for Everything」など様々ですので是非聴いてください。まだまだ語りたいことはありますが、文字数的なことも考慮し、ここまでとします。長丁場の記事を最後まで読んでくださった方 ありがとうございます。出す出すといって全く出ないamazarashiの記事ですが、次こそ出せるようなんとか頑張りますのでもう少しだけ待ってください。
礼といってはなんですが、数あるアルバムの中でも久石音楽を甘すくことなく堪能できる5枚の中からトラックごとに紹介しておきます.あと個人的にベスト楽曲10も載せておきます。セレクト理由は蛇足なので書きません。
Piano Stories Best '88-'08(track.3.5.10.11)
joe hisaishi meets kitano films(track.2.3.8.15)
ENCORE(track2.5.6.7.10.11)
ENCORE
久石 譲
クラシック・クロスオーバー
¥1630
Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi track.3,9(disc1) track.10,11 (dick2)
Nostalgia track1.9
Nostalgia
久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
クラシック・クロスオーバー
¥255
私的久石音楽ランキング
1.Thank You, ... for Everything
2.summer(essential版)
Summer
Joe Hisaishi
クラシック・クロスオーバー
¥255
3.oriental wind(88-08版)
4.spring(essential版)
Spring
Joe Hisaishi
クラシック・クロスオーバー
¥255
5.kids return(オケアレンジ版)
6.天人の音楽
7.cinema nostalgia(バージョン問わず)
8.Asian Dream song
9.nostalgia(nostalgia版)
Nostalgia
久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
クラシック・クロスオーバー
¥255
10.バビロンの丘
バビロンの丘
久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
クラシック・クロスオーバー
¥255
もう一度、武道館であの感動をやってほしいなぁ、、、
君たちはどう生きるか のOST 込みで