Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引き、考えながら聴く。

当ブログの概要

music synopsisはアニメ音楽からクラシック音楽など幅広く題材を扱っているブログです。楽曲の魅力、聴き方などを自分なりに噛み砕いて解説するという信念のもと記事を書いています。基本的には月1回(多くて2回)更新です。音楽、作品を深く広く、分かりやすく伝えることをモットーにしています。音楽以外の話もたまにします。

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当サイトを初めて閲覧する方向けにこれまで書いてきた記事の中でも筆者が選んだおすすめ記事を貼っておきます。是非閲覧してください。

 

 

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誰もが心の中で思っている神僕の各メンバーの正体や、音楽性などを忌憚なく書いています。

 

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本作のアルバムレビュー。第二弾があるはずなので2枚目が出たらそちらも出します。

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日本が誇る最高の作曲・音楽プロデューサーである小林武史が関わった楽曲の中で中の人が良いと思った楽曲10選

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ボカロ界隈における唯一無二のラインであるトーマアルバムレビュー

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アザレアレビューと併用してい読むトーマの楽曲論

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いわゆる「パクリ」とは本当に悪なのだろうか?という論考記事。

いつかこれをさらに掘った記事を書きたい。

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近年隆盛をみせているlo-fi音楽の成り立ちをざっくり解説

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最推しの作曲家がryo(supercell)なのでsupercell・EGOISTを別個で特集しています。

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まふまふ速報の中の人による、まふまふ論。まふまふ楽曲における既聴感(造語)から読み解く影響を受けた作曲家などをわかりやすく解説

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日本が誇る名劇伴作家久石譲の解説記事。メロディではなく出身畑であるミニマルミュージックを起点に印象派音楽、ミニマル四天王、クラシックなど多角的な視野で解説

本作以上に久石譲の音楽について書かれたわかりやすい解説記事はないです。

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楽曲ではなく、歌詞で勝負するバンドamazarashiを歌詞・楽曲の二つの視点から解説。案外指摘されていないポイントなどを書いています。amazarashi派生アーティストについても少しだけ言及しています。

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今や、日本人にとっては当たり前の存在になった怪獣ゴジラ。そして同時に認識せざるを得ない音楽であるゴジラのテーマ。作曲した伊福部昭を「ゴジラの人」で終わらせないための伊福部音楽の中核について。

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今や当たり前になりすぎた楽曲群を作った菅野よう子。アニメ楽曲の界隈にいればこの人の音楽を聴いたことのない人は存在しないし、復興ソング「花は咲く」など国のイベントのメインテーマ、大河ドラマなどあらゆる方向で楽曲を手がけた最大の女流作曲家について影響を受けた音楽や、作家論、おすすめ名盤などを事細かく書きました。

この記事は菅野楽曲識者λさん(infinity_drums)さんとの共作記事です。

 

非音楽記事

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個人的にDUNEという小説がバイブルなところがあるのと、映画監督としてヴィルヌーヴが大好きで、その彼が撮ったDUNEが素晴らしかったので小説なあらましを組んでドゥニのフィルモグラフィーの面白さを紹介しています。

映画音楽駄話

生存報告的な意味も兼ねて。

 

最近はもっぱら、映画・ドラマの劇伴を聴く。元々、音楽の入り口と言う意味ではクラシック畑出身の人間なので、クラシック音楽の延長戦上にあるインスト型の楽曲によりハマりやすいということであろう。以前、ドラマ劇伴の魅力というタイトルで色々な人気楽曲の良さを素人なりに書いたが

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映画音楽の劇伴はもっと格別なもの、というより作曲者の敷居が必然的に高いのでよりレベルの高い音楽だなぁと改めて感じた。そして先月かなしいニュースが入った。

シンセサイザー作家の旗手であり、名作曲家ヴァンゲリスが亡くなった。自分のTLでは全くといっていいほど騒がれていなかったので、温度差を感じたがそれは別の話。

が、ともかくヴァンゲリスというクレジットを知らない映画好きはいないと断言できるほどこの人が作曲したものは素晴らしいのだ。オタクにカルト的な人気をほこり、日本の文化(特にアニメ)に絶大な影響を与えた、名作『ブレードランナー』の劇伴も彼。

One More Kiss, Dear

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Love Theme from Blade Runner

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Tears In Rain

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Blade Runner Blues

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この映画を説明するのはあらゆる意味で難しいので(このブログが映画ブログであればいくらでも語れるが、生憎音楽ブログなので)、あまり多くは書かないが、とにかくフィルムノワール、ハードボイルド路線を近未来のタッチで描いた、元祖、礎となった作品であるのだが、映画は音楽:映像で50:50の役割をもつと言われるように、ヴァンゲリスの音楽なくしてブレードランナーという映画が描いている世界観というのは絶対にない。

他にもヴァンゲリスの映画音楽は炎のランナーであったり1492 コロンブスがあったりする。個人的なおすすめはConquest of Paradise

Conquest of Paradise

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そして、面白いことに、この音楽性はブレードランナー以外にはあまり、踏襲されている音楽作品というのがそんなにはない(あまり映画音楽には詳しくないので全くないというところまで断言はできない)。その意味ではブレードランナーの劇伴であると同時にヴァンゲリスでしか表現できない世界がたしかに広がっているということになる。それを真似しようと菅野よう子がそれっぽい曲作ったりしましたが。まぁ本人にしか出せないと言うことが分かってしまう程度にはフォロワーレベルでしたね。

SPACE LION

SPACE LION

アメリカ産の映画は特にそうだが、感情の起伏をまるで数値化したような計算されたオーケストラ的壮大な楽曲もいいが、浸り方のOSTも有りであることを、聴いたことのない人におすすめをしたい。なぜないのかと言う点は生まれた所がギリシャだからというのは大きいであろう。ヨーロッパ圏の作家はアメリカ作家では表せない独特な魅力を持っている。

(逆もまた然りだが、米映画音楽はありふれている故に、当たり前の音楽になりすぎた)

これもまた既に亡くなっている作家であるが、ヨハンヨハンソンという作曲家がいた。

ドゥニ・ヴィルヌーヴという、最高峰の映像作家と手を組み、ボーダーライン・メッセージ・プリズナーズといった作品の音楽を担当した。両方とも名盤

音楽が好きなら絶対に聴け

Decyphering

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Kangaru

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The Beast

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Desert Music

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Prisoners

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The Candlelight Vigil

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Prisoners

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そしていわゆる他にはない音楽性というのをここにも感じた。それに近い記事を例外的に書いたものがあるのでよろしければ。

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そしてヨハンヨハンソンはアイスランド出身。やはり生まれた地によって音楽性というのは決定的なまでに違うと言うことがわかる。ある種の音楽ミームの見地でいえば、ヴィルヌーヴが監督したブレードランナーの続編(本来、続編を作っていいような映画ではないのだが)2049で、彼が劇伴を担当すべきだった(実際に作品作りまで行っていたのに、途中降板と言う結果になり、とりあえずこいつなら間違いないだろうという成り行きでハンスジマー(パイレーツのメインテーマの人(クラウス・バデルトとの共作))が

彼こそが海賊

彼こそが海賊

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担当するわけがだ、ここはヨハンヨハンソンで突っ走るべきだろうと今で思う。非映画音楽作品を聞いても、アイスランド出身者でしかかけない卓越した音楽力というのがある。

フライト・フロム・ザ・シティ

フライト・フロム・ザ・シティ

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オルフェ賛歌

オルフェ賛歌

  • シアター・オブ・ヴォイセズ
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塵の山

塵の山

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結局DUNEのOSTも一流作家が擬態:ヨハンヨハンソンしてみました。という形でしたし。いや素晴らしかったが(それはそうとpart2たのしみですね )

(ハンスジマー個人が小説duneの大ファンだからということもある)

Ripples in the Sand

Ripples in the Sand

Armada

Armada

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My Road Leads into the Desert

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この記事で伝えたいのは、映画音楽といっても一辺倒ではないということを是非知っていただきたい。ラミンジャワディ的なサウンドや、ジョンウィリアムズの壮大な音楽もいいですが、他にも素晴らしい映画音楽作家はたくさんいるバーナード・ハーマンとか、知られてないけど凄い作曲家ですし、コルンゴルトの嵐の青春はいわずもがなSWのメインテーマの元ネタ(この手の曲はロマン派の影響が大きのですが)それはこっちの記事へ。

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今回書ききれなかった点はいずれ映画音楽の魅力的な記事にてより深く広く書いてきます。では今回はこの辺りで。

 

 

 

七号線ロストボーイズ (amazarashi)感想・レビュー

さて、私がamazarashiというアーティストをそこそこ好きだということは以前の特集記事を読んでいただければわかると思う。

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ここではかなりの熱気をもって何が良いのか、何に惹かれるのかという、ある種一つの動機付けを力点にして書いた。そのフック、というよりかは装置としてアルバムの遍歴を追っていった。各ディスコグラフィー上、どういうテーマ性があるのか、そして歌詞にどういった"仕組み”や"ネタ元"が入れ込まれていてそれを昇華しているかなどを中心に書いていった。その中でこう感じた。ボイコットの時点で「秋田ひろむはこんなものか」という感情と、「まだいけるはず」という期待の二点が混じった。初期のエネルギッシュさが莫大なminiアルバム通して夕日信仰を生み出し、社会性・音楽性という意味で頂点を極め、次作では視点誘導的なポジションで方向性は違うが、前作に劣らないというなんとも絶妙な作品を残してくれた。その後、地方都市のメメントモリ、ボイコットとなるわけだがどちらもいまいちであった。というより一長一短に差があったのだ。一長を挙げると音楽性と歌詞の総和の濃度が高いメメントモリと、amazarashiが扱うテーマにしてはこれ以上ないほどぴったりなボイコット。一短は一長をやりきれていないという反側的。聴いたことがない人のために分かりやすい例えをすると村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』と『国境の南、太陽の西』を連続して読んだ感覚とでも書くべきか。それが故に、私はamazarashiは次のアルバムでここを乗り越えれば夕日信仰クラスのものが来るのではないかという予感があった。だから事前に出ている曲なども一切聴かないようにしていた。アルバムを通した総体としての感動を損いたくなかったからだ。

 

そして待ちに待った新作アルバム『七号線ロストボーイズ』が世に放たれた。

七号線ロストボーイズ

七号線ロストボーイズ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

 

では本作はどうであったかというと....暫定最高傑作

ここにきて秋田ひろむはやってくれました。久々の名盤を出してくれた。

理由はいくつかあるのだが、長々と書くには時間が足りないので端的な要約とこのアルババムがどうなのかを書く。

その1.ハズレ楽曲がない。

  • どの曲も良曲~名曲の域を保っている

その2.アルバムテーマに対して一貫

  • 前作、ボイコットの時に空気のような存在として収録されていた夕日旅立ちの様なこのトラック必要か?という謎の構成ではなく一貫している。

その3. 11曲という比較的コンパクトなトラック数でアルバム世界観に無駄がない

  • 名盤の中にも1-10で終わっておけよ、もう完結しているという状態から2~4曲続けられると蛇足になるのでそこまでの感動が薄れるという、クリエイターのやりすぎ感が本作にはなく、きっぱりとアルバムの世界観を1~11のトラック線で描き切っている

その4.過去楽曲を彷彿とさせながら、それらを通った上での進化形として昇華

  • 過去曲の焼き直しという見方もできるが、どんなアーティストであれ10年も続けていれば『型』という〜節が出て当たり前なので、それをいかにアップグレードしているかという視点で聴いた時、本作は過去曲ほ彷彿とさせつつも、今だから作れる楽曲群になっている

大まかに書くと以上の通り。

 

ではそれぞれ1曲単位で所感を書いていく。先述の通り、リリースから日もたっていないいないため、生煮ではあるがそこは容赦していただきたい。

トラックリスト(収録順)は以下の通り

 

  • 感情道路七号線

感情道路七号線

感情道路七号線

  • amazarashi
  • ロック
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これまでにもアバンタイトル的な役割を冒頭に入れてきたが、いまいち乗り切れない曲だった。がしかし、今作では思いっきり重低音メインで歌詞も重々しい単語をどんどん組み立てていっている。これは初期のリリックの鋭さに通底する。

生きるために死んで、享楽にえずいて欲しいのは機関銃 恐れと己の顔面を撃ち抜いて

the・秋田ひろむリリック。こういう歌詞をamazarashiというアーティストの曲で聴くことがどれだけ気持ちのいいことか。そして最後に近い歌詞

大切なものは変わらず手の中、毎夜確かめる変わらず今日も手の中

こじつけかもしれないが、「手の中」というフレーズは意識的に使っている。なぜかといえば、この表現はというと、どうしてもブルーハーツの『未来は僕等の手の中』という楽曲を想起してしまうのだ。

未来は僕等の手の中

未来は僕等の手の中

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そしてブルーハーツと秋田ひろむとの関係はもはや言うまでもない。このようにアバンでしかない1曲目からエッセンスが大爆発しているのだ。環状と感情もミュージシャンのセンスとして抜群。

  • 火種

火種

火種

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  • ロック
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イントロはピアノとビート掛け合い、そしてAメロで存分にギターをならしてメインのプロットはリビングデッドで進行。しかし、あれ以上に優れている構成をしていて、つまりは総和として色々な楽器が重なり合い、最終的にポップスソングとしてバランスが取れている。いってみればポップロックとこれまでのamazarashiの音楽との融合体。そしてサビメロディも秀逸。2m35s以降の間奏の入り方からラストサビにいくまでの過程もこれまたamazarashiでしか聴けない節が炸裂。編曲と作曲が見事に調和しあった圧巻の1曲。

  • 境界線

境界線

境界線

  • amazarashi
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実は全トラックの中でも最もアップテンポであり秋田ひろむが書く楽曲として明るくも切なさが残るトラックだと思う。過去にはフィロソフィーなどの習作を経ての本作。

存在意義はいつだって自分以外

こういうアフォリズム的でありながら、歌ものとしての表現にとどめるフレーズが久しぶりに秋田ひろむの歌詞で感じられた。

ロストボーイズ

ロストボーイズ

  • amazarashi
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景観的な、そして「あんたへ」的な応援歌でありながら「雨男」的、歌詞の単語が重々しい。そして生々しい過去の描写。

少年は闇の中、金属バットやカッター、ナイフとハサミでは切り裂けない闇がある

少年は闇の中、10年経っても闇の中 襲われる「あの頃はよかったよな」

1番、2番歌詞を抽出してみたが、伊達に歌詞重視の作家ではないことがわかる。

テーマ性というか、秋田ひろむが如何に言葉としての表現者の使い手であるか、という点について尽くした作家性あふれる一曲。タイトルのロストボーイズという絶妙なラインも含め全てが良い。単曲の一推しベストは間違いなくこれ。

  • 間抜けなニムロド

間抜けなニムロド

間抜けなニムロド

  • amazarashi
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ニムロドというと、旧約聖書のキャラクターの一人ではあり、神に挑戦し、天にまで到達しうるバベルの塔を建造した人としても名は定着しているが、私の中でこのキャラはダンテの神曲の地獄編の9圏で裁かれるニムロドだ。ここまで書けばある一枚の挿絵を想起する人も多いだろう。裁きの内容も中々で

奴の言葉が他人にまったく不可解なように、奴には他人の言葉はいっさい不可解なのだ

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角笛の巻きついたニムロデ 挿絵画家: G・ドレ

まぁここら辺は実際に読んでください。どこにでもおいてある名著ですし。

まぁニムロドといえばこのようなイメージがあったので「間抜けなニムロド」というタイトルでどういう曲を書いたのかという思いで聴いたのですが、やはりというか神曲におけるテーマを引っ張っていると感じました。それが顕著だなと思ったのがこの部分。

背丈は語彙を飛び越して 分からずともなお喋れ

ニムロドという素材を持ってくるところや、それを用いて書かれるamazarashiワールド

愚かさも時には強くなる、もしかしたらだけど

が展開されるという不思議な一曲です。

  • かつて焼け落ちた町

 

かつて焼け落ちた町

かつて焼け落ちた町

  • amazarashi
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つじつま合わせに生まれた僕等の歌詞を後継している、今のamazarashiだからこその一曲でしょう。歌詞がつばつばとリスナーの耳を切り刻んできます。

花芽吹いて森が茂って、人が増えて集落となってそれを戦火が全部さらって

それに泣いてまた立ち上がって

という大きな視点でみる歴史観的なもの歌詞にしているというのはまさにつじつま合わせの全体に仕掛けられたあの歌詞的であることがわかる。

歴史は繰り返し、土だけがそれを見ている

ここも、通じる部分だし

人と人とが家庭になってそこで僕ら産声を上げて

という言い回しもやはり秋田ひろむ的である。全ての歌詞が良い。とにかく聴けとしか言いようのない楽曲。ロストボーイズに並んで本作における名曲です。

  • アダプテッド

アダプテッド

アダプテッド

  • amazarashi
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こういうキャッチャーなフレーズをミニマル的に展開する曲もアバン楽曲同様、これまでにも多々ありました。それらの中でも優れているところはコーラスの差し込み具合。ここまでの決まり合いが決まっている楽曲も久々なのではないか。ベースの動きからも分かる、楽曲自体は手堅いポップソングではあるのにもかかわらず、やっぱり歌詞と展開の仕方をコントロールしきっている。タイトルは直訳で改造、改作。リピートしがちな一曲です。

戸山団地のレインボー

戸山団地のレインボー

  • amazarashi
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全体的に「もう一度」だか、これも楽曲的にはこちら圧倒的に良い。

失敗や困難だらけの僕らだから、僕らだけの景色を描けるはずだよな

という歌詞はあんたへにおける

あなたらしい人生ってのはあんたらしい失敗の積み重ね、一つ一つ積み上げては僕等積み木で遊ぶ子供みたい

の変化球と言える歌詞であろう。

虹が架かった。道は繋がった

これはスターライトにおける涙=通り過ぎ駅と同じ効能ですね。

ちなみに戸山団地ってなんじゃろかということでgooglemapで検索をかけたところここの範囲をさすそうです。ちゃんと青森環状線野内線があるのが、地産地消な感じで良いですよね。この曲が作られたのはかなり前だそうですが、それを今になってあらゆる編曲を重ねてだしたことがプラスの作用になったなぁと思います。過去に作っていた曲だからといっても、往々にしてタイミングと編曲で化けるものですし、実際我々が聴いている人気amazarashi楽曲はリリースよりかなり前の段階で書かれているものが多い。

スターライトや隅田川などはその典型だと思う。無編曲版も味があって良いですよ。

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googlemapよりスクリーンショット
アオモリオルタナティブ

アオモリオルタナティブ

  • amazarashi
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こんなにチルい音楽をamazarashiで聴くことになるとは思わなかった。しかもそれを青森オルタナティブを敢えてのカタカナというのはダサさもありますが、ラブソングの時代からあるタイトルネーミングだと思えばまぁいいでしょう。本作もまた力強いフレーズがある。

生きている限り何かの途中

であったり

人生変える何かにも始まりはある。それが今日じゃ駄目な理由は一つじゃない

象徴的なのはラストの

僕らはずっと途中

という歌詞でしょうか。

  • 1.0

新たに刻まれたamazarashiの名曲

1.0

1.0

  • amazarashi
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もともと、タイトルからして絶対気合いの一曲でしょというのは感じられるわけですが期待にちゃんと応えたくれた。1という数字を「あなた」という言葉と組み合わせるところや、歌詞の語尾を↓で締めてくるのも粋だなぁと思ったり。前回も気合の入った曲でいうと「未来になれなかったあの夜に」とかはまさにそうだと思うのですけど、個人的にこれはタイトルにテーマを出しすぎだと思うんですよね。あの言葉を楽曲の中の歌詞として初めて聴けたらまだよかったが。何がやりたいかをタイトルでバーンと出されては、「仕掛けられた楽曲」でしかない。そういうもどかしさが1.0には一切ない。そしてクオリティもやっぱり抜群。

寄せては返す過去と未来

今作における歌詞の威力ってこれまでにないほど強力だと思うんですよね。

刺さる刺さらないの有無というより「秋田ひろむ」だからこその表現力の集大成という意味で。考察の領域を外した、別概念との突き合わせの感想なんですけど、

友達も学校も家族も社会も恋人も世界との通な狩りが煩わしかった 僕らを縛りつけていた無数の糸は繋ぎ止めるものだった。この世界へと

これ、バックミンスターフラーテンセグリティ構造を音楽の歌詞で表現しましたみたいな感じで好きです。ライブとか行ったことないですけど、そういうタイプの曲ですね。

 

メッセージ性と秋田氏の歌唱の力強さが顕著な楽曲の分、生で聴いたら迫力が凄そう。

  • 空白の車窓から

空白の車窓から

空白の車窓から

  • amazarashi
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これって散々言われてることだと思うけど全体的にchameleon lifeまで戻ってない?と考えたのは私だけか。4m20s~なんて15とかでも聴いたぞみたいな。「長い夜超えて〜」のところを彷彿とさせる。何が感動的ってそういう時代の音源をamazarashiの、それもアルバムの締めに持ってくるような立ち位置の楽曲として落とし込んだこと。

楽曲的なところだと、15的なギターメインの楽曲でありながら、気がついたら

またな、またな また会えるよな、もう無理かもな もう無理だよな

をあの曲調で聴いているところ。これ秒数てきなところで言うとちょうど半々なんですよね。前半アップテンポで後半がローテンポで、最後またアップテンポに戻るという絶対計算して作られた構造。そして後ろになればなるほど「あ〜これは過去曲でいうあれだ」みたいな一種の歌詞の走馬灯的なものがファンであればあるほど巡ることができると思う。

僕にとって彼は景色で、彼にとって僕は景色で

というのは無題でいう「変わっていくのはいつも風景」というフレーズを想起させる。こういったファンであれば誰でも感じ取れる「この歌詞はあの曲との対比で考えられる」余地を残した歌詞を書いている秋田ひろむの言葉の表現力は凄い。言い換えてみたらこう、という見方としても本楽曲の歌詞として成立しているからだ。

そしてそんな余韻に浸らせてくれた状態でアウトローを締めてくれる。なんて引き際の良い楽曲でしょうか。

 

 

 

総括&その他雑語り

 

以上、七号線ロストボーイズを生煮えな感じの状態であるにもかかわらず書きました。

なぜ中途半端な状態で書いたのかというと、それほど本作が素晴らしかったから。それを共有したいがためにまずは自分の中でのファーストインプレッションを共有したかったためです。そして本作を知らない人はぜひ聴いてください。絶対に損しません。

 

正直な話、このクラスのアルバムを出されては次のハードルがかなり上がります。おそらく本作以上のアルバムは10thアルバム以降にならないと越えられないでしょう。特別視するわけではないがamazarashiは歌詞を重んじるという意味合いのアーティストであるがために、求められる領域というのが少し特異である。しかもそれをメジャーの場でやっているのだから、より高度な作品を出さないとファンもそこまで満足しきれない。初期の棘がありまくりのミニアルバムを出された後ではいかに秋田ひろむといえど厳しいものがあるなかで、これまで今作含め6枚分アルバムを出してきているわけだが、内,3枚は疑いようのない名盤と考えるとやはり7.8.9枚目が中途半端になる可能性のほうが高いように思える。まぁマイナスなことを書いてもしかたないので総括はこの辺で。

 

雑語り

このアルバムの完成度を考えるとあからさまなamazarashi派のフォロワーバンド君であるである某、神様〇〇はどう出るだろうかと考える。意外にもデビューしてから今年で6年という事実あっちはあっちで独自の世界を出して青春脱出速度などの名曲を出しているが、このアルバムをNeruが聴いて(1ファンという視点で考えれば、初日に買って(あるいはストリーミングで聞いて)エッセンスをちょっとでも汲み取ろうとしているに違いないので)どういうアルバムを出してくるかが(1stから今年で3年目なので2ndがそろそろといった時期)楽しみである。まぁバンドフロントマンである彼の作曲がメインになる場合、ちょっと事情は変わってくるが、作曲能力的にはまふまふ<Neruというのは疑う余地がないのでそれはないでしょう。

 

 

 

 

※本記事は公開以降、自分の中で考えがまとまり次第、記事の体裁をたもつための随時補足・追加します。

プログレッシブ・ロック特集 (発展編)

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いつぞやに出したプログレッシブロック特集(初級編)の続きを書こうと思い続けはや数年。無理に背伸びしすぎた記事を21年に乱発したので、今年はもう少しまったりと好きな音楽でも語ろうと思った矢先、そういえばプログレの記事の続編だしてないことに気づき、タイミング的に丁度いいので、今回はプログレ特集第二弾です。応用編と書いてありますが、端的に書くとは枷を外した状態で好きな作品を紹介するということです。要約すると

"このプログレ盤が面白い"を紹介するという趣旨の記事です

前作を読んでいる体で進むので、プログレが何かをわかっていない人や代表作すら聴いたことがない人はプログレに於ける最低限の基礎教養を前作を読んで学んでから当記事を読んでください。

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では早速本編にいきましょう。

 

 

・mouse proof/G.F Fitz-Gerald

Mouseproof

Mouseproof

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
  • ¥1528

ギター、ピアノ、ボーカルetc..というthe 70年代的な諸要素で構築されている本作ですが、とにかくフォークありである一方、Queen的なミクスチャやピンクフロイドで散々聴いたカセットテープの切り替えで鳴らしていくアプローチだったりと色々な方向に手をだしているの曲が入り混じっていて(トラックが繋がっているタイプでもあるから余計に)相当込み入っている作品である。1.2.3の流れは特に美しい曲線のように流れている

April Affair

April Affair

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
  • ¥255
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New Lodger

New Lodger

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
  • ¥255
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Country Mouse

Country Mouse

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
  • ¥255
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当然4以降もなんだこれはというタイプ曲続きで何度聴いても美味しい。

a) Ashes Of An Empire / b) The End

a) Ashes Of An Empire / b) The End

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
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a) Ashes of an empire/b the endなんて最初は民族的なメロディにワイルドな歌声かと思った矢先、女性ボーカルが乱入してきてそしてまたワイルドな声に戻りの繰り返し。音調も女性か男性かとで明確に区分している感覚がいい。半分ジャズのノリが入ったりしているのもいい。それでありつつアウトローはそれまでとは全く違う次元に突入するが如く轟音が鳴り響き終わっていくところとか、そして次のunder and over the waterfall

Under And Over The Waterfall

Under And Over The Waterfall

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
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のサックス、フルート、オルガンの掛け合いに名ばかりベースが歪曲し始めて、そこからギターの実験的メロディの兼ね合いでカオスと言わんばかりの音数を放ってくる。冒頭のノリは一体どこへともっていると、また楽観的なサウンドに戻ってくるが、それも束の間。次のトラックでは精神世界にいったが如く、効果音の連続。ピアノが打点的であり、ギターのメロディも残響音で「なんだこれ」と思っているうちに本格的に音源が狂っていきます。本格的にドラッキーなことをするとこうなるんだということを実感できます。political machineは「machine」の台詞だけでこんなにも不気味さを出せるのかと言わんばかりの強弱の扱い方が秀逸だし

Political Machine

Political Machine

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
  • ¥255
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ラストトラックのopal pyramid drifting over timeでは8mかけてノーボーカルなプログレというデザートがまっています。

Opal Pyramid Drifting Over Time

Opal Pyramid Drifting Over Time

  • G.F. Fitz-Gerald
  • ヴォーカル
  • ¥255
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この感動だけは文章にするのはもったいないので、聴く人向けの楽しみとします。こんだけ色々やっておきながら10曲で33分というこの絶妙な構成。分数で言えばミニアルバムなのに、中身はフルアルバム的と言える。本当このアルバムを知っている人を実人生でもネットでも知っているひとが少ないので、この機会に知っておいた方がいいです。ニッチ産業を極めたその先にあるような作品のため、人は選びますが、そこに合点すれば必ずハマります。

 

・Muttered Promises from an Ageless Pond/Galadriel

Muttered Promises from an Ageless Pond

Muttered Promises from an Ageless Pond

  • Galadriel
  • ロック
  • ¥1681

さてこのアルバムがどれだけ狂っているかは、一トラックに20mを要している作品があると言うこと、というところからもお分かりいただけるだろう。「いやぁ、別におなじみピンク・フロイドAtom Heart MotherやELPの音楽群で十分耳は慣れてます」という言い草もできるが、そんなことを言える変態は滅多にいない。プログレとはいえ、20mというのはかなりの長尺である(自分が知る限りの1曲の最大時間は50m)。スペイン音楽がプログレを作るとこうも様変わりになるのかというのが自分がこのアルバムのファーストインプレッション。track1.2.3からももわかる通り雰囲気としてはイエスジェネシスを足して作った作品。

The Day Before the Harvest / I. Lagada

The Day Before the Harvest / I. Lagada

  • Galadriel
  • ロック
  • ¥204
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The Day Before the Harvest / II. Virginal

The Day Before the Harvest / II. Virginal

  • Galadriel
  • ロック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

II.virginalはアコギメインで進行するのがある意味このバンドの個性と考えられる点。

Nunca da Nocheでもやっぱりアコギが中心なのでここは間違いがなさそう。

Nunca da Noche

Nunca da Noche

  • Galadriel
  • ロック
  • ¥204
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The Day Before the Harvest / III. To Die in Avalon

The Day Before the Harvest / III. To Die in Avalon

  • Galadriel
  • ロック
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しかし面白いのがこの音楽はスペイン産、つまりヨーロッパ音楽というのが本作の面白いところだ。そのせいかイギリス特有のプログレでもなければアメリカのプログレでもない。それ自体が自分にとっても面白い。ある種捉え所がないのだ。これがブリティッシュアメリカのアルバムであれば〜と比べてという相対的にどうかということが書けるのだが、イエスジェネシスの融合系としてのアルバムという点以外わかりやすい読み方というのがない。そんな中、本作で一番のメインディッシュにあたるのがThe Year of the Dream / II. Landhal's CrossとMuttered Promises from an Ageless Pond.

The Year of the Dream / II. Landhal's Cross

The Year of the Dream / II. Landhal's Cross

  • Galadriel
  • ロック
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Summit

Summit

  • Galadriel
  • ロック
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流石に勝負曲だけあって攻めてくる。特にsummitの後半におけるピアノのメロディはラフマニノフ的な情動型であり(わかりやすく例えると鷺巣詩郎的)を感じる。それでありながら、少しずつ実験的なラインに移っていく感覚が良い。2001年と音楽史的にみても古典になった作品であはありますが、知られていない。プログレでもこんなに不思議でなんだけど、イギリスプログレをタイトに詰め込んだ作品を自分は他に知らないので自身をもっておすすめの逸品として紹介できます。この作品に限ってはどういう感想をもつかを逆に聞きたいタイプの作品です。

 

・octopus/Gentle Giant

Octopus

Octopus

(´・ω・`)オクトパス、オクトパス、、うーん良いジャケット。しかしそれに反して収録されている楽曲の質は相当レベルが高い。まぁそもそも話ジェントル・ジャイアントというバンドはテクニシャンの集まりなので、このアルバムに限らず基本的には楽器で魅せる方向の楽曲群の作品ばかりですが。その意味では実験的な試みはプログレとしては抑えられている分、万人向けとも言える。プログレ特有の歪感はありますが。

knots

Knots

Knots

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なんかはちょっと小山田が好きそうな始まり方だなぁと思っていて、そういえばと思い色々漁っていたらありましたよ。

じぶんがいない

じぶんがいない

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何気に歌っているのが小林武史ファミリーのsalyuというこのアンビエントの幅の広さ。

(salyuを知らない人はterminalを聴いてください)

Terminal

Terminal

閑話休題

本作の中でもプログレらしい曲がこの2曲がa cry for everyoneとthe boys in the band 

A Cry for Everyone

A Cry for Everyone

The Boys In the Band

The Boys In the Band

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A cry fore everyoneなんかメロディが単調なのに聴かせ方で如何様にでもなるということをまじまじと感じさせるトラックだと思うんです。the boys in the bandではジャズの風味が出ていながら、メロディの紡ぎ方がプログレという込み入った作品で、技巧派ならではの味わいと言うものがあります。そのほかにも弦楽器との融合ジャンルであるシンフォニックロックが入っています。その中でも特にdog`slifeなんかはクラシックメロディアプローチが誰が聴いても感じられる程度には当時からしてもジェントル・ジャイアントは古典主義なのかなぁと考えることもできます。

Dog's Life

Dog's Life

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そしてこの曲を聴いてやっぱり既視感ならぬ既聴感を感じるのだ。

The Castle

The Castle

  • 植松 伸夫
  • テレビゲーム
  • ¥153
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サンプルだけでは該当のメロディが流れないので個々で聴いてほしいのだが音のタッチやクラシカルな音楽な要素など共通するところが多い。まぁそもそも植松さん自身がプログレ博士みたいなところがありますし、ネタ元とかそういう次元以前に押さえている作品だなぁと今更ながら思いました。

そしてtrack.7のthink of me with kindness

Think of Me With Kindness

Think of Me With Kindness

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プログレ作品に収録されているとは思えないほどメロディアスな楽曲も収録されています。イントロ部分の落ち着き具合といい、先述した万人向けと書いた理由にはこういった「バランス」として均衡があることが大きい。

 

・brave/marillion

Brave

Brave

  • マリリオン
  • ロック
  • ¥1935

マリリオンといえばこれ!!といって過言ではないほど圧倒存在感を誇るbraveです。マリリオンはイングランドバンドですが、広義的な意味でイギリスバンドとカテゴライズできるので、その意味で系譜的バンドと言えます。ネオプログレの中では群を抜いた存在と思いますが、そんなマリリオンのディスコグラフィー上最も大事なアルバム。そしてロック史的な意味でも大変重要な(少なくとも90年代の枠組みでは)作品でもある。

ピックアップ曲

・Living with the Big Lie 

Living with the Big Lie (1998 Remastered Version)

Living with the Big Lie (1998 Remastered Version)

  • マリリオン
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

・Goodbye to All That: Wave/ Mad /The Opium Den /The Slide/Standing in the Swing 

・Alone Again in the Lap of Luxury / Now Wash Your Hands (Medley) 

・The Great Escape / The Last of You / Fallin' From the Moon (Medley)

聴いていただければわかると思うが音調は真っ暗。中でもgoodbye~は基本的にはPink FloydのThe Great Gig In The Sky 的暗鬱のメロディ

The Great Gig In the Sky

The Great Gig In the Sky

  • provided courtesy of iTunes

を色々なパターンで楽曲化している印象を受ける.全体のタッチは同じくpink flyodのアルバムmeddleに収録されているOne of these daysに近いが。

One of These Days

One of These Days

  • provided courtesy of iTunes

そしてシンセサイザーが90年代っぽいのも聴きどころ。Alone Again in the Lap of Luxury / Now Wash Your Hands (Medley) なんかは本作が94年出という点を含め91年のNirvananevermind以後の匂いを感じ取れたりもする。great escapeは本作ではgood byeの類似楽曲といっていいが、より過激というかプログレ的なのはgreat escapeの方。なにより起伏が激しい。ギターで盛り上げた後にピアノソロが入ってその後にメロディアスのギターソロで占めるといった巧さがある(ギターソロがまた素晴らしい、ギターリストで魅せてくる点はデヴィッドギルモアっぽいので余計にフロイドを彷彿する)。そして唯一の明るい楽曲であるmade again という曲、多分関係ないと思うけどちょくちょくメロディがamazarashiっぽいのでもし参照していたのなら激アツだなぁと思ったり。まぁないだろうな。

Made Again (1998 Remastered Version)

Made Again (1998 Remastered Version)

  • マリリオン
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

コンセプトアルバムの性質も秀逸で記憶をなくした少女という実話を元にしていることから、音楽の重厚さがより深い領域になっているところも注目すべき点。やっぱりイギリス人が考えるロック=UKrockって暗いサウンドやメッセージ性(テーマ性)に余計に凝っていたりと音楽以上に語りかける何かがあるなぁと英国ロック固有の遺伝子を感じられたりもするお得なアルバムです。

 

・Dragonfly/Strawbs

Dragonfly

Dragonfly

  • ストローブス
  • ロック
  • ¥1630

ストローブスは元々がブルーグラスというジャンルで始まったということもあり技術ありきの楽曲が目立つ。そしてこのアルバムからプログレっぽくなったという点ではそこまでプログレ的ではない。むしろフォークの曲が多い。が、だからこそ。転換期の時期に発表している本作を推すというややこしい選出理由。その意味ではプログレとして推す曲はThe Vision of the Lady of the Lakeの1曲だけ。がこれがかなり面白い曲。

The Vision of the Lady of the Lake

The Vision of the Lady of the Lake

  • ストローブス
  • ロック
  •  
  • provided courtesy of iTunes

そこまで派手でもないし、変な実験性のあるサウンドも特出して目立たないのに、しわがれ声からシャウトになってからバッと変わる様がとにかく良い。ボーカルのギャップとそれに付随するサウンドの追加(エレキとドラム)の様変わりさがポイントです。

・Quatermass/Quatermass

Quatermass

Quatermass

  • Quatermass
  • ロック
  • ¥1375

マリリオン、ストローブスと比較的有名どころから引っ張ってきてからのquatermass。活動時期は少ないし、メンバーがどんどん変わっているところからわかる通り、アルバムは少ない。一応2枚でているが、完成度の高さ云々を考えたら実質この1枚だけ。メロディからわかる通り思いっきりコテコテのイギリスバンドです。共同事業者にパープルがいるというだけでも納得いくサウンド作り。このアルバムの一推しはやっぱり

・Laughin' Tackle

Laughin' Tackle

Laughin' Tackle

  • Quatermass
  • ロック
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ボーカルなしのinstrumentalプログレ楽曲10mという、楽曲体験型。これだけならまぁよくあるという評価で終わりなのですが、この曲なんと中盤に長いパーカスソロが入ってくるのです。展開部→パーカスソロ→展開部→再現部みたいな中々類例をみない構成。厚いサウンドばかりでベースが目立つのもいいし、控えめ程度のキーボードもかなりツボ。それでいて途中にキングクリムゾンの21世紀の精神異常者のアウトローオマージュを入れてくるという完膚なきまでにプログレッシブロックをぶつけてくれます。絶対に押さえておきたい1曲でもあります。

 

Bluebell Wood/big sleep

Bluebell Wood

Bluebell Wood

  • big sleep
  • ロック
  • ¥1069

the 隠れた名盤。big sleep自体もこの1枚しか出していないことから知名度が低い。track1.Death of a Hopeから

Death of a Hope

Death of a Hope

  • big sleep
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

哀愁あるピアノメロディと弦楽器との掛け合いだけの曲が出てくるのだが帰結の仕方があまりに自然。バランス感覚が優れた楽曲を最初にぶつけてくるあたりこのアルバムのレベルの高さが窺えます。

free lifeという曲は

Free Life

Free Life

  • big sleep
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

比重がかなりベースによっているためイコライザなどで調整してベース音だけでも何回も楽しめます。この曲は途中ではいるwギターのソロに味がある。ハモンドの音は70年代ならではの年代物(本作は71年の作品)の聞き応えがある。そしてBluebell Woodは

Bluebell Wood

Bluebell Wood

  • big sleep
  • ロック
  •  
  • provided courtesy of iTunes

前半4m弱がローテンポなのに対して、残りは飛ばしてきます。まるでリニアカタパルトの如く。ロー<ミドル<ハイとテンポがどんどん早まっていく点こそ最大のポイント。そこにハモンド、ドラム、ギターが重なっていく様はまさにプログレでしか再現しようがないほどに美しい。今回のラインナップの中でも華麗なサウンドという意味では群を抜いています。

 

salisbury/Uriah Heep

土着的な感じん音が目立つユーライア・ヒープよりsalisbury。一々ギターのかっこよさが目立つという意味ではこれまで紹介したどのアルバムよりもぶっ飛んでいる。そしてどう聴いてもブリティッシュロックだろこれと言わんばかりの地域的と言いますか、地産地消的な風味も感じられる珍品。そもそもユーライア・ヒープは有名バンドだろという話ではあるのですが、led zeppelindeep purpleほど日本では知名度を勝ち得ていないので、おそらくマイナー部類になってしまうでしょう。先述したギターのかっこよさというのも恐らく、ジミーペイジやリッチブラックモアらと同等程度の厚みがあると考えていい。冒頭トラックのbird of preyのイントロ運びなんて

Bird of Prey (2016 - Remaster)

Bird of Prey (2016 - Remaster)

  • provided courtesy of iTunes

もろled zeppelinのcommunication breakdownであることは、ちょっとでもロックをかじっていればわかるレベル。当然zeppelinの方が69年ではやいです。当然踏襲しているはずですが、ユーライア・ヒープの楽曲としてちゃんと単なるなぞりで終わっていないという点が大事。ここまでくればお察しの通り、本アルバムはどっちかっていうとHigh Priestess,Time to Liveなどを聞けばわかる通り文脈としてはハードロックアルバムなのですが、途中トラックにあたるSalisburyがとかく良いわけですよ。

Salisbury (2016 - Remaster)

Salisbury (2016 - Remaster)

  • provided courtesy of iTunes

16mの大作であり傑作プログレに比べれば冒頭こそ、日本人が聴けば時代劇かみたいなサウンドからスタートするのですが、そこを我慢すれば後はひたすらかっこいいの嵐。具体的なタイムを書くと4m46sまで耐えぬけば(それまでの展開も悪くはないですが)後はひたすらメインディッシュの連続といっていいほどかっこいいサウンドの嵐。しかもシークエンスごとに自然流れで切りつつ、よりアップテンポになっていくというこの感覚は中々ないと。類似で例をだすならマイケルジアッチーノのインクレディブルのスーパー・クレジット

的な展開と躍動があるようにも聴こえます。

余談と雑話..この曲はあまりにかっこいいですよね。恐らく自分の中でピクサー映画の中で最も好きな作品がインクレディブルです。続編含め大好き。というかブラッドバードが超絶すごいクリエイターという話でもあるのですが、それは別の話。ちなみに本作のOSTを担当しているマイケルジアッチーノの今、世界では話題のthe batmanでかなり重厚なサウンドも担当しており、かなり洗練されたピアノテーマで名曲を書いているので

The Batman

The Batman

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・sonata in darkness

(これもエンドロールに流れるという粋な演出。クレジットが流れていくシークエンスでこの曲はあまりにもずるいと思いませんかね。)

是非聴いてください。ついでにthe batmanも見てくれると嬉しい。中々手堅い作品ですし、バットマン映画としてはdetective comicとしての先祖返りをしていて、探偵バットマンという所にフォーカスがあたっているという、過去のバットマン映像化作品の中でも「本来のバットマン」をしっかりと描いているので自分は凄い楽しめました。多分来年のオスカーの作曲賞に絡んでくると思う。思えばめちゃくちゃダースベイダーの変化球或いは、本作のバットマンのイメージソースの一つになったカートコバーンがNirvarnaにて発表したsomething in the way

(原曲も流れるという意味で)ベースのメインテーマという点含め、やっぱりマイケルジアッチーノは最高の作曲家だと思います。いつか特集したいですね。実は過去に一度書いてはいるのですが浅い記事でしかないので。

sai96i.hateblo.jp

閑話休題

 

super nova/exodus

Supernova

Supernova

  • Exodus
  • ロック
  • ¥1528

さて、次に紹介するのはexodusというポーランドのバンドサウンド。81年のアルバムにしてはかなり電子サウンドが目立つなぁという印象。元々ポーランド音楽というのがどう素地で成り立っているかというのが恥ずかしながら押さえていないので、「〜の文脈」という意味での説明は難儀ではあるのですが、先ずはボーカルの声ですね。絶妙な按配な声だと思います。楽曲的なところではWielki wyścigがいいですね。

Wielki wyścig

Wielki wyścig

  • Exodus
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ゲームサントラにハードロック文体のギターを入れたアレンジver.的な趣向が窺えるのと、2m8s~29sまでの魅せ方はお見事。メロディのアップダウンの段落の付け方が上手い。後半のギター(音作りも微妙な掠れ具合がブリティッシュアメリサウンドっぽくないという印象を受ける)とソロとその下地を支えるベースの掛け合いも良い。

Płynąca rzeka marzeń

Płynąca rzeka marzeń

Płynąca rzeka marzeń

  • Exodus
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

イントロとアウトローだけで何度でも聴ける。そんな楽曲。3m47s以降からアウトローはまさしくプログレ的ですね。それと同時にこれがラストトラックにあるというのがアルバム構成的にも優れていると思うのです。なんだかんだラストはギターソロで締めてくるし、その後のアウトローを考えれば、本作のサウンドの構成具合は抜群と考える。なんとなくアルバムのトラック的な読み解きにはなるのだが、1~8まである中で最初は掴みどころがない形からどんどん本作の音楽性が浮き彫りというか滲み出してくるという点含めプログレアルバム的と思ったのおすすめアルバムとして入れました。

 

ATTAHK/MAGMA

Attahk

Attahk

magamaといういえば同名のアルバムのmagmaが真っ先を想起するのが大半ですが、あちらがジャズの形をしつつも、音楽の方向がサイケデリック寄りなのに対して、こっちはよりスタイリッシュかつ、リズミカルなので聴きやすさという意味ではattahkの方がより優れています。ジャケを描いたのは世界で最も有名なエイリアン(ビックチャップ)

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amazonの写真より引用

をデザインし、そしてエイリアンという単語を変えるほどの革命を起こした天才画家HRギーガーです。絵のタッチでわかりそうなものですが。track1.のThe Last Seven Minutes (1970-1971, Phase II)

The Last Seven Minutes (1970-1971, Phase II) - Original

The Last Seven Minutes (1970-1971, Phase II) - Original

  • provided courtesy of iTunes

からしてもわかる通りメロディが質素でありながらbpmがやや早めでミニマム的な進行で展開されていくというなんともわかりやすいサウンドライティングになっています。1m53sからの唸るようなベースが目立つのはまさにプログレならではの高揚さを表しています。同じくベースが主役を張ってる楽曲はDondai (To An Eternal Love)とNono (1978, Phase II) の2曲

Dondai (To An Eternal Love) - Original

Dondai (To An Eternal Love) - Original

Nono (1978, Phase II) - Original

Nono (1978, Phase II) - Original

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これらの曲は頭から結までメロディの繰り返しがゆえに、そもそも楽器が目立つ構成的といえるのですが、その中でもベースがずっと動いているので中々主張してくるなぁと思います。

そのほかにもドラマチックなピアノが主体のRinde (Eastern Song)

Rinde (Eastern Song) - Original

Rinde (Eastern Song) - Original

  • provided courtesy of iTunes

を始め、楽曲の完成度の高さとして象徴的なMaahnt (The Wizards Fight Vs The Devil)

Maahnt (The Wizards Fight Vs The Devil) - Original

Maahnt (The Wizards Fight Vs The Devil) - Original

  • provided courtesy of iTunes

など全ての収録曲に様々な味わいがあり、何度も聴いて楽しめるタイプのアルバムになっています。ちなみにこのアルバムジャケット既視感があるなぁと思ったら後発の作品ではあるのですけどcapsuleflash backっぽいなと思った。いやありがちな構図だし偶々なんだろうけど。

Flash Back

Flash Back

  • CAPSULE
  • エレクトロニック
  • ¥1377

ちなみにこちらのアルバムにはライアーゲームの屈指の劇伴作品(基本的にライアーゲームOSTは全部レベル高いのだが)flash backが収録されていますのでこちらも是非。

FLASH BACK

FLASH BACK

  • CAPSULE
  • エレクトロニック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 

 

・終わりに

今回はあくまでも紹介記事なのでいつもよりかは力まずに軽いタッチで書きました。一枚一枚に意味というか繋がりを書こうと思えばやりようというのはいくらでもありますが敢えて抑えてみました。その方が作品紹介記事という観点上読みやすいですし、あくまでもアルバム紹介ですから。今回は発展ということでプログレ世界における名盤を紹介しましたが多分、このラインナップを作るのには中々体力が必要(勿論有名どころも出しましたが)でした。当然のことながら、この手のプログレおすすめ記事というのは山ほどあるわけで、それらの既存記事と似てしまっては意味がないため、自分流であり、ほかの人がそこまでピックアップしていない作品というのを選びました。執筆中は音楽サブスクのありがたみをひしひしと感じました。無難にelp(Emerson, Lake & Palmer)のTarkusとか、プログレといったこれは外せないという意味での名盤:magmaを紹介して、コバイア語という架空言語まで作ってる凄い設定厨みたいなバンドですといった趣旨や、atollのL'Araignee-Malをはじめ、ドイツバンドのFaustの1stアルバムのジャケットの異様なかっこよさについてなどについてや同じく独のアーティストneuschwansteinのbattlementの素晴らしさ等語るといった草案もあったが、これらを採用すると世界のあらゆる名盤を扱わないと自分の気がおさまりそうになかったため(現に後書きでかなりの文章量を使ってしまっている)、マイナー中心に時たま有名作を挟むという構成になりました。多分この記事を進んで読む人やいずれ何かの拍子でたどり着くような人たちはメジャーどころは全部押さえているでしょうから、そこで肩透かしを食いたくないという配慮もありました。多分、入門編を出した時の自分なら没の草案で書いていたと思う。その意味では1.5年の間に見方聴き方が変わったということですね。まぁそういった形でプログレって面白いし、作り手によって全然違う作品形態になるという、音楽の中でも異質なジャンル体系だから食わず嫌いせずに聴いてみてくださいということを最後に書いて終わりにします。ここまで読んでくださりありがとうございました。そして次回こそは本ブログの主流でありメインにあたる解説記事を出す予定です。アーティストは未定ですが、あらゆる画策して何パターンか下書き程度にはできているのでそう遠くはない中に出せると思うので気軽に待っていただければと思います。

ヴァイオリン・ストラディバリウスについて

今回は別格な品位と歴史を誇り、黄金に輝くストラディバリウスについての紹介・解説記事になります。当然ながら所持しているはずもないので、歴史と成り立ちなどといった背景が中心となっています。

音を説明するというのは難しい&烏滸がましい。楽曲のコードなど基準が明確化されているものならまだしも、音そのものの違いなんて説明できるはずがない。例えば調律をする時に440hzと442hzを比較した時にその違いを400文字で説明しろと言われて満足のいく文章が果たして書けるか?、或いは一度440hzで楽器の調律を合わせてみて欲しい。たった2hz違うだけでも音の聞こえ方は変わる。まずそこが聴き分けできるかどうかという点が一つ、そしてもう一つ、今では大半が442hzで調律するのが当たり前になっているが、440hzで調律をしていた演者が442hzに合わせるように対応するのにはプロの奏者でもかなり苦労するという話もある。つまり音の調節でさえプロでも立ち行かないのに、音の解説なんてもってのほかである。ましてやストラディバリウスの音そのものについての聴き方を紹介しますというのは原理的に不可能である。

仮に所持していたとしてもそんなことをする人はいない。正月特番の格付け番組といったあくまでもバラエティ番組という枠組みでしか成立しえない。なぜそう言えるのか。理由は簡単で学術、技能的にトップであり狂った連中しかいない藝大の凄腕でも判断を見誤る&パガニーニのような天下無類のヴァイオリニストでさえも自分の愛機の贋作(シヴォリ)を作らせた結果と本物との見分けつかない事態を招いた。またそれ以上に弾き手の実力や音が鳴っている環境など、総合的なバランスを考えたら100万のヴァイオリンとストラディバリウスとの聴きわけなど、そうそうできるわけない。ましてや普段ヴァイオリンの音に触れていない人たちなら尚更。こういった部分を抑えているとあれがやらせだろうがなかろうが、そういうところを抜きに格付けチェックのA or Bでやってるいることは茶番にしか過ぎない。

まぁテレビだからできるバラエティ番組なのでこういう真面目なツッコミを本来するべきではないのですが、「敢えて」書かせてもらいました。

ストラディバリウスの大まかな概要

ストラディバリウス(ストラド)とは、リュータイオであるアントニオ・ストラディバリとその子供たちによって作られたヴァイオリンをはじめとする弦楽器であり、三大名器の一つである。(残り二つはアマティとヴァルネリ)。音楽の好事家であればその名を知らない人はいないだろう。それほどまでに絶妙な設計、隅から隅まで徹底された胴体(ボディ)〜テールピース、パーフリングなどで奏でられるその音はまさに国宝級。弦楽器最高峰の技量をもって作られた楽器であるため、現在個人で所有している人はかなりの少数派であり、大半が団体からの貸し出しになっているほど「希少」である。そんな名器を現在でも「ストラディバリウスをもう一度」という意気込みでさまざまな製作が試みられています。

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アントニオ・ストラディバリ肖像画

いきなりストラディバリウスについてのことを書いても概要だけの知識では意味をなさず前後の脈絡を理解していないと楽しめないので、段階を踏まえてた上でストラディバリウスについて紹介いたします。

ではまず最初に名前の区別から。一般的に言われるStradivariusとは当時の慣例にそった時に古代ローマ帝国の共通語であるラテン語表記する必要があり(クレモナという地域は紀元前218年にローマ人によってつくられたことからはじまっているため、古代ローマの共通語のラテン語を当時としては用いることがあった)StradivariをStradivariusとラベルに書いたことから楽器を指す場合「ストラディバリウス」、製作者を指す時を「ストラディバリ」ということになります。

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実際のラベル

あまりにも前者の名前が定着したせいか、はたまたかっこいいせいか、今では「ストラディバリウスが作ったストラディバリウス」という認識をされているように見受けられます。根本的には間違ってはいないが相手によっては面倒な弦楽器警察の場合もあるのでここで使い道を覚えておきましょう。

 

ではまずヴァイオリンのがどうしてできたかという点と、如何に突発的な楽器であったかを簡素に紐解いていきます。1500年代の半(最古のものが1564年といわれています)ば北イタリア地方のクレモナで産まれた楽器です。ではここでそれらの大家というべききか、元祖リュータイオとしての役割を果たした人物が

  • アンドレア・アマティ(1505-1578)
  • ガスパロ・ディ・ベルトロッティ(1540-1609)

この二人がいます。1564年のものが最古だとするアマティが51歳、ベルトロッティが24歳となります。どちらが先かというのはこの場合あまり意味はなく、年季の意味合い、経験値などを考慮してもより優れた、より完成度の高いヴァイオリンを製作することができたのはアマティであるというのは間違い無いでしょう。この二人の関係性に関してはあらゆる説が出ていますがそれらの 真偽はわからないため、この二人で一代目とされています。

では次にアマティがヴァイオリンに施した革命をいくつか挙げます。 

・ギターに代表されるフレットを削ぎ落としたこと

・音響箱にアーチングをいれた

・f字型のサウンドホール

まず最初のフレットを削ぎ落としたという点について

フレットの有無と書いてもいまいち想起が難しい人もいると思うので写真を貼ります。

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実際のヴァイオリンと中の人の手

 

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ギターの場合

 

この画像とギターを比較するとわかるようにギターの場合銀色の針金状の横線が入っており、フレットを抑えることで*1音程を取るというのはわかると思います。ヴァイオリンにはそれが*2ありません。基本の形としてフレットを取り除くことによって楽器が奏でられる表現というものが格段に広がったということです。だからこそその後のパガニーニのような悪魔的な技術というのが*3成立するのです。

※因みにパガニーニが愛用したのはグァルネリのカノーネという名器

次に音響箱にアーチングを入れたという点についてですが、流石に楽器を分解することはできないのでこちらの画像をみていただきたい。

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https://il-violino.com/の記事より3枚目を引用

il-violino.com

これはみた通りで隆起している部位があると思いますが、所謂ここがアーチングを指すヴァイオリン特有の響きにこの中核部位にアーチングの影響もあると考えると非常に画期的なことだと感じます。そしてなんといっても擦弦楽器におけるサウンドホールの形状でf字型にしたことが一番の発明と考えていいでしょう。振動音の出口の形として究極系であり、ヴァイオリンの音をたらしめている最重要の因子かもしれません。実際にそれ以前までの擦弦楽器(ex.ヴィオールという楽器など)との比較をすると以下の画像の通り

f:id:sai96i:20220123001928p:plain

以上のことから如何にヴァイオリンが特異的な産物であるか、そしてアンドレア・アマティが偉大であるかが理解できると思います。なによりヴァイオリンが台頭して以降その後の音楽シーンが劇的に変わったことはその後の歴史が証明している。

思えばバッハをはじめ、その後のロマン派の偉大な作曲家などは例外なくヴァイオリンなしには語れない楽曲群を作曲している。知名度的にわかりやすい例をあげるのであればヴィヴァルディの四季のシリーズ(春と冬が好きという典型的な人間)などがまさにそうです。

何気なく聴いているクラシック楽曲の「らしさ」の大半の魅力というのは実はヴァイオリンが買っているといっても過言では無いほどに存分な魅力を詰めた楽曲群であるということはお分かりでしょう。読者の中でも弦楽器の中でも一番の主役はヴァイオリンであると感じている人は多いのではないか。まぁそれはともかくこのアンドレア・アマティの直系の孫にあたるニコロ・アマティこそが三大名器の中核を担う人物になります。なぜならニコロ・アマティとその弟子たちの派生してきた人たちこそがアンドレア・グァルネリ(孫がグァルネリ・デル・ジェス)であり、アントニオ・ストラディバリだからです。ちなみにグァルネリと聴いてシンフォニックメタル/ネオクラシカルメタルのgalneryusを想起した人もいるでしょう。その通りでgaleneryusはヴァルネリに由来しています。フロントマンのsyuがヴァイオリンを弾けることに起因しています。

初めて聴く人向けにはangel of salvationとかがいいですね。技術、楽曲などどれをとっても技巧がとんでもないので知らない人はここで知っておいた方がですよ。

ANGEL OF SALVATION

ANGEL OF SALVATION

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おすすめアルバム単位ではULTIMATE SACRIFICEを薦めます。正直英語と日本語が混ざっている歌詞が主流なので、ボーカルの英語発音が気になるところではありますが、やはり全てJapanese Englishにしか聴こえないため、そこで好きか嫌いかが別れるますが(かくいう自分もvo.のJapanese Englishぶりにはダサさを感じます。それをも許容してしまう楽曲が本当に素晴らしい。総合的な歌唱の意味では流石の小野正利なんですけどね) 

Ultimate Sacrifice

Ultimate Sacrifice

閑話休題

では次におまたせストラディバリストラディバリウスについて

アントニオ・ストラディバリは16歳〜92歳という間、楽器製作者として活動、生涯で俯瞰した時に作った楽器の数は約3000挺以上。現存するのは1/5の600挺。ヴァイオリンのみならずギターやマンドリンといった楽器も作りました。実際の内訳は明確ではありませんが、3000の内、大半がヴァイオリンで占めており、その数は1000を超える。先述の通りストラディバリの他にも優秀なリュータイオの弟子がいたと考えるのが自然ですが、かならずストラディバリ*4チェックは入ったと思うとやはり異常値です。そんな膨大すぎるストラディバリウスの中でも黄金期に作られた優れた名器が*5 3本あります。これらの名称は基礎知識として覚えておいたほうがいいポイントでしょう。

他にもメディチタスカンやクステンダイク、ダ・ヴィンチなど色々なタイプのストラディバリウスの種類があるのですが一つずつ名前を挙げるとキリがないので知りたい人は個人で調べてください。

・なぜあそこまで高級なのか?

家を数軒売ったとしてもストラディバリは買えないとまで言われるその高さの所以は一体何か。色々な研究がされているからこそ、あれこれ言われているのでそれらに倣って挙げるとまず奏でることによって鳴る音そのものがある。現在造られる楽器よりも「何か」が優れている。それを形容するのは難しいが今を持って再現性がない(なぜないか、という点についても大いに研究されていますが、本項目においてそれらの深掘りする必要性がないのでしません)という点や数百年前、つまりは劇場(オケ)での公演がない、室内音楽が主流だった時代に作られたのにもか関わらず、その後の音楽形態に適応できるポテンシャルを持っていたこと(要約すれば、300年前のものが今でも*6使えるということ)がある。これは他の媒体価値にも言えることでもある。例えば本。本という紙で編集されたそのものには価値はなく、人に読まれて語られていくことで初めて価値が発生するように、或いは映画は観客のそれぞれが受容することによって初めて作品として成立するように、楽器もまた存在しているだけではあまり価値はなく、それが時代を超えてあらゆる*7名プレイヤーによって奏でられ続けている(現代にわかりやすく言えばエイジングとでもいうべきか)。それが自体が奇跡であり、ここにかかる歴史自体はお金では買えないものであることは言うまでもない。尚、製法における木材が〜、ニスが〜といった話は当然把握しているが、あまりにも地味な話になるので割愛します。というよりそこであれこれ言ったところで結局、なぜ高いかは結局「300年前に作られたものに歴史が重なった上に今も現役」ということに集約されることに他ならないから。そして今でも再現が難しいということ自体が、製法を語ることの無意味さでもある。

だからそれをお金で買おうとすれば億単位の値打ちがついて当たり前なのだ。ストラディバリウスと調べるとサジェストで「なぜ高い?」という検索ワードがでるが(ちょっと考えれば分かるだと思ったりますが)その「なぜ」というのは先述の通り(専門家に言わせればもっと具体席のある論拠などがあるだろうが)日本がStradivariusを出品した時、落札値にして12億というのも頷けますね。

 

最後に、日本でストラディバリウスをどこが所持しているのかが気になったので調べてみたところ以下のような団体・人物の名前がありました。

・誰が(どこの団体が)所持しているのか?(敬称略)

有名どころだけ抜粋してみましたけどざっとこんな感じ。持ってるだろうな〜という団体はともかく、前澤さんもコレクターしているのが意外でした。その他にも子供のゲーム機をバキバキで折ったことでも有名な高嶋ちさ子さんなどが所有しているとのことでした。

日本音楽財団が所有している楽器群はHPに詳細があったので書き出してみました

www.nmf.or.jp

・ヴァイオリン

ドラゴネッティ/ロード・ニューランズ/ハギンス/エングルマン/カンポセリーチェ

ドルフィン/ヨアヒム/ブース/サセルノ/ジュピター/ウィルヘルミ/サマズィユ/ムンツ

・チェロ

ロード・アイレスフォード/フォイアマン

グァルネリのヴァイオリンも

デル・ジェス ムンツ/デル・ジェス イザイ

の二機と、案外多く所有しているなという印象です。

 

以上ストラディバリウスについての紹介記事でした。いつもよりは薄味の記事になりましたが意識的です。書き用はもっとあるのですが(クレモナについて、ストラディバリウスの木材云々など)、本当に読みたい部位だけをピックアップしたというのがまず一つ。二つ目に、ここ最近1万字以上の記事が続いたのでそれらよりは各類テキストで収めてみました。(というより、1万字以内で書くことを意識した)年明けの肩鳴らし的な記事とでも思ってください。本命というか、ちゃんとした記事は次にお預けということでお願いします。では次の記事で

 

 

参考文献

・中澤宗幸 (2018). 修復家だけが知るストラディバリウスの真価. 毎日新聞出版

*1:gとfとかああいった類のものです

*2:初心者向けに音の位置がわかるようにした指板を入れたものもありますが

*3:成立すると書きましたが、二コロ・パガニーニは別格すぎるというか次元を超越した技術の持ち主なのでそういう人がもったからこそ「悪魔的」技巧ができる楽器になったということをお忘れなく

*4:ジブリで例えるのであれば一流アニメーターが描いた絵に最終的な宮崎駿御大のチェックという名の描き直しが入ることによって凄まじい動的の力を持った画が生み出されるあの感じ。

*5:頭文字をとってDAMと言われてたりもします。

*6:経年劣化防止による改造は施されてはいるが

*7:パガニーニクライスラーオイストラフ等をはじめ、宮廷のヴァイオリニスト

駄話

22年度、初めての記事が駄話ってどんだけ手を抜いているのだという話ではあるのですが、記事は引き続き執筆しているのでお待ちください。

さて、はてなでブログを開設してから4年と数ヶ月が経ったわけですが、ようやく総アクセス数が10万という大台を達成しました。

f:id:sai96i:20220122140015p:plain前身をlivedoorで書いていたことを考えるとこのブログを自分が始めて(当初はrinoブログという安直なブログ名)から5年。最も、誰も知らないであろうameblo批評時代を含めると6年以上ブログを何かしらの形で書いているわけですが(いかに自分が暇人だったかがわかりますね)、今のスタイルに定着するまでに色々時間がかかったものです。マクロの視野でみれば別に大した数字ではないのですが、それでも自分の中でどうしても突破したい数字でしたので当初のスタイルをすこしだけ拡張し、ブログ記事における質を練り、具体性・信憑性・正確性など始め一回読了しただけでは分からない程の情報量を詰め込むことで、面白く何度でも読まれる記事をここ2年の間に出した結果、は数多くは出していないものの、代わり一つ一つの記事が瞬く間に伸びて6~8割の記事がGoogle検索の上位に来るというこの抜群さも合間って、以前とは比較にならないほどアクセス数が上昇し、10万という数字に到達したわけです。

 

今でこそ、濃い解説記事の更新に安定したサイトになったものの、古参読者であれば当初からそういった因子はあったものの、今のスタイルではないことはご存知のはず。

sai96i.hateblo.jp

*1

sai96i.hateblo.jp

*2

思い返せば、今の方向性を示唆する記事はlivedoor時代の当初から出していたが、その真価に気付くことなく、余計な文章ばかり出していたような気がします。それらの価値に気づいたのは19年のこれらの記事がきっかけがこちらの記事

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数年ぶりの新曲が出るということでsupercellを初めて聴く人向けにも、懇切丁寧な記事を書いた時に自分のスタイルは、聴いた音楽系のいわゆる音楽ブログの量産型の記事ではなく、アーティストについて深く広く掘った記事の方が向いていると思い始めて、そこからあらゆる可能性の考えを巡らせて、その方向性にシフトしていったわけです。そんなこんなで20年度初頭に「聴いた音楽」シリーズを廃止。

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(アーカイブ残していましたが、読まれないないので全て削除しました)

そして徐々に今のスタイルになっていったというわけです。そのため20年以前と以降とで明らかに当ブログ記事の性質が変わったことがわかると思います。

(過去記事を遡れば一目瞭然です)

そして、以降の時代になり、今の方向性を決定的にした記事がこちら

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これを公開したあたりから読み手の層が広がったのが明らかに分かるほどにアクセスも以前より伸び、反響もそれなりに感じられるようになった。当時あまりに嬉しく、もっともっと面白記事を!!という心境で一気に書き上げた大作記事がlofiの歴史を簡易的に書いたこちら。

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これlofi関係の単語でで調べるとかなり上位に組み込むようになったのでその分読まれているわけで、甲斐があったものです。そして年末に某カレンダーの記事で書いたEGOIST特集記事

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当ブログのスタイルが定着した状態で出す推しアーティストへの記事というのはそれもう書きやすい状態でなおかつ深く広く、存分に偏愛を語り尽くしたら見事EGOISTの一般ブログでは最上位に位置する記事になりryo(supercell)信者としては至れり尽くせりなものをお届けできた上に、最も読まれる記事なれたという2つの嬉しさがありました。

2021年の一発目に出したまふまふ記事

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は最近になって(多分紅白の影響)アクセスがあがり貢献していますがまだまだスタンダードにはなっていないので少し残念ではある。それに主なリスナー層のことを考えるとこの手の記事はあまり需要がないようにも思えます。がしかしまふまふ作家論の記事の中でこれ以上に作家性を論じた文章はそんなにはないと思うのでこれからも読まれる対象になると信じています。

 

そして去年の2月に久石譲の音楽についての解説記事を公開したわけですが

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これが思いもよらぬ速度で大ヒット。まだ1年も経過していないのにミニマルと久石譲を絡めた解説記事としてグーグル検索の1ページ目に来るというこの異例さ。さすがに驚きました。圧倒的なビックネーム、実績をほこりでありだれもが、その魅力を知りたいのに深く広く解説している記事がなかったことと、その点をこの記事は全てクリアしているという意味で一撃を加えた感覚はあります。がしかし、まさかここまで伸びるとは自分でも想定していなかった。

 

その次に出したのは80年代に活躍したハードロックバンドVOWWOWとそのボーカル人見元基についての記事です。

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この記事は出す前から「そこまで読まれないだろう、だって読者の大半が知らないし(生きている年代的な意味で)どうせ興味も示さない。がしかし、オッさんほいほいになる」と読めたのでそこまでのアクセスは期待はしていませんでした。なにより自分も当時はこの世に生まれていないわけで。ただ自分の中で主に人見元基のvocalistとしての異質さを消化したい欲求やVOWWOWというバンドが和製バンドとしてどれだけ凄かったかを指し示したかったので書き上げたところ案の定Twitter上では反響は皆無に等しかったのですが、ところがどっこい日を経つにつれて常連記事になるというこのラッキーボーナス感。

そしてこれををはさんだ後に満を辞してamazarashiの記事を出すわけですが

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(以前から執筆していたとはいえ)この記事に於ける圧倒的なボリュームの濃さ。書くのが難しい記事はたくさんありましたが、この記事ほどタイプが進まなかったものはないですね。歌詞性が強い分いつもの楽曲のルーツ云々という手が封じられた気持ちでした。と同時に日頃の読書の大切さを学んだ記事でもあります。それは宮沢賢治寺山修司中原中也等の作品群を基礎教養として読んでいたという点よりもamazarashi関連の記事や文章を読んでいるだけでは書けなかった文章があるからです。具体的な場所はあえて明言しませんが自分が普段から積んでいる読書量と言いますか、読んだ書籍が周り巡ってブログに活かすことができた。そんな思い出深い記事です。とにかく書いていて辛かった記事no.1という印象だけが残っています。

この段階で21年度における記事はこの段階で字数にして累計約5万字という異常さからもわかる通り、次の記事をかける気力体力時間等が全然取れない中「どうせそんなには読まれないけど書いておきたい作家について」という考えのもと書いた記事が伊福部昭についての記事になります。

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ゴジラの人で片付けられることが個人的に嫌で(作品の偉大さから仕方ないところもあるのですが)もっと知られていい作品群があるし作曲家伊福部昭は大半の人が思っているよりも偉大な人であるということをいいたかったのが一つ。次にクラシック史から考える伊福部昭のバックボーンを覗いて見たい人向けにここは一発書いておこうという2つの要素をメインに書いています。脱線が最も激しいのも多分この記事かなぁと思ったり。

(故に脱線が好きな人には非常に知見に飛んだ記事になっています)

案の定そこまで読まれませんでしたけれど、個人的に総括できたことが嬉しかった。ブログを出すことって当然発信の意味もあるのですが、同時に自分の頭にある知識、情報を文章にして整理する媒体にもなるものだなぁと学習しました。

 

以降、全くブログに時間を費やすことなく日常を送っていたのですがどこかで音楽記事を更新をしなくては、、なんて思っているうちに11月に入り、楽曲カレンダーの募集ツイートがあったので、軽い気持ちで最終日登録。同時に時間制限をかけた上で一から菅野よう子を振り返る記事を出そうという心意気に至ったわけですが、当然一人で納得がいくクオリティを20数日足らず出かけるはずもないのでtwitter菅野よう子の楽曲有識者を招いて共作という形をとり、妥協に妥協を重ねてできた記事がこちら

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総字数が5万字以上というこの「ブログ記事」としての一般性を失っている記事に。書き上げた時はまず最初に読まれるかどうかが心配でしたが、流石菅野よう子パワーというべきか。届く人にはしっかりと届き(届かない人には一生縁のない記事)、当ブログに相応しい記事を一つ積み重ねることができました。余計な文章を付け加えると21年度の楽曲カレンダーの中で発表されたどの記事群よりもずば抜けた完成度だと自負しております。

楽曲オタク Advent Calendar 2021 - Adventar

(よろしければ回っていってください。面白い記事がたくさんあります)

そんなこんなで10万突破にいたるわけですが、記事以外にもアクセスを稼ぐための手練手管はやっていて、記事の充実度意外にも自分が開設したまふまふ速報

mafusoku.com

の記事に当サイトのリンクを忍ばせたり(正当性がある文脈で挿入)数十人にDMで拡散の協力を仰いだりと馬鹿みたいに必死になってその繰り返しでようやく10万という境地に辿り着けたわけです。がしかし、そこの拡散も更新時の初動の時しか行わなかったし、自分は馬鹿の一つ覚えみたいに朝昼晩「更新しました!!」といった宣伝もしない。まぁここにはTwitterで宣伝しないがその分検索エンジンでのアクセスを増やすという意図的な戦略もあるのですが。

f:id:sai96i:20220122150508p:plain

現段階で当サイトに訪れる人の約8割がGoogle、1.1割がその他の検索サイトという結果なので筋書きどおりの勝ち筋を達成

更新頻度は極遅でちゃんとした記事数は1年で10もいかないのに数万のアクセスを得たというのは、やはりそれなり当ブログの記事は面白く、何度でも読まれているというわけです。

(ブログになにをこんなに必死になっているのだと自分でも偶に思ったりしますが)

これらの過程で書いた文章は10年後もちゃんと残るものになるし(これから出す記事もそうですが)何よりも読み手が読了時に得られる知見、楽曲の奥深さなどの度合いでいえば当ブログほど充実したサイトもそこまで多くないと勝手におもったり思わなかったり。(自分が知る限りの一般音楽ブログにはない)

 

まぁそういうわけで、今後もmusic synopsisというブログは何度も読まれることを重点的に置いたブログということを意識して今後も記事を提供していこうと思っています。一ブロガーとしては、そろそろはてな公式の紹介枠に載りたいし(というか載って然るべき記事は多少なりともあるはずなのですが音楽知見のセンスのかけらもない人たちのせいで紹介されない)、Google砲(Chromeがおすすめする記事)を味わってみたいものです。歴は少し長いものの方向性が決まってからという意味ではまだ19~なのでその意味ではまだ3年目と考えればまだまだなわけで。更新頻度は遅くなるとは思いますが、気長に待っていただければと思います。心意気では今年こそ濃度の高い記事をたくさん出すという気持ちでいるのですが、中々時間がとれないので多分難しいとは思いますが極力努力します。前回のラインナップのうちどれか1つは出したい。

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これに加えて麻枝准の音楽作品についても語りたい欲が出てきたのでこれもいつか出します。なによりアニソンを考えた時に麻枝准のメロディについては外せないので。どれになるかは自分次第ですが、恐らく読者層が読みたいのは1,2,3,5あたりだろうな〜と思ってます。というか自分で書いておいてなんですが、1,2,3は言い換えれば全部一直線に繋げられる系譜をバラしているだけなので最悪一つの記事にするかもですが、多分分けて出すと思います。これを複雑化したら間違いなく10万字を越すから。ともかくどれか一つはGWまでには出したいですね。

以上、10万アクセス記念の自分語りコーナーという名の駄話でした。いつもよりも自由気ままに書いたのでちょっと感じの悪い記事になったかもしれませんがまぁそういう回もあるということで。では次の記事で会いましょう。

 

*1:この時期にこれを出していた自分を褒めたいくらい。なんなら小林武史おすすめ楽曲を今調べるとこれが一番最初に出てくるから。本当に嬉しいし今後もtop5常連になる。

*2:当時から聴けば誰でもわかるくらい当たり前だと思っていた神僕のメンバー正体記事がここまで伸びるとは全く思いませんでした。今になってやっと浸透してきた形はありますがそれでもなお、この記事が読まれ続けているのは非常に光栄なことです。

今年出した記事を振り返る。

ちょうど一年前に20年度の振り返りをしたので今年も出した記事をダイジェスト的な形でやってみようと思います。出した記事数は11本(この記事で12本目)で昨年より更新頻度は遅めでしたけど今年はそれ以上に大作記事を量産でき、しかもそのうち2つは1年を待たずしてGoogle検索の1ページ目のトップに来るという読まれよう。量産型の記事を書くようなブログ(の流れはそういう人に任せて)をやめて本当によかったと痛感しています。

まふまふ音楽のルーツ・魅力を解説

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年始早々の記事がまふまふ。わかりやすいアーティストなので執筆時間は2時間くらいで終わった記憶。まふまふは有名な割にニコ動に居座りすぎて作家的にな評価記事があまりないのでじゃあ書いてしまえというノリで出したのですが、需要はそんなにはなかったですね。先述の通りボカロを聴いてれば掴める流れにいる人なので。そこまでこった楽曲つくらないし。最近の話題に絡めるとなんとまぁ、めでたいのか紅白もきまりましたし。ただ他人のカバーで出場ってそりゃないよっていう気持ち。オリジナルで大量で良い曲があるだろうにと思う反面、それらの数字では紅白は出れないということの表れなのか。ともかくああ言った曲をお茶の間にお届けするのってどうなのとは思います。年末年始の時期とにかく家でダラダラしたい人たちがパッとつけたらネットアングラ曲が流れてたらどう考えてもお茶の間凍ると思うのですが、どう思います?

久石譲の音楽の魅力 ミニマル・クラシック音楽の視点で解説

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多分、当ブログ史上最も質、量ともに最高峰であると同時に久石譲をミニマル視点での解説や魅力などの部分ではGoogle検索で最上位なので客観的に見てもしっかりと評価をいただいている記事になります。ミニマル四天王についての記述がなかなか進まなかった記憶があります。執筆動機はあらゆる世代に知られている音楽家にも関わらずその音楽性を深く語っている人が一般ブログにはなかったことです。確かに総括して書くのは難しい。実際この記事もおおよそこんな感じという領域でしかないと思う。

(それでもかなり深く掘ってるはずだが)

ただ、誰でもがわかるラインというのがあるのもまた事実でそういったところを重点的に攻めいていった結果、思いもよらぬバランスが取れた。そんな記事です。

チラシの裏

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うっせぇわが流行ったからボカロがすごいというなぞ風潮に一言書いただけ。まさにチラ裏レベル。

高木正勝のピアノ音楽

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知識不足で満足いく形にはできなかったが、言いたい思いこそ書けた。いつか本格的に描きたいとは思っています。

VOWWOW音楽と人見元基の唯一無二性

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個人的な人見さん&vowwow論は一通り吐き出せたのでその意味で消化記事ではありますが、完全におっさんむけ。絶対フォロワーは読まないし、挙げたアーティストの半分も聞いてないと思うし、そもそもVOWWOWにハマれない人の方が多いと思う。そんな中でも自分は人見元基の凄さを伝えたいという、非常に個人的な動機が強い。が、意外なことにこのブログはランキングTOP5の常連になっています。絶対主読者は若者ではない。自分より2倍生きている人たちばかりだと思う。が、そんな人に届いたと思うとなんだか嬉しい。

amazarashiと秋田ひろむ 歌詞性と楽曲を再考・解説

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執筆期間約1年。構成、企画を含めれば足掛け2年。とにかく歌詞性が高いから、音楽性がどうのっていうラインで進めることをあえて封じたので進まない。が、色々な考察ブログを見た結果。道筋ならぬ書き筋を見出せたのでそこからは早かったと思います。特に太宰治のラインをかけたことが大きいです。amazarashiの歌詞における流動性と太宰との共通性を指摘したのは多分当ブログが初めてなのではないか?。少なくともメインで上がっているブログにはない。そしてこの記事はamazarashiの考察系のワードでは2ページ前後にまであがっているので、これからはこの記事がスタンダードになっていくと信じたいです。ファンの人は読んで絶対損しないと断言できます。かけた時間の分の質はちゃんと入っています。

レイハラカミによる不思議な音楽

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書きたくなった衝動的な記事。知る人ぞしるアーティストだったので知って欲しいという意欲も当然あったが、レイ・ハラカミを知らないで長谷川白紙を聴いてるなんていう不届き者はそんなにはいないと思うから、まぁ通じるだろと思ったが全然通じない始末。ちょっとショックでした。たしかにこの記事自体大したことはないけど。それでももうちょいフォロワーの方たちには反応(レイ・ハラカミをとりあげることについて)あると思っていたため個人的に残念でした。

伊福部昭の特撮音楽に隠された作家性と純音楽

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これは個人的な伊福部昭のマイブームでその結実というか、特撮音楽の流れからクラシックの流れにつなげて書いた記事。日本人の耳には散々聴かされたゴジラのテーマの本質から伊福部昭の音楽生涯を絡めた結果面白い記事にはなったと思います。

レイ・ハラカミの記事以上に伸びなかったですが

まぁ今時特撮音楽を好んで聴くアニオタなんて0に等しいですし、興味なんてもつはずもないので当たり前なのですが。書いてる時は「これは伸びる」と思って書くわけで(心意気として)それが実らなかったのは残念で、武満徹大瀧詠一などの特集記事も一応草稿まで書き終えてはいたのですが伸びないと不安だったところ、この記事の反響がなかったことをきっかけに出すのをやめました。別にアクセスが欲しいから出すわけではないですが、そもそも話労力をかけても読まれなければ存在価値はないので。

DUNE/砂の惑星ヴィルヌーヴ映画

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映画好きの一面がでた非音楽記事。が、ヴィルヌーヴ映画の面白さは絶対伝わったはずだし、DUNEという小説の偉大性もちゃんと組んだ。このくらいは常識として知っておくべきというラインまではちゃんとカバーしているはず。この記事はそもそも音楽記事ではないので伸びなくても「そりゃそうだわ」とう感じだったのでそこまで気にはしていない。ただ欲を言えばこういうところにも興味を持って欲しいので一度目を通していただきたいです。一応映画ファンなので、今後拡散したい作品群があったら非音楽記事を出すかもしれないですがご容赦を。そっちはそっちで本気で書いたら面白くなるので

アニソン派 vol5 現地レポート

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ただの現地イベントレポートなので特に書くことはない。

音楽の女神:菅野よう子の音楽世界の魅力

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お待たせ、最新記事にして当ブログの分量の記録を大幅に更新した楽曲記事。実際には7万字のうち、5万字が自分担当なのですがそれでも半分以上は書いているのが我ながらどうかしてると思いながら、菅野よう子という巨人についてディティールの面から書いかくのであればそのくらいの文章量は必要なわけで。故に11月~出すまでの期間はずっと菅野楽曲とそれに付随する曲の繰り返し。おかげでSpotifyの履歴が大変なことになりました。特段学術的な記事ではないですが洋楽・クラシックの知識を存分に引用して菅野楽曲との違いを説明するという意味ではかなりレベルの高い記事になったと思います。正直な話菅野よう子は作家としては完全に引退気味にあって00年代ならともかく、10年代、ましてや20年代は第一前線という人ではないので(大事なイベント行事にはその偉大性が評価され担当していますが)読まれるかどうかという点で一抹の不安があったのですが、安定して伸びているので安心。

 

 

総括&雑談

今年はブログ記事数は少なくとも、質が安定し、量も長い(全体で文庫本一冊程度)というベストな形での記事を幾つも出せたので個人的には大満足。なにせ出した記事が色々な人に読まれているわけですから。定期的な更新を期待されている方には申し訳ないです。来年は多分もっと更新頻度が減る予感がする。が、ちゃんとした面白い記事は1つ以上だすつもりなのでそれらを楽しみに待っていただければと思います。

ほぼ更新がないと思うので、当ブログを読んでいる数少ない読者に向けて来年以降出したいと思っている(約束はできない)題材タイトルを仮ながらも発表しておきます。あんまりハードルを上げない感じでのんびり待っていただけると嬉しいです。

突発的にかけるものが出てきたらそっちを優先するのでこれ以外にも出す記事がある。

「お前そのアーティスト書けるのか?」っていう企画もあるのですがクオリティについては信じてくださいよ。「損した」レベルにはならないというのは保証します。あとまだ未確定ではありますが、中田ヤスタカ・小山田・P-model/YMOあたりは流れている血が似てたりするのでいい感じで統合した上で1本の記事になるか、三部作で一つの潮流というか記事として完成するスタイルを取る予定(これは無茶の一本統一はしない)

 

さて21年度もあと少しで終わってしまいます。今頃の時期にレコ大の広告をみるとため息が出ます。1年が年を追うごとに短くなっていくというのは誰もが中学生くらいから感じるあるあるだと感じるのですが、本当に「え、もう今年終わりですか?」みたいな感覚になります。それは自分がもうn歳っていうよりも君の名は。シンゴジラといったエンタメ作品がもう6年前になってしまうのかっていう感覚で。まどマギ10年はまぁそんなもんかって思えるのですが。22年は一体どういう年になるのか色々な意味で予測つきませんが、自分はとにかくシン・ウルトラマンアバター2の2本が公開予定なので、まずこのラインが楽しみだということ。と同時に3.11にthe batmanがまたリブートするのでそちらも期待して見に行こうかななんて考えてます。

 

音楽の方面ではsupercellのアルバムが出て欲しいのと米津氏がそろそろベストアルバムor6枚目のアルバムを出すのでその点に期待したいのと、その他二次元コンテンツ系の音楽と洋楽を積極的に摂取していきたいなと思っています。あとGyoson。

ちょうど書いてる時に新曲がきたので貼っときます。


www.youtube.com

Gyosonのセンスというか紡ぎ出すラインの音ってなんでしょうね。不思議なんですよ。間違いなく歴史に残るボカロpには違いないですが、これからの出方によってはGyosonとしてもちゃんと爪痕を残すレベルの楽曲を期待できるので知らない人は要チェック。

そのほかにも期待すべきアーティスト群たちの音源を聴いたりして言語化できたらここで紹介したいですね。今年の10選をみるにvtuber楽曲による名曲、名盤の可能性の振り幅が今後大きくなるなと感じているので、コンテンツそのものには全く興味がないですけど面白い曲を作ってくれるのであればそれに越したことはないので楽しみです。それこそryo(supercell)さんとかが出てきたら面白いのではないかと思ったり。redjuiceが絵師のvtuberもいるし。そこに提供すれば実質supercell&egoistと同じ構図になるし。IRySっていう名前のホロライブEN所属のキャラらしいです。

www.hololive.tv

正直EGOISTっていう半分vtuberみたいな要素を持ってるアーティストでしかもかなり有名なアニソンシンガーがいるから意識してないはずがないので一回きりでryo(supercell)プロデュースのアルバム出して欲しいですね。タクトop.は良かったし。

タクト

タクト

  • ryo (supercell), まふまふ & gaku
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

男デュエットでこのクラスの曲はもう信者補正なしでも素晴らしい


www.youtube.com

(最近mappaの勢いすごいですよね。丸山Pは偉大だ)

いわゆる男女の場合は簡単とは言わないが、声質の料理のしかた幅は男デュエットよりかは広いと思う。しかもボーカルにまふまふっていうこの異常なコラボなのにそれが全く気にならない。ここら辺はryo(supercell)の楽曲がまふまふ声でも聴けるメロディにしているからに違いなんですよ。まふまふ個人のオリジナル曲であの歌い方はまず聴いたことがない。詰まるところなんでも作れるryo(supercell)さんだからこそ、アルバムが欲しいんですよ。tiaが十代の時に一枚作れなかったのが本当に惜しい。ハートリアライズthe glory daysなどが収録されている+spcl的な曲が10代tia声で聴ける曲があるがたくさんあるアルバム曲って相当すごい作品になり得たと思いませんか

ハートリアライズ

ハートリアライズ

  • Tia
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
The Glory Days

The Glory Days

  • Tia
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ピアノライン、楽曲の方向性など含め11~14年のryo(supercell)は神曲しか出してない。というか凡作なんて手で数えられる程度しか作ってないが。

ryo(supercell)さん愛が溢れ出したので一旦話を戻す。

トップクリエイターの曲に期待するのは当然なのですが、やっぱりまだデビューしていな&新人アーティストラインも積極的に発掘も面白いかなぁなんて。とにかく色々楽しみにしているエンタメがあるので、そういう意味では楽しめる年になりそうです。

年末の今、私はというとPokemon DP Sound Libraryで思う存分音楽を堪能しています。増田順一の凄さはもっと知られていい。

世間は相変わらずですが、一生懸命頑張りましょう。それではこれで

締めます。今年もありがとうございました。

菅野よう子の音楽の魅力と楽曲を解説

本記事は19,20年の開催に引き続き今年も開催された楽曲オタクAdvent Calendar2021

adventar.org

への寄稿記事になります。楽曲オタ話カレンダー企画が知らぬ間に3年目を迎え、しかも自分が皆勤参加なのに驚きます。

2019年度

sai96i.hateblo.jp

2020年度

sai96i.hateblo.jp

 

とにかく自分の場合はお題を決めてから書き始めるまでに時間を使う(その分まとまったら一気に書き上げられる)ので最終日に登録したのでその分いい記事は書けると思いきや、大乱闘スマッシュ音楽オタ話みたいな記事が24本が投稿された後自分がトリを迎えると思うと非常に緊張を強いられ、結果全然手が動かないという始末です。そんな中今回も色々と語っていこうとは思います。

 

今回は当ブログ初の試みとしてTwitterのフォロワーさんのλさんのお力添えをいただきました。あ、ちなみにタイトルもλさんに考えていただきました。

twitter.com

これまで一人で色々な音楽について独善的に語ってきたのですが、別の視点・視野をもった人との合作をしたほうが、より面白い記事になるのではないかと思いご協力いただきました。

(また、別の方を招いての共作記事も現在進行中.今後は複数での共作もちょくちょく入れていく予定。)

λさんを選ばせていただいた理由としては、今回の題材を軸にした時に私のフォロワーの中では一番熱い文章を書いていただけると思ったからです。逆に今回の企画には他の人では絶対に務まらないという考えでもあったので、ご協力をいただけていなかったらこの記事は公開されていませんでした。あらためてここで感謝を申し上げます。

もう一つ、いつもと違う作りにしているという意味ではインタビュー記事系の引用は極力抑えています。というよりこれは本編前の事前知識として知って欲しいのでちょろっと書くと、菅野よう子のインタビューってどれみても結局は「自分のいいと思う音を出しているだけ」という一文で済ませれるほど自分のルーツを語らない人なので参考にならなかったというのもあります。

(まぁ作るもの聴けばある程度把握できるからそんなに困りはしないんですけど )

元々音楽の素養を生かした才能を幼少期から見出しており、数々のコンクールで優勝しているという点で最初からそういうタイプという認識だったので、そりゃこれだけの巨匠になるよなぁ〜と思うのが必然でしょう。

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11歳の時に即興・自由曲部門で数名にしか与えられない川上賞を授与している

 

以下本編.

色々な方向に曲を出し(CM提供楽曲が500曲を超え※本人談では1000曲を超えているらしい)多すぎる傑作アニソンや、復興ソング「花は咲く」

などの代表作が普遍性を持ちながら愛され続け、影響を受ける作曲家が止まないという作曲家はそうそういません。恐らく、大雑把に言ってしまえば現在に至るまでのアニソン作家で菅野よう子の薫陶を1mmも受けていない人はまず存在しない。そして東京藝大という最高位の音大の作曲科で本格的に「作曲」というものを勉強し作曲家になった田中公平(ウィーアーの作曲家)などをもってして「天才」と言わしめるその力量は本当に稀有なものです。

ameblo.jp

今やアニソン界だけでなく大河ドラマおんな城主 直虎」、朝ドラの音楽「ごちそうさん」をも担当し、名実ともに日本を代表する音楽家

YUTARO

YUTARO

  • provided courtesy of iTunes

今回はそんなあまりにも大きい存在である菅野よう子について今一度、振り返ってみるという趣旨の記事です。オールジャンルの曲でSクラスの楽曲を創り続ける菅野楽曲について素人なりに迫ってみようと思います。ですが、構成としては

・ベスト楽曲

これだけは絶対に抑えておきたいおすすめ楽曲群(名曲)を紹介

菅野よう子

これまで発表されてきた名曲の数々より、アニメ音楽に焦点を合わせそれらの作品群を振り返り、魅力を紐解く&音源から考える菅野よう子が影響を受けたであろうアーティスト/音楽群の解説

坂本真綾プロデュース時代の作品

アニソンではなく、ポップスソング曲に於ける菅野楽曲の「らしさ」と4枚のアルバム群についての存在意義について。

・名盤

ベスト楽曲と菅野よう子論を踏まえた上で、「結論としてこのアルバムを聴いてほしい」という信念のもと選ばれた名盤を5枚ずつ紹介します。

 

全パートにλさん&rinoパートのそれぞれ論評を入れています。また共作ということもあってどっちの評が面白いかなんていう楽しみ方もできます。楽しみ方は人それぞれ。それではまず、ベスト楽曲の紹介に入りましょう。

まずは作品を聞いていただくところから始めましょう。

選りすぐりをλさんパートから発表します。

 

λさん選ベスト楽曲評

1.「Wo qui non coin」

作品:COWBOY BEBOP  歌唱:多田葵 作詞:Gabriela Robin 作曲:菅野よう子

WO QUI NON COIN

WO QUI NON COIN

  • 多田 葵
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

言わずと知れた代表作「COWBOY BEBOP」よりこの曲をセレクトしました。 「COWBOY BEBOP」は菅野よう子作品の中でも特に知名度も高く、音楽に普段触れない方でも「TANK!」は一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。歌唱の多田葵さんは作中に登場するエド役の声優さんです。作中ではエドビバップ号から居なくなるときに、歌なしでごくわずか使用されていただけになります。「Wo qui non coin」という題名はハナモゲラ(初めて日本語を聞いた外国人の耳に聞こえる日本語の物真のこと)です。(※エドの声優さんが歌唱担当されており、エドの登場シーンで使用されていますが、エドが歌っている設定ではないと思われます。) 歌詞の始まりは「僕の子犬がいなくなった」とあり、タイトルも「Wo(ぼ) qui(く) non(の) coin(こいぬ)」と読むことが出来ます。選出理由としては、この切なさがとても美しいためです。チープなビートサウンドから始まりとても可愛らしいサウンドに思えますが、ボサノバの曲調を基調にやや無機質なフルートのような音色がどこか不安な気持ちを扇情します。そして、多田さんの優しい歌声が重なって、とても「美しい切なさ」が表現されていると思います。 メロディーの一部には一瞬、ブルーノート(歌詞の「ボクは乾いた涙で毎日暮らしている 早く帰ってきて」の「早く」の箇所、コードとメロディーがぶつかる箇所があまりにも気持ちがいい。天才的です…)が使われていたりと洒落っ気がこの曲の切なさのポイントにもなっています。よく聴くと右のスピーカーから犬のなつくような鳴き声が聴こえてきますので、是非聴いてみてください。トラック数の少なさが切なさを助長していますが、左から聴こえるフルートの音色のハーモニーの遷移だけ聴いても美しく、菅野よう子らしさが感じられます。 因みに、2021年11月19日より新作の実写版「COWBOY BEBOP」がNetflixで全世界独占配信開始していますので、こちらも是非。リニューアルした「TANK!」の他、新曲もたくさん聴くことが出来ます。Apple musicでは既にサントラも全曲フルサイズ聴くことも可能です。

2.「ZERO ゼロ」 

作品:アクエリオンEVOL 歌 - AKINO from bless4 作詞 - 岩里祐穂Gabriela Robin / 作・編曲 - 菅野よう子

ZERO ゼロ

ZERO ゼロ

  • AKINO from bless4
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

アクエリオンといえば、「創聖のアクエリオン」、「創聖のアクエリオン」といえば「菅野よう子」と言われる程に、「創聖のアクエリオン」は菅野よう子作品の中でも超代表作になります。が、今回はそのアクエリオンシリーズのよりアクエリオンEVOL 26話(のみ!)に使用されたこの曲をセレクトしました。 個人的意見ですが、アクエリオンという世界観を一言で言えば、エロスを美しくかっこよく甘美に作り上げた作品だと思います。歌唱曲はどれも激しく、どこか挑発的だったり蠱惑的な歌詞が他の作品ではないアクエリオンならではの最大の特長だと思います。その中でもこの「ZERO ゼロ」は、愛をシンプルに語った曲になります。4つ打ちで鳴り続けるバスドラムのキックはまさに高鳴る心臓の鼓動を象徴しています。アコギのコード引きの伸ばしのアタック感は愛について冒険する流離人をどこか彷彿させるほどに美しいです。そして、なんと言ってもこの曲の美しさは、「速いビートの中で動くゆったりとする流れ」です。BPM=163のキックの4つ打ちをベースとしながらも、サビで3拍目に鳴るスネアや順次進行するストリングスがアクエリオンらしい生命の神秘の流れ(=愛)を表現しているように思います。 全音符気味に鳴るコードの中で、タムやシンバルも激しく扇情的なドラムのフィルインが躍動しており、この対立が他の楽曲にはなかなか見られないこの曲ならではの非常に美しいポイントだと思います。

 

3.「オープニング~群雄決起~」 作品:信長の野望戦国群雄伝

1988年12月に発売された「光栄」のゲーム(現「コーエーテクモゲームス」)のサントラより選出しました。 生オケで非常に豪華なサウンド。なんと言ってもイントロでしょうか。 一気に広がる全オーケストラの響きは圧倒的に荘厳で、信長の野望というタイトルやゲームのジャケットにぴったりです。スネアのビートは行進する軍隊を想起しますし、ホルンの音色が出撃の力強さを感じさせます。 1988年の古い作品ですが、全く色褪せません。因みに、続く「時の調べ」もとても優しく切ない曲で、そこから作り出される緩急もまた美しいです。更に続く「怨狼の牙」も是非聴いてください。

 

4.「Merry Christmas without You」

作品:マクロスF(フロンティア) 

歌 - シェリル・ノーム starring May'n、ランカ・リー中島愛、frontier stars (アルト(中村悠一)、シェリル(遠藤綾)、ミシェル(神谷浩史)、クラン(豊口めぐみ)、ボビー(三宅健太)、モニカ(田中理恵)、ラム(福原香織)) 作詞 - 山田稔明

Merry Christmas without You

Merry Christmas without You

  • provided courtesy of iTunes

こちらも超代表曲「ライオン」で知られるマクロスF(フロンティア) から1曲。アルバムcosmic cuune (コズミックキューン)に収録されています。 マクロスFは劇場版も複数あり、非常にアルバム数が多いですが、収録アルバム「cosmic cuune」はクリスマスをコンセプトにしたアルバムになっています。シンセドラムなどシンセサウンドで始まるイントロにクリスマスに欠かせないスレイベルのビート。クリスマスへの優しい高揚感を感じます。 チューブラーベルなどパッドシンセなどクリスマスらしいサウンドも漏れなく入っていますが、全体的に生楽器ではなくシンセ系で支えられたサウンドに、後半はストリングスも加わり、クリスマスツリーに灯りが灯るように、壮大になっていきます。甘美なギターソロも聴き逃がせません。 本作品は、数あるマクロスFの曲の中でも、作中に登場する仲間たちも歌唱に登場するたった唯一の曲になります。どんどん転調する中で、各メンバーが登場し、最後にアルト(本作のヒーロー)が登場するのも重要な美しさのポイントです。更にクライマックスでは、メンバーが同じメロディーを重ねている姿はまさしく、同じひとつのクリスマスを祝福しているに違いありません。菅野よう子はこの1曲を通して、関係者全員のこのマクロスFという作品への愛を表現しているのだと思います。私はそれほどにこの曲は特別で素敵な曲だと思います。最後に登場し、モーダルに変化していくキラキラなベルサウンドは歌詞と相まって未来を表現しているのではないでしょうか。 また、最新作-『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』でマクロスFの「今」を感じる事ができますのでこちらも、併せておすすめします(8分ほどに及ぶスペクタキュラーな一作です)。

5.「Ride On Technology」 作品:『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

Ride On Technology

Ride On Technology

  • provided courtesy of iTunes

この曲なんと、アニメ作中で使われていません。いわば、菅野よう子さんが攻殻機動隊という世界観のなかで、作りたくて作った曲かもしれません。作中で使われていないにも関わらずあまりにもクールなため、映像のみの方は是非、サントラを聴いてみてください。 この曲は、なんと言っても最高に「クール」。この一言に尽きます。ドライなトランペット+サックスと高まるビートから、Brecker Brothersの「Some Skunk Funk」を想起する方も多いでしょうか。

Some Skunk Funk

Some Skunk Funk

特にこの曲は、サウンドが素晴らしいです。イントロでは畝るような加工されたシンセベースサウンドが、無機質な感じを出しておりクールです。またずっとひたすらに刻まれるカッティングギターは最高にファンキーですし、佐野康夫さんのドラムの展開やドラムソロもとても気持ちがいいです。本作品の特徴としましては、生ドラムとエレクトリックなドラムンビートのハイブリッド。更によく聴くと、左右でエフェクト的に一部ビートが騒いでいるのも聴きどころです。 4分半の作品ですが、全体的にモーダルなサウンドをベースとしつつ、途中、リバーブ多めのサウンドになり場面展開したり、中間からtpとsaxの超絶技巧ソロ、佐野康夫さんに特徴的な終盤の盛り上がりに見られるライドなどが展開され、最後はベースが下降進行していくなど展開も含め、すべてがクールな作品になっています。

6.「Cloe」

作品:地球少女アルジュナ 作詞 - Gabriela Robin / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 山本千夏

Cloe

Cloe

2001年に放送されたアニメで、環境問題を取り扱った作品。監督はマクロスシリーズで有名な河森正治さん。 この作品もどの曲も名曲ですが、中でも「Cloe」の優しさとそのメロディーの美しさは素晴らしいものだと思います。イントロの一瞬のフレーズは水にしずくが落ち、波紋が広がる姿を浮かべます。山本千夏さんが歌う少女の歌声は魔力を持っているように感じますし、「神秘的」という言葉がとても似合います。後半に加わり重なるストリングスも美しいです。他作品でもありますが、(サウンドはやや異なりますが)アイルランド音楽の「リバーダンス」を思い出します。また、アルバムを通した本作品は、環境問題というテーマに対し、民族打楽器などを使用しプリミティブなサウンドになっている点で、どこか後のアクエリオンに通じるところが伺えます。筆者の他のおすすめは「クローン」「エアロビ」「地球共鳴」です。是非、他の曲も試聴ください。

7.「gravity」 作品:WOLF'S RAIN

作詞 - troy / 作曲・編曲 - 菅野よう子 / 歌 - 坂本真綾 アニメ「WOLF'S RAIN」よりED曲

gravity

gravity

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「gravity」を選曲しました。 この美しく切ないメロディーは、膨大な菅野よう子さんの名曲の中でも珠玉の一曲だと思います。本当に素晴らしい曲です。弦のイントロに始まり、ローカットされたバラードピアノが粛々となるこの数秒に、世界観と儚さが既に見事に表現されています。後半のよく聴くとホルンやクラリネット、フルートなども鳴っています。この曲の美しさの一つに3:23という時間の短さも魅力になっています。優しくもどんどん展開され、音が鳴る美しい時間が一瞬に感じられます。特にこの曲の外せない聴きどころは、後半のリタルダンドからのピアノだけの和音の箇所です。冒頭で登場したピアノの和音がここで再登場することで空白を作り、それからすぐに壮大な菅野よう子の十八番の重厚なストリングスが儚くも激情的なサウンドになっています。 余談ですが、「gravity」はsupercellで活動されている作曲家ryoさんが、ニコニコ動画で投稿した動画(初音ミク)にもなります。

www.nicovideo.jp

君の知らない物語」をはじめとするsupercellやデビュ〜咲かせや咲かせまでのEGOIST楽曲の総合プロデューサーとして超有名なryoさん

君の知らない物語

君の知らない物語

My Dearest (Album Mix)

My Dearest (Album Mix)

雨、キミを連れて

雨、キミを連れて

  • EGOIST
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜

Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜

  • EGOIST
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
名前のない怪物

名前のない怪物

  • EGOIST
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
All Alone With You

All Alone With You

  • EGOIST
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

も少なからず菅野よう子フォロワーであり、数ある曲でも初の動画をこの曲で投稿したことを考えると、偉大な影響を与えている1曲だと思われます。

8.「ALFA and OMEGA」

作品:∀ガンダム 作詞 - Carla Vallet / 作曲 - 菅野よう子 / 編曲 - 菅野よう子 / 歌 - Carla Vallet

Alfa and Omega

Alfa and Omega

  • provided courtesy of iTunes

∀ガンダムは全体的にオーケストラサウンドがメインですが、本曲のような、エレクトロ系な曲も少なくありません。特にこの「ALFA and OMEGA」は、ミニマルなシンセフレーズを基盤に、Carla Valletのハスキーなボイスと、炸裂する佐野康夫さんのドラムが最高にクールです。この曲も「Ride On Technology」のように、アコースティックとエレクトロが融合したミクスチャーサウンドになっています。畝るベースも聴きどころです。

9.「Go Dark」 作品:DARKER THAN BLACK-黒の契約者 テーマ曲とも言える、「Go Dark」。

正式音源なし

tower.jp

収録内容no.1より試聴はできます。

COWBOY BEBOP」のサウンドが好きな方は本作品もハマるかも知れません。端切れの良いホーンセクション、後半のサックスソロ、荒々しいドラムや特にハイハットが特徴です。本作品のサントラはボサノバやラテンだったりと、豪華絢爛とはまた異なる、シンプルなクールさが魅力です。中でもジャズオルガンとサックスの使用が多く、キーになる楽器になっています。

 

10.「Final vision

作品:劇場版アニメーション「エスカフローネ

Final Vision

Final Vision

  • provided courtesy of iTunes

たった、1分30秒の曲なのですが、圧倒的なオーケストラサウンド、重厚なストリングスに平伏さざるを得ないほどまでの迫力が魅力です。この曲を聴くと、音楽への畏怖であったり、もはや人間の知の無力さのようなものさえ感じます。とても短い曲ですが、数あるオーケストラサウンドの中でもこのダイナミクスは聴いていてとても気持ちがいいです。前半の荘厳さと後半のコーラスの対比がとても美しく、まさにクライマックスにふさわしい1曲です。

 

rino選 ベスト楽曲 10曲

1.「player」

Player (with Heartsdales)

Player (with Heartsdales)

  • provided courtesy of iTunes

本作は攻殻機動隊stand alone complex 劇場版 Solid state society(sss)のテーマ曲。。歌唱はOrigaが担当。origaさんは攻殻でそれぞれメインテーマを3曲

(innner universe,rise,player)

Inner Universe

Inner Universe

Rise

Rise

歌っているので自分はこれらをoriga三部作と称しています。正直いって、どれも良いのです。派が分かれるだけの一貫した魅力がそれぞれの楽曲にはある。それを踏まえた上でなぜplayerなのか。。inner universemystical(神秘的)でありriseはScalability(拡張性)にそれぞれクールさが残る楽曲

(ことriseはjazzanova的な音楽だから当たり前といえばそうなのだが.)

Bohemian Sunset

Bohemian Sunset

  • ジャザノヴァ
  • エレクトロニック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes
Keep Falling

Keep Falling

  • Jazzanova, Ursula Rucker & Hawkeye Fanatic
  • エレクトロニック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

に対してplayerはstylishなのだ。前2曲はテンポ的にみてもローだし歌もどちらかというと低音が多い、それに対してこの曲は冒頭のラップからもうかっこいいし、サビまでにそこまでかからずに展開している。(オケとビートの融合もすごいし)そしてその後のメロディ転換が神がかり的。そこにorigaのちょっとした表現も入ることでカッコ良さが味として加わる。そして途中締めた後、再起動する感じ(2m47s~)この曲の中で最もかっこいいシークエンスがここからだ(3m6s〜49s)40秒近くにわたって繰り広げられる Heartsdales (日本人女性によるヒップホップユニットだから余計にこのラップ力はすごい.やっぱり幼少〜成長期の時代に海外で語学含めて浸透していると変わってきますね。本当の意味での帰国子女とでもいいますか)によるのラップを菅野楽曲で挿入するという神がかり的なかっこよさがある。

攻殻菅野楽曲の歌詞はORIGAの母国語であるロシア語と英語の混合系が多いためかっこよさに拍車がかかる

むしろここのフレーズだけで勝っていると言っても過言ではない。そして十分に満足させてからの自然な流れでのサビ展開。この曲のカロリーは3000kcalぐらいあると思います。冗談抜きで一日中これ聴いて過ごせるだけの力があるのだ。より高まった唯一無二性含めて(inner universe,riseもorigaならではだが)正真正銘菅野よう子×origaの最高傑作であると。

この曲を聴く度に当のoriga氏がご存命ではないのが悔やまれます。透き通った歌声は、菅野ビート系作品を表現するに最適なボーカリストでした。数多の歌手との組み合わせの中でも一番のコラボ(コンビ)だと思っていたので本当に悲しいです。


2.「ライオン」

ライオン

ライオン

  • provided courtesy of iTunes

多分、菅野よう子楽曲の中でも、もっともアニソン「らしさ」が顕著に出ている楽曲。そして知名度、売り上げも高い方。こういう記事でベスト楽曲をあげる場合、定番の曲は入れるのは逃げに思われるかもしれないが、より多くの人に受け入れられ、今やカラオケの人気ソングになるまでのある種市民権的なものを勝ち得たのは「名曲」である何よりの証拠だし、ベスト楽曲としてあげても誰もそれを疑わないだろう。何よりそれら差し置いて、単純に曲としてかっこいいのは言わずもがな。イントロのピアノの入り、落としてからのギターソロで、ボーカル入り。この感じは今のアニソン(っても14年の作品ですが)にも通底する型ですね。this gameとか

This game

This game

  • provided courtesy of iTunes

なんといってもサビの強度。「生き残りたい〜」のメロディは今でも力強く響きます。間奏パートのベースとピアノメロディの掛け合いも珍妙。そしてその後、「私眠らない」という助走をつけてからラスサビ、繰り返しの構成で流して、最後片方をオクターブ高く歌わせ、ギターのメロディで締める。一見すると定番のアニソンっぽくありながら、かなり込みいってる印象。2番終わり〜間奏前まで明るいのに対して間奏では悲壮感なメロディをだしながら、だんだんと明るくなっている。霧が晴れていくような感覚で大サビを「眠らない」の太い歌声で迎えるというこのどんどん料理していく感じは菅野よう子らしさとも言えますね。

 

3.「イヴの断片」

イヴの断片

イヴの断片

  • AKINO from bless4
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ライオンと創聖のアクエリオンを融合したような楽曲。なにより歌詞タッチがもろ菅野楽曲という感じすごくツボ。あとかなり忙しい曲でもある。キャッチャーなメロディから始まり、そこから「千年求める」以降からライオン風になる。そしてBメロの意外なところを疲れる感じ。そしてサビできめにかかるのだが、「見つけて欲しい」「見ないで欲しい」「守って欲しい」の三段重ねで音をあげて1番を占めるところに痺れます。というよりもこの曲のキラー部分はここでしょう。メロディアスではあるが、この曲の声の右往左往する感じは一般人が歌うには厳しいだろうなっと思ったりしてるとアクエリオン的といえる間奏前後の流れでかなり変化球を投げてくるこの展開の読めなさ。「図々しさ〜」から「神話の端にしがみついて」あたりのフレーズでもジェットコースターのように動き回るのに全くもって自然に聴けるっていうのも実にすごいなと思います。色々詰め込みすぎだけどそれでどっちつかずになってないし、決めるところは決める。the アニソン的な音楽でありながら、その構造を好き勝手こねくり回したそんな楽曲だと思います。

 

4.「Christmas in the Silent Forest」

Christmas In The Silent Forest

Christmas In The Silent Forest

  • provided courtesy of iTunes

6mの大作なのに全く飽きない。これぞ菅野よう子パワーと言わんばかりの楽曲。アニソンをメインで聴いている人からすればマジで何食ったら(後で少し取り上げますが)こういう曲が書けるのかと思えてしまうほどの曲。しかもローテンポ。しかも、普通これイントロにもってくるかっていうほどダークネス。ゲーム音楽かと思ってしまうくらい、根本からメロディが目立たないような施しがされている。3m28sから若干違う曲にシフトしつつ3m45sから戻しをいれて4m13sからメロディ爆発。そして歌手が外人であることから発声が日本人が外来語を歌う時のそれとは明らかに違う(いい悪いではなく)外人の発声だからこそ成立する楽曲であると。イントロから思いも寄らないところにいってアウトローではちゃんと帰結するところがすげえなと思うばかり。

じゃあ何を食ったらこういう曲が書けるか。まぁそんなに難しいもの食べてない、というよりも寧ろ分かりやすいまである。まず第一前提としてこの曲は全体的に洋楽にアプローチが入っている。とりわけポーティスヘッドとか

Cowboys

Cowboys

  • ポーティスヘッド, ニック・イングマン & オーケストラ
  • エレクトロニック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
Half Day Closing

Half Day Closing

  • ポーティスヘッド, ニック・イングマン & オーケストラ
  • エレクトロニック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
All Mine

All Mine

  • ポーティスヘッド, ニック・イングマン & オーケストラ
  • エレクトロニック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

massive attack の90年代後半のelectronica感(トリップホップと書くのが正しいのですが、当人たちがその呼称に違和感を感じているため、今ではアブストラクト・ヒップホップと形容されたります)とでもいいましょうか。 

Teardrop

Teardrop

Man Next Door

Man Next Door

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トリップホップの始祖と呼ばれるアルバムBlue Linesもおすすめです。

Blue Lines - The Remixes

Blue Lines - The Remixes

あの時代の陰鬱さがある。まぁこの辺は当時の洋楽を聴いてれば絶対通ってる道ですし、菅野よう子がこの流れを知らないわけないので

(普通に洋楽名盤として名が高い名盤たちです)

いや、むしろ知らないと作れない曲をちゃんと作って、ある種「この音楽はトリップホップの流れを組んでますよ、皆さんわかってくださいね」みたいな曲を作っている。それが証拠にWhere Does This Ocean Go?

Where Does This Ocean Go?

Where Does This Ocean Go?

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の音楽の方向性は完全にこのラインで。というのもトリップホップが生まれてすぐビョークが95年に出したpostというアルバム(これも超絶名盤)

でやった方向性がまさにトリップホップでその中のhyper balladeという曲

Hyper-Ballad

Hyper-Ballad

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を真似ているという点から、仮に本人は意識的でなかったにせよ実は一本線で繋がっているのである。こういう蘊蓄抜きにしてもとりわけ音にこだわるオタク作曲家でmezaanineとポーティスヘッドを外す人はいないと思いますね。何回も書いてますが、ryo(supercell)さんですらこの2枚を自分の音楽を構成したアルバム10枚に入れているくらいですから、知らない人はもったいないです。多分この中で1枚選ぶならmezaanineになる。

 

5.「Moon (Gabriela robin)」

Moon

Moon

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これは作曲から歌唱まで(別名義の表記になっているが)オール菅野よう子状態。この曲の何がすごいって、何一つキャッチャーな展開はないのに壮大性だけは耳に残るところ。この手のイントロから察するに着想はおおよさホルスト的な方向性,具体的な楽曲名をあげるとSomersetRhapsody(サマセット狂詩曲)

A Somerset Rhapsody, Op. 21 No. 2, H. 87

A Somerset Rhapsody, Op. 21 No. 2, H. 87

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から持ってきた楽曲だとは思うが(宇宙系映像の音楽のネタ元の大半、いやほとんがホルスト組曲:惑星の想像力から抜け出せないほど、御大の曲はすごいし、特段、組曲:惑星の楽曲群は偉大であり強固な普遍性を持っている)、それをポップスとしてこのレベルに落とし込む力量にやられます。当然それは提供先の∀ガンダムとの世界観を合わせるためのオーダーだったりそういう「提供作品」にたいするローカライズだったのかもしれないが、結果的に菅野よう子楽曲として一つ大きな作品として成り立っている。ライオンや創聖といったキャッチャーな楽曲も作れれば、こういったクラシックをバックボーンにしたローテンポのポップスを成立させてしまうところに菅野よう子の凄みを感じます。そして何より特徴的なのが「歌詞の全てが造語である」という点。アニソンとしてここまで徹底している曲ってのも珍しいのではないかと思います。

傾向としてGabriela robinで出す曲は往々にして造語系の曲が多いように見える。一応造語を翻訳した日本語版も

月の繭

月の繭

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あることにはあるのですが、この曲ばっかりは絶対MOON(Gabriela robin)で初めて成立する楽曲だと思う。なにより日本語の語感が曲調に全く合っていない。母音をここまではっきり出してしまうと曲とのマッチングに微妙なズレが出てくる。そもそもが日本ポップス的でないが故に合うはずがないんですよね。私感を強めに言えばこの曲を日本語で歌われたものを聴くと拒絶反応がでます。 

6.「預言者

預言者

預言者

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めっちゃ久石譲な音源ばり。というよりこれこそ明らかなミニマルミュージック派生の楽曲。さしずめ擬態:久石譲とでもいいましょうか。特にイントロは。というよりも、ひたすらに繰り返しなんですよ。この曲は。だけどそこに味がそことなく漂ってくる感じがいいです。どっちかっていうとこの手の楽曲性が持つ繰り返し性はライヒ派生なのですが日本だと久石譲がそれを変換して曲に出ているので、まぁ久石っぽく感じるというわけです。ここら辺については久石譲特集でこれでもかというほど語ってます.

久石譲とミニマルの主題で書かれたブログでも相当クオリティは高いです。その証拠に「久石譲 ミニマル」で検索すると一番上に出てくるくらい読まれていますので未読の方は是非。

f:id:sai96i:20211219004730p:plain

sai96i.hateblo.jp

余談ですが、この楽曲の次のトラックのbefore bereakfastという音源

Before Breakfast

Before Breakfast

は柳川和樹的な楽器の感じがして一瞬「柳川劇伴か」と思ってしまうくらい、柳川楽曲の味を知っていれば楽しめる流れ

以下柳川和樹、初見用最強入門楽曲

Red Zone

Red Zone

Yellow Zone

Yellow Zone

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なので皆さんもぜひ体験してみてください。これだけで1日潰せます。柳川和樹も相当なサウンドメロディを作る達人ですがそれは別の機会に回します。

 

7.「Song bird」

Songbird

Songbird

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純粋なピアノメインのメロディアスなポップスソングとして聞き応えがあると思う。今の時代DAW発展により詰め込み型の曲なんかも当たり前になっているが、その意味で本作はバンドサウンド性が強い(リリースされた時代もある)2m30以降の展開はちょっとryo(supercell)っぽい感じがするのも個人的な聴きポイントの一つ。(順序は逆だけど) 

楽曲自体は変に凝っていないTHE アニメソングという曲です。ただ、歌詞の転換というか展開が絶妙である。サビにもっていくまでは自然な流れで、それでいて流動的。Aメロが28sまで続いて「溶け合って〜」でBメロに42sからサビで盛り上げて「伝えるためにあふれる気持ち」のフレーズ内で落としてまたイントロに戻って、繰り返しで間奏に入ると思いきや、もう一枠入れてそのあと間奏のタームにはいってあとはお決まりで締めていくのですが、アウトローではgravity同様ちょっと凝らしているところもこの曲がいいなと思えるポイントです。なんとなく変則的な感じを覚えるのは自分だけでしょうか.曲としては2m30sの前半とそれ以降とでメロディのタッチは同じだけど毛色が違ういうか、一旦終わっている。それが「怖いほど〜全てが生きている」までの助走間奏パートを挟んでからの間奏で「きらめく光が〜これも愛なのね、LALALA」とここでも歌詞を橋渡しにして大サビに突入という何周してんだこの曲っていう、言い換えればくどさになるところをそう感じさせない見事な一曲。ちなみにplayerも同じレイヤー構造です。やっぱりリスナーのことはちゃんと考えて作ってるなということがわかります。

 

8.「PINK MON SOON」

pink monsoon

pink monsoon

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菅野よう子R&B楽曲。そして歌ってるのがmay`nという。元々ルーツがR&Bな人間が歌っているのでいい楽曲に歌手のバックボーン性が相まって見事に歌い上げている印象。個人的にそれだけの理由でベスト楽曲にあげてます。音域が元々低音だったmay`nは菅野よう子に出会って歌う曲に対して、に思い切って高音出せって言われたら出たっていうエピソードがあり、それが総合的(より幅広い高域がでるようになったMAY`NにR&Bを歌わせるという意味)に結実した曲がこの曲だと思っていいます。

私は元々低いキーで歌っていたので、まずハイトーンの楽曲を歌うことが大きな関門だったのです。このキーは出ないかもしれないってお話していたんですけど、菅野さんがどんどんどんどん自信をくれたというか。最初に歌った「射手座☆午後九時 Don't be late」も「絶対出るからまずは出してみな」って後押しされながら歌ううちに、自分でも知らなかったハイトーンがどんどん出てきて。「自分の実力は自分が一番よく知っている」なんて思っていたんですけど、菅野さんが「できるできる」って背中を押してくれたおかげでどんどん幅が広がって、知らなかった自分に出会えました。

 

9.「インフィニティ」

インフィニティ

インフィニティ

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さて、この曲を聴いて色々な意味での伝説の第6回アニソングランプリ(歌い手GEROも第3回あたりに本名の金城名義で出場してたりして)で優勝を決めた岡本菜摘の酷い歌唱を思い出した人は同志ですね。最近活動休止しましたよね。まぁそんな小ネタはともかく、この曲はイントロからずっと掴みどころがないのがいいですね。まず弦楽器をどんとぶち込んですぐ耳障りのいい方向性にもってくる、そしてAメロからサビまで基本的に届きそうで届かない音運びが好きです。Bメロあたりのピアノも主張をそこまでしない形で抑えてそのほかの楽器もひたすら裏のリズム寄せに合わせているからこそ、ボーカルの声がここまで目立つというものです。ここまで歌い手の声が印象に残る形もアニソンとしては珍しい気がする。届きそうで届かない違和感も間奏の「消えることのない希望がこの手にあるから」ここの流れでそれまでの掴めない感じを一気に解決する感じ(ある種の爽快感)が最高です。

10.「butter sea」

Butter Sea

Butter Sea

Crime

Crime

  • スティナ・ノルデンシュテン
  • ポップ
  • ¥255
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この曲はスティナ・ノルデンシュテンというスウェーデン歌手の楽曲と聴き比べると面白く、前者は一つのメロディの型に当てはめて歌がある。歌に対してメロディはそこまで変わらない。ただミニマル的な解釈な音源が続くだけであるのに対して、butter seaはリバーブがかかったギターがひたすら裏で響きながら(そこにピアノを加えているのもポイントが高い)、歌声に合わせて、メロディの波形も合わせてくる。後半になるとギターがうってかわって打点的な形にシフトして歌声による味付けがたされつつも、メインの歌唱はひたすら進行していく。そして「え、これで終わり??」と思うほど意外(というか、あっけない)着地点で終わる。crimeの場合、こうはいかずに「はいはいそうお終わるのね、やっぱり」という感じで展開が見えていて見事なまでにそこに着地する。ある種ポップスとしては当たり前の作りになっている。が、私は変わった音源が好きなので意外性のある展開が好きで、本作は色々凝っていることもありbutter seaをベストに挙げました。

 

番外編として耳に効く(聴く)一曲を貼っておきます。ベーシストは必聴!!

Beast Beat

Beast Beat

  • provided courtesy of iTunes

 

 以上20曲を聴いていただいたところで次は菅野楽曲の効能、凄さと菅野よう子が影響を受けたアーティストや作劇方の解説をします。

 

菅野よう子論(λさんパート)

音楽という聴覚の娯楽を言葉で表現するのは非常に難しいのですが、菅野よう子さんの音楽の素晴らしさを何とか頑張って言葉でするならば、
1.「音色センス」
2.「圧倒的なストーリー性、構成美」
3.「幅広い音楽性」
が挙げられるのではないかと思います。
それぞれ解説してみます。

1.「音色センス」
特に素晴らしいのが、「サウンド」への感覚が素晴らしいと思います(これはミックスやマスタリングにも関わるので、エンジニアによる功績も大いにあると思いますが)。

先程、10選で1曲目に紹介した「Wo qui non coin」をより例により具体的に紐解いてみます。
イントロの数秒でチープなビートサウンドがループされており、この曲が全体的に「可愛らしい曲」であること、また、ややハイファイなギターが切なさを醸し出しています。もしこれが、単純なアコギで、ローもしっかり出てしまっていたら、この「少女が親しくしていた子犬を見失ってしまった」という世界観はすぐに壊れてしまいます。加えて、途中から入るやや無機質なフルートのような音色が、少女の悲しみを表現しています。これも生で艶やかに演奏されてしまっては、まったくもって世界観が壊れてしまいます。更に、フルートが入るところから、ボーカルもダブラーされており、呪文のような言葉の心地よさを自然に強調することに成功しています。サンプラードラム、ギター、フルート、ボーカル、(子犬の鳴き声エフェクトも!)どれをとっても、ただ適切な楽器を選ぶだけでなく、意味があるベストな「音色」を選び、重ねることで、1曲のなかの世界観が広く深いものになっている、それを見事に表現出来るのが、菅野よう子さんの素晴らしさの1つだと思います。

2.「圧倒的なストーリー性、構成美」

こちらも、7曲目に選曲しました「gravity」でより詳細に見てみましょう。

まずはじめに、フルート、ハープなどの音色が呼び水となり、チェロなどを主体とした重厚なサウンドが、この曲の世界観がなにか大きく優しいものに包まれているように感じます、しかし少しずつ音域が上がっていき、最後の和音がどこか悲しい音色になってしまいます。ここで、不安を表現しています。そして、「間」があります。聴けば聴くほどこの間が見事です。そこから始まる、たった片手で引けてしま4分音符の3音のマイナー和音。音色もどこか錆びれたような音色をしています。ここまでわずか30秒です。たったの30秒。この30秒の中に「優しさ→薄くなっていく空気→冷たく悲しい物語が始まる…」といったように儚い世界観が音で表現されています。すべて意味のある、美しい構成だと思います。1:18~は巡るように転調し、世界が一瞬変わり希望を表現しています(歌詞も「雨が霧に変われば、その向こうにはもうひとつの今日がある」という内容になっていますから、見事なリンクです)。そして、また元の世界(=調)に戻ります。続いて、この曲のタイトルでもある「gravity」という単語が、それまでリズムがあったメロディーと対比するように、ゆったりとした音価で「zero gravity」と決め台詞のように歌われています。そしてすぐに楽器が増え、重厚になっています。まるで、この「zero gravity」言葉が呪文のようになり、またひとつ世界が変わる役割を果たしているように聴こえます。更に言えば、ここでブルーノートが使われることで、一層「キーワード」を強調する形になっています。2:03~ではオンコードされることで「希望」を表現していますし、イントロのフレーズがここで再現されています。つまり、ここでまた冒頭の「希望」の表現が再登場しています。そして再度ピアノの和音が登場することで、温度が下がりますが、一気に重厚なストリングスが入り、景色が一瞬で変わります。不思議なのは、ここのメロディーAメロと同じなのです。
Aメロだと思って聴いていたフレーズが重厚な弦によって再現されることで真のサビとして再登場するこの美しさが魅力のひとつだと思います。続いて2:45~またイントロのフレーズが来て、最後は優しいハーモニーで温かく終わります。

0:00~イントロ=フルート、ハープ、ストリングスで「希望」の世界観を提示
0:22~Aメロでピアノのマイナーコードで一気に「哀愁」の世界観に
1:18~Bメロ=たった1度のみ登場する転調の連続で「もしもの世界」を表現
1:38~キーワード=タイトルでもある「gravity(zero gravity)」の登場
2:07~イントロの再登場=「希望」の再登場(イントロと同じフレーズ)
2:18~ピアノ再登場=「哀愁」の世界観の再登場
2:26~サビ=Aメロの再登場、曲全体で一番の盛り上がり
2:45~アウトロ=イントロの再登場で再び「希望」を表現

3:30もないこの1曲に、このように感情の起伏がきれいに盛り込まれており、ここまでのストーリー性と構成美を構築出来るのは本当に菅野よう子さんにしか出来ない至高の技だと思います。

もう1曲
「Light of love」も構成力が光る1曲ではないでしょうか。

Light of Love

Light of Love

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不穏なイントロに始まり、低音の弦とピアノで構成され、休符も大きめなリズムが特徴的なAメロは特に印象的。更にピチカートが普段耳にしないとても不思議な世界観を作り上げています。楽器隊の組み合わせと表現力が菅野よう子らしい。全体的にモーダルな雰囲気もあり、神聖さが表現されています。そして、比較的すぐに登場するキメの「Light of love」のフレーズもここで音程が跳躍することで光が差すイメージを表現していることに驚きます。前半は暗い曲調ですが、5:00~からは優しいメロディーが始まり、これがテーマとなり編成を変え、最後まで続きます。最初は民族的なビートに支えられますが、次第にリズム隊は抜け、ストリングスのみの構成に。この何度も繰り返されるテーマが神々しさを表現しています。全体で8分の長編になっていますが、全く退屈を感じさせないストーリー性と構成力は匠の技ではないでしょうか。

3.「幅広い音楽性」
菅野よう子さんの音楽といえば、その多彩さです。特に生と電子の組み合わせ、つまりはミクスチャーのセンスは抜群ではないでしょうか。

歴史を辿れば、1990年代の「信長の野望」、「マクロスプラス」、「天空のエスカフローネ」では、既に楽器それぞれの理解と和声など、音楽の総合力が試されるオーケストレーション力を存分に発揮していました(マクロスプラスは1994年。31歳でイスラエルフィルハーモニー管弦楽団を従えて神サントラ作っちゃった菅野さん。この時点でものすごいのです…)。クラシカル色がメインではありますが、「MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK II」の「Idol Talk」にもあるように、エレクトリックで近未来的サウンドはこの頃から登場しています。

Idol Talk

Idol Talk

  • SHARON APPLE
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続く「Jade」では民族楽器と口笛を基本に、ギターとジャズオルガンなどの構成。シャッフルビートでどこか剽軽なメロディーいう組み合わせで、既にミクスチャーの精神とその才能を発揮されております。

Jade

Jade

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言わずと知れた「カウボーイビバップ」では「Tank!」を始め

Tank!

Tank!

「RUSH」「WHAT PLANET IS THIS?!」「Too Good Too Bad」「 Bad Dog No Biscuits」ビックバンドサウンドの魅力とその力強さを楽しむことが出来ます。

RUSH

RUSH

What planet is this?!

What planet is this?!

  • シートベルツ
  • アニメ
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TOO GOOD TOO BAD

TOO GOOD TOO BAD

BAD DOG NO BISCUITS

BAD DOG NO BISCUITS

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一方で、「THE REAL MAN」ではサンプラーテイストでクールなサウンドが聴けますし、「SPACE LION」の民族楽器とシンセ、そして歌うサックスなどで奏でられる壮大さは、「カウボーイビバップ」の世界の美しさを表現しているようです。

THE REAL MAN

THE REAL MAN

  • シートベルツ
  • アニメ
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SPACE LION

SPACE LION

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攻殻機動隊」では4打ち系を主体としながらも、ブルガリアンボイスや得意のストリングスも惜しみなく使用し、攻殻機動隊の「機械と人間」というなかで蠢く「静と動」を厳粛さを失うことなく、表現していました。特に佐野康夫さんの躍動的なドラムビートは荒々しくもタイトな最高にクールで、まさに生きる人間の呼吸の「動」として機能しており、その魅力が存分に発揮されていたと思います。「Rise」「Player」「Ride On Technology」などループ系ビートと生ドラムとの組み合わせも効果的でした。得意のストリングスやクラシカルサウンドも「Tempest」「To Tell The Truth」などで発揮されています。

Tempest

Tempest

To Tell The Truth

To Tell The Truth

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そして、「洗練された下世話の時代」(※)を代表する「マクロスF」と「アクエリオン(シリーズ)」の登場。マクロスFでは「トライアングラー

トライアングラー

トライアングラー

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や「ライオン」そして「星間飛行」という超名曲が世に放たれました。

星間飛行

星間飛行

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シェリルのクール&セクシーサウンド=「禁断のエリクシア」「ユニバーサル・バニー」

禁断のエリクシア

禁断のエリクシア

ユニバーサル・バニー

ユニバーサル・バニー

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特にマクロスFは名曲のオンパレード。どの曲もJpop、アニソンとしての枠組みで最高に美しい楽曲ばかりで、宝石が並ぶようでした。

アクエリオンもまた「創聖のアクエリオン」というこちらも超名曲を産みました。他にも「月光シンフォニア」では幻想的な世界を、また「イヴの断片」は非常に情熱的なソングで、総じてアクエリオンは人間の愛やエロスを最高にカッコよく表現していました。

月光シンフォニア

月光シンフォニア

  • AKINO & AIKI from bless4
  • アニメ
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に対し、ピュア&キュートなアイドルのランカでは「虹いろクマクマ」「放課後オーバーフロウ」など、二人の対比を楽曲で盛り上げていました。

虹いろ・クマクマ

虹いろ・クマクマ

放課後オーバーフロウ

放課後オーバーフロウ

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近年では、「星と翼のパラドクス」(2018)ではこれまでに耳にしたことないサウンドや空気感を表現し、「Good Job!」(2018)では、4打ちをベースしながらも、どこか行進曲的なビートも組み込まれ、シンセサウンドで、アニメ放映からマクロスFらしい未来観へと私達をタイムスリップさせてくれる1曲です。

星と翼のパラドクス (feat. chelly)

星と翼のパラドクス (feat. chelly)

Good job!

Good job!

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そして、奉祝曲 組曲 「Ray of Water」(2019)

組曲「Ray of Water」 第一楽章 海神

組曲「Ray of Water」 第一楽章 海神

  • 陸上自衛隊中部方面音楽隊, 柴田昌宜, 田口裕子 & 義村恒平
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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組曲「Ray of Water」 第二楽章 虹の子ども

組曲「Ray of Water」 第二楽章 虹の子ども

  • 陸上自衛隊中部方面音楽隊, 柴田昌宜, マシュー・ロー, 田口裕子 & 義村恒平
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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組曲「Ray of Water」 第三楽章 Journey to Harmony

組曲「Ray of Water」 第三楽章 Journey to Harmony

  • 陸上自衛隊中部方面音楽隊, 鶫 真衣, 柴田昌宜, マシュー・ロー, 田口裕子 & 義村恒平
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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では、日本を代表する1曲として荘厳ながらも暖かなメロディーで、日本の美しさを表現されていたと思います。
最新の「時の迷宮」(2021)では、「星と翼のパラドクス」で使用されたらしき音色(1:30~,3:01~)も伺えます。

時の迷宮

時の迷宮

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氏にとって流行の新しいサウンドかもしれません。加えて、これまでのマクロスFとは大きく異なるスネアの音色や、弦の質感も部分的にややエピック寄りなサウンドになっていたりと同じマクロスFでも新規性が伺えます。そして、8分にも及ぶ大曲ながらも、ミュージカル的なAメロ、キメの多いBメロ、2:30~のサビはリズム隊抜きを抜くというテクニックが見られます。そして、一聴しただけで耳に残る強烈なメロディーのキャッチーさ。かと思えば続く3:01~で落とし静寂を、続く3:14~タイトルでもある「時の迷宮」の「迷宮」を表現しています。そして、この楽曲の魅力のひとつである、3:26~からのストリングスを基調とした(木管やギターも鳴っています)Aメロは菅野よう子が最も得意とする領域で、その技が惜しみなく発揮されています。4:52~はミクスチャー的なサウンドになり、最後の華やかさまで心地よい展開の連続で駆け抜けていきます。6:09~はシェリルの「ダイアモンドクレバス」

ダイアモンド クレバス

ダイアモンド クレバス

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が、7:22~のギターは代表曲「ライオン」のリズムをモチーフに援用するなど最後までマクロスFの世界観を凝縮した1曲になっています。
1.「音色センス」
2.「圧倒的なストーリー性、構成美」
3.「幅広い音楽性」
この全てを自由自在に操り、尚且新しいサウンドと音楽の発見、新しい音楽を聴く喜びを私達に与えてくれることが出来るのは、菅野よう子さんにしか出来ない技であり最大の魅力だと思います。


音楽はどうしても言葉では完全に換言出来ませんから、「兎に角聴いてくれ!」と懇願してしまいそうになります。それでも敢えて言うならば、「菅野よう子は現代(における)音楽の女神」だと言い表してみたいのです(※ここでいう現代音楽は歴史的な括りではなく、より具体的な商業音楽での世界を意味しているつもりです)。上記のように彼女の音楽はとても魅力に溢れ、世界中のプロの音楽家達にも親しまれ、音楽業界に与えた功績は「ライオン」や「創聖のアクエリオン」を始めとし、その影響力は絶大です。そんな彼女を少なくともファンである私は僭越ながらも、音を、音楽を自由自在に操る女神と表現したくなるのです。2021年は実写版カウボーイビバップもあり、また彼女の音楽を楽しめていることに感謝でいっぱいです。そして、月並みな表現ではありますが、これからどんな音楽が聴けるのか、私はとても楽しみです。

最後に一言、「菅野よう子は最高!」

※補足

菅野よう子作品を語る際に、作編曲家の田中公平先生が提示した指標があります。
1990年代は「センスの時代」
2005年頃までは「サウンドの時代」
それ以降は「洗練された下世話の時代」

これを作品に当てはめると、

「センスの時代」…マクロスプラス天空のエスカフローネ

田中公平先生はセンスの時代の作品を時の記憶、約束はいらない、奇跡の海、プラチナの四作品と指摘

時の記憶

時の記憶

  • SEIKA
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約束はいらない

約束はいらない

奇跡の海

奇跡の海

プラチナ

プラチナ

サウンドの時代」=攻殻機動隊、WOLF'S RAIN
「洗練された下世話の時代」=マクロスFアクエリオンなどが該当します。

詳しくはこちら(第一回から読むといいです) 

 

 

菅野よう子論 影響を受けた音楽群とサンプリング手法の型取り(rino評)
ポップス菅野よう子としての側面を復習ったところで、次は型に注目して菅野よう子の音楽性を考えていこう。意外なことに菅野よう子の代表/有名曲の構造は分かりやすいほどに名曲を参考にしている節がある。

・まず聴いて欲しいのはこの楽曲
Pushing the sky(カウボーイ・ビッパップより)。

Pushing the sky

Pushing the sky

  • シートベルツ
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さて、この音源を聴いて何を思うかは人それぞれだが、おそらく映画好きはこう感じるはずである。LUNATIC CALMのleave you far behindの変化球であると。

Leave You Far Behind

Leave You Far Behind

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というより構造そのものを引用している。そしてleave you far behindがゴリゴリのベースのテクニカルな側面とエレクトロの方向性で超絶かっこいい曲になっているのに対して菅野よう子が作ったPushing the skyはギターソロがメインに置き換わっている。あっちがベースならこっちはギターだと言わんばかりに.全体的な楽器の運び方などを含め、音源的にはleave you far be hindの方が格段に優れているのだが、Pushing the skyも面白いところがある。それはベースのメロディを一部分に集約することで(1m33s〜1m42s)一番、2番のつなぎの役割として落とし込むことで、leave you~で総じて感じる「過度な音源の繰り返し感」というのがさして感じない。そしてその後ギターソロまで入れているからその意味ではこっちの曲のほうが楽器の音を入れ替わりのように楽しめる。そして全体的に楽器がそこまで主張してこない。そう言った点でからより多角的なアプローチをしているのは後者だと言える。なによりlunatic calmをサンプリングしようとするその姿勢が面白い。

 

・be human/ladies and gentlemen we are floating in space

be human

be human

  • Scott Matthew
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では次にこの二曲を聴き比べてみよう。これは中々凄い。イントロで台詞を話してから話すところや、テンポはまぁ同じだし、まぁ引用の度合いが高い。がしかし、それで生まれたのがbe humanと考えるとやはり菅野よう子のサンプリングのやり方もうまい。一曲としてどっちのほうが「メロディアス」なのかを考えればおそらく、be humanを挙げる人が多いと思う。そのくらい、型自体は物真似であるのにもかかわらず、素晴らしい名曲が生まれている。これはいくつかあって、つまりスピリチュアライズドのladies~が、曲のアプローチそのものはうまいけど誰が聴いてもあからさまなカノン進行でしか曲が成立していないし、全体的にトーンが同じこともあいまって「くどさ」が前面に出てしまっている。かたやbe humanは機械音を定期的にはさみ、鉄筋で味付けをしてメロディはギターで奏でることで曲全体のバランスが終始保たれている。そしてなによりアウトローで悲哀な感じで終わっていくというのも菅野クオリティ。

※因みに、菅野よう子攻殻SACのサントラを作るにあたってスピリチュアライズドからのインスピレーションを受けている感じがします。

trip cityという作品では

trip city

trip city

  • Scott Matthew
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come togetherと

electricityからの構造を引っ張ってきていることがわかる。

 

・COSMIC DARE(PRETTY WITH A PISTOL)/Overload(sugababes)

COSMIC DARE (PRETTY WITH A PISTOL)

COSMIC DARE (PRETTY WITH A PISTOL)

  • シートベルツ
  • アニメ
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Overload

Overload

さて、この場合はどうか、かなりの具合で引用が激しい。が、ここで感じるのは「曲としての凝り」の度合いはむしろ菅野よう子の方が固めている印象を持つ。後メロディ性で言えばCOSMIC DARE(PRETTY WITH A PISTOL)の方がキャッチャーの印象を持つ(というよりoverloadの方が洋楽性のある低音の気がする、その意味でここでいうキャッチャーさというのは日本人特有のものと考えることも可能)。そして間の使い方や、音のタッチなどの方面でいえば明らかに後者の方が富んでいる。ほぼ同じ構図を持つにもか関わらず展開の見せ方でちょっと違う曲になっているのが面白い。

 

・powder/the Desert music

Powder

Powder

  • シートベルツ
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The Desert Music: First Movement (Fast)

The Desert Music: First Movement (Fast)

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まぁこっちからの影響も考えられるが

The Desert Music: Fourth Movement (Moderate)

The Desert Music: Fourth Movement (Moderate)

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じゃあ、さきほど出したアルジェナの作品以外で菅野よう子がおもいっきりミニマルをした曲ってなによって話ですがこれでしょう。ライヒは偉大ですね。久石的な音楽性を導き出しながら菅野よう子にも影響を与える幅の広さ。the desert musicは音がひたすら繰り返されますが、powderではそれに付随して女性の声が加わります。ライヒ音楽は統一性があり、そこに実験的なミニマリズムが加わることによってあの爽快な音楽性というのが顕在化するのですが、菅野よう子は統一性ではなく、音による親和性で曲を紡いでいった感じがする。あと強弱にそこまで拘っていない。ピアノのが凡な感じなのが少し気になる。こういう曲の場合、もう少しバリエーションがあってもいいとは思う。アニメの劇伴における調整なんだろうけど。まぁこの場合過度に音のバリエーションを増やすか、単一の凡な感じにするしか成立しえない曲なきもするので安牌をとったと考えるのが普通でしょう。

 

・thousand knives(千のナイフ)/Go Ri A Te

THOUSAND KNIVES

THOUSAND KNIVES

  • 坂本 龍一
  • エレクトロニック
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Go Ri A Te

Go Ri A Te

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マクロスの劇伴の「go ri ate」はある程度音楽に造詣があれば、教授の千のナイフのフォロワー楽曲であることが如実に表れている。というかまぁそのまんま。

(これがデビューってぶっ飛んでますよね、さすが坂本龍一)

がしかし、ただ真似るだけでなく後半に鉄琴や、オルガンでメロディを組み込んでより聴きやすい作品にしていることが窺える。これまでの流れからしてもやっぱりバランスを重んじている。無機質で、ひたすら実験的な音源を積み上げていく教授の作品にたいして、菅野よう子のGo Ri A Teは型としての異質感は残しつつも、聴きやすさ(いわばローカライズ)を重視した作品にしている。

 

ここからは古典、つまりはクラシック音楽を参照している楽曲を紹介します。

・Final shore おお、再臨ありやと/ヴェルディ「Requiem」+ブラーナの「O Fortuna 」

Final shore ~ おお、再臨ありやと

Final shore ~ おお、再臨ありやと

怒りの日(続誦) 怒りの日

怒りの日(続誦) 怒りの日

「カルミナ・ブラーナ」 ~ おお、運命の女神よ

「カルミナ・ブラーナ」 ~ おお、運命の女神よ

(はい、ここで川井憲次につながる流れを決めたいが、あえて自重します)

もうね。こういうのは劇伴作家なら一回はやってみたいものだと思うんですよね。イントロの感じからヴェルディのレクイエム感はみなさん分かるでしょう。おお、再臨ありやと」副題までつけちゃって。というよりあの曲知ってればこの曲がいかに意識しているかなんて別に音楽に詳しくなくてもわかる。そのくらいクラシカルなあの感じというのは再現したくなる。世界で最も知られている曲を書いた映画音楽の巨星ジョンウィリアムズだってジョーズは完全にストラヴィンスキーであることは音楽知らない人でも誰でもパッとくるもんです。プリクエルSWの中でも見所の戦闘シーンで青鬼ならぬ赤鬼(ダースモール)戦で流れるduel of the fatesなんかもその流れかな。

運命の闘い

運命の闘い

  • シティ・オブ・プラハ・フィルハーモニック・オーケストラ & クラウチ・エンド・フェスティヴァル合唱団
  • サウンドトラック
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散々バラエティや映画音楽で使い回された曲。

ヴェルディの「レクイエム」とカルミナブラーナ「おお、運命の女神よ」は。壮大な楽曲を書こうとするとみんな大体この曲の二番煎じになる。だからこそ、これらの曲を意識した曲が作られても「潜在的に」刷り込まれすぎてパクリ云々とかではないんですよ。ジョンウィリアムズのクラシックオマージュっぷりはこの2つ記事にちらっと書いたので気になる人は是非。

sai96i.hateblo.jp

sai96i.hateblo.jp

その意味で菅野流の「壮大なクラシック」の立ち位置を示した楽曲がこれというのは凄く納得できる。見事な再現&換骨奪胎ぶりには驚かされます。一人の劇伴作家としてこれをやり切った時はさぞ楽しかっただろうなというのは想像に難くないです。クラシックのアプローチという意味で激推しの一曲です。個人的に面白いと思ったのはクラリネットですかね。一見陰に思えて案外主役を張っていると思います。

 

・blaze/交響曲5番第一楽章(ショスタコーヴィチ)

BLAZE

BLAZE

同じくクラシック引用シリーズでいうとこの曲も顕著。マーラーがアダージェット情緒的楽曲の最高位を締め、以降マーラーのフォロワーが溢れたようにであり、一本柱になっているのと同じように野太く、骨太で単純な旋律といえばショスコヴィなんですよ。系譜としてはまさにマーラーからのショスタコーヴィッチです。さてエスカフローネのblazeを聴いてみましょう。あからさまなショスタコーヴィッチの味を残していることがわかります。

 

・revenge/ボレロ(モーリスラヴェル

REVENGE

REVENGE

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これも露骨なほどラヴェルボレロを参考にしていますね。前半はホルストの惑星組曲の木星みたいな感じがします。木星+bolero=revengeという。ただ後半もうちょい打楽器の音をあげてもよかったんじゃないかと思う。はと思ったんですけどエスカフローネのサントラ曲ってバックボーンがクラシックの曲が多くて菅野よう子版:クラシック音楽作品集みたいになってます。

 

high spirit/ワーグナーよりワルキューレの騎行

high spirit

high spirit

ワルキューレの騎行

ワルキューレの騎行

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これはイントロが特に顕著なのですが、もろ意識していて聴くたびに笑ってしまう。

 

漆黒のカデンツア/ショパンノクターン 2番 変ホ長調 9-2

漆黒のカデンツア

漆黒のカデンツア

ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2

ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2

  • エヴァ・ポブウォツカ
  • クラシック
  • ¥255
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もっというとこれにラフマニノフ味が入ってる。ロシア+ポーランドのピアノ作品の合わせ技っていう印象がこの曲にはありますね。同じくEVOLのアルバムからあからさまなクラシックオマージュが感じられるのがこれ

創聖カルナバル/ホルストより惑星組曲:火星

創聖カルナバル

創聖カルナバル

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一瞬スターウォーズラインと思うかもしれないですが、実はホルスト

※最近ブログ上でずっとホルストの名前をだしていますが、宇宙・戦争系の壮大テーマはだいたい火星からというのはれっきとした事実なのでどうかご容赦を

というよりもSWの有名劇伴はホルストワーグナーコルンゴルトヴェルディがネタ元。ウィリアムズが凄いのはそれらを継承しつつ新しいサウンドで展開しているところ。それに比べたら然しもの菅野よう子のクラシックの使い方はすごく陳腐ではある.ただ、この曲もそこそこは変わっていて、つまりはイントロ/アウトローが火星という使い方。言ってみればそれだけの曲なのですが頑張ってSWと火星感を出そうとしている労力は伝わってくるので一聴の価値はあります。

・sora/ジムノペディ

Sora

Sora

  • シャンティ・スナイダー
  • アニメ
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まぁただのサティ病だよね。ジムノペディ。一体この曲がもたらす神秘性はなんなのでしょうか?そこにはひたすらに「繰り返し」であること意外に特出しているところはありません。いまでこそ涼宮ハルヒの消失に、ゲームぼくのなつやすみ2に使われ、それを除いてもサティの音楽性っというのはあまりに大きな大衆性を帯びましたが、サティは和声進行や対位法を無視したその作風から異端児と呼ばれていたことからもわかるように当時の音楽シーンにはあまりに独自性の強すぎる人であった。それはジムノペディをはじめとする諸作に現れている。とにかくなにもない、というより消えていった調号、そして拍子などどんどん削って、残った音楽があれなわけです。その意味で何もないんです。本質的には。がしかし、その無の音楽性が今では当たり前になっているのを見ると、サティのやったことは大成功なわけです。話を戻すために繋げるとこう言ったポップスにも使われているわけですから。まぁ見事なまでのサティの曲なので、あれがこれがという曲でもないですね。final shoreと同様、当たり前となった音楽をポップスに展開するという試みとしては中々いいと思う。というのも先述した通り、この曲はそのまま使われるケースもしくは劇伴として似たような楽曲が作られることの方が多いからだ(そしてそれは圧倒的に正しい)。誰もが知っている型を思わぬ形で展開する菅野よう子のセンスが光る一作です。

蛇足:音楽CDショップ屋にいくと端っこに「自律神経系ミュージック」だの「リスニング」などの一体これは何を指してるんだというコーナーがありますが、あれは思うにサティの作品の「何もない」の延長の先にあるものではないのかということを、これを書いててふと思いました。現代だとマックスリヒターの音楽がまさにそのコーナーにあったりするんですよね。なのであながち間違っていない(と思いたい)。

クラシックの話はこれくらいにして、ポップスにおける菅野よう子論に戻ります。

 

・Ask D.N.A/Where It's At(beck)

Ask DNA

Ask DNA

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Where It's At

Where It's At

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これはイントロ部の引用型の例。でもこれは分かるな。BECKオルタナ性って本当かっこいいですもの。構造引用型では洋楽から引っ張ってくるケースが多い。

・ダニエル/ Will Not Forget You(Sarah McLachlanI)

ダニエル

ダニエル

I Will Not Forget You

I Will Not Forget You

一方で劇伴はやはり映画音楽ネタからが多い。

・space lion/love thema

SPACE LION

SPACE LION

Love Theme

Love Theme

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ヴァンゲリスシンセサイザー畑出身のため、一音に対する解釈の幅が大きい。そしてこの曲ではサックスがメインとなってメロディを奏でているが大事なのは裏で鳴っているサウンドである。映画劇伴作家の中でも唯一無二性を誇るヴァンゲリスの音楽.だからこそ、真似るとすぐネタ元として上がってきます。多分散々言われていると思いますね。tears in rainという作品では「裏でなっているメロディ」の扱い方が特に秀逸である。そして展開。54s前後から盛り上がり、1m03s前後でまた上がる。とにかくシンセサイザーにおける音の性質をとことん極めた人だと思う。ではspace lionはどうか。まぁ意識していることに違いはない。が、サックスの音の扱い方をみるにPink Floydのus and themからの影響とも考えることができる。ß(vanfelisとプログレ、一見どう共通性あるのかと思うかも知れませんが、Pink Floydと同様五大プログレバンドと言われたイエスに加入に誘われたことがあることから分かる通りそのサウンド性はプログレにおける実験性に近いものがある.プログレについてはこちら

sai96i.hateblo.jp

※実際には加入しなかった。

(がしかし、してたらイエスも別の意味で凄いバンドになったんだろうなと夢想)

Roundabout

Roundabout

Us and Them

Us and Them

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因みに菅野よう子はon the runというPink Floydの曲名まんまの作品を作っているから聴いてないはずない。

そもそもが全世界の売り上げでtop10に入るようなバンドなので音楽をやっていてPink Floydを聞いたことがない人っていうのもまぁ珍しいですが。

ちなみに、過去菅野楽曲で明らからにヴァンゲリスの曲が意識的に模倣された例はもう一曲あって、cm曲で「Exaelitus 」というのがあるのですが

うまいこと隠してますが、核となる部分を真似しているのでどうしてもこの曲を意識していることを感じる。

Blade Runner (End Titles)

Blade Runner (End Titles)

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・Pot City/Dub Driving(アンジェロ・バダラメンティ)

 
POT CITY

POT CITY

これなんかも、ありがちなラインと思いきや、実はアンジェロからなんじゃないかなと思ったり。だってメロディの繊維が強いだけでほかは凄く意識している形に自分には聞こえるのですが、みなさんどうおもいますか?

・tank!/ get it on(chase)

Tank!

Tank!

Get It On

Get It On

  • Chase
  • ジャズ
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意外にもtank!もサンプリング的な作りなんですよね。とうかカウボーイ・ビパップとまでいうくらいだから、ビパップ系の音楽は相当数参考にしていると思う。

chaseのget it onのサビメロディがまさにそんな感じ。むしろget it onの拡張版としてのtank!と思うとより楽しめる気がします。まぁジャズって色々奥が深いから必ずしもこれがっていう断言はできませんが、意識していることは間違いなさそうです。ただし、これも菅野よう子の手にかかったことで圧倒的にかっこいいサウンドになったのも事実。某記事によるとtank!はアメリカの野球会場でも流れているそうで、カウボーイビパップ自体が海外人気が高いということもありそうですが、単にジャズ曲の一つとしてカウントされているなんてこともありそうですね。そしてビパップのOSTは基本的に作品の方向性からしてもジャズ音楽のオーダーが重要な要素になったはず。bad dog no biscuits/Midtown(Tom Waits)なんかがいい例でトム・ウェイツのMIDTOWNの音を重低音よりの方向、とりわけジョンバリーが編曲した(作曲じゃないよ)007のテーマ的

(007のメインテーマはモンティ・ノーマンが原曲・作曲者なので誤解ないように)

にアレンジをした曲になっている。

BAD DOG NO BISCUITS

BAD DOG NO BISCUITS

この曲も出だしは引用型である。

ELM/kiss from a rose(SEAL)

ELM

ELM

  • Pierre Bensusan
  • アニメ
  • ¥255
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Kiss from a Rose

Kiss from a Rose

  • シール
  • R&B/ソウル
  • ¥255
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Clutch/3rd Quadrant(ケニーギャレット)

Clutch

Clutch

  • シートベルツ
  • アニメ
  • ¥255
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3rd Quadrant

3rd Quadrant

  • ケニー・ギャレット
  • ジャズ
  • ¥255
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これなんてサックスのラインを聞けばケニーギャレットってすぐわかる話で、この辺りのわかりやすさは多分監督からの指示だと思う。なんせビパップの名奏者マイルスデイヴィスとスィングジャズの巨匠デューク・エリントンの二人から認められた演奏力を持ち、すなわちスウィングジャズ(アンサンブル重視)・ビパップ(即興重視)の両刀型なわけで、それを知った上で聞くClutchはすぐに察しがつく。でもまぁそれを演奏してるシートベルツが一番すごいのかもなぁ、、

 

同じカウボーイビパップのジャズラインだとBlack Coffeeを聴く限り

Black Coffee

Black Coffee

  • シートベルツ
  • アニメ
  • ¥255
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ブリジット・フォンティーヌの「ラジオのように」も参考にしている気がする。

COMME A LA RADIO

COMME A LA RADIO

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ここまでくると本当に菅野よう子は監督指示にしたがって書いているとしか思えない。なぜなら菅野よう子はそんなにジャズに詳しくないっぽい発言をしているから。全体を通してカウボーイ・ビパップのOSTは元ネタジャズ楽曲がありきなきがしてならない。

 

さて、これまで+な事を書いたが、ここでちょっとマイナスな話を。

※好きな作家ゆえ本当はこういう話はしたくないのだけど、マンセー記事にはしたくないので

今まで挙げてきたように、菅野よう子楽曲は秀逸なメロディラインの前に、秀逸な楽曲の型取りが目立つ。故にやりすぎた事例をここで一つ紹介しよう。トルキアという楽曲がある。この曲は菅野ファン、並びに攻殻SACファンなら誰でも知るシリーズ屈指の人気楽曲。

トルキア

トルキア

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では次に

Gárkit (Escape)

Gárkit (Escape)

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サイバーバード/butter sea(Hooverphonic)

サイバーバード

サイバーバード

Battersea

Battersea

  • フーヴァーフォニック
  • ポップ
  • ¥255
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特にこれはかなり意図的だと思われる。

ride on technology/jungle-out(no jazz)

Ride On Technology

Ride On Technology

Jungle-Out

Jungle-Out

  • NoJazz
  • ジャズ
  •  
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まぁもう一段階深い視点で考えればこのNo jazzのjungle outもネタ元はλさんご指摘の通りブレッカー・ブラザーズのsome skunk funkをよりテクニカルにしたものなのですが。

Some Skunk Funk

Some Skunk Funk

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ここでいいたいのは、ride on~が参考元とほぼ変わらないということです。

mushroom huntig/let the good shine(DJ Food)※itunesないっぽいです

MUSHROOM HUNTING

MUSHROOM HUNTING

  • シートベルツ
  • アニメ
  • ¥255
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Jazz Brakes Vol. 4

Jazz Brakes Vol. 4

Amazon

You make me cool/Blue Light, Red Light(ハリー・コニックjr.)

You make me cool

You make me cool

  • 古川昌義
  • アニメ
  • ¥255
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Blue Light, Red Light (Someone's There)

Blue Light, Red Light (Someone's There)

  • ハリー・コニックJr.
  • ジャズ
  • ¥204
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Words That We Couldn't Say/Shape Of My Hear(sting)

WORDS THAT WE COULDN'T SAY

WORDS THAT WE COULDN'T SAY

  • Steve Conte
  • アニメ
  • ¥255
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シェイプ・オブ・マイ・ハート

シェイプ・オブ・マイ・ハート

  • スティング
  • ポップ
  • ¥255
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・cloud9/Une Heroine(Laurent Voulzy)

cloud 9

cloud 9

Une héroïne

Une héroïne

  • Laurent Voulzy
  • フレンチポップ
  • ¥255
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アイドリング/Axis Of Ignorance(Nils Petter Molvaer )

アイドリング

アイドリング

Axis of Ignorance

Axis of Ignorance

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・want it all back/Zodiac Sign(Imperial Drag)

Want it all back

Want it all back

  • 山根麻衣
  • アニメ
  • ¥255
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Zodiac Sign

Zodiac Sign

  • IMPERIAL DRAG
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

scooters/mr.blue sky(Electric Light Orchestra)

Scooters

Scooters

の曲をそれぞれ組み合わせを聴いてみよう。このレベルになると流石にきついところがある。そりゃ全体の構図など総合的に俯瞰したら違うものにはなるけどそれは当たり前で、むしろそこすら同じであったらこれは悪質な模倣でしかない。創意工夫が一切合切感じられない。このように菅野よう子楽曲は「良い」曲がある反面、元ネタを露骨になぞってしまう傾向がある。(オーダーによるもの中もしれないが)

そしてそれは所謂「パクリ」というマイナスなイメージを引きずってしまう。その行為自体は否定しないが(文化の歴史は真似事でしか発展しないし)限度というものがある。今ではこんな真似は絶対にしないと思うが万能作家であれど、意図せぬ失敗をしているものである。当然トルキア,ride on technologyは一楽曲として素晴らしいし(サイバーバードは個人的には微妙)、だからこそ今なお色々な人に愛されている。その意味では「より良質にしあげている」し作曲家としては成功している。がしかし、そこに掛かってる菅野よう子的なアプローチの「発想」はゼロであることもまた事実である。

注)ま、こんなマイナスなところ書いたところで売り上げで表される数値に揺るぎはないわけで、ネットで何を書かれようがその数字そのものは揺らがず、CDメーカーの人間もそれを知っている。だからそれを知らない我々がどれだけ喚き立てようとも意味はない。がしかし、こういった意見もある程度の正当性をもつものであるため書いた。

 

小咄でフォローをすると、ロジャー・ジョセフ・マニング・ジュニアらがJellyfishというバンドで70年代を隆盛したパワーポップを90年代にBellybutton(1990)とSpiltMilk(1993)の2枚で一世を風靡したあと

Imperial Dragを結成。同名のアルバム「Imperial Drag」出したのですが

Imperial Drag

Imperial Drag

  • IMPERIAL DRAG
  • ポップ
  • ¥1833

これほどまでに完成度が高い作品なのにあまり知られない、いわゆる隠れた名盤になってしまった作品なんですね。故に、この隠れた名盤よりZodiac Signを当時96年に把握してそれを98年に反映するという姿勢そのものはかけねなしに評価していいと思います。ちなみにパワーロックのテイストをJ-popに変換したのがofficial髭男dismっていうことを覚えておくと、彼らのサウンドの一抹が垣間みえて大変面白いし、十分語りがいもあるのですが、それは別の話。いつかやります。

 

 

閑話休題

坂本真綾プロデュース作品について。

では次は坂本真綾プロデュース作品群について語っていこう。菅野よう子楽曲の作品群で外せないラインとして音楽作品として坂本真綾作品がある。97~2003年の間の作品をプロデュース。数枚のシングルとアルバム作品を4枚の作品を残しました。ここではそれらの収録曲よりどういう魅力があるのか、そして96-03年という時期に作ったという事実がその後どういう事象につながるかを語っていきます。

それではまずはλさんの坂本真綾楽曲の魅力についてです。

坂本真綾さんの初期4部作から観る菅野よう子らしさ

 初期作品の全体像ですが、ギターポップやソフトロックがベースとなりつつも、その楽曲ジャンルの幅広さは相当に広く、それもまたオールラウンダー菅野よう子さんの「プロデュース力」の賜物だと思います。菅野よう子は天才作曲家でもありますが、坂本真綾4部作通して「天才プロデューサー」でもあるということを改めて認識させられます。菅野よう子さんは坂本真綾さんというアーティストやマクロスFといった作品を「プロデュース」も素晴らしい偉大なお方です…(マクロスFの楽曲はすべて!菅野よう子さんプロデュースです!!!)。

また、ざっくりで恐縮ですが、アルバムのうち数曲はビートルズを参考にしているのでは?と感じる曲があります。他にも、この頃からもマクロスFアクエリオンに通じるサウンドを感じることが出来、菅野よう子サウンドを楽しむことが出来ると思います。近年の坂本真綾作品は一流ミュージシャンを複数起用したり、他にも「色彩」「逆光」「躍動」「独白」の2文字作品により楽曲間でブランドを築いていたりと新しい方向に進んでおり、(坂本真綾さんのブランドという一貫性はありつつも)初期とは大きく異なります。近年の作品はアニメとのタイアップが多く、配信が流通した時代のため、単品で個性が強い楽曲が多いのに対し、初期作品4作品はすべて菅野よう子プロデュースで、当時は配信も無いためアルバムベースでの作品となっており、このように様々な点で対称的です。

 

どの楽曲も単なるギター、ピアノ、ドラム、ボーカルの基本楽器で構成された楽曲ではなく、和声だったり、コードだったり、転調だったり、シンセの音色だったり、楽曲の構成だったりどれも「普通のJpop」に収まらない菅野よう子節がよく分かる、素晴らしい楽曲がたくさんありますので、是非お聴きくださいませ。

※冒頭の数字はトラックナンバーです。

1stアルバム「グレープフルーツ」

5.「ポケットを空にして」

ポケットを空にして

ポケットを空にして

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マンドリンが活躍する1曲。スカのリズムがありながらも、全体的にゆったりとしたビート(キックが1拍目だけにくる感じ)、右から聴こえる小物の打楽器、アーコディオン、タンバリンなどが使用されており、マンドリントレモロ奏法も相乗効果で、楽器の小隊編成が面白い1曲です。それぞれが楽器を持ち寄って自然と音を奏でている姿まで想像出来てしまう、このサウンド構成力が本当に凄い…。いい音楽を作るも物凄いことなのに、それだけでなく、曲からその音楽の姿、イメージまで聴者に呼び起こさせるそういう楽曲になっているのは、本当に天才的と表現せざるを得ないです。

5.青い瞳(ドリアン)

青い瞳(REMIX)

青い瞳(REMIX)

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菅野よう子作品を俯瞰したときに、この曲のような少女が一人で目を閉じながら祈りを捧げるように歌う姿が浮かび上がる楽曲は「Cloe」「VOICE」「時の調べ」「オムナ・マグニ」「アイモ」「 Early Bird 」など多数あり、モード(特にドリアンスケール)を使わせたら敵うものがいないのでは…というくらい菅野よう子さんの武器のひとつであることがよく分かる楽曲です。

VOICES

VOICES

オムナ マグニ

オムナ マグニ

アイモ

アイモ

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(個人的に「少女祈祷曲」シリーズと呼んでいます。それくらい多く菅野よう子さんに特徴的)

8.「約束はいらない」

約束はいらない

約束はいらない

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センスの時代の代表曲。低音でベースとして鳴り続けるピアノの使い方が奇抜だし、知らない間にめちゃくちゃ転調していたりと、当時から異彩を放っていたことがよく分かる楽曲。こんなに自然に転調してしまう(特にAメロ、Bメロといった節の中での転調)楽曲はそうそうないと思います…。(プラチナも相当するでしょう)サビがあまりにも美しくメッセージ性が強いので、何度も繰り返すという手法は他作品にも多いです。(落ちサビ、ラストサビ、更にサビと3回繰り返している)

2ndアルバム「DIVE」

2.「走る」

走る(Album Ver.)

走る(Album Ver.)

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イントロの弦編曲から一瞬にしてキャッチーさとワクワク感がたまりません。イントロの長さも今ではちょっと考えがたいくらい長い(のも面白いです)。サビで一気に景色が変わる感じ、1番を基本、弦のみで構成し、ベースがない(入っても本当に少しだけ)という構成は彼女が大好きな手法です。サビに白玉で1音ずつ上昇するストリングスもあるある。スネアのクローズリムショットは前半から登場するものの、メインビートとして登場するのは2番のサビからという意外さ、この発想力が素晴らしい…。4:32~で一度落としてから4:47~のエンディングでひたすらストリングスがスケールで下降する動きと、白玉で1音ずつ上昇していく構成と、アウトロを作らず、フェードアウトで締めることで「走る」を表現しております。この構成力…天才的です。全体で5:34もあるのにこの構成力があることで、何一つ無駄なものはなく、必要な展開、構成になっているのが特徴です。とにかくこの曲は聴いてほしいイチオシです。

因みに、花澤香菜さんの「マラソン」という曲

マラソン

マラソン

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BPM=170、この「走る」はBPM=168とかなり近い。更に視野を広げてみると花物語OP「the last day of my adolescence」

the last day of my adolescence

the last day of my adolescence

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(作詞:meg rock 作編曲:ミト 歌唱:神原駿河(CV:沢城みゆき))のBPMは177。神原がスポーツ少女であることを考えればこの他と比較した時の高さも妙に納得がいく…。このBPM=170付近は、人間の「走る」という行為にピッタリのテンポなのかも…?非常に興味深いですねぇ。

3rdアルバム「ルーシー」
筆者の4部作の中での一押しです。今から丁度20年まえの作品ですが、毎年数回は自然と聴いてしまいます。超名作だと思います。4作品の中でもかなりとっつきやすいのではと思います。オススメです。 楽曲の時間が「Lucy」1:43、「アルカロイド」4:09、「Life is good」4:13の3曲を除きすべて5分超えしており、「坂本真綾菅野よう子の4部作の中では収録時間が59:17と一番長い作品です。菅野よう子得意の楽曲の展開のされかたがよく分かるアルバムではないでしょうか。

1.Lucy
フランス印象派を感じる。ゆったりで素朴なピアノと対称的にストリングスが艶やかに奏でられているのが美しい1曲。

Lucy

Lucy

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2.マメシバ

マメシバ

マメシバ

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ルーシーからのアタック感がしっかりあるギター鳴る、この流れが気持ちいい(この頃の曲はアルバムで聴く想定であることがよく分かる)。
曲中にツーファイブがいくつも組み込まれているのが美しい曲。
ストリングスはやっぱり1音ずつ順次上昇するし、分かりやすい菅野よう子らしさが詰まっている曲です。
4:00~のベースが8分で刻み、ドンドン展開していく感じも菅野よう子のお得意の手法です。全体で6:07!こちらも構成力が光る1曲です。

3.ストロボの空

ストロボの空

ストロボの空


Dメロの終わりが「ダイヤモンドクレバス」。笑っちゃいますね

ダイアモンド クレバス

ダイアモンド クレバス

(※「ダイヤモンドクレバス」の方が後の作品です!)

4.アルカロイド 

アルカロイド

アルカロイド

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3連ベースでスキップしている感じなのは分かるとして、
サビ頭がAM7(ⅣM7)で始まって、次にDM7(#11)(⇢E調にないコード、転調)が来るのがもう天才…。
これによってより浮遊感が出るからすごい…。
この「気持ちよさの核」があるから、繰り返していても良いし、繰り返す「べき」なんですよね。本当に見事だなぁと感服します。

5.紅茶

紅茶

紅茶

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R&B感もあるけども、ベースが頭でしか鳴らないという、大胆なリズムの空白が魅力だと思います。この手法はマクロスFの「射手座☆午後九時 Don't be late」にも通じます。

射手座☆午後九時Don't be late

射手座☆午後九時Don't be late

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ベースなし(あるいは本当に部分的に必要なところしか鳴らない)が手法の1つとして使いこなしているのが凄いですね…。右でずっと鳴っているハープも8分を基本としつつも16分でフィルイン的に機能していたり、コード構成音の3or4を鳴らすのではなく、add9でバラけさせたり、その登場タイミングが巧(うま)すぎる…。左右でハイハットをバラけさせているのもスパイス的に機能していたり、どこを聴いても面白いです。

6.木登りと赤いスカート

木登りと赤いスカート

木登りと赤いスカート

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ものすごくビートルズ感ありません…?この頃からギターが低音単音で鳴らしていて、菅野よう子らしさが垣間見える作品です。

7.Life is good

Life is good

Life is good

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坂本真綾菅野よう子では、一般のJpopに近いかなり分かりやすい作品と思いきや、音楽的にはBメロ頭をE/Dのオンコードで始めたり(雰囲気がガラリと変わる効果がある)、キメの「life is good」でBmのままでもいいのに、そこからCまで進むことで引っ掛けたりとただの1曲に収まらない小技も光る楽曲になってます。

4thアルバム「少年アリス
2. ソラヲミロ

ソラヲミロ

ソラヲミロ

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少なからずマクロスFサウンドに繋がっているところがある思います。
マクロスFのしか知らないという方はこの作品に触れ、サウンドの原点に触れてみてください。

3. スクラップ~別れの詩

スクラップ~別れの詩

スクラップ~別れの詩

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筆者イチオシ。とにかくカッコいい。
Aメロでリズム感(刻む感じ)を作らず空白を作りだすことで、ドラムのフィルインが更に強烈な印象になるこの美しさ!(参考に「射手座☆午後九時 Don't be late」)他にも、ベースも2度の音程で動いていく感じが気持ちいい。
後半は同じフレーズを繰り返してしますが、この繰り返しがひたすらに続いていく感じ、ドラムとベースでドンドン熱情的にボルテージを上げていく感じ、アルバム間で言えば、この曲は前作の「走る」に対応している楽曲と捉えることも出来るのではないでしょうか。

7. ヒーロー

ヒーロー

ヒーロー

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このサウンド感、広い意味で捉えたときに、のちのマクロスF「サイレントでなんかいられない」「モノクローム」「天使になっちゃった」にも繋がっているのかな、と。菅野よう子サウンドのひとつの原型が垣間見える作品です。
「ヒーロー」は長めの曲が多い菅野よう子作品の中でも3分を切る珍しく短めの曲。

8. 夜

夜

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モーダルの中で自由に動かす感じはアクエリオン(特にOP曲)にも通じるところが感じられます。Lucyの「マメシバ」やDIVEの「走る」などにも見られるように、8分でベースが刻むのが(ただのベースの演奏ではなく)曲の核になっている作品が多く、初期のブームだったのかも知れません。

9 CALL TO ME

CALL TO ME

CALL TO ME

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テンポが近く、英詩ということもありますが、サウンド感が特に「gravity」に近い。もしこの曲が菅野作品のアニメで使用されるなら「WOLF'S RAIN」かな、なんて想像してしまいます。Dメロの展開はビートルズっぽくもあり、やはり真綾作品はビートルズ感があるな、と作品を通して聴いたときに認識したことです。

10. 光あれ

光あれ

光あれ

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強烈なサビで始まるイントロが天才だと思います…(あり得ないくらい気持ちいい)。
サビのリズムと跳躍が「光あれ」というタイトルを体現している。
これは、「light of love」にも通じる、気持ちの開放を音の跳躍で表現するという音楽の大事な要素で、それが気持ちよく表現されていると思います。繰り返しになりますが、この曲はとにかくサビが強く、リズムと跳躍の相乗効果が最高だと思います。フレーズが強いので、これをモチーフにドンドンドラムやベース、ギターの楽器隊で盛り上げる手法がすごく活きると思います。

11. ちびっこフォーク

ちびっこフォーク

ちびっこフォーク

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コードのボイシングでぶつかる感じが非常に気持ちいい。
近年の2010年以降の曲よりもかなりしっかりダイナミクスレンジがあるように聴こえるし、バラ弾きのタイム感の効果などもあって、ギターの魅力を最大限に引き出している素晴らしい曲。

12. park amsterdam (the whole story)

park amsterdam(the whole story)

park amsterdam(the whole story)

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ビートルズに感じるんですよね…。

14. おきてがみ

おきてがみ

おきてがみ

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菅野よう子作品を聴いていると、このピアノのサウンドだけで菅野よう子サウンドだと分かります。コスモ石油でおなじみの「Seeds of Life」マクロスFsongbird」のピアノと同じサウンドです。ストリングスもそうですが、菅野よう子作品は楽器単体で聴いてもらしさがあるのも強みですね。

以上、坂本真綾さんの初期4部作から観る菅野よう子らしさでした。

 

・菅野楽曲史とJPOPとビートルズの流れから考える坂本真綾ポップスソング(rino評)

 

アニメで提供する劇伴音楽より大衆的な意味でのポップス性が出ているため、人によってはこのラインの曲が好みという人も多いと思います。菅野プロデュースの中から生まれた曲で言うとを代表する一曲がプラチナは外せないでしょう。

プラチナ

プラチナ

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そのほかにも

ともだち

ともだち

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このともだちはギターが聴きどころ。メロディが歌主体でそれらの効果音的な側面を担っている。常にちょっとした音の付け足しが入ってきてその音がチョイスがいい。でありながらそれまではキーボードや笛が主体だったのが最後のアウトローは締めに使うところが構成における妙だなと思います「大好きなともだち」までは色々な楽器がなっているので余計にスッと落ちる感じがこの曲の潔さみたいなものと繋がっている。あとこれは意識しているかどうかわからないがどことなくメロディがキャロルキングのYou've got a Friendを彷彿とさせている。

You've Got a Friend

You've Got a Friend

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そのせい70年代の洋楽にありそうなポップス感がこの香りがどことなくする。

グレープフルーツより青い瞳

(remix版を貼ったのは坂本真綾作品のアルバムに入ってるver.にしたかったからでそこに拘り的な意図なし

青い瞳(REMIX)

青い瞳(REMIX)

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これは元はエスカフローネの挿入歌。ハープ、打楽器、オーケストラ系の楽器でのみで紡がれる楽曲。歌は単調、しかしこの音楽での聴きどころはむしろ曲にライドするタイプ。そしてアウトローである。最後の最後まで弦楽器が響いて終わる感じも素敵。アニメ挿入歌だから劇伴よりのポップスとも言えます。それがわかるのが1m50sからの弦楽器のメロディ。実際にどうかはさておき、中盤のあの感じはすごくドヴォルザーク味がするのですが、それっぽい言及がないので私の思い違いでしょうか。潜在的に出てる可能性はあると思う。あとこれは致し方ないことなんだけど鍵盤ハーモニカと弦を使われるとどうしてもニーノロータが(というよりイタリア風)ちらつく。少なくともこういう入れ方は普通のポップスではあまりしない。(というより入れる余地がない)

 

それでは次にアルバム作品について各トラックについてはλさんが書いてくださったので4枚のアルバムで線を書くように全体を俯瞰して考えてみる。

グレープフルーツ

Grapefruit

Grapefruit

グレープフルーツはデビュー作ということもあり、模索の面が感じられる。あと坂本の声がまだ17歳の未成熟なところもあって、全体的二曲に対してあどけなさが残っているそれが逆に混じりっ気のない醇乎な歌声として機能しています。全体的にアニメソングが好きな人には向かないタイプの曲が多いというのが流石菅野よう子。そしてなによりも青い瞳などのお得意楽曲も含まれているため、語るには外せないアルバムではあります。

余談

λさんが少女祈祷曲と評した曲の中で挙げた作品群ではvoiceが個人的に好きなのですが、以前某番組でElements gardenの上松氏がどこか異世界の民謡的であり、ノスタルジーとコメントしていましたが、「祈祷曲を歌っている」少女というフレーズの方がわかりやすいなと思った次第です。

DIVE

Dive

Dive

さて、diveはどうか。これも良作ばかりなのだ。i.d. 走る、そして表題作にdiveこの三作品だけとっても素晴らしい。まず一番分かりやすいのでいくとI.D.これは多分皆さんもパッとくるでしょう。イマジンのイントロであると(ピアノの音もそれなりに加工してるし)

イマジン

イマジン

まぁなんだ。とりあえずイントロでこれを真似しとけばウケるだろっていう奴ですね。この手法で世界的にセールスを成したバンドで言うとオアシスがそうかな。まぁこのバンドは90年代における「The Beatles」なんて呼ばれてますからね。

Don`t Look back in anger

Don't Look Back In Anger

Don't Look Back In Anger

  • オアシス
  • ロック
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(今年はこの曲が別の意味で流行りましたね。なにでとは敢えて書きませんが。)

ちょっと脱線しますけどイエスタデイという映画は「ビートルズのいない世界線」に売れないシンガーが飛ぶっていう側から見たら、なろうもびっくりなあらすじなのですが

当然なろうの9割を占める石みたいな作品群よりちゃんと考えられていて面白いのですが

(劇中にはコカコーラ、ハリーポッターもない世界なので見方のフレームワークを広げた上で解釈するのであれば「既存の人気コンテンツがない世界」に飛ばされて、そこにビートルズも含まれていたと言うべきでしょうか。)

ともかく、その世界線に飛んでから主人公が慌てて色々な検索ワードをかけるのですが、その時にオアシスは出てこないのです。他にも色々出てこない単語があるのですがちゃんとした意味で「ビートルズ」なしに存在しないバンドという意味合いのもと意識的い出されていたのがoasisだったので鑑賞したときうなってしまいました。いやまぁ、その道に詳しい人からすれば当たり前だとは思うのですが。ちなみにローリングストーンズは出てたのですが、こっちも危ういだろと突っ込んだのは私だけでしょうか。

そう言うネタもそうですが、単に一本の映画として面白いですしビートルズが存在しない世界線だからこそできる展開をラストにもってきてて、これはちょっと意外だったけど、感動できた。ぜひご鑑賞ください。お茶の間で見ても問題ない家族向けですし、映画ファンが見たら「このアーティスト写真ってあの監督の写真の作品を意識してるだろwww」という小ネタも満載ですのでおすすめの逸品です。ちなみに本作の監督のダニー・ボイル作品だとトレインスポッティングとかが有名です。

これもまた名作の一つなので押さえておきましょう。

イエスタデイ (字幕版)

イエスタデイ (字幕版)

  • ヒメーシュ・パテル
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脱線が過ぎたので戻ります。

 

なんというべきかDIVEは声優2作目にしてはコーラスやストリングスなどあり得ないくらい豪華だし、ベース・ドラム・ギターのプレイヤーはなんと外人どころかマスタリングがテッド・ジェンセン(Lucyにも関わってます)ですよ。Talking HeadsThe Rolling Stones などの大物アーティストの楽曲にも関わったことのある大物が関わっています。なので、決して声優アルバムだからと言って色眼鏡で馬鹿にはできない度でいうと本作は化物です。最高のポップスアルバムです。

以下リンクを押せばテッド・ジェンセンが手がけたディスコグラフィーが出ます。

こういう人たちが関わっているため名盤が生まれるのは必然といえばそうなんですが。

sterling-sound.com

本作での推し楽曲はやはり「走る」ですかね。なんかリズムラインにアーハのtake on meを感じられて

Take On Me

Take On Me

  • a-ha
  • ポップ
  • ¥255
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この方向性の曲を坂本真綾が歌っているっていのは凄く合うなぁと。しかもイントロがあの弦楽器のメロディというところに痺れます。しかもだんだんと調和していつの間にかギターのポップメロディに落とし込んでいるというバランスの調合さがたまらないです。あと歌詞を橋渡しっていうのはここでも感じられます。

 

Lucy

Lucy

Lucy

挑戦作という意味ではLUCYであり、それが意外にも、いや必然的なのかもしれない。見事に楽曲の幅を広げた名盤になった。何といっても全力ハズレがないという奇跡のトラック群云々以上にやりたいことが明確に見える。ここら辺からビートルズの匂いがし始めるのです。life is goodやアルカロイドなんかもろに。

アルカロイド

アルカロイド

アルカロイド

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この曲の構造はThe BeatlesのBeing for the Benefit of Mr. Kiteからの影響がまずある。

そういった菅野よう子曲の変遷を一番肌身で感じられるのが本作。

同時にやはり時代の流れの影響も受けていて、それが顕著なのが「Tシャツ」。さて、2000年代初頭でこのイントロ特にピアノラインが全体を纏うこの感覚。そう、この曲の冒頭〜の構造やギターの鳴らし方は椎名林檎のギブスそのものである。

ギブス

ギブス

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(まさか2年連続でこの曲を貼ることになるとは思わなかったが、この曲は時代を超越するレベルの名曲だから真似したくなるし、そのくらい普遍性を獲得している)

亀田誠治のアレンジの力を菅野よう子がこういう形でポップスにするというのは非常に面白い点である。タイプの違う音楽プロデューサーではあるが、同時にやっぱり流行りの曲も当然意識していることが分かります。マストアルバムです。

少年アリス

Shounen Alice

Shounen Alice

驚きより熟した意味での完成度の意味合いなら本作が一番の傑作である.少年アリスは集大成の意味合いではそれ相応の楽曲群がある。それまでのアルバム群との対比で表現するとデビューは良盤程度にとどまっているのに対して、以降は全部名盤。それも毛色の違った。diveは坂本真綾が菅野楽曲とのマッチング性、菅野よう子の作曲家としての力量が明確に出ているのがlucy 。だから単純な曲のアプローチの面で考えるとLucyが坂本真綾×菅野よう子作品としては最高傑作と言ってもいい。そしてこの2作を経て「少年アリス」という作品という流れだからこそ光あれ、coll meoutなどを聴くとそれまでの作品と比べて歌唱の安定さが格段に違うし、尚且つ感動できるクオリティ以上の曲が収録されている。(もちろん菅野楽曲のクオリティが上がっていることも関係している)

なにより本作が2003年で、以降菅野楽曲の流れを考えると丁度バランスのいいポップス作品になっている。λさんがCALL TO MEでgravityとの類似性を挙げていたが、まさにそこで。のちの名曲のプロトタイプ(あるいは下地)を作ってしかもそれを23歳の坂本真綾に歌わせた。そういった絶妙な軌跡が重なったアルバムである。

言い方は悪いが、40を超えた坂本真綾が今、菅野楽曲を歌ってもこういう作品群の強度にはなり得ない。

そしてこのアルバム全体にちらつく色々な意味でのThe Beatlesの音楽味(というよりもジョンレノン的な音楽のアプローチなのかなぁ)。また、λさんがビートルズっぽいと言う感想だけ残したアルバム:少年アリスの収録楽曲のpark amsterdam (the whole story)は、それこそ後期ビートルズ、とりわけsgt.やホワイトアルバムに代表される作品の影響を感じます。

こういう感じのタッチの曲や

ブラックバード

ブラックバード

あとこの曲で一番近いThe Beatles作品でこの感じが出ているのはacross the universe

Across the Universe

Across the Universe

(一般的な音楽ファンには馴染みのない楽曲だと思いますが、これを持ってくる菅野よう子のセンス!!)

ですね。とりわけ少年アリスの楽曲群は下降気味のギターや曲調がパッと変わる時の仕草等が全体的「ビートルズやりたいだけ」という印象を受けます。もちろんこれは良い意味で功を奏しているからこそ今聴いてもまったく色褪せない楽曲群になっているわけで。その意味でビートルズの構造を使いながら、菅野よう子特有のコードの妙やセンスが煌めいている。しかし一方で、同じくビートルズからのアプローチを邦楽に持ち込んだ小林武史という邦楽の巨星プロデューサーの作品を生み出すセンスには一歩及ばずと言った印象も感じる。つまるところSexy Sadieからグライドを生み出すほどのアプローチ力はない。

Sexy Sadie

Sexy Sadie

グライド

グライド

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小林武史の洋楽→邦楽の変換力は多分日本一で、スティングの使い方ですら菅野よう子が凡になってしまうほどなのだ。だから比べてしまうのがこの場合おこがましいのですけど。

stingよりEnglish man in new york 

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Tomorrow never knows

Tomorrow never knows

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( そしてタイトルがビートルズからの引用でもあるっていう料理が上手い小林御大)

まぁ比較ははさておき、とにかく上には上がいるがそれでもビートルズを咀嚼して、再解釈した作品としては秀逸な作品であることには違いない。

 

ではこれらの事を踏まえると何が見えてくるか、菅野よう子楽曲の素晴らしさはコード、展開などに魅力的なのは勿論密接に関係しているが、それ以上にそれまでに出てきた映画の劇伴(坂本龍一からヴァンゲリス、lunatic calm,イエス等)や多角的な方向での洋楽の多様さなどを丁寧になぞった上で日本のポップスに置き換える(とにかくアプローチとインプットの幅を広げ続け、咀嚼して自己流に整える)ことによる意外性や不意を打たれた感覚がするのである。じゃあ誰もがそれをこなせるかと言ったら別問題で、詰まるところ菅野よう子の最大の才能は既存曲の構造を忠実に再現することなのである(全てがこれに該当するわけではないが)。それなのに「菅野楽曲」として聴けてしまうところが氏の「凄さ」なのだと思う。

 

  • 名盤

さて、おすすめ楽曲+菅野よう子論を語ったところで「じゃあ何聴けばいいんだよ?」「色々なアルバム曲から引っ張ってるけど、全部聴く時間ない」「結局どのアルバムがいいの?」「菅野よう子入門はなんですか?」など色々な方がいると思うので、総合的に考えた名盤をここで発表したいと思います。

 

λさん選出名盤5枚

1.劇場版マクロスF サヨナラノツバサ netabare album the end of triangle

マクロスFの曲はどれも大好きなのですが、今回はこちらのアルバムをセレクトしました。初心者向けで1枚ということであれば、VOCAL COLLECTION 娘たま♀

が選ばれやすいのですが、このアルバムも最高の1枚です。

特にボーカル曲をピックアップし、ご紹介したいと思います。

1曲目、「禁断のエリクシア」

禁断のエリクシア

禁断のエリクシア

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強烈なイントロ。マクロスFでも最高峰にセクシーな楽曲です。化学的、サイケデリック感でありシェリルの蠱惑的で妖艶な様がシンセで見事に表現されています。モーダルなAメロから始まり、転調する後半。サビに4分で半音で動き続けるシンセがこれまた怪しい。サビの後半にストリングスのホールトーンも加勢し、とても盛り上がります。
特に、佐野康夫さんの阿修羅のように炸裂するドラムは本当に聞いていて気持ちよく、まさしく「浴びるドラム」です。一般的なJPOPでは8ビートなど基本のビートがあり、どうしても単調になりがちですが、佐野さんのドラムは毎回ところどころ変化があり、この微妙な変化やフィルインがとてもハイセンスです。アップテンポなこともあり特にドラムが光る曲ではないでしょうか。2:04~の一瞬止まるフレーズ、2:15~のハイハットとキックの裏2発からのクラッシュシンバルもクール。3:13~の静寂からのフィルインが炸裂すると思いきや、3:15~で一瞬空白が作られており、この数秒も最高にクールです。そして続くドラムソロは3拍と2拍が混在しており、まさに化学反応が起こっていることをビートで表現されているように聴こえます。
最後には、4:43~ではライドが刻まれつつも、左手で更に刻まれるハイハットのアクセントがカッコよく、楽曲の温度は更にヒートアップします。この楽曲が当初8分でタイトに刻まれていたのに対し、最後に16分で刻まれることで盛り上がりと構成美が演出されています。他にも、1番のAメロからモーダルに暴れるベースやBメロの右へ振り切られていくシンセのパン、2番Aメロでベースがほぼ抜けてしまうのも空虚感が醸し出します。4:00~ではギターのピッキングクラッチが左右でリバーブされていたりと、エフェクトも一層この楽曲を盛り上げている点も聞き逃がせません。

3曲目「虹いろ・クマクマ」

虹いろ・クマクマ

虹いろ・クマクマ

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ハイファイサウンドの行進ビートから始まり、なんといってもランカの「リラメルララメルランルララン」の呪文のワクワク感がたまりません。6/8拍子は面白いリズムが作成しやすいことが特徴の一つですが、Bメロの「何を」「怖れ」でリズムを提示しつつ「何を」「隠し」で倍の速度で加速してから、「胸の鍵」の(「のかぎ」の箇所で)6/8の付点4分音符の4つ割りのリズムが本当に天才的だと思います。音の高低だけでなく、リズムの伸縮性と緩急により、このサビに向かうBメロのフレーズは最高に光る楽曲ではないでしょうか。この曲を聴けば、いつだって雄大に広がる空に向かって両手を広げているランカが浮かび上がります。イントロで鳴っていた「ド#ララミララ」がサビの決めの「乙女心勇気出して」にも転用されており、この曲のキーになっているのも構成美のひとつでしょう。3:34~Dメロのピアノにも使用されており、「リラメルララメルランルララン」の言葉としての呪文とは対称的に、この6音が「音としての呪文」になっていると思います。このフレーズは最後のアウトロにも使用されていますから、特に重要なファクターになっています。
サビに全音符で流れるストリングスも加わり、音楽が幸せに満ちている、明るい未来を感じさせる、そんな1曲です。

4曲目「恋はドッグファイト(FIRST LIVE inアトランティスドーム)」

マクロスFはクールな曲や可愛らしい曲だけなく、このようにちょっと変わり種の楽曲も多数あります。ランカの歌い方も、ライオンなどの曲よりもポップな声色で歌われているのも聴きどころだと思います。電波的なエフェクトや発射音なども多様されており、面白い楽曲になっています。


6曲目「星間飛行(LIVE inアルカトラズ)」

観衆の声が入っていたり、ランカの掛け声が入っていたりと、アニメ後期OPよりも盛り上がりに富んだアレンジになっています。構成的にもギターの音の動きがよく分かるアレンジになっており、ユニゾンしたりと正しくライブらしい演出になっています(一方でストリングスが控えめ)。そして、後半は転調するアレンジもこの曲ならでは。最後のドラムフィルインなんて正しくライブバージョンらしいです。

単純に星間飛行をLIVEバージョンにするのではなく、アレンジを通して更に面白いものにしている点が、菅野よう子のスーパーなアレンジ力のひとつだと思います。

7曲目「Get it on~光速クライmax」

Get it on ~光速クライmax

Get it on ~光速クライmax

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BPM=205のハイテンポビートは、まさしく光速を体現しております。
この曲の魅力は、なんと言ってもAメロからBメロを介さずすぐにサビに行くこの展開の気持ちよさではないでしょうか。もたもたしてる場合じゃない!今すぐ楽しんじゃえ!という感じ。先述した、菅野よう子の魅力である構成力に繋がるところであります。また、この曲はマクロスF曲の中でもハーモニーが通常の楽曲のハーモニーより強めに出ており、このトップボーカルに負けることなく遠慮しないハーモニーが同時に力強く鳴っているところが耳にとても心地よい楽曲です。サビのB♭から動く「E♭9」で、ちゃんとテンションが用いられている点が、抜け目のないというか、どこを聴いても美しいなと思います。内声の「レ→レ♭→ド」の動きも美しい。よく聴くとBPM=205の16分でシンセが高速で小刻みに鳴っているところも面白いです。止まることを知らずに動き続けるベースも魅力的。1:23~で無線の会話やエンジン音も一瞬あったりとエフェクトにも富んだ作品で、2分音符でスケール的に鳴る高音シンセも歌詞にある星を表現しているようで、どこまでも見事な楽曲だなぁ、と感服するばかりです。

10曲目「放課後オーバーフロー」

放課後オーバーフロウ

放課後オーバーフロウ

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マイナーから始まるイントロとその後のメジャーとの対比が美しい楽曲です。Bメロの特徴的なリズムや、3:16~8分音符のアクセントとそれと絡み呼応するドラムソロも聴きどころです。リハモや2番Bメロで「君を」のリズムのパターンが変化する点など、飽きさせない工夫もされています。
全体的にギターが低音で鳴るフレーズも多く、この手法はマクロスFでもそれはもう非常によく使われている手法で、この曲も違わず使用されている点も、マクロスFの楽曲の1つであることを示しています。

12曲目「娘々FINAL ATTACK フロンティア グレイテスト☆ヒッツ!  ノーザンクロス~虹いろ・クマクマ~ライオン~ユニバーサルバニー~オベリスク愛・おぼえていますか

名の通り、長さ、構成力ともに最強の楽曲の1つです。

ストリングスを基調とした「ノーザンクロス」に始まり、名曲が続々展開されていきます。続く「虹色・クマクマ」ではシェリルも加わっています。
更に、ライオンはベースが細かく刻まれていたり、テンポも通常よりもアップしており勢いがついています。一度ライオンに戻りますが、あの有名なフレーズも聴こえてきます。4:44~では「愛・おぼえていますか」のフレーズは聞き逃がせません。
ユニバーサルバニーへのつなぎへの転調が、単純な転調というより「転調!転調!!転調!!!」の転調の嵐でこれでもかというくらい転調しているのが気持ちがいいです。続くランカもハモっています。サビ直前の「泣いてた天使がほら悪魔」をランカが歌っている箇所など、ランカファンにとってたまらないと思います。メドレーならではの醍醐味です。続く「オベリスク」は「劇場版 マクロスF ~イツワリノウタヒメ~ ユニバーサル・バニー」に収録されている代表楽曲でアルバムを越えてこちらでもそのアレンジver.を聴くことが出来ます。メドレーですが、アレンジにも富んだ、菅野よう子のストーリー構成力が光る1曲です。


余談ですが、この楽曲は7:30もあるロングナンバーなのですが、更に長い「娘々スペシャルサービスメドレー(特盛)」もあります(構成は大きく異なります)。物足りない方はそちらも是非。

13曲目「サヨナラノツバサ」~the end of triangle~

難易度最高ランクの楽曲。映画の代表曲ポジションです。
モーダルなAメロ、どこかプログレッシブなBメロのミニマルなリズム、サビの単純な8ビートではなく、部分的に8分が後ろに移動しているビートも最高にクールです。全体的に、フラムが多様され、スネアもハイピッチ、特にタムも他の楽曲よりハイピッチまで聴こえるのがこの楽曲の躍動感にも繋がっています。ドラムの推しポイントとしては、4:08~のドラム16分の最高にクールなフィルインは必聴です。4:55~からは「放課後オーバーフロウ」のDメロを絡めています。このような、「他楽曲のモチーフの援用」はマクロスFで非常に多様されている手法です。

14曲目
「ホシキラ」

ホシキラ

ホシキラ

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激しい楽曲が多い本アルバムの中で、癒やしになる「ホシキラ」。
Bメロの転調の技がとても自然で、プロすぎて真似できません。1番はストリングスとピアノを主体し、2:09~から入るドラムが一層盛り上げます。シンプルながらも、力強いサビは一度聴けば忘れられません。イントロのメロディーがアウトロにも使われている美しい構成です。

15曲目「dシュディスタb」

dシュディスタb

dシュディスタb

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イチオシの楽曲です。多幸感に溢れる本当に本当に最高の1曲です。
歓声に始まるイントロ、4つ打ちのキック、16分のシンセでライブの世界観の枠組みが出来ています。サビ頭には右スピーカーから発射音が聴こえ、後半頭には左から聴こえている遊び心も忘れずに。

7曲目「Get it on~光速クライmax」

Get it on ~光速クライmax

Get it on ~光速クライmax

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でも挙げたように、積極的に観客の歓声を使用することで、ライブ感を自然とリスナーに溶け込ませている点がマクロスFの楽曲の素晴らしさの一つです。特にこの曲は3:58~に入るシェリルとセリフが特徴です。そしてなんと言っても、この曲を語るに欠かせないポイントのひとつは、4:35~の最後のラスサビだけコードがB→D♯7になるところです。それまではB→Baugであったことに対する、この対比が本当に美しい!このコードが鳴ることで「ラスサビ感」が、今で言う「エモさ」が一瞬でパッと現れる技はまさに天才だと思います。 

17曲目「ダイアモンド クレバス ~ thank you , Frontier」

ダイアモンド クレバス ~ thank you , Frontier

ダイアモンド クレバス ~ thank you , Frontier

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重厚なストリングスで奏でられるダイヤモンドクレバスです。
通常曲に対し、一切ドラムなどのビートがないアレンジになっている点も聴きどころです。最後にこの楽曲がくることにより、アルバム全体をしっとり仕上げるナンバーになっています。以上楽曲の推しポイント語りでした。
マクロスFのアルバムと言えば、「VOCAL COLLECTION 娘たま♀」

は王道of王道ですが、この「劇場版マクロスF サヨナラノツバサ netabare album the end of triangle」も本当に名曲揃いで、洗練された下世話の時代を最高に楽しめますので、是非ご試聴ください!!

 

2.Napple Tale 妖精図鑑(itunesでリンクがなかったのでamazonリンクです)

ドリームキャスト用ゲーム『Napple Tale』のサウンドトラックなのですが、
生楽器で録音されておりかなり豪華です。「はとどけい」から始まる不思議な世界観は、他には聴いたことのないものだと思います。フランス音楽的な印象もある本アルバムは、ゲームをやっていなくても十分に楽しめる名盤で、ラウンジミュージックとしてもおすすめです。坂本真綾さんが好きで「しっぽのうた」は知っているという方は、それが主題歌にもなっている是このサントラも是非聴いていただきたいです。

楽曲のおすすめは、木管を基調にした「Chocolate forest」、マーチでコミカルな「Jumping Cracker」、コミカルなピアノが面白い「たのしいさんすう 」の3曲です。「Jumping Cracker」クシコス・ポストを彷彿とさせますし、「 Skipper」は「ゴリウォーグのケークウォーク」をとてもうまく利用していると思います。このアルバムと対を為す「Napple Tale 怪獣図鑑」もおすすめです。

 

3.アニメ「坂道のアポロン」オリジナル・サウンドトラック