Music Synopsis

音楽に補助線を引く

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music synopsisはアニメ音楽からクラシック音楽など幅広く題材を扱っているブログです。基本的には月1回(多くて2回)更新です。音楽、作品を深く広く、分かりやすく伝えることをモットーにしています。

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伊福部昭のゴジラ音楽に隠された作家性と純音楽

・前置き

日本には劇音楽における巨匠がたくさんいます。stu.ジブリで有名な久石譲

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戦場のメリークリスマスなどで知られ、アカデミー音楽賞を日本人で唯一受賞するなど国際的に評価された坂本龍一

 (19年に書いた拙い記事を一応貼っておきます。そのうちリメイク記事だします)

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ストラヴィンスキーに魅入られるほどの異才:武満徹など、誰もが名前と楽曲を一度は聴いたことがある名作家たちです。伊福部昭もその一人。ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムに足跡と名前を刻むまでに有名になったゴジラのメインテーマを作曲したことで知られています。その一方、特撮映画音楽家としての評価が定着しているがために、広義の意味での作曲家としては評価されにくいというのも事実。なので今回はそういった風潮・思い込み・誤った認識に対して、実は見事なまでに音楽の文脈、学問に沿った存在であり、日本を代表する「作曲家」であるということを読んでいる方々の意識をアップデートさせたいため、経歴と楽曲における仕組み・構造を解説するという、いつもより凝った構成になっています。

 

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今年の生誕日にGoogleにも載りました。

以下本編↓

 

伊福部昭の作曲家の略歴

ペトルーシュカ春の祭典

きっかけで13歳から作曲を始め、そこから経験を積んで1932年に北海道帝国大学農学部林学実科(現・北海道大学)へと入学。そこで文武会管弦楽部へ入り、早坂文雄三浦淳史などと結託し、第一バイオリンの主席奏者を担当。34年には新音楽連盟を結成。ストラヴィンスキー ,ラヴェル,サティ,ルイス・グリュンベルク,アルフレード・カゼッラ,マニュエルドファリャなどの海外作家の紹介するという活動。その一環で演奏をすることがあったらしいのだが、Vin 伊福部、piano 早坂文雄でサティの右や左に見えるもの〜眼鏡無しで

右や左に見えるもの(眼鏡なしで) 1. 偽善のコラール

右や左に見えるもの(眼鏡なしで) 1. 偽善のコラール

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右や左に見えるもの(眼鏡なしで) 2. 手探ぐりのフーガ

右や左に見えるもの(眼鏡なしで) 2. 手探ぐりのフーガ

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を奏でるという、今考えるととんでもない組み合わせの演奏もあったとか

(一応説明を入れると早坂文雄黒澤明の7人の侍や羅生門といった代表作の音楽を担当)
三浦淳史については、伊福部昭は自分を作曲家になる入口となった存在と評しているのでやはり熱い関係と言えるでしょう。

 

35年、日本狂詩曲を作曲。 

日本狂詩曲: I. 夜曲

日本狂詩曲: I. 夜曲

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日本狂詩曲: II. 祭

日本狂詩曲: II. 祭

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それをチェレプニン賞に応募(日本人を対象としたものだが)すると。ここで当時無名であった伊福部昭が一等に入賞。1936年アメリカボストンでセビツキーの指揮、ボストンピープルス交響楽団の演奏によって初演される勢いで国際的評価を獲得。その後チェレプニンの元でピアノの指導を受け、方向性を認められます。チェレプニンは伊福部の才能に惚れまくっていたらしく、当時両親に直談判してプロへの道にと進めたそうです。
1937年 アイヌ文化に慣れしたんだ素養とノスタルジアを詰め込み土俗的三連画を作曲。38年にピアノ組曲ヴェネツィア国際現代音楽祭に入選。

ここまでの経歴だけで単なる音楽作家ではないということがお分かりになったと思います。41年ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲を発表。そして、その後に発表されたヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲

ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲などと改題されたりしています。この楽曲の第1楽章のtutti(fff(フォルティッシッシモ),10~110db内の音の総和)=全奏のシークエンス「ゴジラメインテーマ」でお馴染みのメロディが流れることから(詳しいことは後述しますが)われわれがしっているゴジラのメインテーマはなにも「ゴジラ」だからああ言う音楽というわけでもないのです。そしてこの組み立てがラヴェルの協奏曲の楽曲性に近いと(後半で詳しく後述します)いうことなのです。

捉え方によっては単なる使い回しともいますが() 実際社長と女店員(1948)で既に使われているし。

 

終戦後プロの音楽作家として身を立てることを決意(意外なことに伊福部が専業作曲家になったのは戦後なんです)し、その後銀嶺の花で初映画音楽デビュー、以降300本強の映画に音楽提供をし、数々の名曲を生み出したことは言うまでもないです。 今の人からしたら「東宝怪獣映画の音楽の人」という印象になってしまうのはしかたないのですが、その音楽性はそれ以前に「作家性」としてあったものと言えます。

 

そんな伊福部が映画音楽を作るときに提唱していたものがいくつかあります。

伊福部は映画音楽効用四原則
・正攻法な音付と対位法
・時空間の設定
・画そのものが発してくる音楽的換起
・ドラマ・シークエンスの確立
映画音楽にできることはこの4つしかないと言います。これに関してもう少し説明を加えると

 

・状況の設定

西部劇音楽はエンリオモリコーネ、SWはジョンウィリアムズ、ターミネーターのテーマ「デデンデンデデン」のような音で映像を想起。

・エンファシス

「はい、ここで泣くところですよ〜」と言わんばかりの気分の増幅させる方法

・シークエンスの明確化

A,B異なる場面でも同一の音楽を流すことによって生み出される感動、怖さ、恐ろしさもの。

・フォトジェニー(音と映像の融合体)

久石譲宮崎駿/押井守川井憲次/今敏平沢進/細田守高木正勝/庵野秀明鷺巣詩郎に代表されるアニメ作品によくある。これに関しては

「映画は音楽や効果音、ドラマツルギーを並べても意味はない。それぞれが機能し、時間的に並び立ったときにこそはじめて総合芸術として成立する。画面にはでていないが、どうしても表現したいものを音楽で伝える。」という一文に集約されている。

こういった映画音楽とは何か?ということを経験と知識をもとに理論立てて説明できる人だからこそゴジラ映画に適合する効能音楽を作り得たのだと感じます。

1940年から50年代の伊福部は日本舞踏会を担った代表的舞踊家と組み、目覚ましい活動を展開し、プロメテの火をはじめとする舞踏楽曲を発表.

中でも日本の太鼓"鹿踊り"とプロメテの火が有名ですね。前者は全体を通して音にしろリズムにしろ日本的であり、後者は音はやっぱり文化的だが全体を包んでいるのがオーケストラタッチといった感じ。

 

舞踊音楽《日本の太鼓

舞踊音楽《日本の太鼓"鹿踊り"》 前奏曲

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面白いことに伊福部作品の中でももっとも「伊福部節」を意識せずに聴ける作品だと思う。タプカーラにしろ、リトミカ・オスティナータにしろどこか「伊福部作品のいつものやつね。」といった既聴感はあまりなく、それこそ純音楽としての楽しめる作品である。 その後伊福部昭が追及し続けた先にあった音楽執拗に反復する律動。リトミカオスティナータ(1961年)。

ピアノとオーケストラのための「リトミカ・オスティナータ」(1961)

ピアノとオーケストラのための「リトミカ・オスティナータ」(1961)

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22mにも及ぶ大作。あらゆる楽器が縦横無尽に動き回って音を密集させる中、ピアノは打楽器と言わんばかりの激しさを感じさせるほど音楽空間に張りめぐらす。音の強度が迫り来る伊福部昭の音楽観が惜しげもなく表われている一作。オスティナータがしつこいほど多用されている。そもそもタイトルが「執拗に反復する律動」を指すのでこれだけでもいかにカロリーが高い楽曲は察していただけるであろう。

 

シンフォニアタプカーラ(Sinfonia Tapkaara)
1954年 伊福部昭はタプカーラ交響曲を発表。かつてチェレプニンに「バラキレフだって30年かかった。お前も次はシンフォニーと思うが、そのテクニックではまだ無理があるからもっと勉強してから挑戦」と言われていたが、それが遂に成熟したといえる。伊福部昭の音楽の特徴としてリズム重視とオスティナート(後のミニマルにつながるっていうのは久石譲回で書きました)のふたつがあると思いますが、それが存分に出ている作品である。
op.1番 Allegro    op.2番 Adagio    op.3番Vivace  

※一応わからない人に説明しておくとopはopus=作品という意味です。

シンフォニア・タプカーラ 第2楽章 Adagio

シンフォニア・タプカーラ 第2楽章 Adagio

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シンフォニア・タプカーラ 第3楽章 Vivace

シンフォニア・タプカーラ 第3楽章 Vivace

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冒頭の音運びをのちに孫の伊福部達さんが緊急地震速報で人の耳に残る様式として採用。それらを用いて現在の速報音が作られました。なぜ冒頭の音運びが採用されたのか?それは和音に緊張を与える技法(テンションノート)が採用されていたから.

Cmajor7thに9th♯を足した音C7th(9th♯)とか、

C→C7th→C7th(9th♯)の順で流れる(はず)

で詳しいことはさておき、ここで緊急地震速報の音は先の映像音楽の四原則のうちどれに当てはまるのかを考えてみると。いくらテレビで呑気な番組、バラエティーが放映されていても緊急地震速報の音が流れた瞬間に不安感が煽られる。よってシークエンスの明確化。伊福部昭が提唱した概念を伊福部達は活かしきれているっていうのがいいですよね。効果は皆さんご存知の通り、あの音楽の裏側にはあらゆる理詰めが遺伝子レベルで詰まっているということです。

 

 1,2番の落ち着き具合に比べ(二番もなかなか流動的でありながらメロディアス繰り返しが聴きどころです)、3番はまさに伊福部昭の真骨頂。音楽の三大要素である律動、メロディ、旋律が見事な成り立っている究極系。終盤のピッコロのいじめ具合には笑いが止まらない。まさに一種の完成形、最高傑作。音楽的色彩、律動反復、全ての伊福部音楽に根底する音楽が凝縮。ゴジラと同時期に発表されたこともあり、54年が伊福部昭の音楽人生における絶頂期と考えてもよい。純音楽である「Sinfonia Tapkaara 」と映画音楽「ゴジラ」を発表できるところに、作家としての二面性の両方で結果を出したといえます。私がタプカーラの三部作を聴いて「これはすごい」と思った一つにオーケストラというか、管弦楽曲の形態の在り方として最大の特徴である音の変動と強弱の変化というものを理解して作られているという点があります。音の変動と強弱の変化が象徴的な楽曲といえば、モーリス・ラヴェルのbolero(1928年)や、ホルストの惑星組曲「火星」(1916年),ストラヴィンスキー春の祭典(1912年)といった新古典音楽主義以後であることがわかります。

旧来の親友である三浦淳史氏はシンフォニアタプカーラについてこのようにコメント

 

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シンフォニアタプカーラは日本組曲や日本狂詩曲で青春を燃焼した作曲家が、中年の入口で示した円熟の作品である

この一文を三浦氏が書いてるあたり「音楽人生における絶頂期」という感想は間違っていない。

 

そのほかにも交響曲としては怪獣映画の多くを彩った映画スコアを伊福部昭自身が編んだSF交響ファンタジーなるものを1983年に発表。

編曲の組み合わせはこのようになっています。

 

SF交響ファンタジー第1番

ゴジラの動機
間奏部
ゴジラ」タイトル・テーマ
キングコング対ゴジラ」タイトル・テーマ
宇宙大戦争」夜曲
フランケンシュタイン対地底怪獣」バラゴンの恐怖
 「三大怪獣 地球最大の決戦
 「宇宙大戦争」タイトル・テーマ
怪獣総進撃」マーチ
宇宙大戦争」戦争シーン
「奇厳城の冒険」タイトル・テーマ
 「三大怪獣 地球最大の決戦キングギドラのテーマ
SF交響ファンタジー第2番

キングコングゴジラ」格闘音楽

モスラゴジラ」聖なる泉
 「大怪獣バラン」タイトル・テーマ
三大怪獣 地球最大の決戦」山岳音楽
 「キングコングの逆襲」逃走音楽
キングコングの逆襲」エレメントX
「サンダ 対 ガイラ」自衛隊マーチ
「空の大怪獣ラドン」飛行音楽
「サンダ 対 ガイラ」自衛隊マーチ
SF交響ファンタジー第3番

怪獣総進撃」タイトル・テーマ
キングコングの逆襲」メカニコングのテーマ
キングコングの逆襲」愛のテーマ
 「海底軍艦」テーマ
 「キングコングゴジラキングコングの輸送
キングコング 対 コジラ」格闘音楽
海底軍艦」マーチ
地球防衛軍」マーチ

この楽曲はsf東宝怪獣映画で手掛けた音楽+αをつなぎ合わせているものだが、特撮音楽という先入観なしで聴いても曲調、メロディすべてが伊福部の音楽で紡がれているのでこれでもかというほどに伊福部節が堪能できる楽曲です。とっつきやすさ、入門楽曲としては最適です。

 

ここまで読んでいただければ分かるように伊福部昭本人からすれば初代ゴジラ(1954)はあくまで請負った仕事の一つでしかない。しかしゴジラとい映画その後日本を代表するコンテンツになってしまったが故にどうしても「ゴジラの作曲家」というようなある種のレッテル貼りされてしまった作曲家というわけです。独学で学び国際的に「音楽で」評価されたという意味で伊福部昭という存在は非常に大きいし、その偉大さをゴジラのメインテーマだけで留めるにはあまりにももったいない。

 

では次に、そのゴジラの音楽におけるあれこれに移ります。

ゴジラ音楽についての諸々

ゴジラメインテーマの元ネタとして挙がる一曲にラヴェルのピアノ楽曲があります。

モーリス・ラヴェルのピアノ協奏曲3楽章prestro 

であることは上述の流れで汲み取れる。(ある程度のクラシックの素養がある方はすでに気づいているかもしれませんが)、脱線しますが、この曲もストラヴィンスキーホルストっぽいのがまた音楽ファン的にはツボだったりしますよね。やっぱり1910年代に作られた春祭が後世に与えた影響がでかすぎるなと。

ストラヴィンスキーの特集記事はもう少しお待ちを、、、 

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そんなストラヴィンスキーの音楽を聴いた伊福部昭が「これが音楽たりえるなら俺でもかける」と、豪語したことは有名です。そしてこれを曲解してゴジラのメインテーマ=ストラヴィンスキーという形で語る人がいます。が、これは私が思うにこれはあくまでも作曲家としての動機付けの役割の一つにすぎないのであって、ゴジラのテーマ」

メインタイトル(M2+M1)

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に直結した文脈の中で考えるのは半歩ずれてると思ってます。音楽性がストラヴィンスキーの系譜というのは間違っていない。が、ことゴジラのメインテーマに関してはラヴェルとの共通性を出さないことには始まらない。というより、ストラヴィンスキーに影響を受けたラヴェルに影響を受けたという言い方にしないと文脈に合わない。極端すぎる。ようするにこれは

「現在のポップスは全てビートルズが〜」

「全ての音楽はバッハありき」

「漫画家は手塚治虫影響を必ず受ける(映画の撮影技法を漫画に持ち込んだと言う点で我々が想起する漫画を描こうとした時点で手塚の真似になるっていう意味)」

「ファンタジーものを書くと必ずトールキン指輪物語のモノマネになる」

「ファンタジーの発想もとは全てケルト

「物語の大本の元ネタは聖書だ」

「ミステリーのキャラクター造形元祖はポーのデュパンとその相棒の役割をもつ事件の記述者「私」」

※コアなミステリーファンの人は「おいおい、実在した人物で世界初の曰く付きの探偵フランソワ・ヴィドッグが原点だろ にわか乙」っていうツッコミを喰らいそうだから先手をうっておく。

 

といった「そりゃそうだけど、生まれる時代的に受けざるをえないじゃん」レベルの話をしたってなんら話は進まない。もっと明確に補助線を引くべきであって、それを今回に倣えて「ストラヴィンスキーに影響を受けたっていうのを伊福部昭楽曲」で語るのであれば怪獣大戦争のテーマを挙げるべきである。

怪獣大戦争マーチ(M23)

怪獣大戦争マーチ(M23)

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最近の人にわかりやすく例えるとシンゴジラ無人在来線爆弾の時に流れる音楽と書いた方がわかりやすいかな

試聴だと途中からなのでわかりにくいですが「冒頭」のメロディは怪獣大戦争のテーマに流用されています。伊福部流の編曲が施されてるだけで。

パストラール

パストラール

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 「ストラヴィンスキーの楽曲性」は確かに切っても切れないくれいの影響がありますが、それ自体は別に伊福部昭だけでなくジョンウィリアムズもそう

 

 この複合和音がもたらす破壊力を限りなくそのまま再現したであろう(まぁなんで春の祭典をチョイスしたのかにも裏話はあるのですが)ジョーズのテーマ

Main Title / First Victim

Main Title / First Victim

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その他ジョンウィリアムズの作家性の一部についてはこの記事を参照してください

凄い脱線になるのですが、スターウォーズのメインテーマって知られざる作曲家コルンゴルトの嵐の青春からの引用ってことに気づきました。

 

メイン・タイトル (エピソード IV:新たなる希望)

メイン・タイトル (エピソード IV:新たなる希望)

  • ジョン・ウィリアムス作品集
  • サウンドトラック
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King's Row

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 そもそもこのタイプの曲は全部ワーグナーワルキューレの変化球なので引用云々だなんだっていうより、ワーグナーの音楽性がそういう繋がりで生きているっていうのはこれまた面白いなと思うばかりです。ニーベルングの指環スターウォーズの作品構造も同じというのは知られたことですが、音楽性もかなりワーグナーが元になってるという印象ですね。思い返せばもともとフォースのテーマのあの感じは

魔の炎の音楽の13:00~のメロディからとったものだし

 閑話休題
 ホルストもそうだしラヴェルや、その他数多の作曲家がそう。ただ、それを全体にかかったような風潮や言い草は大袈裟である。少なくとも=で語ってしまうのは。あくまで影響を受けた作家のうちの一人である。ましてや特定の作家に対して当てる言葉ではないというのが正しい認識であろう。

話を元に戻します。ゴジラテーマにおける技法に関してですが、いくつか列挙しますとあまり知られてませんがメインテーマは音の進行にフリギア旋法が用いられています。

  • フリギア旋法...Eを起点としてた音階(E F G A B C D E) ミファソラシドレミ

有名な作劇のネタはゴジラのメインテーマでは旋律に旋律を重ねるやりかたであるオスティナート技法が採用されています。金管楽器群の音が重なってメロディが繰り返されるというあのラインにはそういった施しもある。そのほかもゴジラの鳴き声なども伊福部昭によるもの。「哺乳類はどうやっても哺乳類、鳥類はどこまでいっても鳥類。そこでコントラバスの弦の横振動を使うことにした。弓の代わりに松脂を塗ったなめし革の手袋で縦に引っ張る。すると振動しながら張力が変化し、複雑な音になる。」この思考回路というか適材適所に音の引き出しをピンポイントで出せるところが頭のいい人だなぁと感じます。

 

また余談になりますが、以前ストラヴィンスキーの音楽性に伊福部を絡めた番組がありましたがなんとも言い難いレベル。いや、ストラヴィンスキーの音楽という意味での特集性はあったのですが、伊福部昭をダシにする必要性というのがあったかといえば全くなかったわけで(映像シーン20秒くらいという短さ)。洋楽を惜しげもなくパクリ切った米津楽曲Orion,Loserのプロデュースでお馴染みの

www.nhk.or.jp

蔦谷さんをゲストに招いてという形でしたが外れでしたね。単に時間が足りない&そこまでの需要がない&単にそこまで詳しくないってだけかもしれませんが。

(ただしストラヴィンスキー とジミヘンのpurple hazeと絡めていたところは面白かった)

 閑話休題 

つまり、「伊福部昭ストラヴィンスキーの影響でゴジラ音楽を〜」と言い切ってしまうのも早計である。

単にストラヴィンンスキーに影響を受けたのではなくそこからさまざまな作家を経て伊福部昭にたどり着くと。そうでなければ、ゴジラのメインテーマがもつ音楽性は説明できない。ではどういった潮流なのか、浅知恵ながら順序立てていくと少なくともこの流れだと推測する。

 

ニコライ・リムスキー=コルサコフ

アレクサンドル・チェレプニン、ストラヴィンスキー 

マヌエル・デ・ファリャ

伊福部昭

 

コルサコフはいわゆる芸術音楽に貢献したロシア五人組の一人でもありますね。
ミリイ・バラキレフ 

A Farewell to Saint Petersburg: No. 10, The Skylark

A Farewell to Saint Petersburg: No. 10, The Skylark

  • Julian Jacobson
  • クラシック
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Islamey, Op. 18

Islamey, Op. 18

  • Alexander Paley
  • クラシック
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ツェーザリ・キュイ

意外に作品が知られていないのがツェーザリ・キュイ。ヴァイオリンとピアノの組み合わせば抜群に上手く、なおかつ情緒的な楽曲ばかりなのでぜひチェックしてください。

 

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モデスト・ムソルグスキー

説明いらないと思いますが、一応書いておくと展覧会の絵の作曲家


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まぁ今回の場合こっちを紹介した方がはやいか

交響詩《はげ山の一夜》

交響詩《はげ山の一夜》

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余談ですが、このサムネの指揮者アンドレア・バッティストーニのシリーズは全部いいので気になる人とかクラシック好きな人は通してみてはいかがでしょうか

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アレクサンドル・ボロディン

ボロディンもかなり有名な大家ですので説明不要かと思いますが、イーゴリ公を作曲した方です。


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ニコライ・リムスキー=コルサコフ

 この人も超有名ですね。シェエラザードで。

リムスキー=コルサコフ:シェエラザード Op. 35 - I. The Sea and Sinbad's Ship

リムスキー=コルサコフ:シェエラザード Op. 35 - I. The Sea and Sinbad's Ship

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そしてこの異常なまでのロシア作曲家の流れを見ればわかる通り楽曲的な意味合いはもちろん、伊福部がアイヌの文化性に影響を受けたと言う点含め非常に興味深いですね。

ストラヴィンスキー以降に台頭したマヌエル・デ・ファリャという作家についても少しだけ触れましょう。恋は魔術師や三角帽子などが有名です。ラヴェルストラヴィンスキー ときて伊福部昭の音楽を構成する最後のラストピースがファリャ。

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バレエ音楽「三角帽子」/1.序奏

バレエ音楽「三角帽子」/1.序奏

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バレエ音楽「三角帽子」/3.行進

バレエ音楽「三角帽子」/3.行進

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 それぞれの楽曲を聴けば、民族音楽や印象的音楽の潮流をどこかしらに感じられる。ドビュッシーとは生前親友ということもあり、そういったことからもやはり影響はあると考える。その後発表する歌劇「ペドロの親方と人形芝居」「クラヴサン協奏曲」

歌劇「ペドロの親方と人形芝居」: Scene 1. Entrada de Carlo Magno

歌劇「ペドロの親方と人形芝居」: Scene 1. Entrada de Carlo Magno

  • Jennifer Zetlan, Perspectives Ensemble & Angel Gil-Ordonez
  • クラシック
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歌劇「ペドロの親方と人形芝居」: Scene 1. La Corte de Carlo Magno

歌劇「ペドロの親方と人形芝居」: Scene 1. La Corte de Carlo Magno

  • Jennifer Zetlan, Perspectives Ensemble & Angel Gil-Ordonez
  • クラシック
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歌劇「ペドロの親方と人形芝居」: Scene 3. El suplicio del moro

歌劇「ペドロの親方と人形芝居」: Scene 3. El suplicio del moro

  • Jennifer Zetlan, Perspectives Ensemble & Angel Gil-Ordonez
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になると「はいはい、春祭、春祭」っていうほどに露骨なストラヴィンスキー寄りの楽曲になったりします。ただこの二曲でファリャの功績、、というかアプローチのやり方で面白いのはチェンバロをメインに持ってきてメロディを奏でるという、考えてみればあんまりやってない手法だなぁと浅学の自分でも唸りました。これらのことから分かるようにつまりファリャは新古典音楽主義以後の作曲家の先鋒であり、印象派を取り入れている点などを考えると、ドビュッシーを系統していた伊福部昭はファリャも通っていると考えるのが自然である。

 

余談ですがファリャ氏はよほどドビュッシーが好きだったのか

ドビュッシーの墓に捧げる賛歌

ドビュッシー墓碑銘のための賛歌 G.56

ドビュッシー墓碑銘のための賛歌 G.56

  • Jerome Ducharme
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ドビュッシーグラナダの夕べ

版画/2.グラナダの夕べ

版画/2.グラナダの夕べ

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をオマージュするのが、クリエイター魂を感じさせてくれて作品としてはもちろんクリエイターとしてもいいですね。

 

 

音楽活動以外にも、教育者としても有名で東京音楽学校(現在の藝大)で講師を担当したことでも知られており、門下生(弟子)には芥川也寸志、奥村一、黛敏郎、石井眞木、原田甫、眞鍋理一郎など、のちの大家となるような存在に教鞭を取っていたという点も興味深いです。教育者としての伊福部昭については今回の主題に外れるので本来の意味で割愛します。

 

以上伊福部昭の音楽作家としての紹介でした。いかがだったでしょうか?書き手としてはまだまだ伝えきれてないところはある(今回紹介したのは代表曲に過ぎないため、もっと語り口は他あるが)のですが、最低限の範囲はカバーできたのでよしとします。本流の作曲家として評価されないのは時代の流れもあったのかなと書いていて感じました。

 

わかりやすい映画音楽(作家)と管弦楽の関係性やクラシック音楽からの文脈など、今回紹介した作曲家群は小中高で習う音楽知識(若干延長部分がある)が大半だったのでそれらの延長上のものとして読めると思うのでとっつきやすい内容だったと思います。

 

本記事を読んで伊福部昭を「ゴジラ映画の人」ではなく、「弦楽器、オーケストラや舞曲などが本流の人」であるという認識に変われば幸いです。相変わらず長い記事になりましたが、いつものことなのでご愛嬌ということにしてください。 

 

 

 

最後に伊福部昭が音楽活動をする中でさまざまな名言

(もしかしたら誰かの引用の可能性もあるけど)

を残しているので紹介します。

  • ブラームスは第一交響曲を24年かかってかきあげた。バラキレフは32年かかった。真の創作とは生が長いものである
  • 音楽は音楽以外の何者も表現しない
  • 優れた音楽は必ず平明で理解しやすい
  • すべての芸術はその民族の特殊性を通し、共通の人間性に到達
  • 作者が自己の感性に忠実であれば必然的に伝統の意識から遁れることはできない
  • 文化と伝統の裏付けのない芸術は誕生しえない」
  • 作曲はその人感覚が大事。音楽理論、常識は大切だけど、感性を遵守することで自分にしか書けない音楽が生み出せる。
  • 真にグローバルたらんとすれば真にローカルであることだ

個人的にした二つがお気に入り。

 みなさん今後の糧にしてください(投げやり)。

 

謝辞&参考文献について

日本の音楽家を知るシリーズ 伊福部昭

日本の音楽家を知るシリーズ 伊福部昭

  • 作者:小林 淳
  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
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略歴とゴジラに関する音のhow toや伊福部昭の音楽人生が精緻に書かれている「伊福部昭の映画音楽」から引用いたしました。刊行当時から愛読している日本の音楽家を知るシリーズより伊福部昭編も相当読み込みました。この場を借りて著者の小林淳さんに感謝いたします。ありがとうございました。この記事で作曲家:伊福部昭に興味を持った方はぜひ上二つの書籍を読んでください。奥行きが広がります。三冊目からは緊急地震速報ゴジラ音楽関係性、そしてシンフォニアタプカーラの3章がのイントロが元になってる点を引用いたしました。「ゴジラ音楽と〜」は伊福部云々を抜きにしても本として楽しい一冊なので目を通しておくといいです。

 
  

それではまた次(があれば)の記事で。

 

 

 

 

レイ・ハラカミによる不思議な音楽

長谷川白紙について延々考えていたんですが、何処か既聴感があるなと思いつつ年間ベストに入れて活躍を期待しているところなんですが

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 最近、その感覚がわかってきまして「ああ、音楽表現がレイ・ハラカミで、それをポップス化したものなんだ」というところに着地しました。レイ・ハラカミ 彼の名を聞いたことがある人は少ないと思う。悲しいことに40歳でこの世を去っているからだ。imoutoidにしろ

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レイハラカミにしろマイナーな世界で独自の世界を紡ぎ出せる鬼才に限って亡くなってるのは寂しいですよね。

しかし彼が残した音楽作品はどれも一品級である。Unrest/Opa*q/Red Curb/lustなど傑作ばかり。そんな彼の音楽の良さを一つでも伝えられたらなという趣旨の記事です。

Unrest

Unrest

Red Curb

Red Curb

わすれもの

わすれもの

opa*q

opa*q

[lust]

[lust]

 

エレクトロニカというジャンルにおいて(そこまで詳しくないが)明らかに異質な音楽性を提供している。音の動きと、加工の仕方や、楽曲における展開、無機質さ、リバーヴの奥行きなどが耳にスッと入って「聴ける」。柔らかなメロディラインに沿った音楽を作っているが不思議なもので果たしてメロディなのかと思うくらい不安の余韻が引き出される音調など全てが「掴めない」作品ばかり。例えば

Cape

Cape

  • レイ ハラカミ
  • エレクトロニック
  • ¥255
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2 Creams

2 Creams

  • レイ ハラカミ
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Pass

Pass

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などの楽曲群を聴けばわかるが「こういう楽曲です」と形容するのが難しいことがわかる。passぐらいならギリギリといったところか。

初期のアルバム『Unrest』はテクノの味付けが感じられます。

Vice Versa

Vice Versa

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Unrest

Unrest

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Objective Contents

Objective Contents

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 この中では表題作にあたるUnrestがお気に入りです。飛び飛びな音使いにに余韻がついてる感じや奥深くで繰り返しなってるちょっと不気味なメロディ (といっていいのかはわからんが)の調合性がマッチしている。Objective Contentsは実験的だなぁと思える作風が好きです。bioscopeやcode

Bioscope

Bioscope

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Code

Code

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みたく最初のノリで最後まで突き進まない。合間合間に横道に逸れるけど最後は、、っていうのがObjective Contentsのいいところ.

after bonusはレイハラカミ作品の中でも掴み所がある作品なので、より一般向きです。

After Bonus

After Bonus

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一つの音がアラウンドな動きをするという音楽ではなかなか見られないvも聴き心地、応え共に満点です。

Wreck

Wreck

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次点トラックのrhoはwreckの進化系という流れできけるのでセットで流しましょう

Rho

Rho

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二作目の『Opa*q』はアンビエントなどわかりやすい作風も盛り込まれておりますがそれ以上にジャズとプログレっぽいなと感じられる作品です。その意味で1stからジャズ的アプローチを踏んでいるのかもしれない。

Poof

Poof

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Double Flat

Double Flat

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Schw Schw

Schw Schw

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 本作の中で一番レイハラカミしてる楽曲は

Chromatic Cliff

Chromatic Cliff

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 になるのかなぁ。

 

一番評価が高いと目されている3rd作品:red curb。評判に違わず1,2作目よりも世界観が安定しつつ攻めている楽曲が多いです。

Red Curb

Red Curb

 

 

The Backstroke

The Backstroke

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  track2からこれ

The Backstroke

The Backstroke

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 複雑な音の重なり、不協的だが聴けてしまうという、一貫した捉え所のなさ等初期作から進化してることがわかります。wreckの究極系と言えるcapeなども収録されている。打点的な音運び含め脳に刺激的な作品です。

Cape

Cape

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 かと思えばwrestのようなビートの刻みがメインな楽曲をある。メロディの余韻とリズムが象徴です。中盤でうねうねと逸れていく感じも絶妙で、聴いてる側が唸ってしまうくらいよくできてる。

Wrest

Wrest

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 うって変わった楽曲。Remain

Remain

Remain

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 こんなかんじという例えを出すのであればnujabesのreflection eternalに近いのかな。

reflection eternal

reflection eternal

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 ローテンポでメロディアスという定番な組み合わせですが相変わらず味付けとしての音はレイハラカミ節が決まってます。

 

 ・Trace of red curb decicated from rei harakami

このアルバムはリアレンジと別の作家によりリミックスと新曲、という配列です。 

remixではput off and otherが一推し。

Put Off and Other (Remixed By Matsuo Ohno Assisted By Yasuto Yura)

Put Off and Other (Remixed By Matsuo Ohno Assisted By Yasuto Yura)

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大野 松雄さんという音響技師(テレビ版アトム時代の人)が担当されているのですが圧巻のクオリティです。

新曲とでいうとこちら

Led Curve Again

Led Curve Again

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Lobe

Lobe

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 だんだんとメジャー的なサウンドになってきます。比較するわけではないがimoutoid的な音楽らしさが出てきます。 特にled curveに関してはこのくらい主張が強いとジャズだ〜っと思い切って言えるくらい正直さがあります。二曲に通ずるのは意図的な意味でディレイ的な歪みが入り混じって、だんだんと晴れていくところですかね。

 

 ・lust

[lust]

[lust]

 分かりやすさ、聴きやすさの総合値で言えばlustが一番です。なので入門としてこれからがいいと思います。

Joy

Joy

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lust

lust

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 とポップさ溢れる曲が続き次点で上二つを足したような楽曲 Grief&lossへ

Grief & Loss

Grief & Loss

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Owari No Kisetsu

Owari No Kisetsu

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と続きます。owarinokisetuは言わずと知れた細野晴臣の楽曲のカバーでなんとレイハラカミさんが歌っています。 正直歌はメインではないです。ただ、レイハラカミにかかると原曲がこんなにも変わるのかというギャップ、ビフォーアフターに息を呑みます。あとサカナクション味が感じられるので「山口一郎もフォロワーなんだなぁ」という発見もできます。

 

after joyになると強烈なサウンドの踏み込み型でくるのでシンコペーション的とでもいいましょうか。一度に耳に入ってくる情報量が多いです。

After Joy

After Joy

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 Last night

Last Night

Last Night

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はギターの加工音(?)が主体のサウンドでミニマル要素が強い作品です。パーカスの音付でメロディ+になっている点がいいなと感じます。

 

approach 

Approach

Approach

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はEDM調が強いといのが第一印象。こんなにもわかりやすくていいのかと思ってしまうくらいに。その意味ではlustの中では凡作ですね。

 ラストを飾るFirst period

First Period

First Period

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 も結構なミニマルで飽きるが。 が最後の一音で評価が180度変わってしまった。意表を突かれるとはこのこと。

 

事実上の遺作となったアルバム「わすれもの」

わすれもの

わすれもの

原点にかえって自由に作っている感じがしてたまらない作品群です。

一曲面のにじぞうから 

にじぞう

にじぞう

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あるテーマ

あるテーマ

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 など、このわけのわからなさこそレイハラカミ音楽であると再認識できる作品になっています。と同時におむかえ

おむかえ

おむかえ

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 では技巧的な面を見えてきます。

 最終楽曲

さようなら

さようなら

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 では愛のロマンス的ギター

愛のロマンス

愛のロマンス

  • ドナルド・ウィノースキー
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 の軸に好き勝手エレクトロニカルにしているところがたまらないです。

 

 

以上、レイハラカミの音楽について自分なりに書いてみましたがいつも以上に抽象化が激しいです。が、どのくらい変わった音楽を作って、それらを後続の長谷川白紙などが受け継いで行ったかというのを読み解くには、役に立てるくらいには魅力を伝えられたと思いますので後は読み手のみなさんが個々で噛み砕いてください。

 

あと記事を書いてみて思ったんですが、今回出てくる作曲家は皆将来を期待されながら不運にも夭折・急逝された人しかいないのが泣けてきますよね。日本人でもここまですごい音楽を作れる人たちがいるんだぞっていう代表みたいな人材です。Nujabes、レイハラカミ、imoutoid彼らが生きてる世界線では一体、どういう音楽が作られていたのかと夢想するだけで悲しさばかりがでますね。では次の記事で会いましょう。

amazarashiと秋田ひろむ 歌詞性と楽曲を再考

書くぞっと思いつつ中々完成まで持っていくことが難しかったamazarashiの特集回。

最初はamazarashiのアルバムレビューを書くつもりでしたが考えていくうちに長い記事になりました。アルバムレビューの範囲は初期〜ボイコットまでを範囲とします。

 

 

絶望からの再出発から

アーティスト,というよりミュージシャンはみんなそうである。と言われればそれまでだが、秋田ひろむは東京のメジャーデビューを目指し、上京をしていた時期があった。ファンの中では有名だが、その昔chameleon life(調べればいろいろ出ます)というバンドで作曲兼コーラスという立ち位置で、レーベルからも声がかかったが、いろいろあってしかし都落ち。そこからの再出発し、数々の姿形を変えて(star issue とか,あまざらしとか)それらを経てやっとamazarashiということはまずは踏まえておきたい。だからこそ歌う詩に含蓄がでるというものである。なんだかんだ失敗続きでも20代で成功しているようなパターンではない。アニソンだと大石昌石が近いと思う。サウンドスケジュールで一部では評価されたが、大いなる爪痕を残せなく、ひたむきに夢をおった先にジャパリパークととんとん拍子のスターというようなあの感じ。


歌詞から読み解くバックボーン・テーマ性

歌詞を見ながら聴きたい曲が、今いくつあるだろう

少なくともワンルーム叙事詩前後でこれを提唱していることから、秋田ひろむは音楽よりも歌詞に重きを置いている作家であることは自明である。編曲の大多数を出羽さんが担当されていることからも、やはり楽曲の妙というか、こだわりは一任している印象を受ける。

 

ざっくりではあるが秋田ひろむが書く詩から以下のように分析できる。

【主に参照しているであろう作家】

中原中也/別離、サーカス、我が生活

太宰治/桜桃、駆込み訴え

寺山修司/寺山修司の幸福論・書を捨てよ町へ出よう・あゝ荒野

小林多喜二/蟹工船

宮沢賢治 /銀河鉄道の夜・よだか

どの著者も言わずもがなという大家です。

 

 ・中原中也

さよなら、さよなら!
  あなたはそんなにパラソルを振る
  僕にはあんまりまぶしいのです
  あなたはそんなにパラソルを振る

別離(青空文庫)より引用

amazarashi少年少女より

さよなら さよなら
せめて笑いながら手を振った 

この歌詞に通ずるところがあります。

他にも

幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処ここでの殷盛さか
    今夜此処での一と殷盛り

山羊の歌より「サーカス」(青空文庫)より引用

 amazarashiのナガルナガルより

幾時代かがありまして 悲しいことが起こりました
もう 知らない振りはできないよ 僕らは知ってしまったから

あからさますぎて、こちらは誰もが気づいたと思いますが、まぁこういったところに中原中也からの影響があります。

 

小林多喜二

小林多喜二蟹工船プロレタリア文学であることと秋田ひろむの基本的歌詞性の本質が弱者救済であるというのは偶然ではない。その昔「あまざらし 闇の中 〜ゆきてかへらぬ〜」という楽曲が蟹工船のトリビュート楽曲を無名時代(というよりあまざらし時代)に公募の中から見事に発掘されていたりするしここは絶対に抑えている。

 割と近いことを↓のインタビューで感じました。

news.yahoo.co.jp

秋田)

この歌詞は、自分が選ばれなかった少年だとしたら、社会から見放された人間だったら、自分は自殺するタイプだと思っているんです。同じように、他人に怒りを向ける人もいると思うんですよ。ナイフを持った少年はまさにそうした状況を描いているんですが、やはり自分の報われない状況を描いたんだと思います。強烈にもがいているというか、amazarashiの曲はラストに小さな希望を入れています。曲を書いているなかで、答えは見えないですけど自分なりの希望が欲しいと思っているんですよ。最後の歌詞で、自分なりの希望を見つけることができた、完成だ、という作り方をしていて。それだけに、一番自分の苦しい部分を描いています。

 

 

宮沢賢治

アーティスト全般にイメージソースを与え続ける宮沢賢治からの影響はスターライトやよだかの星などの楽曲から言うまでもなく。メジャー版スターライトはそれこそアレンジが効いていていい曲なのは間違いないのですが、ギターとピアノだけの音源もシンプルでありながら、力強く歌う秋田ひろむの声が聴けていいものです。(比べるとアレンジで変わったところや歌い方に差異がみれて面白いです)

スターライト

スターライト

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よだかの星

よだかの星

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 ・太宰治

太宰治からは「言葉の切迫性」という点に尽きると思います。それは人間失格を読んで衝撃をうける「言葉のマジック」と呼ばれている物ではなく、読み手にあまりにも正直な「俺がいいたいこと」が文章になった時の流動感のことを指します。amazarashiの歌詞の迫力はこういったところの影響が強いと感じます。具体例を2つあげます。

申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、ひどい。酷い。はい。いやな奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。

駆込み訴え(青空文庫)より引用

死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。

 晩年の「葉」(青空文庫)より引用

上記の例からわかるように言葉、詩の勢いというものにamazarashiの歌詞と通ずる側面であることが分かる。太宰治からの影響元は、中原中也宮沢賢治に比べてより具体的な言及がないのが意外ですが、歌詞全体を考えた時に一番意識しているのは実は太宰治だということが考察できます。

 

そのほかにも読み取れる部分があるが、寺山修司からの影響はかなり強い。

分かりやすいものの一つとして夜の一部始終という楽曲で「寺山の詩集」と書いてしまうくらいの正直さがある秋田ひろむ。それがもっと顕著になったのが 「たられば」という近年の作品の歌詞の構造。ありがちの型といえばそれまでだが、寺山修司を敬愛しているという事実から思うに「幸福が遠すぎたなら」という詩からの引用と考えるのが適正であろう。


www.youtube.com

 

幸福が遠すぎたら/寺山修二 

さよならだけが 人生ならば
また来る春は 何だろう
はるかなはるかな 地の果てに
咲いている 野の百合 何だろう

さよならだけが 人生ならば
めぐり会う日は 何だろう
やさしいやさしい 夕焼と
ふたりの愛は 何だろう

さよならだけが 人生ならば
建てた我が家 なんだろう
さみしいさみしい 平原に
ともす灯りは 何だろう

さよならだけが 人生ならば
人生なんか いりません

その他にも

アノミー

寺山修司の『アダムとイヴ、私の犯罪学』がモチーフになって出来た曲です。1966年の作品なのですが、それが今を舞台にしたらどうなるだろうと考えてたのがきっかけです。普段ニュースを見て感じるような不安感だとか、そういうものの根っこにあるものを知りたいと思って歌にしました」

natalie.mu

というような作品モチーフまでしてしまいます。

──絵画や映画、小説など、音楽以外で影響を受けたものはありますか?

寺山修司太宰治。自意識過剰な人間だったので、やり場のない自意識の置き場を教えてもらった気がします」

同インタビュー記事でこのように話しているところ見ると秋田ひろむの中では 大枠としては太宰で、歌詞のチョイス、楽曲世界観が寺山からの引用という構造が私の結論。

 そしてこれらの世界観を尾崎豊的な歌唱をで歌うからこそ語りのポエトリーが余計に機能する。

 

 

 

次に音楽的アプローチ・エッセンスで考えてみよう

よく言われるのはブルーハーツですが、ポエトリー要素と言う点ではTHA BLUE HERBからの影響を公言しています。

www.cinra.net

秋田:あんまり詳しくはないんですけど、THA BLUE HERBとかRHYMESTERとか好きです。最近小林勝行さんの“108 bars”という曲を聴いて衝撃を受けました。

 

古いsf映画という楽曲で

古いSF映画

古いSF映画

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映画を参照する節は(この曲の場合ブレードランナー(定番な元ネタなんですがね))

未来世紀日本などを発表したところからの影響だろう。

未来世紀日本

未来世紀日本

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music.apple.com

言ってしまえばアーティストはみんなディストピアを意識した楽曲をつくりがちで、この曲もただそれだけなんですが(オーウェルの「1984」とか、ハクスリーの「素晴らしき新世界」、ザミャーチンの「われら」などのイメージソースを必ず元になってるのはお約束)組み合わせというか、料理のしかたが上手い。ラ・ジュテ(1962年の仏映画)っぽくもあるし、士郎正宗攻殻機動隊木城ゆきと銃夢などが主題としているテーマ性をしっかりと組んでいる。タイトルはテリー ギリアム監督作品『未来世紀ブラジル』(原題:brazil)のもじりだし。ゲッチィングのE2-E4を組み込むところとか巧妙すぎる。マニュエル・ゲッチングのE2-E4はシーケンス、ミニマル、トランスなどあらゆるギミックが詰め込まれた傑作なので是非聴いてください。

E2-E4

E2-E4

 

 と、今聴いてもこのくらいの感想が出るくらいには、未来世紀日本の影響というのは当時の人からすればとんでもなかったであろう。他にもhiphopアーティストからの影響を受けていることが公言されているが、悲しいことに書き手の私があまり詳しくないジャンルなので割愛。

 

 

・ポストロック的なアプローチを考える

聴けばわかると思うが、65daysofstaticのradio protectorの序盤のドラムリズムは

Radio Protector

Radio Protector

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amazarashiの季節は〜に通じる。

季節は次々死んでいく

季節は次々死んでいく

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明日には大人になる君へ

明日には大人になる君へ

  • amazarashi
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 まぁこっちの方がわかりやすいかな。

さて、ここでポストロックがいかなるジャンルかを考えてみようと思う(というより足並みを揃える) 。無駄な説明をしないために考えるな感じろスタイルでいくつか音源を列挙する。

まず一番分かりやすい(メジャーなバンドという意味で)toeがあがる。

past and language

past and language

  • toe
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シガーロスもこの手のジャンルでは非常に有名。

サンプルの試聴でもわかると思うが、ミニマルと通じる繰り返しが多用されている。そこに音を加工したりツイストしたする。そういう音楽という認識で一旦大丈夫。過度なまでの繰り返しがオスティナート、というのは久石特集でのべた。

sai96i.hateblo.jp

ここでポストロックを繰り返し音楽という区分で考えると

オスティナート>ミニマル(音の繰り返し)=ポストロック(音の音色、強弱)

ちなみにポストロックに変則的な音楽を加えるとGhosts And Vodkaとか、nuitoのunutellaなどのマスロックに繋がったりする。

sai96i.hateblo.jp

というのが、大枠の認識として捉えるのが一番分かりやすいのではないか。

そこにはヴェルヴェットアンダーグラウンドの名盤というか神盤(1967)

 

Sunday Morning

Sunday Morning

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Femme Fatale

Femme Fatale

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Heroin

Heroin

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 から始まる歴史があるが、それを語るのはまた今度。

(脱線の話題の方が文章に圧が入ってしまうのはゆるして) 

 

余談だが、65daysofstatic→季節は〜のくだりの指摘が既に Night-capさんによって先をこされてしまった。悔しい。

night-cap.net

これが秋田ひろむの「こだわり」をもって出羽さんが編集しているのか、はたまた出羽さんの趣味なのかはわからないが、amazarashiとして出している音源としてはポストロックバンドの影響を受けていると言える。

 

 ここ数年でamazarashiはメジャーになったことでamazarashiの歌詞を論文の題材にしたものがあり、そこで歌詞から頻繁に使われる用語を解析した表があった。

f:id:sai96i:20210504164122p:plain

http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kokugo/nonami/2020soturon/sakaura.pdf

引用元:amazarashi 秋田ひろむの歌詞における表現特性(P9)

これを出現回数値が近い単語で分けると

(人、言う、生きる)  100回以上

(今、笑う、死ぬ、世界、見る)80〜99回

(夢、夜、泣く、言葉、歌)70~79回

(自分、無い、歌う、今日、思う、明日、人生)60~69回

(終わる、涙、全部、一つ、消える、知る)50~59回

(過去、忘れる、風、分かる、心、僕、手、街、空、未来)40~49回

(全て、できる、綺麗、続く、信じる、呼ぶ、嘘、愛、夏、変わる、悲しみ

人間、顔)35回~39回

 

こうしてみると、対義語などが目立つ。生きると死ぬ、笑うと泣く、過去と未来

全部と一つ、今日と明日など これらは「絶望を歌いつつ、それでも」が単語単位として現れていると考える。また、一見出現回数の多さに目が行きがちだが、40-69回に出てくる単語の方がamazarashi味を感じるのは、80~100以上が大枠として言いたいテーマに対して、ディティールを表現する用語だからと推測する。

 

 

 アルバム群レビュー

ではこういった作風・作家性を踏まえた上でアルバムを紹介します。

mini album

光、再考

f:id:sai96i:20210424222026j:plain

1.光、再考
2.少年少女
3.真っ白な世界
4.隅田川

5.ドブネズミ
6.未来づくり

「神様なんてとうの昔に阿佐ヶ谷のボロアパートで首吊った」

という歌詞から漂う異質感の光、再考もあれば、少年少女などのamazarashi史観を通しても屈指の名曲が収録。物語性というより読ませる歌詞構成、単語の秀逸さが光っている。冒頭が

「彼女はきっと戻らない」 

からはじまり

「思い出なんて消えてしまえ」

 

まででの歌詞に深みを(安っぽい言い回しだが)感じることができるのだと思う。隅田川star issueの時代からある楽曲で、そっちで歌っている方が、荒々しさがあるが、あまざらしでの歌唱では、尖さえないものの、語尾の発音などがしっかりしてる分、曲として聴きやすい。全曲ハズレなし。

 

0.6(0.と同じ内容)

amazarashi 0.6

amazarashi 0.6

  • amazarashi
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1.光、再考

2.つじつま合わせに生まれた僕等

3.ムカデ

4.よだかの星

5.少年少女

6.初雪

 

やはり初期は名曲揃い、既出の楽曲以外でも「つじつま合わせに生まれた僕等」が収録されている。最近はハンターハンターにも流用されるくらいには有名ですね。それくらいメジャーな曲です。初雪では、ピアノが雪を表現しながら、秋田ひろむの一生懸命うたってるけど、途中で声が裏返る、声帯の拙さが聴ける一曲もある。

 ムカデはいいですよね。東京喰種を書いた石田スイはこの曲絶対好きだろうし、これを通して季節は次々〜をオファーしたまであると考える。

後年

神様僕はわかってしまった

 の歌詞は、神様、僕は気づいてしまった。とちょっとペンキで上乗りされた形で、某バンド名として意味を成してきます。他のアーティストがバンド名につかってしまうくらいの文章を書いてしまう秋田さんは偉大ですね。


爆弾の作り方

爆弾の作り方

爆弾の作り方

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1.夏を待っていました

2.無題

3.爆弾の作り方

4.夏、消息不明

5.隅田川

6.カルマ

 

秋田ひろむの作曲絶頂期すげーっと感じる一枚。爆弾の作り方と、夏を待っていました

無題が3連発とかいう奇跡。

爆弾の作り方

爆弾の作り方

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中でも爆弾の作り方は、タイトルもそうですし

「薄弱なアイデンティティ

「虚無的なイデオロギー

 

などの厨二っぽさがありながらどこか意味ありげな感じの歌詞がいいですね。この曲はテンポと歌詞が連動している感じが耳に良く、何度でも聴きたくなる楽曲ですね。

夏を待っていました

夏を待っていました

夏を待っていました

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は、物語調を意識しすぎた感じがして好みではないのですが、編曲の好き度でいえば上位にきます。

無題

無題

無題

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 は、一度成り上がるものの、描きたいことを描いたら、人が潮を引くように去ったという歌詞が抜群だなと。歌詞上では最後に彼女も戻りますし。

 


ワンルーム叙事詩

ワンルーム叙事詩

ワンルーム叙事詩

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1.奇跡

2.クリスマス

3.ポルノ映画の看板の下で

4.ポエジー

5.ワンルーム叙事詩

6.コンビニ傘

7.真っ白な世界

 

まだまだだぜ、と秋田ひろむがさらなる高みの作曲力で作られたミニマルバム。もうここ前後だけで完結してもいいのではないかと思うほど。ミニアルバムながら、歌詞の魅力が十二分に詰まった傑作です。

 

 

冒頭から

奇跡

奇跡

奇跡

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 展開、歌詞の壮大さ、どれをとってもいい。「それをいちいち悔やんだって〜」から始まる、宇宙まで展開する。3m36sからの助走リズムからの盛り上げ方。初期楽曲の中ではつじつま合わせに匹敵するポップソング。ピアノのアップテンポさと、ドラムのリズミカルな要素がここ付近から強めというか、顕著に出てて面白いです。

 

 

クリスマス 

クリスマス

クリスマス

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イントロは「the クリスマス song」っぽいですよね。この曲はエッセンス性という意味では意味のあると思います。「小さいものでも、重なれば大きくなる」 というのはありきたりではありますが、その後言い回しを変えてamazarashiの歌詞に出てくる感じがします。その他に

「ミサイルが飛ぶ」

「汚れた僕が汚した世界」

 

といった言葉選びがamazarashiというか、この頃の秋田ひろむだなと感じられます。

 

ポエジー

ポエジー

ポエジー

  • amazarashi
  • J-Pop
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amazarashiのポエトリー楽曲。今も、時たま出しますが、この頃のポエトリー楽曲は秋田ひろむの牙剥き出しの歌唱で言葉の鋭さが聴けるのでいいですよ。

 

ワンルーム叙事詩

ワンルーム叙事詩

  • amazarashi
  • J-Pop
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冒頭から

「全部嫌になったからこの部屋に火をつけた」

 

からのサビで

「燃えろ 燃えろ〜」

 の下りと

「サイレンの音でふと我に帰った、帰るべき我があることに驚いた」

 

など、ワンフレーズの強度がamazarashi楽曲の中でもかなりのもの。

 

 

 


アノミー

アノミー - EP

アノミー - EP

  • amazarashi
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1.アノミー

2.さくら

3理想の花

4ピアノ泥棒

5.おもろうてやがて悲しき東口

6.この街で生きている

 

アノミー


www.youtube.com

 

「そんなら この神経過敏な愛で 救えた命があったか?」

 

「神様なんて信じない 教科書なんて信じない 歴史なんて燃えないゴミだ 道徳なんて便所の紙だ」

などの歌詞から分かるように、暴力性が強い。ykbxさんのアニメーション動画との協和性がいい。

 

さくら 

さくら

さくら

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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アノミーとは打って変わって柔らかな楽曲であるものの、、タイトルとは裏腹に書いてある内容が暗い。

「僕らの旅を青春なんて名付けて過去にすんな」

 

という歌詞がお気に入りですね。

曲的にも、奇跡と同様、最後に盛り上げる構成がうまい、僕は歌う 歌うっというのが切迫感があっていいですね。 

 


ねぇママ、あなたの言う通り

ねえママ あなたの言うとおり

ねえママ あなたの言うとおり

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1630

1.風に流離い

2.ジュブナイル

3.春待ち

4.性善説

5.ミサイル

6.僕は盗む

7.パーフェクトライフ

 

まぁこの中でなら、性善説でしょう。

性善説

性善説

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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全体の風景をマクロ的な視点で語るっていう意味ではつじつま合わせのリメイクというか、同種、同じ匂いがします。

「僕は僕を保つのに精一杯で、そのくせ誰かの肩にもたれていた」

 

の一文の凄さ。人間の悪性を、詩に落とし込んでいるのは秋田ひろむだからこそ表現しえたものだと思います。

 

ジュブナイル

ジュブナイル

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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 ジュブナイル=少年少女。というのは今更書くことでもないが、まぁ、それにしてはあまりにも本質をつきつつも、それでもやっていけっという冷や水応援歌みたいな曲。

「どうせ誰も助けてくれない それを分かって始めたんだろう」 

 

この文は、刺さる人にはかなりダメージを与えるのではないでしょうか?

 

 


あんたへ

あんたへ

あんたへ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1528

1.まえがき

2.あんたへ

3.匿名希望

4.冷凍睡眠

5.ドブネズミ

6.終わりで始まり

7.あとがき

 

あんたへ

あんたへ

あんたへ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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 人生の失敗=積木で遊ぶ子供という言い回しからとれるように、定番ともとれる応援歌なんですが、挫折から立て直した秋田ひろむが言うとなんだか説得力を感じたり。次作のミニアルバムが虚無病と考えると、あんたへまでがフェーズ1(2010-13)と考えられる。

秋田:“あんたへ”を自分自身がひさびさに聴いて、すごい励まされた感じがして、これはちゃんとアルバムに入れたいなと思ったのが最初です。そこから考え始めて、アルバム全体で何か伝えるということをできないかなと思いました。“あんたへ”自体は自分に向けて作った歌だったんですが、今の僕だったら外に向かって歌えるんじゃないかと思いました。

本来、自分宛に書いた楽曲を他者に発信する側に立つくらいには自信がついたと考えていいでしょう

 

虚無病

虚無病 - EP

虚無病 - EP

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1222

 1. 僕が死のうと思ったのは

2. 星々の葬列

3. 明日には大人になる君へ

4. 虚無病

5. メーデーメーデー

 

まぁ16年にもなるとamazarashiもメジャー街頭に出てきた頃なので、初期に比べると微妙な曲が増えたなという時期ですが、その中でも明日には大人になる君へと、メーデーメーデー、なにより提供でありながら「僕が死のうとおもったのは」をだせる勢いはいいですね。作家性が強い秋田ひろむが他の歌手に曲を提供するとここまで鬱屈したタイトルになるんだとおもったりしました。

 提供先

 

僕が死のうと思ったのは

僕が死のうと思ったのは

  • 中島 美嘉
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 セルフカバー

僕が死のうと思ったのは

僕が死のうと思ったのは

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 やっぱりシンガーソングライターの提供曲は作曲者の歌声じゃないと満足できないケースが多いですね。決して中島美嘉の声がダメというわけではなく、その人の声で成立している世界観を醸し出してるアーティストが提供する曲はどれも本人が歌ってないから物足りなさを感じずにいられない。最近だと菅田が米津楽曲をうたうくらい違和感がある。

 

この時のインタビューの発言をみるに、初期のテーマからは脱却したからこそ、14.15年くらいからamazarashiは新しいフェーズに入ったというのは間違ってないと考える。

ーー初期の歌詞には、自殺を連想させるものが多く見受けられました。しかし最近では、人生を肯定するような曲が増えてきたように思います。これはどうしてでしょうか?
死にたいとは思わなくなりました。amazarashiの初期にあった「自分を肯定する」というテーマはもう達成したと思います。

meetia.net

 

Album

 

千年幸福論

千年幸福論

千年幸福論

  • amazarashi
  • ポップ
  • ¥2139

 1. デスゲーム

2. 空っぽの空に潰される

3. 古いSF映画

4. 渋谷の果てに地平線

5. 夜の歌

6. 逃避行

7. 千年幸福論

8. 遺書

9. 美しき思い出

10. 14歳

11. 冬が来る前に

12. 未来づくり

 

初期テイストが詰まった作品。黎明作品でありながら、佳作以上傑作未満の作品だと考える。カルピス原液はあるが、もう少しレベルの高いところへ行っていたら傑作と言えた。が、原液の濃度さでいえばダントツなので、そこに酔えるひとはこのアルバムを「好き」という評価をしていると思います。4.7.9がおすすめです。

 

 ラブソング

ラブソング

ラブソング

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

1. ラブソング

2. ナガルナガル

3. セビロニハナ

4. ナモナキヒト

5. ハレルヤ

6. アイスクリーム

7. アポロジー

8. カラス

9. ハルルソラ

10. 祈り

アーティスト、楽曲名をカタカナにしがち症候群に罹患している作品。嫌いじゃないけどあたり曲はないと思う。ラブソング、ナモナキヒトだけはamazarashiだからこそ作れる楽曲だと思いますが、つじつまなどと同レベルかといえば、そこまでではない。

 

夕日信仰ヒガシズム

夕日信仰ヒガシズム

夕日信仰ヒガシズム

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

 

 1.ヒガシズム

2.スターライト

3.もう一度

4.夜の一部始終

5. 穴を掘っている

6. 雨男

7. 後期衝動

8. ヨクト

9. 街の灯を結ぶ

10. 生活感

11. ひろ

12. それはまた別のお話 

 

傑作。名盤といって差し支えがない。第一にあたり曲が多すぎる。12曲中、少なくとも6曲はあたり(スターライト、もう一度、穴を掘っている、雨男、ヨクト、ひろ)

スターライト

スターライト

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
もう一度

もう一度

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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穴を掘っている

穴を掘っている

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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雨男

雨男

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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ヨクト

ヨクト

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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ひろ

ひろ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

スターライトはどん底時代に、自分を鼓舞するために作られた楽曲。「涙は、通り過ぎる駅だ」という一節からもその感じはわかると思います。

──光を感じさせるサウンドとメッセージが光る「スターライト」。amazarashiとしては比較的ストレートに聴き手を鼓舞してくれる楽曲はどんな思いで紡ぎだされたのでしょう?

これはアマチュア時代からあった曲で、作った当時は半分引きこもりのどん底でした。先も見えない生活の中で、自分を鼓舞する為に作ったんだと思います。

銀河鉄道の夜をイメージソースにしながらも、amazarashiの世界になっているところがいいですね。曲の明るさ、ポップさなど込みでamazarashi入門の一曲には最適です。


www.youtube.com

 

 

雨男はブルーハーツ通のamazarashiが「未来は僕らの手の中 」を歌詞に入れるとこの感動や、ずぶ濡れになりながらも前に進むことを強く歌った点など全てにおいて秋田ひろむだからこそ作詞できた歌詞。「雨曝しだが、それでも」というそもそものコンセプトに直に向き合った作品なので別格です。

──個人的にすごく胸に響いたのが「雨男」でした。鬱々とした日々を過ごしながらも、わずかな光を手繰り寄せるように生きていく――そんなリアルなメッセージはamazarashiの真骨頂のような気がします。こういった楽曲は変わらずあふれてくるものですか?

amazarashiらしい曲というか、amazarashiが得意な形の曲だと思います。二番の友達との件とかは実際にあった事で、そういう心を動かされる瞬間があるうちは、こういう曲を作り続ける事が出来ると思います。

ひろ、では19歳で亡くなった友人へのレクイエムとして捧げられてますが

「何度も挫けそうになった事 実際 挫けてしまった事」

 

という自身の挫折の告白歌詞や、対比的な構造の意味では一番、二番で

「それが悲しい お前はまだ19歳のまま」

 

と締めているのに対して最後に

「僕は歌うよ 変わらずに19歳のまま」

 

で結びとなるのがいいですよね。

 

初期のミニアルバムから千年幸福論までがフェーズ1ならヒガシズムから2に入った感じがします。

 


世界収束二一一六

世界収束二一一六

世界収束二一一六

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

1. タクシードライバー

2. 多数決

3. 季節は次々死んでいく

4. 分岐

5. 百年経ったら

6. ライフイズビューティフル

7. 吐きそうだ

8. しらふ

9. スピードと摩擦

10. エンディングテーマ

11. 花は誰かの死体に咲く

12. 収束 

 

タクシードライバー、多数決、季節は次々死んでいく、ライフイズビューティフル

しらふ、エンディングテーマ、花は誰かの死体に咲く、吐きそうだなどの名曲連発

 

タクシードライバーは風景が想像しやすい絶妙なタイトルと歌詞。冒頭の効果音で運転手の話声をいれることによって、曲の世界観をよりわかりやすく提示している。センスがあるなーと思う一作。

タクシードライバー

タクシードライバー

  • amazarashi
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  • ¥255
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多数決

多数決

  • amazarashi
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 タイトルの2116(リリースから100年後)年からわかるようにアルバムのコンセプトは100年後の未来に何を選択するかということだが、それが色濃く反映された楽曲。

 

ライフイズビューティフル

ライフイズビューティフル

  • amazarashi
  • ロック
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秋田ひろむの歌手としての責任というか覚悟というか一生を書き出しながら、世の非情を表した一曲。色々あるけど人生は美しいという帰結をするのはamazarashiだからこそ。

 

 

スピードと摩擦

スピードと摩擦

  • amazarashi
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 これは、先述したヒップホップを聴いてるのが活きた曲かなと。

歌詞は命題があって結論があるというよりは、ひたすらに情景描写と心理描写を叩き付けていく、極めて衝動的なものだと感じます。最初に浮かんだイメージを、どのように膨らませていきましたか?

 

この曲は外枠ありきで考えていて、ずっと韻を踏む、言葉数の区切りもずっと同じ…みたいな感じで、詩の定型を始めに考えて、そこから歌詞とメロディーを考えました。長めの川柳みたいなイメージです。言葉の単調な繰り返しの中から“スピードと摩擦”というテーマを思い付きました。疾走してるんだけど、どこか危ういような、それは人の生き方にも通じるような気がしたので、それをテーマに作りました。

okmusic.jp

 

花は誰かの死体に咲く

花は誰かの死体に咲く

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 つじつま合わせの

「その上に花が咲くなら それだけで報われる世界」 

を主軸に描いた楽曲。

人類が誕生し約七百万年 今日までに死んだ人の全ての遺体が
土に埋まってんなら 君が生きてる町も 世界中どこだって誰かの墓場なんだ

抱きしめたあの人も 向かい風の嘲笑も 讃えられる事なかった君の勝利も
一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く

綺麗でもなんでもねえ 命が今日も笑えば
人の傲慢の肯定 逃れられぬ命を 逃げるように生きてよ
笑い合えたこの日々も 失くした日の痛みも なんとか死にきれそうなこんな人生も
一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く

 ある種の死生観 が語られている(詰まっている)曲であり、収束がこの次のトラックにあることから、しっかりと線をつなげていることがわかります。

 以上のことから、このアルバムはurakさがあるamazarashiの世界観と共存している感じがたまらなくして大好きです。だからこそ

前作に劣らずの傑作。私はヒガシズムと本作「収束」どっちかが最高傑作と思っているのですが、なかなか決めきれない。

 

ちなみに同業者はこのように評価しています。

多分ここで激論になっていたというのは各楽曲が一つに統合していく構成のことを指しているのであろう。

 

全体的にバランスがいいヒガシズム と、ダークな楽曲で統一された「収束」どっちをとるかで変わる。

music.fanplus.co.jp

 


地方都市のメメントモリ

地方都市のメメント・モリ

地方都市のメメント・モリ

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1. ワードプロセッサ

2. 空洞空洞

3. フィロソフィー

4. 水槽

5. 空に歌えば

6. ハルキオンザロード

7. 悲しみ一つも残さないで

8. バケモノ

9. リタ

10. たられば

11. 命にふさわしい

12. ぼくら対せかい

 

本作からフェーズ3だと思ってる。ヒガシズム、収束 と傑作続きであったのに対して、平均的なアルバムと感じる。全体的に軽い。ヒガシズム、収束であったような引き込まれる重量感サウンドもない。全体的に毒素が抜けた感じで個人的にあまりのれない。

たられば、命にふさわしい、フィロソフィーの3曲意外、ぱっとしない。

たられば

たられば

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命にふさわしい

命にふさわしい

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フィロソフィー

フィロソフィー

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空洞空洞は歌詞の切り口はさすがだがもう一歩欲しい。リタは微妙。

この曲調なら数え歌の音源のほうが格段に優れてる。

空洞空洞

空洞空洞

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リタ

リタ

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数え歌

数え歌

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 水槽は、ポストロックらしさが出てる曲という解釈もできるけど、そんな楽しみ方ができるのはそう言う文脈を知ってる人だけだし。その意味ではあんまり面白くない曲。

amazarashi文脈でいえば夏、消息不明の流れか。

夏、消息不明

夏、消息不明

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空に歌えば 

空に歌えば

空に歌えば

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なんてヒロアカの主題歌だからこそのアップテンポ&王道な形がある(ローカライズがうまいとも言えるが)だけなのでamazarashiだからこその曲にはなってない。(そもそもヒロアカの主題歌がamazarashiってどういうチョイスだと思うけど)途中のポエトリーはファン的にはいいけど初見の人は「なにこれ」ってなるだろうし、秋田ひろむ意外が歌ったら絶対合わないやつ。

そう言う意味で商業楽曲としてどっちつかずで振り切れてない。

natalie.mu

 

バケモノ

バケモノ

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 語尾をずらした箇所をするとradの有心論に聞こえてくるのは良いんだか悪いんだが。

 

 
ボイコット

ボイコット

ボイコット

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1. 拒否オロジー

2. とどめを刺して

3. 夕立旅立ち

4. 帰ってこいよ

5. さよならごっこ

6. 月曜日

7. アルカホール

8. マスクチルドレン

9. 抒情死

10. 死んでるみたいに眠ってる

11. リビングデッド

12. 独白

13. 未来になれなかったあの夜に (long edit)

14. そういう人になりたいぜ

 

評価が難しい。なんというか、黒すぎ(暗すぎではなく)なんですよね。初期amazarashiの荒っぽさでもなく、中期テーマの完成されたコンセプトに沿った統一性も感じられなない。月曜日、さよならごっこ、独白だけはいいですけど。

 

月曜日

月曜日

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さよならごっこ

さよならごっこ

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独白

独白

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夕立旅立ちとか、amazarashiがこれまで作ってきた楽曲というよりかはbumpとかが出すような曲調だし。この曲を、他の曲の面々(曲調)があるなかでいれるのはちょっと違和感を感じる。

「帰ってこいよ」には極めて純粋な故郷へのノスタルジーを感じます。ついでに言えば、「夕立旅立ち」にも同じ匂いを感じます。故郷から離れたい、帰りたい、愛する、嫌う、そうした感情は交互にやって来る気もしますが、今の秋田さんはどの位置にいると思いますか?

僕はもう地元の青森で暮らし出して長いので、地元を離れて頑張る人を見守る「帰ってこいよ」のほうが今の気持ちに近いです。「夕立旅立ち」は故郷を離れる若者の歌で、上京する時の昔の僕の気持ちが色濃いです。故郷に関しては、僕の中で消せないテーマです。

であるのであれば、拒絶がテーマの「ボイコット」には合わないんじゃないと思ったりします。 

 

未来になれなかったあの夜に

未来になれなかったあの夜に (Long Edit.)

未来になれなかったあの夜に (Long Edit.)

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 も、タイトルからして直接的すぎる。秋田ひろむなら「未来になれなかったあの夜に」をもう少し別の言葉で包んで欲しかったと言う印象。

 

独白

独白

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 キラーチューンならぬ、キラーリリックというべきか、それほどまでに秋田ひろむの主張が詰まっている。最たるところは

言葉は積み重なる 人間を形作る 私が私自身を説き伏せてきたように

一行では無理でも十万行ならどうか
一日では無理でも十年を経たならどうか

これはメッセージボトル(ベスト盤)発売の時に

全ての曲に対して強い思い入れがある為、収録曲に関してはとても悩みました。結果、今後歌い続けるであろう曲たちを選びました。
未だamazarashiと出会ってない人の為の一枚、というふうに考えております。

「メッセージボトル」というタイトルは、アマチュア時代に始めて主催したイベントのタイトルです。
その時の僕らの歌は宛のない手紙であり、願いであり、SOSでした。

あの日漕ぎ出した僕らの歌の漂着地点が、今のリスナーです。
そしてここから、今日からの船出の無事を祈って、未だ見ぬ人に出会えるよう願いを込めて「メッセージボトル」

どうか誰かに見つけてもらえますように。

秋田ひろむ氏のコメントより引用
www.amazarashi.com

この過程のことを指していると考えられる。

 

が独白に関しては曲の評価とは別にライブ演出があったにせよ

独白(検閲済み)

独白(検閲済み)

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こんなゴミ見たいな音源をシングルで売ったあとでアルバムで出されてもなと思ってしまう側面もある。。やり方が汚い。曲・歌詞がすごくいいから余計に。デタッチメント的にこれはこれでいいとはさすがに割り切れない。

 

死んでるみたいに眠ってる

死んでるみたいに眠ってる

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 法律を破りたい いい人なんか報われない
ホールデンとかディーン・モリアーティ 車を盗んで逃げ出したい

 この文学読んでます感の歌詞が笑いを弾きますよね。

ホールデンといえばホールデン・コールフィールド(ライ麦畑でつかまえて)しかない。

相変わらず、サリンジャーライ麦を好むアーティストの多さよw。

 

ライ麦ビートルズのジョンレノンも好きだった。そして彼を暗殺した犯人がホールデンに影響された人物というは皮肉だ。

ディーンモリアーティはジャック・ケルアック路上の小説の主人公だろ。で路上の新訳はオンザロード(ハルキオンザロードを彷彿とさせる) 

 

オン・ザ・ロード (河出文庫)

オン・ザ・ロード (河出文庫)

 

 

ハルキオンザロード

ハルキオンザロード

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路上はいわゆるヒッピー族に愛された書。要はカウンターカルチャーなわけだ。

自由奔放にアメリカを横断する主人公と悪友が社会から外れた生き方をするけど結末は主人公がディーンを見捨てて終わるという、アメリカンニューシネマ的。

アメリカンニューシネマとは、簡素にいうと、若者の反抗を描いた作品。

社会なんてしらねー 俺は自由にいきるぜやっふー→最後死ぬ

ていうのが、ざっくりとした特徴。

明日に向かって撃て俺たちに明日はないイージーライダーなどが代表作品。

路上はイージーライダーに近いかな。どれも名作なのでみてください。すると大体ニューシネマの型がわかります。

ビート・ジェネレーション(米文学の運動みたいなもの,ビートたけしのビートはここから)首魁、というか経典とでも言うべきか。アメリカでは非常に影響力があり、ボブディランもその中の一人。そんな彼も今ではノーベル受賞者(16年に文学賞を受賞) ってところが時代を感じますよね。

 ポエトリーリーディングという小説音読する文化もここらへんから始まっている。そしてこれがamazarashiと通じてないはずがない。

色々書いてしまったが、歌詞からこの流れの匂いを感じずにはいられないので書きました。それだけでもこの楽曲歌詞に意味はある。

 

 

 

 

 

 

以上、amazarashi考察&総括記事でした。いつもなら楽曲の側面から切り崩せるのですが今回に限って歌詞性が強いため、その根元を辿ってという作業をするのが大変でした。

(書き直しの回数では言えばダントツ)いままでのamazarashiの考察記事は数多あれど大半が「太宰治寺山修司に影響を受けている」とか「宮沢賢治中原中也などの世界観を落とし込んでいる」といった表層の部分しか書いていなく、それらを読んでいる自分としては「ディティールの面でいくらか書きようがあるだろ」ということで、 書いてみました。音楽的方向では先取りブログが一つあったのが悔しかったのですが、持論をなんとか展開できたのでよしとします。以下、気になる人だけ読んでください。

 

 

 

 

Neruzarashiについて(本編おまけ)

最後にneruzarashiについてほんの少しだけ

NeruというボカロPがいるが、彼の世界観の構築要素の8割はamazarashiからの影響ということで間違えないが、ボカロを通して発表したことで新しい可能性を提示したという点ではやはり評価されるべきだと思う一方。(wowakaがnumber girlのスタイルやzazen boysの半透明少女関係、テスラは泣かないのパルモアをボカロでリブートした結果新しい潮流が生まれたように)

透明少女

透明少女

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パルモア

パルモア

  • テスラは泣かない。
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www.youtube.com

 

 


www.youtube.com

誰もがわかる影響を「頑なに」公言しないのはもったいないというか、しょうもないプライドにこだわっていると思う。マンウィズの曲を真似た時も割り切って「影響を受けました」と言ってしまえば罵詈雑言もある程度治ったものの変なポエムを投稿するだけであった。挙句、内容、楽曲性の差異はあれど、神様、僕は気づいてしまった。なんてコピーバンドをやってしまうくらい(ディスというより、覆面、垂れ幕ライブなど含めamazarashiフォロワーという意味)好きなわけだ。

だからこそ、「神様、僕はわかってしまった」からの引用を散々指摘されるのは、分かりきってるのだから予防線として言っときゃいいのにとも思う。断っておきたいが、別にパクリがだめとは言ってない。

パクる行為そのものはあらゆるクリエイターがやっていることだからむしろするべきで非難することではない。それは 

sai96i.hateblo.jp

 記事である程度書いた。再教育(oath signからのパクリ)にしろ、かなしみに溺れる(夏を待っていました)にしろ、あそこまでの曲を既存の曲をパクるだけで作れるのも才能の一つであることに違いはないし実際にニコ動でもかなりの支持を集めた。ただ、そこにリスペクトってものがあって然るべきという話。実際、Neruは過去にamazarashiのツイートをしていた(画像がみつからないのが個人的に残念)のにもかかわらずツイ消しで逃げたわけだし。

 

 自分が言いたのは

 これくらい潔くなければ(とはいいつつwowakaも発表当時はわりと危ない感じではありましたが自分の音楽に自信をもてるようになったからこそのこのツイートがあるはず)

 

これはamazarashiのファンである補正込みの意見として読んでいただきたいが、秋田ひろむがamazarashiで発表した世界観というのは、ボカロPも参考にしてしまうくらい大きいのではないかと思う。先述の通り、Neruは間違いなくそうだし、カンザキイオリもそうだし

e-talentbank.co.jp

この楽曲は、ファーストアルバム「白紙」のリード曲として制作しました。

音楽を通して経験した苦悩をそのまま表現した曲になっています。

自分は amazarashi というアーティストが好きで、高校生ぐらいの時に作っていた過去の曲は、そのamazarashi さんを真似た曲ばかり作っていました。

 

まふまふもneruのフィルターを通して結構受けてんじゃねーの(少なくとも聴いてるだろうな)と思う。まぁまふまふは方向性としてはamazarashiに影響を受けたNeru(というよりamazarashi的厭世的な世界観をボカロに落とし込んだ音楽性)にほれたたちだと思うので間接だが。まぁ、少なからず後世のアーティストへ(主にネット世代に)影響を与えているよって言う話でした。

 

 

 

 


 

VOWWOWと人見元基

人見元基(本名:人見典明)というヴォーカリストをご存知ですか?80年代に渡英したバンドVOWWOWのボーカルであり、その異質なまでの歌唱力は今なお色あせることなる評価を獲得している別格な存在。っと私は思っている。テレビ番組の歌うまで一位をとるような歌手よりも、断然上手いです。(こういう言い方は失礼ですが)というか、その手の番組でピックアップされないことのほうが不満とおもったり。それはさておき

 

VOWWOWは海外に勝負した数少ないバンド(loudnessと同時期)でLoudnessがTHUNDER IN THE EASTで

THUNDER IN THE EAST

THUNDER IN THE EAST

アメリビルボードにランクインしたのに対してVOWWOWはアルバムVIBEで、全英チャート75位の結果を残し、国内では30万枚の売り上げました。しかしそれ以上に人見元基という存在が84-90年という短い間ながら音楽シーンにいたというのが私とっては凄いことだと言える。なぜなら彼ほどのvo.はそれ以降現れていないからだ。他の歌手とは一線を画す英語の発音の上手さや、ビブラートのかけかた(ディストーション)、音域の広さ、表現力、どれをとっても破格、別次元といって過言ではない。それらの魅力を伝えるために、まずVOWWOWが発表した六枚のアルバムを簡素に紹介します。

アルバム第一作

BEAT OF METAL MOTION

Beat of Metal Motion

Beat of Metal Motion

  • Vow Wow
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・Break Down 

Break Down

Break Down

  • Vow Wow
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一曲目から強烈。というのもこの曲は日本語と英語の歌詞が入り混じってるタイプの曲なんですが、人見さんが歌うと全部英語に聴こえてしまうほど(よく聴けば日本語なんですが)で、この曲だけでネイティブさというか、母国語と英語の差がパッとわからないところに発音の凄さっていうのが伝わるはず。曲も途中のキーボード厚見玲衣のメロディが泣かせますよね。のちに重厚なバラードでいきてくる魅力がここで片鱗をみせていると言って過言ではない。

 ・Mask of Flesh

Mask of Flesh (Masquerade)

Mask of Flesh (Masquerade)

  • Vow Wow
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beat of metal motionの中で一番かっこいいと思う楽曲。 1m37s~の声の豪快な上がり方、そして山本恭二よろしく、ギターソロ、そしてバトンタッチするかのような交代で厚見玲衣が技巧を走らせる。たまらない。アウトローまで流動的なまでのかっこいい楽曲です。

 ・Sleep In a Dream House

Sleeping In a Dream House

Sleeping In a Dream House

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

ローテンポの楽曲だからこそ人見さんの声がより印象的に残る楽曲。声域の広さはこの曲を聴くだけで充分わかると思います。あとこの曲は「泣かせ」のギターメロディが印象的。山本恭二さんがその手のプロというか達人なので後の曲になればなるほど印象深くなると思います。

 

二作目

CYCLONE

Cyclone

Cyclone

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥1681

このアルバムで象徴的なのはこの曲

Love Walks

Love Walks

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

重々しいギターに時たまはいるバラード的展開の交差。ここに歌いかたの差がある。

ここがこの曲のいいところ。後述するが人見元基の歌唱ルーツにもつながるいい点がある。その他にもシャウトが聴ける(3m45s付近)。これがたまげるんですよ。live版で聴くと音響もあって音源以上の感動が味わえます。残念ながら音源がなかったのでAmazonのリンクを貼っておきます。

ハード・ロック・ナイト

ハード・ロック・ナイト

  • アーティスト:VOW WOW
  • 発売日: 2006/09/29
  • メディア: CD
 

 この二曲はセットで語るべきですね。 

Need Your Love

Need Your Love

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes
You Know What I Mean

You Know What I Mean

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

二曲とも主軸がボーカル。ブルース的な歌い方をしているのが明確である。この歌い方こそ人見元基のある種本質であることが、次作で明らかになる。

 

 

三作目

III 

III

III

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥1528

多分、私だけでなくほとんどのファンが最高傑作にあげるであろうアルバム。

酒井康(BURRN!初代編集長)をもって94点という評価を勝ち得たことからも評判が高いことがうかがえるし、本作以降世界に売っていく方向に舵をとるわけですから。VOWWOW全体を通してもこのアルバムの完成度は異常なまでに高いのである。しかも日本人が歌っている楽曲というのがより凄い。このクラスのhr/hmアルバムは世界的にみても中々ないと思う。それくらいあたり曲が多い。

・Go Insane /Shot In the dark

Go Insane

Go Insane

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes
Shot In the Dark

Shot In the Dark

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 

 

・Shock Waves

究極のバラード楽曲。ここにきて人見元基は実はブルースが下敷き畑の人だということがよく分かる。Shock Wavesのような情緒的な楽曲に厚みを持たせて歌わせる表現の仕方がブルース系楽曲の表現であると。厚見玲衣のキーボードが貢献しすぎているくらい役割が大きいとも思う。そこに荒々しい含みを持たせて歌っているものですから、バラードの極地みたいな楽曲といって差し支えないんですよ。そしてオールタイムベストバラードがあるとしたら、絶対入れてしまう。

Shock Waves

Shock Waves

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

・Pains of Love

ためて爆発するタイプの楽曲なんですが、やけに声の伸びが聴けるのがいいですね。また、サビ手前の抑揚なんて表現の塊&シャウトなどから分かるように人見元基の全てが凝縮された一曲でもあるわけですよ。

Pains of Love

Pains of Love

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

四作目

V

V

V

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥1528

 前作があまりに凄かったので、それに比べると凡ではありますが、それでもクオリティは高いし、ベースにはのちにブラックサバスに行くニールマーレイが加入しているという。そのため本アルバムのベース安定している。本作で重要な二曲はこちら

・CRY  No More

Cry No More

Cry No More

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 作曲が山本恭二なのにメインはキーボードでブルースを人見さんに歌わせているところが流石わかっているというかなんというか。イントロと違ってアウトローは「I won't cry i won't cry no more」の盛り上がりで曲が終わるのがいい

・Don't Leave Me Now 

Don't Leave Me Now

Don't Leave Me Now

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 作曲:厚見玲衣 作詞/編曲/プロデュース:WETTON JOHN 

という布陣があまりにも凄いなんせキング・クリムゾンのメンバーの一人だからだ(名盤redを手掛けた時期のメンバー)こういった組み合わせが可能になったのも一重に海外展開がある程度成功していたのかもしれないと推測する。楽曲についてだが、やはりアクが強いですね。シンセとベースがメインでギターが抑えめていうところは作曲者が厚見玲衣で、編曲をしたのがベーシストだからかといったところ。この曲のシングルは3週間、全英チャートのtop100圏内に入り、最高位83位という成績を収めました。

f:id:sai96i:20210417183327p:plain

 

 

 

五作目

ViBe

Vibe

Vibe

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥1833

・helter skelter 

Helter Skelter

Helter Skelter

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 かのビートルズの名曲をカバー。

Helter Skelter

Helter Skelter

  • provided courtesy of iTunes

 当たり前ですけど原曲と比べるとロックテイストが加えられてますね。それ以上にキーボードの主張が強いところも聴きどころ。しっかりとVOWWOWの音楽に仕立て上げているところは流石といったところ。

・TURN ON THE NIGHT 

Turn On the Night

Turn On the Night

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

これはVにあった

some where in the Night

Somewhere In the Night

Somewhere In the Night

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

の変化球ですね。作曲が厚見玲衣なので、節がところどころ決まっているとでもいいましょうか。 

 

 

 ・Rock me Now

Rock Me Now

Rock Me Now

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 おそらく最もポップで歌いやすいであろう楽曲(まぁvowの楽曲のカバーとかレベルが高すぎて誰もできないが) beat of metal motionの rock meのリメイク的ポジションの楽曲です。全体的にポップさが目立つのが捉えようによりますが、守りの姿勢と感じてしまう自分にとってはVOWWOWの作品群の中では一番平凡と感じます。しかし本作の英語版は全英アルバムチャートで75位という結果を残しているので、ある程度の評価は漁れていたと考えてもいいでしょう。

f:id:sai96i:20210417183335p:plain

helter skelterという英題でリリース



 

 

六作目

Mountain top 

Mountain Top

Mountain Top

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥1833

本作はボブエズリンといった巨匠をプロデューサーに迎え、アメリカ市場進出をはかったわけですが、その点不十分であったがために空中分解し、バンドは解散し人見さんは英語教師になり、、と現在に至るわけですが、Black Outや、I'm Gonna Sing The Bluesなどの名曲が収録されており、それぞれアプローチが違うもののそこに出てる歌い方などには驚かされるものばかりです。

I'm Gonna Sing the Blues

I'm Gonna Sing the Blues

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 ではpains of loveやshock wavesほどの重々しさはなく、どちらかというと明快なまでのブルース楽曲ではある。それを圧倒的な響きをもつビブラートやハイトーンが味わえるという意味で、人見元基の歌の真の魅力ここにありという内容になっています。

その意味では

Love Someone

Love Someone

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 も近いテイストですね。

 

I've Thrown It All Away

I've Thrown It All Away

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

こちらは山本恭二作曲。流石というべきか、人見元基に何を歌わせたらいいかをわかっている気がする。ブルースにこそ本質があるというのをおそらく山本さんもわかっていたのであろう。そのくらいこの曲は意識的なまでに人見さんの表現に掛けているといって過言ではない。

 

 ・Love Lies

Love Lies

Love Lies

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

これは Love walksのリメイクですね。これはこれでいい気もするのですが、やっぱりLovew walksの方が優れていると思います。より過激になっているという意味ではliesの方がっていうこともできますけど。まぁ、好みの問題ですね。

 

move to the music 

Move to the Music

Move to the Music

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 この曲はSlaghterのカバー楽曲です。

ムーヴ・トゥ・ザ・ミュージック

ムーヴ・トゥ・ザ・ミュージック

  • スローター
  • ハードロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

しかし原曲を食っているようなレベルでVOWWOWのカバーの方が素晴らしい出来ですね。

・Black out

Black Out

Black Out

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

先述した通り本作はアメリカ市場を狙っていたこともあり、楽曲にもローカライズされている節がみられ、本楽曲はまさにといったところ。アップテンポでわかりやすいギターメロディが一貫されているのを踏まえるとこれは「アメリカ人受け」する曲として作ったんだなということがよく分かる。 

ここまでVOWWOWのアルバムを簡単におさらいました。

 

次に人見元基の歌唱はなぜ凄いのか。散々言っているようにバックボーンがソウルやブルースのジャンル畑だからというのが私の結論です。では具体的に誰の歌唱法がベースになっているのかを挙げます。

ロバートプラント(LED ZEPPELIN)

Babe I'm Gonna Leave You

Babe I'm Gonna Leave You

  • provided courtesy of iTunes

 

レイ・チャールズ

If I Give You My Love

If I Give You My Love

  • provided courtesy of iTunes

 

ジャニスジョップリン

Move Over

Move Over

  • provided courtesy of iTunes

 

エルヴィス

Can't Help Falling In Love

Can't Help Falling In Love

  • provided courtesy of iTunes

 

 

ティーヴ・マリオット(humble pie)

30 Days In the Hole

30 Days In the Hole

  • ハンブル・パイ
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

CCRのジョン・フォガティ 

Who'll Stop the Rain

Who'll Stop the Rain

  • クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

こうしたアーティストの歌い方がベースにあるため、低音になると厚みというのが出やすい。そこに、おそらく最も影響をうけているであろうトムジョーンズ

ラヴ・ミー・トゥナイト

ラヴ・ミー・トゥナイト

  • provided courtesy of iTunes

 に代表される迫力ある息遣いやイアンギランのような声量が加わることにより、初めて生まれる表現が人見元基の歌唱の奥深さ(ナチュラル・ディストーションのシャウトやハイトーンなど)なのです。また、英語の発音に関してですが、東京外国語大学を卒業されている方なので、その影響も大きのかなと思ったりします。

 

これらを通した上で

I'm Gonna Sing the Blues

I'm Gonna Sing the Blues

  • Vow Wow
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

などを聴きなおすと文脈をしっかりと感じることができます。 

 

そしてなんとRock'n Roll Standard Clubにゲストで参加した時に歌ったのがMOVE OVER とCOMMUNICATION BREAK DOWN

Rock'n Roll Standard Club

Rock'n Roll Standard Club

 

なんとギターがB'zの松本さんというこれまたビッグな方。興味のある人は是非買って聴いてみてください。

現役を退いた後も、GENKIという名前でボチボチ活動されており、YOUTUBEに転載動画が上がっているので、引退後の歌唱が聴きたい人はチェック。

一推しはこちら


www.youtube.com

サムネのインタビュー記事も全体的に非常に興味深いというか、原点を知ることができて面白くよめましたし、今回記事を書くにあたって、一部参考にしました(30万部売り上げとか).以前まではYAHOOブログからPDFで閲覧できましたけど、サービスが終了したため今では閲覧不可です.内容が気になる人は私のアカウントに一報をいただければ。

 

 

以上,VOWWOWと人見元基さんについてでした。当ブログを開設して間もない頃

sai96i.hateblo.jp

なんて記事で一度は紹介していたので、今回ネタとして扱うのは二度目になるんですが、今にして思えば出すのが早すぎたのもあり、結果過去記事として埋もれてしまっているのでここで今一度VOWWOWを振り返る意味も込めて書きました。

 

正直VOWWOWを知っている人の方が珍しいし、おっさんホイホイみたいな記事になりましたけど未聴の方にはこのバンドの素晴らしさ、人見元基というvo.がいかに凄い人物であったかは伝わったと思います。なのでこの記事を機に音源も聴いて、いろんな人に広めていってください。

高木正勝のピアノ音楽

高木正勝さんの音楽を知っている人はどのくらいいるだろうか。ピアノで自然的アプローチや流動感のある楽曲を作らせたら右に出る人は一人もいないと思うほどピアノ音楽を作るのが上手いと私は評価しています。聴いている間は高木ワールドに没入してしまう。こんなにも作家性というか、音の繊細さや残響音で魅了してくる音楽作家は稀有だと思います。

最近ではサントリーのcmでも聴くようになりました。かつて久石さんが担当されていた枠なので個人的に盛り上がる。

www.youtube.com

 

細田守監督作品の劇伴を担当されることが多く、そちらでご存知の方もいらっしゃるようですが曲が作品より有名になってるんじゃないかと思うくらい素晴らしい。

それが顕著なのがおおかみ子供の雨と雪。この映画のOSTは是非とも全通すべきです。 

 

その中でも一番のおすすめ「きときと」収録されています。

 

きときと - 四本足の踊り

きときと - 四本足の踊り

  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

ということで、まず最初に聴いて欲しいのがこれ

多分高木さんの音楽の中で最も知名度がある楽曲。大半の人は聴いたことがある(ヨーグリーナのcmにも起用)と思うし、この曲に感銘を受けたと思う。イントロのピアノを駆け出しからグリッサンドの合図で様々な楽器が跳んで一つに交わっていき、弦がメロディを奏でつつ、ピアノが土台になって進む爽快さ。そしてまた最初にもどり、今度は大々的に強弱をつけてから堂々のサビをを迎える。サビになってもまるで音が遊んでいるような展開がありつつ、その後アウトローとしてピアノで締めるこの自然さ。音が遊んでいるように聴こえる感じが堪らなく興奮します。とにかく芯はピアノなのに吹奏楽的なアプローチ込み楽曲が展開される様といったら感動を超えますよ。

 

熱風

熱風

  • provided courtesy of iTunes

個人的に高木さんが創り出す音楽の最高傑作だと思っているのが当楽曲。熱風=サハラ砂漠=ghibliと、元々のジブリの意味を指す単語です。当楽曲は「夢と狂気の王国」というジブリドキュメンタリーで使用された楽曲(個人的にこの事実だけ泣ける)

 

内容は宮崎&高畑御大がそれぞれ「風立ちぬ」と「かぐや姫の物語」の制作過程を覗いた内容なのですが、この楽曲が流れるシーンとても感動的です。やっぱり高木さんファンだと「ジブリ×高木正勝」を望んでしまうわけですよ。絶対に合うからどこかのタイミングでやって欲しいと懇願していたときにドキュメンタリーではあるもののジブリ関係の映画に起用された時の喜びはいまでも忘れられない。

せせらぎのような音からだんだんと上がっていき、一回ためてから爆発するっていうのはまさに高木正勝スタイルなんですが、跳躍含めて音から景色が想像できるくらい秀逸なんですよね。自然を体感させるような音楽が高木さんの音楽性といってもいいくらいとにかく音が体に入ってくるんですよ。そこに流動性や躍動感が加わり、でも控えめな構成で作られているところがまた唸る。1m50sから溜めてからの急な低音下降からのアップメロディっていうのもギャップ泣きですね。2m40s前後のちょっとした味付けも好き。一聴の価値あり。

 

I am water

I Am Water

I Am Water

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こちらも水を表現する音楽性で言えばラヴェル水の戯れに勝るとも劣らない楽曲。

水の戯れ

水の戯れ

  • エル=バシャ
  • クラシック
  • ¥204
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よくよく聴けばそこまで音幅が広いわけではないのに、ピンポイントでツボを押してくる感じがこの曲には顕著に出ています。後半から躍動していくおなじみの展開含めて抽象度が高い楽曲。


www.youtube.com

tubeの公式垢にてライブ版も公開されているので是非。

 

 

 

アルバム作品として秀逸なのはこの二枚

 特にYMENEは作家性というか、エッセンスが詰まっている作品として一聴すべき作品です。「ああ ラヴェルだ/ドビュッシーだ」って聴けば誰でも分かるくらい丁重な感じで音に意味が込められてるし、その点を抜きにしてもやはり心象、風景的なところに心をもっていかせる"音楽性"もある。本質がつまっているとでもいべきか。

 

ペダルの使い方が絶妙(ラストあたり)。そして弾いている音の感覚が強弱のつけかたによって曲に活かされている感じであったり、(おそらく)下地で生ピアノを挿入しているのも違いがわかっていいですね。3m24s前後のオクターブで鳴らしてくるところもいい。何パターンかあるので、それぞれ聴き比べてみるのも一興です。

girls

girls

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Girls

Girls

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girls

girls

  • provided courtesy of iTunes

 

他にもいろいろお勧めする作品はありますが(端的に言えば全作品聴けってなります)キリがないので以下、セレクト楽曲を貼っておきますので興味のある方は是非聴いてください。

Kaze Kogi (Piano)

Kaze Kogi (Piano)

  • provided courtesy of iTunes
あまみず

あまみず

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Waggle Dance

Waggle Dance

  • provided courtesy of iTunes
そら高い

そら高い

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このち

このち

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Crystallized

Crystallized

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いつもより薄めですが、今回はここで終わりです。

私の三文記事で高木さんのピアノ音楽の良さが少しでも伝われば幸いです。いつも1万字くらい書いているので個人的にも物足りなさはありますが(本当は印象派音楽作家との比較とか込の考察記事にしたかった)かといっても毎回1万字だと読み手も辛いと思い、今回は3000字程度に抑えてみました。

 

 

 

 

チラシの裏

うっせぇわという楽曲が流行ることに関しては、なぜかというのは私もよくわからない。が、yoasobiの「夜に駆ける」がいい意味でオタク臭い、というよりもボカロ的アプローチで作られている楽曲であるのにもかかわらず一般受けをしてしまった現状、こういった「中高生御用達」と思われがちな曲(だからこそ、同じような道を通ってきたカゲプロ世代が共感性羞恥を抱いたり、それ以上の年代の人たちは、なんであんな曲がと思ってしまうのであろう)が一斉を風靡しているのはなんら不思議ではない。それはそれとして、バラエティーまでに乗り込んでくるほどの勢い、隆盛があるのにピックアップされているのは歌っている人のみと感じる。まぁ、歌っている人に焦点を当てるというのはある側面では正しいが(曲が曲として機能する装置の一つではあるため)、それらを作曲した人たちの紹介込の内容を作った上で番組で紹介するのが筋ではないかと思う。

news.yahoo.co.jp

こんな大層な見出しをした記事が出るも大元の作曲者へ紹介は微々たるもの。いったいどうしてなんだろう。100歩譲って編曲者にスポットが当たらないのはまだわかる。テレビではクレジットすらされないことが多いし、仮に存在をしったところで曲を聴いている人は「編曲」作家にまで目を通して、どのような役割を果たしているかまでは普通追いかけない。だから江口亮が編曲しなければあんなに燃える曲にはならなかったが(たらればの可能性を説いても仕方ないが)大衆からすれば歌ってるlisaがいいメロディを奏でればそれ万事ok。ということになる。所詮大ヒット曲なんてそのくらいのものでしかない。作曲してる人が歌っている場合出ない限り歌手にしか注目がいかない。

しかし作曲者くらいはしっかりと注目されるべきだと私は思う。今回の例に限らず人気アニメ楽曲を手掛けた人たちの存在はなぜ、注目されないのか(久石譲のような特例を除く)。所詮作曲家は裏方業でしかないし、そういった職種の人たちからすれば曲が評価されれば本望だから、誰が作ったとかどうでもいいと言われてしまえばそれまでだが。

 

なんて書いてはみたものの

作曲者に興味を抱く人たちのほうが圧倒的マイノリティだし、そこを「どうして、どうして」と囃し立てたところで現状は何ひとつ変わらないので、作曲者に興味を持つ人が一人でも増えればいいなくらいの観点でこの現象を俯瞰します。

 

それとは別にボカロPと歌い手の特集なんて何周遅れだとネット音楽特有の「内輪受け」を楽しんでいる(楽しんだ)人が、なぜ騒いでいるのかがわからない。

やれ、「俺が給食の時に聖槍爆裂ボーイを流した時に嘲笑、馬鹿にしていた奴ら」だの「ボカロを馬鹿にしてた奴が米津楽曲を聴いて感動しているのをみると唖然する」だのいろいろなコメントがある。前者においては嘲笑、馬鹿にされるのは目に見えていること。ネットコンテンツのノリを現実にもってきたらどうなるかくらいは誰でも想像つく。ピコが昔テレビ番組でdeco27の二足歩行をライブで歌った時、スタジオが凍りついた事例をみれば明らかである。

ボカロp出身の人たちの中で各界隈でビックになる人たちが出てきて、後続も大活躍して、まさに今の邦楽の何割かはネットシーン出身と言って差し支えないし、ボカロが大きな役割を果たしていることも間違いない。しかしそういった才人の出発地点がボカロであるにしろ、世に評価されるのはその人の才能であってバックボーンに位置するボカロというジャンルではない。故に、どんなにボカロ出身の作家が出ても「ボカロ文化」が一般社会に認められたことなんてただの一度もない。アニメを例に出しても、ジブリアニメが評価されたから日本アニメがすごいというわけではなく、それは宮崎駿高畑勲の才能が認められただけであり(他の有名アニメ監督も同様)、表現媒体がアニメであっただけで、アニメそのものが市民権を得たというわけではい。アニメにしろボカロにしろアングラなものであることは今後も変わらないと思う。だからこそメディアがボカロpや歌い手をフューチャーする番組を今になって作るのは全くおかしくない。先述の通り媒体レベルでの評価は一切されていないから。そう言った中でボカロ的な楽曲が一般で流行るということに目をつけて「ボカロと歌い手」の特集をするのであって、これまでの枠を取り立てるようなことはまずしないだろう。

 

以上、チラ裏記事でした。

久石譲の音楽の魅力 ~ミニマルミュージック・クラシックの視点から解説~

久石譲ときいて皆さんはどんな音楽が思い浮かべますか?

 

あの夏へ 

あの夏へ

あの夏へ

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 人生のメリーゴーランド

人生のメリーゴーランド -オープニング-

人生のメリーゴーランド -オープニング-

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 SUMMER

Summer

Summer

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などいろいろあるでしょう。

人によってはNHK人体シリーズや

脳と心BRAIN&MIND

脳と心BRAIN&MIND

PRINCIPLE OF LOVE やさしさの芽生え

PRINCIPLE OF LOVE やさしさの芽生え

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MEMORIES OF・・・ 鮮やかな記憶の残照

MEMORIES OF・・・ 鮮やかな記憶の残照

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BRAIN&MIND 未知の秘境へのいざない

BRAIN&MIND 未知の秘境へのいざない

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大林宣彦のふたり

草の想い ~ふたり・愛のテーマ~

草の想い ~ふたり・愛のテーマ~

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(改めて聴くと90年代感があるのが微笑ましい)

最近手がけたアニメーションのOST

 

などマイナーな作品が好きな方もいるでしょう今回はそんな名曲を量産し続ける久石さんを作家的に分析してみる記事です。

 はじめに

久石譲のタイアップは3つにカテゴライズできます。

第一にスタジオジブリ作品の主題歌・劇伴。第二に北野武をはじめとする実写映画、非ジブリアニメラインへの楽曲提供。第三にその他cmタイアップ楽曲や交響曲やノンタイオリジナル楽曲。しかしながらジブリというコンテンツの大きさ故、実写映画、CM等に提供した音楽はあまり語られませんし、作家としても「久石らしさ」を言及する記事がさほどないので、当サイトで思い切って「久石譲の音楽」のより俯瞰的にみた角度で解題していこうと思います。ただし全てのディスコグラフィーを押さえるのも文章的に無理があるので一部記述が薄いところがあるかもしれませんがご了承ください。

 

 

基礎として押さえておきたいミニマルミュージック

 基礎としての押さえておきたいミニマル音楽の概要

久石譲を作曲家風に形容すると「ミニマル・ミュージック」が大前提にあります。

ではまずミニマルミュージックとは何かを説明します。簡単にいうとパターン化された音を反復した音楽です。勘の言い方は既に気づかれたかもしれませんが、このひたすら繰り返す技法を取り入れたのがジムノペディ三部作でお馴染みのエリック・サティという人物です。

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エリックサティ(1886~1925)

 (劇場版涼宮ハルヒの消失ぼくのなつやすみ2などでも劇伴として引用されました。)

ミニマルといえば基本、このジムノペディを想像していただければ間違いないです。

少し脱線しますが、サティの影響はその後印象派と呼ばれる人たちにも継承され、その代表格が「月の光」「アラベスク」「亜麻色の髪の乙女」などで知られるクロード・ドビュッシー(1862-1918)だったりします。機能和声からの脱却を果たした人ですね。この時期を印象音楽と言います。

ベルガマスク組曲: 月の光

ベルガマスク組曲: 月の光

  • フランソワ・ジョエル・ティオリエ
  • クラシック
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ドビュッシー: アラベスク第1番

ドビュッシー: アラベスク第1番

  • フランソワ・ジョエル・ティオリエ
  • クラシック
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前奏曲集 第1巻: 亜麻色の髪の乙女

前奏曲集 第1巻: 亜麻色の髪の乙女

  • フランソワ・ジョエル・ティオリエ
  • クラシック
  • ¥153
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そしてこの反復を用いた実験・前衛音楽を手掛ける作曲家がその後たくさん現れます。

その先鋒としていたのがジョン・ケージ。そこからテリー ・ライリーやスティーヴ・ライヒ、ラ・モンテ・ヤング、フィリップ・グラスなどが後に続きます。では各人がどういった音楽作家であったのかを紹介します。

ジョン・ケージ

この人の音楽で一番知られているのは4m33s。4m33sひたすら無音というあれです。

そんな人が他にどんな音楽を作っているかというと、In the Name of the HolocaustであったりBacchanaleだったりするのですが、ミニマリズムというよりかは実験サウンド性が多いですね。ヴェーベルンのフォロワーとしてみるとラ ・モンテ・ヤングとかにもにつながったりするのでミニマルの歴史を語る上では外せない存在です。この人が開拓した実験的なアプローチは久石さんも相当影響を受けているはず。

Imaginary Landscape No. 5

Imaginary Landscape No. 5

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 一押しはこちら the オマージュって感じがして好きです。

 

 

ラ ・モンテ・ヤング

概念上ミニマルの生みの親さとされている彼の音楽は基本的にギターの弦を鳴らして、そこからちょっとしたメロディが付加されているものである。元来あるミニマルの刺激的な高揚感が今では環境的な音楽と化している(例えばThe well- tuned pianoはどこを聴いても「同じメロディ」を反復をしているだけ。)つまりは、奏者が楽器の音出しをするのに非常に近い感覚である。そういったちょっとした「音出し」的なものをひたすら繰りラ ・モンテ・ヤングもケージ同様に20世紀前衛音楽の旗手の役割の一旦をになっていたアントン・ヴェーベルン的な音楽から学んだと推測する。

ヴェーベルンの場合、バガテルあたりがミニマムらしさをうかがえる。

余談ですがアントン・ヴェーベルン、ケージとこれらの共通は全てシェーンベルグに帰結したりします。まぁそれほどドデカフォニー(十二音技法)が強烈だったというだけの話ですけれども。

 

A Bonnie Lassie

A Bonnie Lassie

  • Don Bartlett
  • トラディショナル・ケルト
  • ¥204
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テリー ・ライリー

我々がドラッグ映像などで想像するような音楽。つまりは電子オルガンメロディでゲームサウンド的な音の崩しが象徴である。A Rainbow in Curved Air を聴けば一目瞭然ならぬ一聴瞭然。明らかに俺の音楽を聴けと言わんばかりの音の展開。様々な鳴らし方で展開していく様は、教会音楽におけるオルガンのそれとは全く違う。クラヴィコード的なサウンド性(以下の動画の楽器がクラヴィコード

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

  • テリー・ライリー
  • クラシック
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www.youtube.com

を取り込んだこの楽曲の新鮮さはその後に大きな影響を与えたのは想像に難くない。おそらくミニマムの枠を超え、とりわけプログレへの影響が大きいと筆者は考える。
Poppy Nogood and the Phantom Band

 

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

  • テリー・ライリー
  • クラシック
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ピンク・フロイドAtom Heart Mother的ともいえる音楽

 

Atom Heart Mother

Atom Heart Mother

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で21mという音楽長編は最初こそオルガンテイストだが、途中から(おそらく)ソプラノサックスが介入してメロディを奏でる構成をみると、コルトーレンの流れ(時代的に考えるとgiant stepあたり)を組んでいるのは間違いない。というかモードジャズ期の連中(マイルスデイビスだったコルトレーン)があまり強烈すぎるというお話。ジャズのお話はいずれジャズ史の時に語りますので、気になる人はそちらを待ってください。
In cではハ調の音階全てが鳴り響く音楽。どんどん重なり合う。シャトルランの音楽がどんどん早くなるあの感じが一音一音ずつ重なるようにといえばイメージしやすい。こちらは趣向的な意味でミニマルの礎を気づいた一曲であろう。

 

ティーライヒ
Six Pianosは70年代に作曲されたものだが、曲というより、一つのフレーズを反復するだけの楽曲であることから、明らかにミニマルサウンドとみて差し支えに。最もIt's Gonna Rainというある種のドラックソングを1965年に書いていたライヒオリジネーターの一人であるが。ちなみに筆者はいわゆる四傑と評されている「ヤング、ライリー、ライヒ、グラス」の中では一番気に入っている作家である。ストラヴィンスキーとかチャーリ・ーパーカーとか好きなんだろなっていう感じがたまらないです。 

Steve Reich: Six Pianos - Terry Riley: Keyboard Study No. 1

Steve Reich: Six Pianos - Terry Riley: Keyboard Study No. 1

  • Various Artists
  • クラシック
  • ¥1375

 

Keyboard Study No. 1

Keyboard Study No. 1

  • Gregor Schwellenbach & Lukas Vogel
  • クラシック
  •  
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フィリップグラス
1975年に初演を果たした「浜辺のアインシュタイン」で有名。
どちらかというとオペラや協奏曲を手がけることがおおいため先述してきた作家たいが書くようなソロ音楽はあまりないが、「浜辺の〜」を聞くだけでその音楽性というのはミニマルを踏んでいることがわかる。

個人的な一押しはこちら

Glass:  The Photographer

Glass: The Photographer

  • マイケル・リースマン, Paul Zukofsky & The Philip Glass Ensemble
  • クラシック
  • ¥1630
The Photographer:

The Photographer: "A Gentleman's Honor"

  • マイケル・リースマン, The Philip Glass Ensemble & Paul Zukofsky
  • クラシック
  • ¥255
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 あらゆる楽器で繰り返しを試している.83年とプログレも落ち着いた時期ではあるがこの手のサウンドは珍しい。というか、ミニマルでありつつ情緒が表現されていることが自分がこの作品が好きな理由かなぁ。

なんというかゲームオブスローンズ(邦題:七王国の玉座/氷と炎の歌) のシーズン6 8話の

ワイルドファイアと言われる鬼火でハイ・スパローとかマージョリーを教会ごとぶっ飛ばすっていうサーセイの悪魔的な所業が行われるために作られたLight of the Sevenに近い恐ろしさがある。余談ですがlight of the sevenは曲としてもすぐれてますが、この音楽は映像ありきなのでどれほど爽快でありながら悪魔的な音楽かを知りたい人はゲームオブスローンズのシーズン1-6をみてください。最終章は面白くないので別にみなくてもいいです。

Light of the Seven

Light of the Seven

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以上の作家たちがミニマル史における重要人物なのですが、そんな彼らの音楽手法もバルトークや、ドビュッシー全音音階、あとパガニー二の悪魔的な技巧で作曲された24の奇想曲などからの影響力を感じられ、クラシックに分類される作家は偉大だなと思ったり。

 

 

 

番外編『オスティナート』

このジャンルはオスティナートという意味合いからわかるように「執拗」に繰り返すといったまさにミニマルの音楽の原点というべき音楽体系です。では一般的にどう言った楽曲を指すか。これは説明するまでもないと思いますが代表格はなんといってもグスターヴホルストの火星 戦争をもたらすもの 

ホルスト: 組曲《惑星》作品32 火星―戦争の神(戦争をもたらす者)

ホルスト: 組曲《惑星》作品32 火星―戦争の神(戦争をもたらす者)

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でしょう。ホルスト組曲:惑星がどのような作品かは以下の記事を参照してください。

sai96i.hateblo.jp

 あとは基礎練習でお馴染みバルトーク作曲のミクロコスモス(超絶かっこいいです)も典型的なオスティナート。枝としてのミニマルが印象派の音楽性であるならば、幹としてのオスティナートは恐怖・破壊的なテーマを持つ感じの曲が多いように見られます。さてここでオスティナートの作風を満遍なく使った国民的音楽を作った日本人作家といえば 伊福部昭 

そう、誰もが知るオスティナート日本曲とはゴジラのメインテーマ」

メインタイトル(M2+M1)

メインタイトル(M2+M1)

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誰しもが何気なく聴いていたあのメロディ。実は音楽史をしっかりと踏んだ技法を踏んでいるからこその説得力ということです。ちなみに地震速報の音楽を作曲しているのは伊福部達で血を引く人間が作曲しているところがなんとも言えない感じになります。

シンフォニア・タプカーラ 第3楽章 Vivace

シンフォニア・タプカーラ 第3楽章 Vivace

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 あの音の元ネタも多分このVIVACEのイントロからきてる。というか間違いない。

それらについては 

sai96i.hateblo.jp

 を読んでください

まぁそれはそれとしてこうしてできた流れの音楽に国立(くにたち)音楽大学の作曲学科在学中の久石さんは影響を受けます。A Rainbow in Curved Airwを聴いてミニマル作家になったと言われるほど(実際はライヒじゃないのかと思ったりしますが)ですから、特に色濃いに影響を受けているのはライリーでしょう。

 

 あとミニマル提唱者としてのジョンアダムスとかも入ってますね

Hallelujah Junction

Hallelujah Junction

  • Maarten van Veen & Ralph van Raat
  • クラシック
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では前置きが終わったところで次は実際に久石音楽からミニマリズムを読み解きます。

 

ミニマル視点から見る久石音楽

Clifside Waltz III(あの夏、一番静かな海。)

Clifside Waltz III

Clifside Waltz III

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 これは明らかにサティを意識していますよね。  Clifside Waltz IIIから察せるように当然IとIIもあります。三部構成含めここまでちゃんとオマージュをしています。

 

 Sonatine I ~act of violence  (sonatine)

Sonatine I - Act of Violence (Sonatine)

Sonatine I - Act of Violence (Sonatine)

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 裏打ちでなってるピアノメロディはマイクオールドフィードのチュブラーベルズの系譜

 

SUMMER

Summer

Summer

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今や、夏の定番楽曲となった、久石譲の代表曲「SUMMER」この曲はミニマル楽曲としてあまりに傑作ですね。上の原曲も十二分に楽しめますが、劇伴という側面を感じてしまい、「曲」としてみたとき幾ばくか表現に物足りなさがあるのですが、その後作られた数あるバーションの中で私が劇伴としてではなく、曲として楽しめるのがこれです。

Summer

Summer

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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YOUTUBEの公式動画にも上がっているの是非聴いてください。


Joe Hisaishi - Summer

 

 

 Bus Stop (あの夏、一番静かな海。)

Bus Stop

Bus Stop

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木琴主体でバックでピアノだったりが支える構造は久石音楽印というか節といってもいいほど聴きてには定着していると思いますが、それらもおそらくミニマル音楽からの着想です。さきほど、久石音楽に最も影響を与えたのは、実はライリーではなくライヒではと書きましたが、そう思う最大の理由はこの曲にあります。 

Music for A Large Ensemble 

Music for a Large Ensemble

Music for a Large Ensemble

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どうですか、クレジットを隠して聴けば「作曲:久石譲」と言われても全く違和感がないほど、久石サウンド節の一つの源流になっています。

 

kids return

Kids Return (Kids Return)

Kids Return (Kids Return)

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 この音楽は珍しくギターが乱入してきたり、主旋律が琴だったりと和風とロックのごた混ぜな曲なんですけれども、これも展開としてはミニマルですね。summer同様この曲も「映画」としての音楽で聴くなら原曲でもいいんですけれどこれをretakeというかアレンジしたバージョンのほうが、単曲としてみたときに楽器の表現が重厚になっているのでおすすめです。

Kids Return

Kids Return

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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やはり弦楽器(というかこの場合はチェロ)とピアノ組み合わせっていいですよね。

原曲アレンジの魅力というのは本来こういうものだと実感します。

 

海獣の子供OST

 

 今作は久々のミニマルに徹した作品なのである種、定着した久石音楽よりかは緩急ある変化球と言える作品。どれも素晴らしいがこの5曲はサントラの枠を超えた凄さがある。アンビエントも少し入り混じったりするし趣向そのものに惹かれる。

宇宙の記憶

宇宙の記憶

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嵐の中のふたりなんかは実験音楽

嵐の中のふたり

嵐の中のふたり

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光る夜の海へ なんかではIn C的。つまりはだんだんと重なり合っていくというライリーが開拓した道に通ずるところがある。

光る夜の海へ

光る夜の海へ

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宇宙の誕生は、その名に恥じない壮大さと華麗な音の混じり合いが素敵。あとやっぱり宇宙なのでホルスト組曲的とも言える。

宇宙の誕生

宇宙の誕生

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生命の理由と生命の繋がりはセットで聴いた方がいいですね。特筆すべき点は、生命の繋がりの後半です。ストラヴィンスキー的というか、火星的というかミニマルより講義的な繰り返し技法のオスティナート的という。

生命の理由

生命の理由

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生命の繋がり

生命の繋がり

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ミニマル作家としての音楽 ムクワジュアンサンブル

 

最後に、あまり知られていない久石音楽ムクワジュアンサンブルについて

1981年に(これがジブリ参加する2,3年前っていうのもなかなか熱いですね)ムクワジュ・アンサンブルというグループを結成し、アルバム『ムクワジュ』を発表 私が思うに久石音楽の一つの解答をだしたといってもいい作品だと思います。特にPulse In The Mindなんかは現代音楽やミニマルとして生きてきた中で作り上げた極上の一品だと思います。(というか、最近ヤバイでおなじみのPuhyunecoのakaneのルーツも結局この辺り、つまりミニマルと現代音楽の境目にあるのではないかと思ったり。長谷川白紙はそれをもうちょいメジャーな存在)  

Flash-Backなんかはそれこそジョンケージ的なアプローチでひたすら太鼓がなっているだけですが、そこに魅力を感じてしまう一曲です。

脱線しますけど、既存作家を例に捉えるなら坂本龍一のソロアルバム的とでもいいましょか。A Wongga Dance Songとかその辺り。この曲はシーケンスが全盛の時に作った感があって面白いですね。

A WONGGA DANCE SONG

A WONGGA DANCE SONG

  • 坂本 龍一
  • J-Pop
  • ¥204
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話を戻しましょう。ミニマム作家としての一つの到達点といっていいアルバムなのにituneにはMKWAJUしかないという悲しさ;;

MKWAJU

MKWAJU

  • 久石譲 アンサンブル
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 そしてMKWAJUを聴けば伊右衛門のcmでおなじみのあの名曲の前身となっているのは明白であります。この曲、cmの枠に止まるには惜しいほど傑作なので未聴の方は絶対聴いてください。

Oriental Wind

Oriental Wind

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 この曲もいろんなバージョンがありますが、オケとピアノのバランスが取れている点などからこのバージョンに落ち着く。

(脱線)

あとサントリーはいい加減、伊右衛門 新テーマ曲 を音源化するべき。

まぁ、今やってるcmの音楽を高木正勝さんに引継ぎで投入してるのは1000%すぎる正解なのでサントリーは作家のもつ技量を組んで起用してるから、その姿勢はさすがです。

www.youtube.com

 高木正勝さんの特集はいずれやります。が、ここで数曲紹介しておくと

熱風

熱風

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きときと - 四本足の踊り

きときと - 四本足の踊り

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 は誰もが認めるメロディアスの秀作。

ちなみに熱風の音楽は、夢と狂気の王国っていうジブリドキュメント映画に使われてる曲で、だからこそタイトルが熱風=ジブリっていうのが個人的に泣けるなーって思うところです。高木さんは、一作品ぐらいジブリに楽曲提供しても久石音楽とは違う路線だけど絶対に外さないのでいつか本編でコラボしかないかなと思ったり

 

閑話休題

では次にクラシックとしての側面を探っていきます。

 

クラシックから読み取る作家性

 

・クラシックの側面から見た久石音楽の源流

音楽の授業なんかでも「古典派」「バロック派」などを目にすることが多いと思います。その中の一つのロマン派の作家で久石音楽に強い影響を与えている作家が2人がいます。

 それぞれの代表曲

ワーグナー 

ワルキューレの騎行などでお馴染みの方です。

ワーグナー:ワルキューレの騎行

ワーグナー:ワルキューレの騎行

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ドヴォルザーク

 新世界などで有名

 と言ったところで、これらを全く聴いたことがない人はいないほど、名曲を作り上げた巨匠です。では具体的にどういったところに影響を垣間見ることができるか

波の魚のポニョ

波の魚のポニョ

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 フルで聴いていただかないとわからないのですが、試聴だけでもテイストがワルキューレであることは一朝瞭然です。まぁこの曲がワルキューレに寄せてるのは崖の上のポニョを構想している時に宮崎さんが流していたという裏話があるので、作家性云々というよりオーダーに寄せた感じがあります。とはいえ、作品がワーグナー 的テイストの音楽で作られていることに違いはないので例として挙げます。

 

さて、ドヴォルザークの音楽がどう影響を与えているかなんですが、これは「ほぼトレース」したといっていいほど弦楽器系の楽曲はドヴォルザーク的です。

ドヴォルザークですといってブラームスはあげないのかよというツッコミはなし

 

人生のメリーゴーランド

Merry-Go-Round(人生のメリーゴーランド)

Merry-Go-Round(人生のメリーゴーランド)

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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これなんて、久石さんからすれば「引用元は当然わかるよね」と言われているようなものである程度クラシックを愛好していればサビのメロディから察しがつけるはずです。 

ドヴォルザーク 交響曲第8番 3楽章を聴いてみましょう。

 そしてこの3楽章をきいてピンとくる楽曲があると思います。

Cinema Nostalgia

Cinema Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 余談ですが金ローといえばこのOPで始まり、髭のおじさんが映写機を回している映像の時代が好きだった方も多いですね。あの映写機を回すアニメーションをジブリ制作人が、音楽を久石が作っていたというほぼジブリ状態といっていいものです。

閑話休題

 cinema nostalgiaから読み解く 映画音楽性

 このcinema nostalgiaの弦楽器の運び方や緩急の付け方は三楽章の後半を聴けば誰でも「なるほど」と手を打つと思います。それと同時若干マーラーも入ってるような気もしますが、全体の作風はやはりドヴォルザークを踏襲しています。しかしそれだけでcinema nostalgiaの格式高い感じになるかといえば否です。では映画の劇伴たり得る要素はどこからの影響かといえばニーノロータしか考えられません。

ニーノロータは映画マフィア映画の金字塔と言われてる「ゴッドファーザー」のメインテーマを作曲した偉大な方です。その音楽がこちら

ゴッドファーザーという映画をみたことがない人はこんな三文記事を読む前に三部作をみた方が圧倒的に得です。ちなみに筆者はゴッドファーザーシリーズでは2が一番好きです

ゴッドファーザー - 愛のテーマ(『ゴッドファーザー』より)

ゴッドファーザー - 愛のテーマ(『ゴッドファーザー』より)

  • シティ・オブ・プラハ・フィルハーモニック・オーケストラ
  • サウンドトラック
  • ¥153
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 この音楽から読み取れるフランスを想起させる音楽のテイストこそcinema~の深みが出るというものです。

ニーノロータ的音楽は当然この一回切りというわけではなく、風立ちぬOSTなどにも顕著です。旅路(妹)ではいかにも「フランス」を意識した音楽ですし

旅路(妹)

旅路(妹)

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 カストルプなんかは

カストルプ(魔の山)

カストルプ(魔の山)

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 A New Carpet

A New Carpet

A New Carpet

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系統の音楽と言っていいでしょう。

おくりびとのdeparture


Joe Hisaishi - Departures

の前半(3m24s-4m36s)は完全にマーラーを意識しています。

交響曲 第5番 嬰ハ短調/第4楽章:アダージェット;きわめて遅く

交響曲 第5番 嬰ハ短調/第4楽章:アダージェット;きわめて遅く

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このようにオーケストラの作品は辿っていくと影響元が非常に分かりやすいです。(セオリーにのっとっているからこそ)

他にもクラシックからの影響というのも当然あります。それはストラヴィンスキーバルトークブラームス等。そもそも国立の作曲学科に在籍していた方なのでこれらは基礎教養として当然知っているでしょうし楽曲に生かしているとはおもいますが、素人の私がこれ以上の領域(クラシックに分類される作曲家一行)に足を踏み込むとそれこそバッハやヴィヴァルディまで遡ることになり、それには専門的な知識が必要になるのでこれ以上深い考察をしたい場合は個々で行ってください。

 

 

アウフタクトの頻用

今更書くことでもありませんが、聴きてが思う久石譲の音楽らしさはこのアウフタクトにあったりします。

この技法が使われている楽曲で最も有名なのが

トルコ行進曲

トルコ行進曲

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エリーゼのために

エリーゼのために

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どちらも 曲が1拍より前から始まっていますね。

久石楽曲を例に例えると 以下のような曲が該当します。


Joe Hisaishi - Angel Springs


Joe Hisaishi - Ballade

 


Joe Hisaishi - Nostalgia

これらはほんの一部であって他にもナウシカのオープニングであったり人生のメリーゴーランドやsummerなど代表曲といって差し支えない曲には大体取り入れられてます。

若干マイナーな曲ではありますが、他にも

Highlander

Highlander

  • 久石 譲 & Pan Strings
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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EVE-Piano Version

EVE-Piano Version

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マルコとジーナのテーマ

マルコとジーナのテーマ

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と数々の作品にアウフタクトが入っています。 

 

 

 

 

 

 

作家の基礎、スタンダードとなるミニマムから古典としてクラシックの踏襲をした要素を兼ね備え、その上にアウフタクトなどの一種の調味料があって初めて「久石譲の音楽性」というのが現れるいうことがわかります。

 

最後に

本編に記載していないだけで他にも久石さんが影響を受けた作品はありますが、おそらく核となっているのは本記事で紹介し切れたと思います。そもそも久石譲の名前は藤沢守で、久石譲はクインシージョーンズ(MJ作品のプロデューサー)の捩りとかそういった当たり前なことを省いた上でいろいろ書いてきました、今回その中で感じたのは初期こそ傾倒していたのは芸術系だったのが、だんだんとポップスになっていく遍歴をなぞれたことです。多分それはブライアンイーノに走ったあたりだと推察できる。イーノとかそこらへんの人たちの台頭っていうのは音楽史的にみてもやっぱり異質と言われている。それこそアンビエント(環境音楽)な方向に進路を変えた影響力っていうのはそれこそ芸術的なアプローチ、或いは単なるミニマルの形が電子的でもありグラムロックを踏襲しつつ新規開拓をした2/1とかは名曲だし。

2/1

2/1

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2/2

2/2

  • provided courtesy of iTunes
1/1

1/1

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1/2

1/2

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だからこそ

Silent Love (Main Theme)

Silent Love (Main Theme)

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を書けたのだと思う。

ミニマム作家という基盤こそ揺るがず、そこからクラシック、アンビエント、ポップスとあらゆる楽曲を手がけてきたのは本当にすごいと思う。それは作曲学科で本格的に勉強をした以上の何かがあるからだと今回音源を通してわかった。

 

冒頭にも書きましたが世間的にはジブリの影響の大きさもあって「ジブリアニメ」音楽は非常によく愛されていますが、非ジブリコンテンツへ提供した音楽が語られることがあまり内容に思います。それは音楽好きとしてはあまりに勿体ないです。作品単位でアプローチの違う久石楽曲はジブリ的なサウンドとは別の魅力があります。あの夏へ、よりも明るく作家性によりそった「SUMMER」や、北野武映画のHANA-BIのメインテーマ「HANA-BI」やエンディングテーマに該当する「Thank You, ... for Everything」など様々ですので是非聴いてください。まだまだ語りたいことはありますが、文字数的なことも考慮し、ここまでとします。長丁場の記事を最後まで読んでくださった方 ありがとうございます。出す出すといって全く出ないamazarashiの記事ですが、次こそ出せるようなんとか頑張りますのでもう少しだけ待ってください。

礼といってはなんですが、数あるアルバムの中でも久石音楽を甘すくことなく堪能できる5枚の中からトラックごとに紹介しておきます.あと個人的にベスト楽曲10も載せておきます。セレクト理由は蛇足なので書きません。

Piano Stories Best '88-'08(track.3.5.10.11)

Piano Stories Best '88-'08

Piano Stories Best '88-'08

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥1630

 joe hisaishi meets kitano films(track.2.3.8.15)

Joe Hisaishi Meets Kitano Films

Joe Hisaishi Meets Kitano Films

ENCORE(track2.5.6.7.10.11)

ENCORE

ENCORE

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥1630

 Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi  track.3,9(disc1) track.10,11 (dick2)

Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi

Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥2546

Nostalgia track1.9 

Nostalgia

Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 私的久石音楽ランキング

1.Thank You, ... for Everything

Thank You,...for Everything

Thank You,...for Everything

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2.summer(essential版)

Summer

Summer

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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3.oriental wind(88-08版) 

Oriental Wind

Oriental Wind

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 4.spring(essential版)

Spring

Spring

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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5.kids return(オケアレンジ版) 

Kids Return

Kids Return

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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6.天人の音楽

 

天人の音楽Ⅰ

天人の音楽Ⅰ

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天人の音楽Ⅱ

天人の音楽Ⅱ

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7.cinema nostalgia(バージョン問わず)

Cinema Nostalgia

Cinema Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

8.Asian Dream song

Asian Dream Song

Asian Dream Song

  • 久石 譲 & Pan Strings
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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9.nostalgia(nostalgia版)

Nostalgia

Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 10.バビロンの丘

バビロンの丘

バビロンの丘

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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もう一度、武道館であの感動をやってほしいなぁ、、、

君たちはどう生きるかOST込みで

 

 

 

 

 

 

まふまふ音楽のルーツ・魅力を解説

まふまふというミュージシャンがネットでは散々界話題性になるのに反して、アーティストとして総括的に言及される記事はあまり見かけません。であれば書いてしまえというノリと勢いで書きました。私自身熱狂的なファンではありませんが、彼の楽曲性などはある程度は書けると思い取り上げました。また、あらゆる方向性から読み解く手前、当記事では公式では明示されていない別名義の曲も"まふまふ楽曲"という括りとします。表記は全て敬称略です。ご注意ください。

では本編に移ります。

アルバム編

まずは過去のアルバムのおさらいをします。

夢色シグナル

カバーが多い中、AM 5:00,AM4:00、そしてdaybreakがオリジナル曲として収録されています。AM4:00からして実はまふまふ節が感じられる。daybreakはボカロ楽曲とアニソンの組み合わせみたいな感じがしますね。初々しいです。

刹那色シンドローム

早くも仇返しシンドロームを作ってるところに早熟さを感じますね。そしてこの頃からまふまふの最大の武器であろう"和風楽曲"の第一声ともいうべき「夢花火」の収録。ラストエフェクトのはその後ベルセルクに繋がるプロトタイプ。ラストリーフはひたすらドラムばちばちの楽曲。意欲に溢れてくるのが伝わってきつつも、尖りがある良いアルバムですね。

闇色ナイトパレード

全二作に比べて、オリジナルで固めてきたある種の集大成。クリスマスナイトパレードや戯曲、空を駆け下りて等クオリティの高い作品が収録されています。そのせいか

  1. プラスティック
    music & lyrics : Last Note.
  2. ハーテッド・ドール
    music & lyrics : ユジー

などの所謂提供曲が霞んでしまっている。ラスノやユジーの作曲能力が低いのではなく、ここまで作風が固まってしまうと場違い感が否めないという意味。この時期のまふまふならフルオリジナルでっと思ってしまう。この時期になると安心して聴けるレベルには作曲力がついてますね。そして色濃く影響を受けている楽曲性も現れている。空を駆け下りては、じんの作曲を明らかに意識しているし。そして

今作にも収録されているまふまふの切り札といってもいい林檎花火とソーダの海。本作の中では群を抜いて「らしさ」が出ています。

筆者はこの三枚は初期三部作と捉えています。つまりはペーペーから初めた人間が数年を経て、ようやく一人前になったという流れを汲むという意味では有意義な作品群だからです。ただ、音源を入手困難というのが唯一の難儀ですね。

明日色ワールドエンド 

明日色ワールドエンド

明日色ワールドエンド

  • まふまふ
  • J-Pop
  • ¥2037

 色々あって出した本作は、まふまふの作家性・エッセンス、楽曲バリエーションの高さ等全てにおいて最高傑作というか作家としてのこれ以上ないほど味がある作品です。

輪廻転生からの掴みで立ち入り禁止で、まふまふワールドを提示して、その次にファンタジックな楽曲を二曲挟み、皆さん大好き「夢のまた夢」。そしてギターのメロディが響く罰ゲーム、EDMに挑戦するぞという志が垣間見えるフューリー。若干イントロにダサさというか、楽器バランスが崩れつつもBメロからサビの勢いはthe まふまふと言ったところ。唯一のポップスらしさを残した"恋と微炭酸ソーダ" 本作ではこれが一番バランスが取れている楽曲です。あなたが嫌い僕も嫌いなどと、書いていた人が路線を変えて曲を作るとこうも真逆な楽曲になるのかと驚いた記憶があります。

神楽色アーティファクト 

Kagurairo Artifact

Kagurairo Artifact

  • まふまふ
  • J-Pop
  • ¥2037

前作に比べると楽曲にまとまりがない上に、曲数は多いものの当たり曲が少ない。

各楽曲ごとの感想は以下の前・後編をご覧ください。

sai96i.hateblo.jp

sai96i.hateblo.jp

作家性について

ATRとして

2016年から同じく歌い手の"そらる"と組み、ツインボーカルユニット「After the rain」というグループ名でもメジャーアルバムを出しています。

クロクレストストーリー

クロクレストストーリー

やっぱり傑作はクロクレスト。ファンに反感を書いそうですけど、まふまふの作曲センスに一番油が乗っていたのは2016-17の間という考えを持ってしまう。それ以降に発表された作品の中にも傑作はあるものの、ずっと横ばいに停滞している感じがする。イザナワレなどにも代表曲はあるかもしれないが、アイスリープウェルなどに代表される音楽で魅せる圧倒的なキラーチューンがない。

アイスリープウェル

アイスリープウェル

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次作にあたるイザナワレトラベラー

は新境地を開拓を感じられたが、その分一曲に対する完成度が半ばしかたない形で狭まってしまった(クロクレの時は影響を受けてきた作曲家の作風をまふまふなりに解釈しきったからこそ、統一性があった)のが残念だったがメリーバッドエンドのような

メリーバッドエンド

メリーバッドエンド

  • まふまふ
  • アニメ
  • ¥255
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作風を見事に描き切ったことは本アルバム最大のファインプレー。ハローディストピアは、アンチクロックの応用系としてこういう手もあるかと思えただけ収穫はあった。

ハローディストピア

ハローディストピア

  • そらる
  • アニメ
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アンチクロックワイズ

アンチクロックワイズ

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 そして本アルバムの最大の問題点(と勝手に思っている) 

イザナワレに収録されている楽曲群を通して力量をあげて、やっとの上で作り上げた集大成・完成系として締めを括るはずだった

彷徨う僕らの世界紀行

彷徨う僕らの世界紀行

  • まふまふ
  • アニメ
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 は、佳作の域を出ていないと思う。というかこの曲は失敗作だと思う。尻すぼみ感が否めない。やるなら5,6m位の尺をとってもう二段階くらいレイアーがあった方が良かった。『四季折々に揺蕩いて』でも変にサビで敗者復活戦を意識したりと意図が見えてしまうところが乗れなかった。

www.youtube.com

推測になるがここでやりたかったことは夕刻、夢ト見紛ウまで時間がかかったと確信してる。

夕刻、夢ト見紛ウ

夕刻、夢ト見紛ウ

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7×2 Deadly Sins

7×2 Deadly Sins

 フルではないしにしろイザナワレよりかはまとまりを取り戻していた。ただ人生逆転の神業はタイトル負けしている。なぜ今になっても絶望性ヒーロー症候群的アプローチの楽曲を作ろうとするのかがいまいちわからない。アーティファクトでも自壊プログラムでなぞっていたし。

自壊プログラム

自壊プログラム

  • まふまふ
  • J-Pop
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良い悪いの問題というよりかは、この路線なんかよりかっこいい曲はかけるはずなんだからそっちに踏み切ればいいのにっという感じです。 

 

あと個人的に笑いポイントだったのがこの指止まれ

この指とまれ

この指とまれ

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 これって構成のやりかたが粉雪。

粉雪

粉雪

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メジャーなところから引っ張ってきたなと感じましたw 

 

 

 

ネットミュージシャンとしての特殊さ

これまでの流れではニコ動やyoutubeなどで数字を稼ぐ→注目される→メジャーへ移行

の流れが大半でしたが、意図したか否かはさておき、まふまふは注目される依頼を請けおっていても基本的に活動場所はネットシーンで、メジャーシーンへの移動は意図的に避けていると感じられます。そのため「一定の支持層がいる世界」で評価を受けるという安定したポジションにいます。このような例(つまりネットシーンが主戦場)はあまりないです。大体のユーザー(作家)は先述したようにメジャーで活動するのが大半でありそこで大活躍をするか、知らぬまに消える運命をたどるかかのどちらかのルートを歩んでいたからです。故に安全な場所で活動し続ける"まふまふ"はうまいと思うわけです。

影響を受けたであろう作曲家

ニコニコで活動する前に聴いていたアーティストも色々いると思いますが、それらはここでは記述しません。なぜならばリスナーの一人として聴くのと作曲家として意識して聴くのとでは、アウトプットの出力が違うからです。

では、それらを踏まえた上でまふまふが影響を受けたアーティストを筆者なりに考えてみました。

kemu(堀江晶太)/じん/トーマ/Neru/スズム/150P 

大まかな骨格は上記のボカロPによって成り立っています。

ゴーストライター事件の騒動でスズムは何も作っていないではないかという意見があるのは既知ですが、当記事では中立を図りjasrac(日本音楽著作権協会)のデータベースの著作者表記に従い、スズムが作曲したという体にします。

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JASRAC作品データベース検索より引用

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JASRAC作品データベース検索より引用

www2.jasrac.or.jp

いずれの作家も2011-13の間にニコニコ動画で大ヒット曲と飛ばした人気ボカロP。そして時期的にまふまふは作曲歴2,3年という過渡期にあたります。

大体割合としては

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筆者が思う分布

このくらい。楽曲によって、色々差し替えたりしているといった感じです。

まずはNeruからのアプローチ。

作風からまふまふの精神的メンター的な役割をしているのがNeruになってる。恐らく作曲家としての指標の一人ではあると思う。色々お気に入りは本人の中であるだろうけれど、ここ最近のサウンドを考えればNeru楽曲の中でまふまふサウンドに影響を与えているのは多分捨て子のステラ。その後のまふインストに結構流用されている。 


Neru & z'5 - 捨て子のステラ(Abandoned Stella) feat. Kagamine Rin

捨て子のステラ

捨て子のステラ

  • Neru
  • アニメ
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[Anonymous]

[Anonymous]

  • まふまふ
  • J-Pop
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 1m17s〜なんてもろに影響がある(いい意味)

 

 

 150Pからのアプローチ

Shuen -Re:Write-

Shuen -Re:Write-

  • 150P
  • アニメ
  • ¥2241

 より二曲。

在来ヒーローズ

在来ヒーローズ

  • 150P
  • アニメ
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終末-Re:write-

終末-Re:write-

  • 150P
  • アニメ
  • ¥255
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 まふまふは在来ヒーローズみたく、とにかくサウンドの詰め込み型の曲が多いですがそれらはここらへんのスタンスを引き継いでいるのではないと。また、

アンチクロックワイズ

アンチクロックワイズ

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におけるイントロは間違いなく

終末-Re:write-

終末-Re:write-

  • 150P
  • アニメ
  • ¥255
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のイントロを踏襲している。

 

トーマからのアプローチはもう全体的というか、惜しげも無く作風をリスペクト。

まふまふのトーマへの評価はハチ同様なので、作曲家としても尊敬してる。

 

 

 多分当時からの思いを、力量を蓄えて数年経てアンソロジー的な感じで出したのが

廃墟の国のアリス

廃墟の国のアリス

  • まふまふ
  • J-Pop
  • ¥255
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と捉えるのが普通ですね。

それこそ戯曲もバビロンに代表される楽曲フォロワーでしたし 

バビロン (feat. 初音ミク)

バビロン (feat. 初音ミク)

  • トーマ
  • アニメ
  • ¥204
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戯曲とデフォルメ都市

戯曲とデフォルメ都市

  • そらいろまふらー, そらる & まふまふ
  • アニメ
  • ¥204
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 スズムからは時計の音を入れるといった効果音の側面が強いですね。あとは 

世界寿命と最後の一日

世界寿命と最後の一日

  • スズム
  • J-Pop
  • ¥255
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こちらの楽曲のタイトルなどはその後まふまふは似たような感じのものをつける傾向があります。 

絶望性:ヒーロー治療薬 (feat. そらる)

絶望性:ヒーロー治療薬 (feat. そらる)

  • スズム & そらる
  • アニメ
  • ¥255
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この作品の変化球を投げたりしてますね<自壊プログラム、人生逆転の神業。

というかバリエーションの一つになってる。

そのほかにも

イグジズタンス

イグジズタンス

  • スズム
  • J-Pop
  • ¥255
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イグジズタンスなんか輪廻転生のサビで大いに影響がある。

輪廻転生

輪廻転生

  • まふまふ
  • J-Pop
  • ¥255
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これ指摘してる人ツイッターにほとんどいない

 

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イグジズタンスで検索しても出てこない


 

 kemuのフォロワーというのは数え切れないほど出ましたが、まふまふも相当かぶれていると思います。近づけた音源は少ないものの、kemu的サウンドを取り込まなければ今の音楽性は成り立っていないと思います。影響を受けたのは恐らく地球最後

地球最後の告白を (feat. GUMI)

地球最後の告白を (feat. GUMI)

  • kemu feat.GUMI
  • アニメ
  • ¥204
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 あたりかな〜

 

これらを踏まえた上で、まふまふ楽曲の時代ごとのターニングポイント的作品を2曲。

まずはベルセルク

ベルセルク

ベルセルク

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やはりこの楽曲でまふまふは作曲家としてフォロワーとしての領域を脱した。そのくらい"作曲:まふまふ"というクレジットに納得のいくものであった。ちなみにこの楽曲の対になるのは 恋と微炭酸ソーダ かなと思ったり。あとこの曲は所々じんっぽいのも個人的にツボです。

恋と微炭酸ソーダ

恋と微炭酸ソーダ

  • まふまふ
  • J-Pop
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 桜花ニ月夜ト袖シグレ

桜花ニ月夜ト袖シグレ

桜花ニ月夜ト袖シグレ

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この曲以前以降の線引きはある。ツインボーカルで構成しつつ楽曲の質はそれまでのものとは一線を画すものがありますね。

今のところこの二曲が、作曲家まふまふが作ってきた中で特異的なポジションにある楽曲です。三曲目をそろそろ出して欲しいと思うばかりです。 

一人者タイプではない作家

こういってはファンの方々に反感を買われるかもしれませんが所謂カリスマ作曲家タイプではないです。ここでいうカリスマ作曲家というのは分かりやすい例だと菅野よう子や神前 暁(monaca)田中秀和(monaca)、ryo(supercell)、田淵智和、梶原由紀、堀江晶太、など、発表してきた楽曲に大勢のフォロワーがいるタイプの作家という意味です。つまりは楽曲のレベルは高くとも「まふまふ楽曲」が後世の作家に与える影響というのはないからです。最近の言葉に倣うのであればインフルエンサーにはなれない作家と断言します。ある観点では唯一無二性と取ることもできますが、あらゆるフォロワーを生み出してる作家に比べると作家としてはやはり格が落ちる(少なくとも私にとっては)

 

別名義から読み解く楽曲性

神様、僕は気づいてしまった

ご存知、バンドとして活動している名義が神僕になります。当ブログでも何度かピックアップしました。

神僕の考察や、1stアルバムの感想などは以下の記事を参照してください。

sai96i.hateblo.jp

sai96i.hateblo.jp

個人アーティストは大抵昔バンドをやっていたけれども、色々あって解散したというのがありますが、まふまふも例に漏れずと行ったところ。しかしニコ動での活躍であらゆる人脈を手に入れ、それらを思う存分奮っている。そんな感じがします。ここでの活動はNeruの作曲が多く、その意味でNeru×まふまふという人気の組み合わせが名義と形を変えて、聴けるという点においても重要。

ここでは作曲が東野へいとがメインで、まふまふが作ることはすくないですが、そんな中、どこのだれかで作った楽曲が匿名と天罰有かれしと願う、宣戦布告あたり。

宣戦布告

宣戦布告

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匿名

匿名

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 三曲ともゴリゴリのギターロックな曲。宣戦布告は、ベルセルクの変化球です。

 

2017年8月4日

natalie.mu

東野 そういう部分が“ハッピーだけどハッピーじゃない”って感じの曲に出てるんだと思います。メリーバッドエンド的というか。

一部の層には今更と言われてしまいそうですが、神僕のメンバーの一人東野へいとが

この発言をした後にまふまふが曲を作り上げるという事実を踏まえると、やはり東野へいとは、、っていうことですね。

藤咲真

ここの名義では所謂「本質」的な楽曲を手掛けていることが多いです。なんと言っても 

アンハッピーエンドワールド

アンハッピーエンドワールド

  • 美紀&胡桃
  • アニメ
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2015年に出た曲ですが、その後の楽曲のエッセンスが詰まったベルセルク以来の一つの到達点。 歌っているのは声優ですが、脳内再生でまふまふの声が聴こえてくるレベル。なんならセルフカバーしてほしいまである。これの

残桜

残桜―zanka―

残桜―zanka―

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まふまふが特異な和風的アプローチ楽曲。サビのメロディと裏でなってるピアノラインの混ざり合いや、間奏からの爆発型の構成はここでも使われています。

 

初恋日記


【聴いてみよう】 初恋日記 [アイドリズム]

 

月光蝶


【聴いてみよう】 月光蝶 [アイドリズム]

冒頭が主にスズムのmanifest的。

Manifesto

Manifesto

  • スズム
  • J-Pop
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