Music Synopsis

音楽に補助線を引く

久石譲の音楽の魅力 ~ミニマルミュージック・クラシックの視点から解説~

久石譲ときいて皆さんはどんな音楽が思い浮かべますか?

 

あの夏へ 

あの夏へ

あの夏へ

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 人生のメリーゴーランド

人生のメリーゴーランド -オープニング-

人生のメリーゴーランド -オープニング-

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 SUMMER

Summer

Summer

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などいろいろあるでしょう。

人によってはNHK人体シリーズや

脳と心BRAIN&MIND

脳と心BRAIN&MIND

PRINCIPLE OF LOVE やさしさの芽生え

PRINCIPLE OF LOVE やさしさの芽生え

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MEMORIES OF・・・ 鮮やかな記憶の残照

MEMORIES OF・・・ 鮮やかな記憶の残照

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BRAIN&MIND 未知の秘境へのいざない

BRAIN&MIND 未知の秘境へのいざない

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大林宣彦のふたり

草の想い ~ふたり・愛のテーマ~

草の想い ~ふたり・愛のテーマ~

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(改めて聴くと90年代感があるのが微笑ましい)

最近手がけたアニメーションのOST

 

などマイナーな作品が好きな方もいるでしょう今回はそんな名曲を量産し続ける久石さんを作家的に分析してみる記事です。

 はじめに

久石譲のタイアップは3つにカテゴライズできます。

第一にスタジオジブリ作品の主題歌・劇伴。第二に北野武をはじめとする実写映画、非ジブリアニメラインへの楽曲提供。第三にその他cmタイアップ楽曲や交響曲やノンタイオリジナル楽曲。しかしながらジブリというコンテンツの大きさ故、実写映画、CM等に提供した音楽はあまり語られませんし、作家としても「久石らしさ」を言及する記事がさほどないので、当サイトで思い切って「久石譲の音楽」のより俯瞰的にみた角度で解題していこうと思います。ただし全てのディスコグラフィーを押さえるのも文章的に無理があるので一部記述が薄いところがあるかもしれませんがご了承ください。

 

 

基礎として押さえておきたいミニマルミュージック

 基礎としての押さえておきたいミニマル音楽の概要

久石譲を作曲家風に形容すると「ミニマル・ミュージック」が大前提にあります。

ではまずミニマルミュージックとは何かを説明します。簡単にいうとパターン化された音を反復した音楽です。勘の言い方は既に気づかれたかもしれませんが、このひたすら繰り返す技法を取り入れたのがジムノペディ三部作でお馴染みのエリック・サティという人物です。

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エリックサティ(1886~1925)

 (劇場版涼宮ハルヒの消失ぼくのなつやすみ2などでも劇伴として引用されました。)

ミニマルといえば基本、このジムノペディを想像していただければ間違いないです。

少し脱線しますが、サティの影響はその後印象派と呼ばれる人たちにも継承され、その代表格が「月の光」「アラベスク」「亜麻色の髪の乙女」などで知られるクロード・ドビュッシー(1862-1918)だったりします。機能和声からの脱却を果たした人ですね。この時期を印象音楽と言います。

ベルガマスク組曲: 月の光

ベルガマスク組曲: 月の光

  • フランソワ・ジョエル・ティオリエ
  • クラシック
  • ¥153
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ドビュッシー: アラベスク第1番

ドビュッシー: アラベスク第1番

  • フランソワ・ジョエル・ティオリエ
  • クラシック
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前奏曲集 第1巻: 亜麻色の髪の乙女

前奏曲集 第1巻: 亜麻色の髪の乙女

  • フランソワ・ジョエル・ティオリエ
  • クラシック
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そしてこの反復を用いた実験・前衛音楽を手掛ける作曲家がその後たくさん現れます。

その先鋒としていたのがジョン・ケージ。そこからテリー ・ライリーやスティーヴ・ライヒ、ラ・モンテ・ヤング、フィリップ・グラスなどが後に続きます。では各人がどういった音楽作家であったのかを紹介します。

ジョン・ケージ

この人の音楽で一番知られているのは4m33s。4m33sひたすら無音というあれです。

そんな人が他にどんな音楽を作っているかというと、In the Name of the HolocaustであったりBacchanaleだったりするのですが、ミニマリズムというよりかは実験サウンド性が多いですね。ヴェーベルンのフォロワーとしてみるとラ ・モンテ・ヤングとかにもにつながったりするのでミニマルの歴史を語る上では外せない存在です。この人が開拓した実験的なアプローチは久石さんも相当影響を受けているはず。

Imaginary Landscape No. 5

Imaginary Landscape No. 5

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 一押しはこちら the オマージュって感じがして好きです。

 

 

ラ ・モンテ・ヤング

概念上ミニマルの生みの親さとされている彼の音楽は基本的にギターの弦を鳴らして、そこからちょっとしたメロディが付加されているものである。元来あるミニマルの刺激的な高揚感が今では環境的な音楽と化している(例えばThe well- tuned pianoはどこを聴いても「同じメロディ」を反復をしているだけ。)つまりは、奏者が楽器の音出しをするのに非常に近い感覚である。そういったちょっとした「音出し」的なものをひたすら繰りラ ・モンテ・ヤングもケージ同様に20世紀前衛音楽の旗手の役割の一旦をになっていたアントン・ヴェーベルン的な音楽から学んだと推測する。

ヴェーベルンの場合、バガテルあたりがミニマムらしさをうかがえる。

余談ですがアントン・ヴェーベルン、ケージとこれらの共通は全てシェーンベルグに帰結したりします。まぁそれほどドデカフォニー(十二音技法)が強烈だったというだけの話ですけれども。

 

A Bonnie Lassie

A Bonnie Lassie

  • Don Bartlett
  • トラディショナル・ケルト
  • ¥204
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テリー ・ライリー

我々がドラッグ映像などで想像するような音楽。つまりは電子オルガンメロディでゲームサウンド的な音の崩しが象徴である。A Rainbow in Curved Air を聴けば一目瞭然ならぬ一聴瞭然。明らかに俺の音楽を聴けと言わんばかりの音の展開。様々な鳴らし方で展開していく様は、教会音楽におけるオルガンのそれとは全く違う。クラヴィコード的なサウンド性(以下の動画の楽器がクラヴィコード

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

  • テリー・ライリー
  • クラシック
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www.youtube.com

を取り込んだこの楽曲の新鮮さはその後に大きな影響を与えたのは想像に難くない。おそらくミニマムの枠を超え、とりわけプログレへの影響が大きいと筆者は考える。
Poppy Nogood and the Phantom Band

 

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

A Rainbow in Curved Air, for electric piano, dumbak & tambourines

  • テリー・ライリー
  • クラシック
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ピンク・フロイドAtom Heart Mother的ともいえる音楽

 

Atom Heart Mother

Atom Heart Mother

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で21mという音楽長編は最初こそオルガンテイストだが、途中から(おそらく)ソプラノサックスが介入してメロディを奏でる構成をみると、コルトーレンの流れ(時代的に考えるとgiant stepあたり)を組んでいるのは間違いない。というかモードジャズ期の連中(マイルスデイビスだったコルトレーン)があまり強烈すぎるというお話。ジャズのお話はいずれジャズ史の時に語りますので、気になる人はそちらを待ってください。
In cではハ調の音階全てが鳴り響く音楽。どんどん重なり合う。シャトルランの音楽がどんどん早くなるあの感じが一音一音ずつ重なるようにといえばイメージしやすい。こちらは趣向的な意味でミニマルの礎を気づいた一曲であろう。

 

ティーライヒ
Six Pianosは70年代に作曲されたものだが、曲というより、一つのフレーズを反復するだけの楽曲であることから、明らかにミニマルサウンドとみて差し支えに。最もIt's Gonna Rainというある種のドラックソングを1965年に書いていたライヒオリジネーターの一人であるが。ちなみに筆者はいわゆる四傑と評されている「ヤング、ライリー、ライヒ、グラス」の中では一番気に入っている作家である。ストラヴィンスキーとかチャーリ・ーパーカーとか好きなんだろなっていう感じがたまらないです。 

Steve Reich: Six Pianos - Terry Riley: Keyboard Study No. 1

Steve Reich: Six Pianos - Terry Riley: Keyboard Study No. 1

  • Various Artists
  • クラシック
  • ¥1375

 

Keyboard Study No. 1

Keyboard Study No. 1

  • Gregor Schwellenbach & Lukas Vogel
  • クラシック
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フィリップグラス
1975年に初演を果たした「浜辺のアインシュタイン」で有名。
どちらかというとオペラや協奏曲を手がけることがおおいため先述してきた作家たいが書くようなソロ音楽はあまりないが、「浜辺の〜」を聞くだけでその音楽性というのはミニマルを踏んでいることがわかる。

個人的な一押しはこちら

Glass:  The Photographer

Glass: The Photographer

  • マイケル・リースマン, Paul Zukofsky & The Philip Glass Ensemble
  • クラシック
  • ¥1630
The Photographer:

The Photographer: "A Gentleman's Honor"

  • マイケル・リースマン, The Philip Glass Ensemble & Paul Zukofsky
  • クラシック
  • ¥255
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 あらゆる楽器で繰り返しを試している.83年とプログレも落ち着いた時期ではあるがこの手のサウンドは珍しい。というか、ミニマルでありつつ情緒が表現されていることが自分がこの作品が好きな理由かなぁ。

なんというかゲームオブスローンズ(邦題:七王国の玉座/氷と炎の歌) のシーズン6 8話の

ワイルドファイアと言われる鬼火でハイ・スパローとかマージョリーを教会ごとぶっ飛ばすっていうサーセイの悪魔的な所業が行われるために作られたLight of the Sevenに近い恐ろしさがある。余談ですがlight of the sevenは曲としてもすぐれてますが、この音楽は映像ありきなのでどれほど爽快でありながら悪魔的な音楽かを知りたい人はゲームオブスローンズのシーズン1-6をみてください。最終章は面白くないので別にみなくてもいいです。

Light of the Seven

Light of the Seven

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以上の作家たちがミニマル史における重要人物なのですが、そんな彼らの音楽手法もバルトークや、ドビュッシー全音音階、あとパガニー二の悪魔的な技巧で作曲された24の奇想曲などからの影響力を感じられ、クラシックに分類される作家は偉大だなと思ったり。

 

 

 

番外編『オスティナート』

このジャンルはオスティナートという意味合いからわかるように「執拗」に繰り返すといったまさにミニマルの音楽の原点というべき音楽体系です。では一般的にどう言った楽曲を指すか。これは説明するまでもないと思いますが代表格はなんといってもグスターヴホルストの火星 戦争をもたらすもの 

ホルスト: 組曲《惑星》作品32 火星―戦争の神(戦争をもたらす者)

ホルスト: 組曲《惑星》作品32 火星―戦争の神(戦争をもたらす者)

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でしょう。ホルスト組曲:惑星がどのような作品かは以下の記事を参照してください。

sai96i.hateblo.jp

 あとは基礎練習でお馴染みバルトーク作曲のミクロコスモス(超絶かっこいいです)も典型的なオスティナート。枝としてのミニマルが印象派の音楽性であるならば、幹としてのオスティナートは恐怖・破壊的なテーマを持つ感じの曲が多いように見られます。さてここでオスティナートの作風を満遍なく使った国民的音楽を作った日本人作家といえば 伊福部昭 

そう、誰もが知るオスティナート日本曲とはゴジラのメインテーマ」

メインタイトル(M2+M1)

メインタイトル(M2+M1)

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誰しもが何気なく聴いていたあのメロディ。実は音楽史をしっかりと踏んだ技法を踏んでいるからこその説得力ということです。ちなみに地震速報の音楽を作曲しているのは伊福部達で血を引く人間が作曲しているところがなんとも言えない感じになります。

シンフォニア・タプカーラ 第3楽章 Vivace

シンフォニア・タプカーラ 第3楽章 Vivace

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 あの音の元ネタも多分このVIVACEのイントロからきてる。というか間違いない。

それらについては 

sai96i.hateblo.jp

 を読んでください

まぁそれはそれとしてこうしてできた流れの音楽に国立(くにたち)音楽大学の作曲学科在学中の久石さんは影響を受けます。A Rainbow in Curved Airwを聴いてミニマル作家になったと言われるほど(実際はライヒじゃないのかと思ったりしますが)ですから、特に色濃いに影響を受けているのはライリーでしょう。

 

 あとミニマル提唱者としてのジョンアダムスとかも入ってますね

Hallelujah Junction

Hallelujah Junction

  • Maarten van Veen & Ralph van Raat
  • クラシック
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では前置きが終わったところで次は実際に久石音楽からミニマリズムを読み解きます。

 

ミニマル視点から見る久石音楽

Clifside Waltz III(あの夏、一番静かな海。)

Clifside Waltz III

Clifside Waltz III

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 これは明らかにサティを意識していますよね。  Clifside Waltz IIIから察せるように当然IとIIもあります。三部構成含めここまでちゃんとオマージュをしています。

 

 Sonatine I ~act of violence  (sonatine)

Sonatine I - Act of Violence (Sonatine)

Sonatine I - Act of Violence (Sonatine)

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 裏打ちでなってるピアノメロディはマイクオールドフィードのチュブラーベルズの系譜

 

SUMMER

Summer

Summer

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今や、夏の定番楽曲となった、久石譲の代表曲「SUMMER」この曲はミニマル楽曲としてあまりに傑作ですね。上の原曲も十二分に楽しめますが、劇伴という側面を感じてしまい、「曲」としてみたとき幾ばくか表現に物足りなさがあるのですが、その後作られた数あるバーションの中で私が劇伴としてではなく、曲として楽しめるのがこれです。

Summer

Summer

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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YOUTUBEの公式動画にも上がっているの是非聴いてください。


Joe Hisaishi - Summer

 

 

 Bus Stop (あの夏、一番静かな海。)

Bus Stop

Bus Stop

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木琴主体でバックでピアノだったりが支える構造は久石音楽印というか節といってもいいほど聴きてには定着していると思いますが、それらもおそらくミニマル音楽からの着想です。さきほど、久石音楽に最も影響を与えたのは、実はライリーではなくライヒではと書きましたが、そう思う最大の理由はこの曲にあります。 

Music for A Large Ensemble 

Music for a Large Ensemble

Music for a Large Ensemble

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どうですか、クレジットを隠して聴けば「作曲:久石譲」と言われても全く違和感がないほど、久石サウンド節の一つの源流になっています。

 

kids return

Kids Return (Kids Return)

Kids Return (Kids Return)

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 この音楽は珍しくギターが乱入してきたり、主旋律が琴だったりと和風とロックのごた混ぜな曲なんですけれども、これも展開としてはミニマルですね。summer同様この曲も「映画」としての音楽で聴くなら原曲でもいいんですけれどこれをretakeというかアレンジしたバージョンのほうが、単曲としてみたときに楽器の表現が重厚になっているのでおすすめです。

Kids Return

Kids Return

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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やはり弦楽器(というかこの場合はチェロ)とピアノ組み合わせっていいですよね。

原曲アレンジの魅力というのは本来こういうものだと実感します。

 

海獣の子供OST

 

 今作は久々のミニマルに徹した作品なのである種、定着した久石音楽よりかは緩急ある変化球と言える作品。どれも素晴らしいがこの5曲はサントラの枠を超えた凄さがある。アンビエントも少し入り混じったりするし趣向そのものに惹かれる。

宇宙の記憶

宇宙の記憶

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嵐の中のふたりなんかは実験音楽

嵐の中のふたり

嵐の中のふたり

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光る夜の海へ なんかではIn C的。つまりはだんだんと重なり合っていくというライリーが開拓した道に通ずるところがある。

光る夜の海へ

光る夜の海へ

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宇宙の誕生は、その名に恥じない壮大さと華麗な音の混じり合いが素敵。あとやっぱり宇宙なのでホルスト組曲的とも言える。

宇宙の誕生

宇宙の誕生

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生命の理由と生命の繋がりはセットで聴いた方がいいですね。特筆すべき点は、生命の繋がりの後半です。ストラヴィンスキー的というか、火星的というかミニマルより講義的な繰り返し技法のオスティナート的という。

生命の理由

生命の理由

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生命の繋がり

生命の繋がり

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ミニマル作家としての音楽 ムクワジュアンサンブル

 

最後に、あまり知られていない久石音楽ムクワジュアンサンブルについて

1981年に(これがジブリ参加する2,3年前っていうのもなかなか熱いですね)ムクワジュ・アンサンブルというグループを結成し、アルバム『ムクワジュ』を発表 私が思うに久石音楽の一つの解答をだしたといってもいい作品だと思います。特にPulse In The Mindなんかは現代音楽やミニマルとして生きてきた中で作り上げた極上の一品だと思います。(というか、最近ヤバイでおなじみのPuhyunecoのakaneのルーツも結局この辺り、つまりミニマルと現代音楽の境目にあるのではないかと思ったり。長谷川白紙はそれをもうちょいメジャーな存在)  

Flash-Backなんかはそれこそジョンケージ的なアプローチでひたすら太鼓がなっているだけですが、そこに魅力を感じてしまう一曲です。

脱線しますけど、既存作家を例に捉えるなら坂本龍一のソロアルバム的とでもいいましょか。A Wongga Dance Songとかその辺り。この曲はシーケンスが全盛の時に作った感があって面白いですね。

A WONGGA DANCE SONG

A WONGGA DANCE SONG

  • 坂本 龍一
  • J-Pop
  • ¥204
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話を戻しましょう。ミニマム作家としての一つの到達点といっていいアルバムなのにituneにはMKWAJUしかないという悲しさ;;

MKWAJU

MKWAJU

  • 久石譲 アンサンブル
  • クラシック・クロスオーバー
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 そしてMKWAJUを聴けば伊右衛門のcmでおなじみのあの名曲の前身となっているのは明白であります。この曲、cmの枠に止まるには惜しいほど傑作なので未聴の方は絶対聴いてください。

Oriental Wind

Oriental Wind

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
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 この曲もいろんなバージョンがありますが、オケとピアノのバランスが取れている点などからこのバージョンに落ち着く。

(脱線)

あとサントリーはいい加減、伊右衛門 新テーマ曲 を音源化するべき。

まぁ、今やってるcmの音楽を高木正勝さんに引継ぎで投入してるのは1000%すぎる正解なのでサントリーは作家のもつ技量を組んで起用してるから、その姿勢はさすがです。

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 高木正勝さんの特集はいずれやります。が、ここで数曲紹介しておくと

熱風

熱風

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きときと - 四本足の踊り

きときと - 四本足の踊り

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 は誰もが認めるメロディアスの秀作。

ちなみに熱風の音楽は、夢と狂気の王国っていうジブリドキュメント映画に使われてる曲で、だからこそタイトルが熱風=ジブリっていうのが個人的に泣けるなーって思うところです。高木さんは、一作品ぐらいジブリに楽曲提供しても久石音楽とは違う路線だけど絶対に外さないのでいつか本編でコラボしかないかなと思ったり

 

閑話休題

では次にクラシックとしての側面を探っていきます。

 

クラシックから読み取る作家性

 

・クラシックの側面から見た久石音楽の源流

音楽の授業なんかでも「古典派」「バロック派」などを目にすることが多いと思います。その中の一つのロマン派の作家で久石音楽に強い影響を与えている作家が2人がいます。

 それぞれの代表曲

ワーグナー 

ワルキューレの騎行などでお馴染みの方です。

ワーグナー:ワルキューレの騎行

ワーグナー:ワルキューレの騎行

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ドヴォルザーク

 新世界などで有名

 と言ったところで、これらを全く聴いたことがない人はいないほど、名曲を作り上げた巨匠です。では具体的にどういったところに影響を垣間見ることができるか

波の魚のポニョ

波の魚のポニョ

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 フルで聴いていただかないとわからないのですが、試聴だけでもテイストがワルキューレであることは一朝瞭然です。まぁこの曲がワルキューレに寄せてるのは崖の上のポニョを構想している時に宮崎さんが流していたという裏話があるので、作家性云々というよりオーダーに寄せた感じがあります。とはいえ、作品がワーグナー 的テイストの音楽で作られていることに違いはないので例として挙げます。

 

さて、ドヴォルザークの音楽がどう影響を与えているかなんですが、これは「ほぼトレース」したといっていいほど弦楽器系の楽曲はドヴォルザーク的です。

ドヴォルザークですといってブラームスはあげないのかよというツッコミはなし

 

人生のメリーゴーランド

Merry-Go-Round(人生のメリーゴーランド)

Merry-Go-Round(人生のメリーゴーランド)

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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これなんて、久石さんからすれば「引用元は当然わかるよね」と言われているようなものである程度クラシックを愛好していればサビのメロディから察しがつけるはずです。 

ドヴォルザーク 交響曲第8番 3楽章を聴いてみましょう。

 そしてこの3楽章をきいてピンとくる楽曲があると思います。

Cinema Nostalgia

Cinema Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
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 余談ですが金ローといえばこのOPで始まり、髭のおじさんが映写機を回している映像の時代が好きだった方も多いですね。あの映写機を回すアニメーションをジブリ制作人が、音楽を久石が作っていたというほぼジブリ状態といっていいものです。

閑話休題

 cinema nostalgiaから読み解く 映画音楽性

 このcinema nostalgiaの弦楽器の運び方や緩急の付け方は三楽章の後半を聴けば誰でも「なるほど」と手を打つと思います。それと同時若干マーラーも入ってるような気もしますが、全体の作風はやはりドヴォルザークを踏襲しています。しかしそれだけでcinema nostalgiaの格式高い感じになるかといえば否です。では映画の劇伴たり得る要素はどこからの影響かといえばニーノロータしか考えられません。

ニーノロータは映画マフィア映画の金字塔と言われてる「ゴッドファーザー」のメインテーマを作曲した偉大な方です。その音楽がこちら

ゴッドファーザーという映画をみたことがない人はこんな三文記事を読む前に三部作をみた方が圧倒的に得です。ちなみに筆者はゴッドファーザーシリーズでは2が一番好きです

ゴッドファーザー - 愛のテーマ(『ゴッドファーザー』より)

ゴッドファーザー - 愛のテーマ(『ゴッドファーザー』より)

  • シティ・オブ・プラハ・フィルハーモニック・オーケストラ
  • サウンドトラック
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 この音楽から読み取れるフランスを想起させる音楽のテイストこそcinema~の深みが出るというものです。

ニーノロータ的音楽は当然この一回切りというわけではなく、風立ちぬOSTなどにも顕著です。旅路(妹)ではいかにも「フランス」を意識した音楽ですし

旅路(妹)

旅路(妹)

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 カストルプなんかは

カストルプ(魔の山)

カストルプ(魔の山)

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 A New Carpet

A New Carpet

A New Carpet

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系統の音楽と言っていいでしょう。

おくりびとのdeparture


Joe Hisaishi - Departures

の前半(3m24s-4m36s)は完全にマーラーを意識しています。

交響曲 第5番 嬰ハ短調/第4楽章:アダージェット;きわめて遅く

交響曲 第5番 嬰ハ短調/第4楽章:アダージェット;きわめて遅く

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このようにオーケストラの作品は辿っていくと影響元が非常に分かりやすいです。(セオリーにのっとっているからこそ)

他にもクラシックからの影響というのも当然あります。それはストラヴィンスキーバルトークブラームス等。そもそも国立の作曲学科に在籍していた方なのでこれらは基礎教養として当然知っているでしょうし楽曲に生かしているとはおもいますが、素人の私がこれ以上の領域(クラシックに分類される作曲家一行)に足を踏み込むとそれこそバッハやヴィヴァルディまで遡ることになり、それには専門的な知識が必要になるのでこれ以上深い考察をしたい場合は個々で行ってください。

 

 

アウフタクトの頻用

今更書くことでもありませんが、聴きてが思う久石譲の音楽らしさはこのアウフタクトにあったりします。

この技法が使われている楽曲で最も有名なのが

トルコ行進曲

トルコ行進曲

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エリーゼのために

エリーゼのために

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どちらも 曲が1拍より前から始まっていますね。

久石楽曲を例に例えると 以下のような曲が該当します。


Joe Hisaishi - Angel Springs


Joe Hisaishi - Ballade

 


Joe Hisaishi - Nostalgia

これらはほんの一部であって他にもナウシカのオープニングであったり人生のメリーゴーランドやsummerなど代表曲といって差し支えない曲には大体取り入れられてます。

若干マイナーな曲ではありますが、他にも

Highlander

Highlander

  • 久石 譲 & Pan Strings
  • クラシック・クロスオーバー
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EVE-Piano Version

EVE-Piano Version

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マルコとジーナのテーマ

マルコとジーナのテーマ

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と数々の作品にアウフタクトが入っています。 

 

 

 

 

 

 

作家の基礎、スタンダードとなるミニマムから古典としてクラシックの踏襲をした要素を兼ね備え、その上にアウフタクトなどの一種の調味料があって初めて「久石譲の音楽性」というのが現れるいうことがわかります。

 

最後に

本編に記載していないだけで他にも久石さんが影響を受けた作品はありますが、おそらく核となっているのは本記事で紹介し切れたと思います。そもそも久石譲の名前は藤沢守で、久石譲はクインシージョーンズ(MJ作品のプロデューサー)の捩りとかそういった当たり前なことを省いた上でいろいろ書いてきました、今回その中で感じたのは初期こそ傾倒していたのは芸術系だったのが、だんだんとポップスになっていく遍歴をなぞれたことです。多分それはブライアンイーノに走ったあたりだと推察できる。イーノとかそこらへんの人たちの台頭っていうのは音楽史的にみてもやっぱり異質と言われている。それこそアンビエント(環境音楽)な方向に進路を変えた影響力っていうのはそれこそ芸術的なアプローチ、或いは単なるミニマルの形が電子的でもありグラムロックを踏襲しつつ新規開拓をした2/1とかは名曲だし。

2/1

2/1

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2/2

2/2

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1/1

1/1

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1/2

1/2

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だからこそ

Silent Love (Main Theme)

Silent Love (Main Theme)

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を書けたのだと思う。

ミニマム作家という基盤こそ揺るがず、そこからクラシック、アンビエント、ポップスとあらゆる楽曲を手がけてきたのは本当にすごいと思う。それは作曲学科で本格的に勉強をした以上の何かがあるからだと今回音源を通してわかった。

 

冒頭にも書きましたが世間的にはジブリの影響の大きさもあって「ジブリアニメ」音楽は非常によく愛されていますが、非ジブリコンテンツへ提供した音楽が語られることがあまり内容に思います。それは音楽好きとしてはあまりに勿体ないです。作品単位でアプローチの違う久石楽曲はジブリ的なサウンドとは別の魅力があります。あの夏へ、よりも明るく作家性によりそった「SUMMER」や、北野武映画のHANA-BIのメインテーマ「HANA-BI」やエンディングテーマに該当する「Thank You, ... for Everything」など様々ですので是非聴いてください。まだまだ語りたいことはありますが、文字数的なことも考慮し、ここまでとします。長丁場の記事を最後まで読んでくださった方 ありがとうございます。出す出すといって全く出ないamazarashiの記事ですが、次こそ出せるようなんとか頑張りますのでもう少しだけ待ってください。

礼といってはなんですが、数あるアルバムの中でも久石音楽を甘すくことなく堪能できる5枚の中からトラックごとに紹介しておきます.あと個人的にベスト楽曲10も載せておきます。セレクト理由は蛇足なので書きません。

Piano Stories Best '88-'08(track.3.5.10.11)

Piano Stories Best '88-'08

Piano Stories Best '88-'08

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥1630

 joe hisaishi meets kitano films(track.2.3.8.15)

Joe Hisaishi Meets Kitano Films

Joe Hisaishi Meets Kitano Films

ENCORE(track2.5.6.7.10.11)

ENCORE

ENCORE

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
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 Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi  track.3,9(disc1) track.10,11 (dick2)

Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi

Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
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Nostalgia track1.9 

Nostalgia

Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 私的久石音楽ランキング

1.Thank You, ... for Everything

Thank You,...for Everything

Thank You,...for Everything

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2.summer(essential版)

Summer

Summer

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
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3.oriental wind(88-08版) 

Oriental Wind

Oriental Wind

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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 4.spring(essential版)

Spring

Spring

  • Joe Hisaishi
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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5.kids return(オケアレンジ版) 

Kids Return

Kids Return

  • 久石 譲
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
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6.天人の音楽

 

天人の音楽Ⅰ

天人の音楽Ⅰ

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天人の音楽Ⅱ

天人の音楽Ⅱ

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7.cinema nostalgia(バージョン問わず)

Cinema Nostalgia

Cinema Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
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8.Asian Dream song

Asian Dream Song

Asian Dream Song

  • 久石 譲 & Pan Strings
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

9.nostalgia(nostalgia版)

Nostalgia

Nostalgia

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 10.バビロンの丘

バビロンの丘

バビロンの丘

  • 久石 譲 & Orchestra Città di Ferrara
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

もう一度、武道館であの感動をやってほしいなぁ、、、

君たちはどう生きるかOST込みで