Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引く

2023年に出した記事の振り返る&雑話

今年は不思議な年でした。人と人との関わり合いが非常に多かった。個人的にはある種達成といってもいい年であった。それらほぼ全てに集約するポイント、あるいは因子はやはりこの記事を出したことであった。

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・寄稿に関する振り返り

驚くことにこの記事も公開から一年を迎えましたが、これを出したことでこれまで読者の壁を突破し、音楽好事家層に増してSF関係や評論・批評じみたものが好きな人たちが好んで読むようになったと反響及び記事のURLのエゴサで感じた。それだけ平沢記事が面白がられたという事実はとても嬉しく、クオリティ的に甘んじたところも多々あるし、なんなら前章というか、実は第一部といいますか導入部としてのパートの記事でしかないので、しっかりと語るのであれば実は次の記事からということになります。多分本当に平沢進のリスナーが読みたい文章はそこにあると思うので、そのうち書きます。ボリュームについては未知です。しかし導入部の記事だけでこれほど反響があるのはやはり意外ですね。

そしてその反響から批評同人誌へのお誘いが2件受け、結果的に3つの寄稿をした。

「もにも〜ど」・・・シャフト音楽論

「外伝もにも〜ど」・・・『アサルトリリィ』論 SF・少女小説シェイクスピア

ボーカロイド文化の現在地」・・・インターネット文化からボーカロイド文化まで

また、献本回収のために現地に行った時に色々な方とお話ができたことが大きい収穫でしたし、特に初対面にもかかわらず某F氏と3時間ほど枷なしのマシンガントークができたのは最高に楽しかったです。

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この寄稿のことでブログの記事に費やす時間があまりなくなったことは事実ではあるが、それはそれ。どうせ更新の遅いブログなのでどのみち更新なしの日々が続くよりかはマシであると言いましょう。3つ寄稿したもののやはり最初に寄稿したシャフト音楽論がとても納得のいく出来栄えでとても満足しています。多分あの深度でシャフト作品における音楽を語った文章というものはそこまで存在しないと思う。と思う一方、第一部に書いた<物語>シリーズの劇伴論については日々、内容がどうも色褪せているというのが書き手としての認識。第三部以後のまどマギの話と音楽とを絡めた話はかなり上手くいったのであと3年は持つはずだなと思うが、劇伴論はもう1年も持たないとはっきりと言える。それは何かといえばどうレビューの側面性が出てしまい音楽に対してまともに向き合えていない。誰でも書けるような内容をかいても意味がないと思っている自分としては5月の時にはこれで精一杯と思っていた。ところがその実全くの浅さのラインでしかなかったということに7月あたりで気づき始めたので、再度<物語>シリーズの劇伴論について考えを巡っていたのですが、この思索は下半期によってどんどん加速していき、目処がたったのでいずれ出します。思惑だけ書きますと、<物語>シリーズの劇伴音楽について根本から語るという題目で前衛音楽論について書きます。一応それっぽく音物語とでも仮題をしておきます。最初は原稿ネタで某誌に投げようとも思ったのですが題材重複はつまらないなと思ったのでブログネタにします。既刊の原稿を持っている方はどう思索が変わったのかを楽しむのも一興ですし、ある種の変奏的な記事にもなるので補完としての側面も出てきます。また原稿を読んでいない人でもグッと読めるような文章を目指します。では何がそこまで劇伴論の思索を自分の脳内の中で上手く更新させたのかといえば、『岸辺露伴は動かない』のサントラ発売と、その音楽の効能について明らかなラインが自分には見えたこと。そしてそのサントラの抽選に当選し制作陣の口から思っていたことが全くもって正しかったことが証明されたことに尽きます。それにまつわる話はこれらの記事を参照していただければと思います。このサントラにおけるあらゆる事象がピースを完璧に埋めてくれたし、音物語(仮題)の大きなヒントにもなった。

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そして更にこれでもか、というくらいに『鬼太郎誕生』のOSTがこれまた面白かったし『岸辺露伴は動かない』のサントラから派生してどんどん語りようのある作品でしたのでそこら辺も混ぜつつといったところですね。

寄稿話及び音楽論はこの辺で。

・EGOISTについて

今更感もでてしまっている空気感はありますがもう自分の中ではとっくに解散した存在であり、ryo(supercell)の曲だけが輝き続けるだけ。そういう感じでのアーカイブとしての存在でしかなかったのですがついに解散しましたね。すごく好きなのに。全然ショックではないのは10周くらいした結果、それなりに自分の中でけりをつけていたからであると思うのですが、それにしても最後の最後に『当事者』を出してきたのは『PSYCHO-PASS』という作品的にもEGOISTという存在的にも良い締めであったし、ryo(supercell)が何を目指して楽曲を作っているかの一旦を素人なりにつかめたのがとても嬉しかった。やはりryo(supercell)のボーカルディレクしょの凄まじさは異常で、これを聴いた人は以後歌詞に対するスタンスやアプローチを変えなければならないと思えるほど明らかにしたというのが本当に面白い。

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今更書くことでもないが、自分はryo(supercell)という作曲家を推しているだけの人間なので、これからryo(supercell)が活躍すればそれで問題ないわけですよ。この考えがあるからこそ、「もうEGOISTいいよ」と思える理由の一つでもある。

問題はryo(supercell)がこの後リリースをゆっくりでもいいので毎年世の中に出てくれることを祈るばかり。今年は『当事者』『笑ウ二重人格』、ゲーム『アスタータタリクス』より「運命のstruggle」「I promise you」の計4曲が世に出ました。2018年の0に比べればここ数年は素晴らしい躍進です。そしてこれら全てに今のryo(supercell)の形というものが凄くあると自分は感じます。『笑ウ二重人格』は韓国の歌い手であるyoei.さんが起用されていますが、声質としてはこれまでのボーカル的な側面を出しながらも違うタイプの歌声を起用した。これには正直驚いた。spcl4期オーディションとしてannが選ばれるくらいryo(supercell)の好みの声質って分かりやすいのですがそのラインから外れてきた。もちろん形式が違うためというもの影響していると思うがyoei.さんの起用は韓国の方の発音性に可能性を感じたという見立てができる。要するに日本人が話す日本語とは発声の仕方がどこか異なっているという形をある種逆手にとって、歌ものとしての表現をより拡張させたいという感じの思いがどこかにあったのかもしれないと、ryo(supercell)のリスナーを長くやっていると感じてしまうのだ。あの凝り性だし。また、マイファスのボーカルとのコラボ楽曲が2曲も来たことも大きいですね。ryo(supercell)楽曲で男性Vo.曲というのはそこまで存在しない中で、まさかのhiroという感じで、それはもう最高の2曲でした。中でも「I promise you」は19年くらいにryo(supercell)が聞いていたであろうdisneyの楽曲性が感じられてとても新鮮だったし昇華の仕方が抜群で#Loveと並んで新しい方向性の位置付けとして聴けました。この二曲が混ぜ合わさった形をsupercellでデュオで数曲、annのソロで数曲分聴きたいですね。多分その手の楽曲がきたら最高の瞬間が待っていることは間違いない。とまぁ色々妄想はできるのですが、現実性の高いところで言えば、2024年は『魔法使いの夜』の主題歌は望めるはずなんですよね。なのでそれがきたらいいなと思うばかりですね。

ryo(supercell)といえば個人で進めているryo(supercell)論も今年part2(前半)を出しました。本来は二部として出すはずだったのですが、色々と事情があって分けました。後半はいずれ。

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小林武史が手がける音楽性の強さ

小林武史の楽曲が劇場で聴ける!!とおもって『キリエの歌』を見に行った。

キリエというと、アニメ版デスノートで「キリエ〜エエエ〜」みたいな劇伴が作中象徴的に流れていたな位の印象。

Kyrie

Kyrie

  • provided courtesy of iTunes

+それらの元のミサ曲くらいで、岩井俊二の作品もある程度見ている状態で作品を見に行ったのですが、まぁ面白かったです。時系列の編集する感覚が似合わない以外は基本的に受け入れられた。しかし、本来の目的である音楽と物語とのシンクロが見え見えで、製作側の意図するところが一瞬で読めてしまってはいはい結局こういうラインねと推察できてしまうが故に純粋に音楽と物語との協和を楽しめなかったのは想定外。とはいえ、あのラインは小林武史すぎるので気になる人は是非見て欲しい。絶対笑います。

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・amazarashi 新譜『永遠市』

散々記事で思いの丈を書いたのですがやっぱ傑作ALの後はきついよねという話。

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全アーティストあるあるだと思うのですが、数を重ねた上での暫定一位みたいな作品の後ってどうしても新しい境地を開拓している途中くらいの感覚で作られているものが多いですから、好きとは言え「でもなぁ」みたいな感情が入り混じってしまって純粋に楽しみきれなかったのは少しだけ残念です。とはいえこの『永遠市』がのちの名盤に繋がることは間違いないのでその点では将来性に期待が持てるのでまぁよしとするべし。

反感は分析し、共感は理解するという言葉をどこかで読んだ気がしますが、まさにそんな感じですね。音楽にとどまらず作品ってそういうものだと思っているので好きなアーティストでも反感するものがあればむしろ積極的に疑いつづけて分析してその上にあるアーティスト側が表現したい世界、というか奥の奥まで見抜こうとする態度こそが大事なので、毎回何も考えずに「最新作が最高傑作」と声高々には自分は言えないのです。そんなもの本来言えば成立しえないですし。

 

・構成する42枚

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もはやこのラインナップも変わってはいるが、少なくともこの記事を出した当初の自分の中ではこうであったというある種の記録を残せたのは良かったかなと。サムネイルでつって、その実本来の42枚表を記事の中でみせるという、変な構成にしたのが思い出です。こういうものを作る時に1アーティストにつき1枚という縛りは結構面白いなと感じました。このタグは非常に有名で色々な人のベスト42枚が見れます。そしてそのラインナップをみることでその人の趣向もなんとなく掴めるのでそれ込みで面白い遊びかなと思ったり思わなかったり。

 

以上、今年だした記事の振り返りでした。

今年は10記事しか出せませんでしたし、当サイト特有の厚かましさ満載の超大ボリューム記事もブログでは時間の都合上かけませんでしたが、そのほかの媒体で色々と発表できたのは繰り返しにはなるけれど良かったかなという印象です。

 

来年の2024年は1月初っ端から尾石達也監督作品の『傷物語』三部作の一本化ver.の『傷物語 こよみヴァンプ』もあるし『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 〈ワルプルギスの廻天〉』も冬ごろ控えているので非常に楽しみですね。特に後者はいかなる手を打ってくるが楽しみです。シャフト音楽論ではとある予想めいたことも書きましたが当たっている外れているのどちらにしても、要は作り込みの段階でのレイヤーの層がとても分厚いことだけは確かなので純粋に見に行きたいですね。また『DUNE』の二部作目も控えていますし個人的に楽しみな作品があるのでそれらに期待を寄せつつという感じです。

 

来年もどうか「Music Synopsis」「まふまふ速報」をよろしくお願いします。