Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引く

構成する42枚について

シャフト批評の寄稿記事をずっと書いていたおかげで、随分と音楽ブログを蔑ろにしてしまった感じがあるので、休憩記事として本来あるべき音楽ブログのような記事を提供します。つまりはおすすめの音楽を理屈抜きにただただ良いと書くだけの記事です。

 

話題を探していたらありましたよ。Twitterで話題の#私を構成する42枚 というタグが

これが目について、面白くて色々な人の42枚を見るわけですが、その度に「この人は〜世代の人なんだな」「AとBがあって、C、Dの繋がれでE ・F ・Gがあるから〜ジャンル好きで、変化球でH・Iがあるんだな〜」と傍観者の遊びが楽しくて堪らない。単なる思いつきですが、本来音楽ブログであるMusic Synopsisとしては久々に真っ当な題目を書いている気がします。普段は音楽を"作品"として捉えた上で、その良さを理解するための補助線として色々と知っていると1000倍楽しめるよっていう記事を出していますが、今回はその趣旨から少し外れてます。

 

 

では自分の場合どうかと考えると意外と難しい。何が難しいかといえば、ジャケットだけで伝わりきれない魅力があるからそれなら記事として出した方が、結構魅力を伝えられるのではないかと思い記事にしてます。抽象度高いですがご愛嬌を。42枚全部を書いているとそれは飽きるので、42枚の中でもお薦めしたい作品にピックアップコメントを入れています。

 

では、早速本題ですが、まず枚数指定が良いですよね。100とかならよく見かけますが、42というのが絶妙すぎる数字。御託はともかくとして、早速ですが、自分の42枚をご覧ください。当然ですが暫定です。なんならこれを作った日から数日経っているので、今の自分からしたら少しだけ違ってきます。その場のノリ感も強いですが、結構主軸は押さえていると思います。偏愛すぎるのもあれなので、一応条件として1アーティスト1枚という*1縛りありです。

 

この42枚選ぶのに3時間かかりました。

リストにするとこのような並びです。

これをみてどう思うか皆さんもいろいろと頭の中で詮索してみてください。

まぁ最上段はクラシック。これは外せないですね。もともとその畑の人間というのもあり、クラシック音楽というもの自体が土台別格なのですが、その中でも好きな5枚です勿論、ベストは生演奏ですよ。この5枚は楽曲は勿論の大好きですがそれ以上に指揮者と楽団へのこだわりが強いです。

  • 1. Carlos Kleiber: Vienna Philharmonic Orchestra - Beethoven: Symphonies #5 & 7

カルロス・クライバーとウィンフィルの組み合わせでベートーヴェン交響曲第5番と第7番。カルロス・クライバーはご存知の通り、偉大な指揮者であるエーリヒ・クライバーの息子です。これ以上の至高の組み合わせがあるかって話ですよ。個人的に世界で最も美しい交響曲ベト7という思い入れがあるので、第5番も勿論圧倒的ですが、やっぱりベト7が最強であると強く主張できます。クラシック何聴いたら分からない人向けにもお薦めできる最強の音源です。

  • 2. Berliner Philharmoniker - Stravinsky: The Rite of Spring / Bartók: Concerto for Orchestra

ストラヴィンスキーの春祭ですね。春祭というよりもディズニーのファンタジアの恐竜の音楽といったほうが通じるでしょうか?恐らく幼少期に見せられた方は多いと思います。因み初期ディズニーでは『ピノキオ』(1940)がぶっちぎりだと思ってますがそれは別の話。そしてこの楽曲を指揮するのはカリスマ性で聴衆を圧倒したヘルベルト・フォン・カラヤン大先生。指揮者としての知名度ではおそらくダントツなので、名前だけでも知っている人は多いのではないでしょうか?そして、演奏をするのはベルフィル。これもまた偉大な楽団の一つです。ウィンフィルとベルフィルは世界的な管弦楽団というのは流石にご存知だとは思いますが、楽曲によってどっち派っていうのは変わるというのが自分の感想。ただ、春祭ならベルフィルがいい。他のどの演奏にもない迫力がこの演奏にはあります。バルトーク楽曲もあるので、二度美味しいみたいなアルバムでもあります。

  • 3. Richard Wagner - Wagner: Der Ring des Nibelungen

リヒャルト・ワーグナー、ロマン派オペラの神。頂点に立つ作曲家。そんな作曲家が書いた『ニーベルングの指環』はあまりにも有名。そして指揮者はゲオルク・ショルティです。確かこの人はエーリヒ・クライバーから影響を受けていたはず。sirの称号を得ているところからもわかる通り、偉大な指揮者一人です。楽曲数178曲。4時間という大作は作品が一大叙事詩であることに起因している。長いと思うか短いと思うかは人次第だが兎角素晴らしい。一回は通しで聴くべし。グラミーでも31回受賞の経験をもつ彼の腕前で、演奏はウィンフィル。そんなワーグナーで是非堪能してください。 

 

 

4. Andrea Battistoni: Tokyo Philharmonic Orchestra - Beyond the Standard 1: Dvořák Symphony No.9, etc

 

シンフォニア・タプカーラ」第三楽章:Vivaceの演奏の中でおそらく最上級。日本のクラシック音楽はここまでかっこいいぞということをバッティストーニの指揮によって身を持って感じられる。これだけでも大満足。「シンフォニア・タプカーラ」にはいろいろと面白いエピソードもあるので、詳しく知りたい方はこちらをチェック。

sai96i.hateblo.jp

 

5. Pyotr Ilyich Tchaikovsky - Tchaikovsky: The Nutcracker

チャイコフスキーの楽曲は、変に歪なところがなく、言ってみれば分かりやすく、感動しやすい楽曲が多いのですが、じゃあそれにチャイコに比類するその手の作曲家がいたかといえば、割といないというのが自分の中での結論。三大バレエが全てチャイコの功績であることからもそれは恐らく半分以上あってる。不思議さを象徴するチェレスタや、色鮮やかなホルンソロなど、作品に対するアプローチの発想がとんでもない。そんな中でもやっぱり『くるみ割り人形』は外せない。そしてこれも演奏はベルフィル。やっぱり外さないという意味ではベルフィルに若干の肩入れをしている気がしています。

 

これより下はいわゆるポップス音楽や劇伴が占めています。

6. Supercell - Today Is A Beautiful Day

全編ryo(supercell)世界を堪能できるポップスアルバムです。これについては多分別の記事で、というより進行中のryo(supercell)作家論で書きます。必聴です。

 

7. Massive Attack - Mezzanine

時代を超越するサウンドワークス。このジャンルの中では圧倒的な名盤だと思います。

 

9. Muse - Absolution

デビュー作のshowbizと迷ったけどこっちの方がダイナミズムでなおかつ、ラフマニノフを入れたクラシカルな側面をもつのでabsolution。音が洪水のように流れてくる作品です。

 

12. Keith Jarrett - The Köln Concert

ピアノアルバムの最高傑作。これを聴かずして何を聴くってレベル。

 

 

14. Emerson, Lake & Palmer - Tarcus

15. Pink Floyd - Atom Heart Mother

プログレからはこの2枚。すごく迷った。けど、やっぱりこの2枚に落ち着く。何を言っているのかが分からない人はわかるようになるまでプログレを聴き続けてください。

pink floydに関しては、難しすぎて、The Dark Side of the Moon(1973)も大好きだし、the wall(1979)も当然良いし、Wish You Were Here(1975年)も捨てがたいし、初期サウンド、というよりシド・バレットがいた時代もいい。けどatomic heart mother(1970)にしました。好みの問題ですね。elpに関していうのであれば Brain Salad Surgery (1973年)が標準だとは思うのですが、ジャケットの成田亨パロディ込みでこっちのほうが、愛せるなと。作品として愛せるなと。それをいうなら、Brain Salad Surgery (1973年)はH・R・ギーガーだろっていう話なんですが、、まぁ好みですね。これも

 

16. João Gilberto - 2003 Live In Tokyo

ボサノヴァを聴くならまずこれ。

 

19. Underworld - Beaucoup Fish

作業用BGM最強アルバムっていうのは半分くらい冗談ですが、Underworldサウンドがめちゃくちゃカッコいいと思えるアルバムは自分にとってはこれでした。

 

20. Led Zeppelin - Physical Graffiti

IVじゃないんだ。っていう心の囁きはわかります。結局zeppelinも全部いいけど、その中でどれにしようかなっていうのをその時の気分で選出しただけです。しかしPhysical Graffitiはもうちょっと評価されても(十分評価されてますが)良いのではないかという意味も込めこちらにしました。

 

23. 鷺巣詩郎 - Music from "EVANGELION: 3.0" YOU CAN (NOT) REDO.

いきなりアニメ劇伴がきたなと、作ってて思いましたけど鷺巣詩郎の劇伴傑作はこれ。

結局シン・エヴァOSTも流用みたいな流れはあるにしろ、この劇伴の流れを汲んでいるから。これがベスト。「Quatre Mains (a quatre mains) =3EM16=」が強すぎ。

24. John Williams - Star Wars: The Empire Strikes Back (Original Motion Picture Soundtrack)

まぁこれは映画音楽の基盤なので、当たり前の選出。嫌いな人はいない。

 

33. 中川幸太郎 - コードギアス 反逆のルルーシュ R2 O.S.T.

鷺巣詩郎の作品は別にエヴァとは別に、作品として好きなのですが、この場合はコードギアス大好き人間っていうのが影響している。ただ、OSTがバラバラでまとまっていないので、これではないアルバムに入っている楽曲もあって、すごく悩みましたけどGrand Freetが入ってるのでこれにしました。この楽曲が劇中で如何に重要であるかは見た人であればご存知のはず。とにかく痺れる。そして中川幸太郎はもっともっと評価されてほしい。

 

 

31. toe - the book about my idle plot on a vague anxiety

32. nuito - Unutella

ただただマスロックの中でもこれらがベストだった。

 

36. 椎名林檎 - 勝訴ストリップ

説明不要の基礎教養。椎名林檎の才能の限界値を亀田誠治が思いっきり引き出した名盤。ギブスが全てといえば大体通じる。アルバム版は全部つながってるので、その意味ではシングルのギブスのほうが美味しいです。ギブス以外にも、浴室や罪と罰があるのでその時点でもう勝ちですね。ただやっぱりギブスが強すぎるという話。菅野よう子やryo(supercell)もこれにやられてる。ギターも聴きどころの一つ。

 

37. Salyu - TERMINAL

小林武史プロデュース、女性アーティストの中では圧倒的なベスト。8mの大作「to U」が化け物みたいな楽曲。特にBメロあたりは作曲:小林武史ならではのライン

 

 

39. トーマ feat. 初音ミク - Eureka

40. Kemu - PANDORA VOXX complete

41. じん - メカクシティレコーズ

42. wowaka - World 0123456789

ボカロからはこの4枚。トーマはアザレアよりも「Eureka」の方が収録楽曲が強いし作家性という意味ではこっちの方が上。「PANDORA VOXX complete」はかっこよさの"全て"が入ってる。この中で一番すごいのは「メカクシティレコーズ」全トラックアクセル全開。ハズレなし。この話についてはいずれ詳しく取り上げます。さて最後はwowakaから同人の「World 0123456789」を選びました。こっちの方が濃度が高い。やりたい音楽の方向性が最初から決まっていたことがわかるし、それを彼は生涯追求し続けたという点が非常に偉大なところです。

 

まぁざっとこんな感じですかね。他についてもそれなり以上に好きなのですが、それについてたらたらと書くのもアレなので。今回は42枚の中でも特にこれが好きという意思表示をする回にします。

 

みなさんも今一度振り返ってみて42枚を考えてみてはいかがでしょうか?

www.neverendingchartrendering.org

で作れます。パソコンでやった方が作りやすいです。

 

それでは駆け足で大変申し訳ないですが、これでも5000字を超えているのでこのくらいで締めます。5/21の日曜日には没原稿をあげる予定です。こちらは寄稿文章で採用されなかった文章なので、まずはこちらをお買い求めいただいた上で読んだ方が面白いので、距離的な意味では行ける方はぜひ!!

sai96i.hateblo.jp

それでは日曜日にまた更新できればと思ってます。

最後に偏愛ver.を載せて締めとします。

ありがとうございました。

 

偏愛ver. サムネイルはわざとこっちで設定しました。

 

*1:ちなみに偏愛ver.は最後に載せています。