Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引く

amazarashiと秋田ひろむ 歌詞・楽曲の魅力を再考・解説

書くぞっと思いつつ中々完成まで持っていくことが難しかったamazarashiの特集回。

最初はamazarashiのアルバムレビューを書くつもりでしたが考えていくうちに長い記事になりました。アルバムレビューの範囲は初期〜ボイコットまでを範囲とします。

 

 

絶望からの再出発から

アーティスト,というよりミュージシャンはみんなそうである。と言われればそれまでだが、秋田ひろむは東京のメジャーデビューを目指し、上京をしていた時期があった。ファンの中では有名だが、その昔chameleon life(調べればいろいろ出ます)というバンドで作曲兼コーラスという立ち位置で、レーベルからも声がかかったが、いろいろあってしかし都落ち。そこからの再出発し、数々の姿形を変えて(star issue とか,あまざらしとか)それらを経てやっとamazarashiということはまずは踏まえておきたい。だからこそ歌う詩に含蓄がでるというものである。なんだかんだ失敗続きでも20代で成功しているようなパターンではない。アニソンだと大石昌石が近いと思う。サウンドスケジュールで一部では評価されたが、大いなる爪痕を残せなく、ひたむきに夢をおった先にジャパリパークととんとん拍子のスターというようなあの感じ。


歌詞から読み解くバックボーン・テーマ性

歌詞を見ながら聴きたい曲が、今いくつあるだろう

少なくともワンルーム叙事詩前後でこれを提唱していることから、秋田ひろむは音楽よりも歌詞に重きを置いている作家であることは自明である。編曲の大多数を出羽さんが担当されていることからも、やはり楽曲の妙というか、こだわりは一任している印象を受ける。

 

ざっくりではあるが秋田ひろむが書く詩から以下のように分析できる。

【主に参照しているであろう作家】

中原中也/別離、サーカス、我が生活

太宰治/桜桃、駆込み訴え

寺山修司/寺山修司の幸福論・書を捨てよ町へ出よう・あゝ荒野

小林多喜二/蟹工船

宮沢賢治 /銀河鉄道の夜・よだか

どの著者も言わずもがなという大家です。

 

 ・中原中也

さよなら、さよなら!
  あなたはそんなにパラソルを振る
  僕にはあんまりまぶしいのです
  あなたはそんなにパラソルを振る

別離(青空文庫)より引用

amazarashi少年少女より

さよなら さよなら
せめて笑いながら手を振った 

この歌詞に通ずるところがあります。

他にも

幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処ここでの殷盛さか
    今夜此処での一と殷盛り

山羊の歌より「サーカス」(青空文庫)より引用

 amazarashiのナガルナガルより

幾時代かがありまして 悲しいことが起こりました
もう 知らない振りはできないよ 僕らは知ってしまったから

あからさますぎて、こちらは誰もが気づいたと思いますが、まぁこういったところに中原中也からの影響があります。

 

小林多喜二

小林多喜二蟹工船プロレタリア文学であることと秋田ひろむの基本的歌詞性の本質が弱者救済であるというのは偶然ではない。その昔「あまざらし 闇の中 〜ゆきてかへらぬ〜」という楽曲が蟹工船のトリビュート楽曲を無名時代(というよりあまざらし時代)に公募の中から見事に発掘されていたりするしここは絶対に抑えている。

 割と近いことを↓のインタビューで感じました。

news.yahoo.co.jp

秋田)

この歌詞は、自分が選ばれなかった少年だとしたら、社会から見放された人間だったら、自分は自殺するタイプだと思っているんです。同じように、他人に怒りを向ける人もいると思うんですよ。ナイフを持った少年はまさにそうした状況を描いているんですが、やはり自分の報われない状況を描いたんだと思います。強烈にもがいているというか、amazarashiの曲はラストに小さな希望を入れています。曲を書いているなかで、答えは見えないですけど自分なりの希望が欲しいと思っているんですよ。最後の歌詞で、自分なりの希望を見つけることができた、完成だ、という作り方をしていて。それだけに、一番自分の苦しい部分を描いています。

 

 

宮沢賢治

アーティスト全般にイメージソースを与え続ける宮沢賢治からの影響はスターライトやよだかの星などの楽曲から言うまでもなく。メジャー版スターライトはそれこそアレンジが効いていていい曲なのは間違いないのですが、ギターとピアノだけの音源もシンプルでありながら、力強く歌う秋田ひろむの声が聴けていいものです。(比べるとアレンジで変わったところや歌い方に差異がみれて面白いです)

スターライト

スターライト

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よだかの星

よだかの星

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 ・太宰治

太宰治からは「言葉の切迫性」という点に尽きると思います。それは人間失格を読んで衝撃をうける「言葉のマジック」と呼ばれている物ではなく、読み手にあまりにも正直な「俺がいいたいこと」が文章になった時の流動感のことを指します。amazarashiの歌詞の迫力はこういったところの影響が強いと感じます。具体例を2つあげます。

申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、ひどい。酷い。はい。いやな奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。

駆込み訴え(青空文庫)より引用

死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。

 晩年の「葉」(青空文庫)より引用

上記の例からわかるように言葉、詩の勢いというものにamazarashiの歌詞と通ずる側面であることが分かる。太宰治からの影響元は、中原中也宮沢賢治に比べてより具体的な言及がないのが意外ですが、歌詞全体を考えた時に一番意識しているのは実は太宰治だということが考察できます。

 

そのほかにも読み取れる部分があるが、寺山修司からの影響はかなり強い。

分かりやすいものの一つとして夜の一部始終という楽曲で「寺山の詩集」と書いてしまうくらいの正直さがある秋田ひろむ。それがもっと顕著になったのが 「たられば」という近年の作品の歌詞の構造。ありがちの型といえばそれまでだが、寺山修司を敬愛しているという事実から思うに「幸福が遠すぎたなら」という詩からの引用と考えるのが適正であろう。


www.youtube.com

 

幸福が遠すぎたら/寺山修二 

さよならだけが 人生ならば
また来る春は 何だろう
はるかなはるかな 地の果てに
咲いている 野の百合 何だろう

さよならだけが 人生ならば
めぐり会う日は 何だろう
やさしいやさしい 夕焼と
ふたりの愛は 何だろう

さよならだけが 人生ならば
建てた我が家 なんだろう
さみしいさみしい 平原に
ともす灯りは 何だろう

さよならだけが 人生ならば
人生なんか いりません

その他にも

アノミー

寺山修司の『アダムとイヴ、私の犯罪学』がモチーフになって出来た曲です。1966年の作品なのですが、それが今を舞台にしたらどうなるだろうと考えてたのがきっかけです。普段ニュースを見て感じるような不安感だとか、そういうものの根っこにあるものを知りたいと思って歌にしました」

natalie.mu

というような作品モチーフまでしてしまいます。

──絵画や映画、小説など、音楽以外で影響を受けたものはありますか?

寺山修司太宰治。自意識過剰な人間だったので、やり場のない自意識の置き場を教えてもらった気がします」

同インタビュー記事でこのように話しているところ見ると秋田ひろむの中では 大枠としては太宰で、歌詞のチョイス、楽曲世界観が寺山からの引用という構造が私の結論。

 そしてこれらの世界観を尾崎豊的な歌唱をで歌うからこそ語りのポエトリーが余計に機能する。

 

 

 

次に音楽的アプローチ・エッセンスで考えてみよう

よく言われるのはブルーハーツですが、ポエトリー要素と言う点ではTHA BLUE HERBからの影響を公言しています。

www.cinra.net

秋田:あんまり詳しくはないんですけど、THA BLUE HERBとかRHYMESTERとか好きです。最近小林勝行さんの“108 bars”という曲を聴いて衝撃を受けました。

 

古いsf映画という楽曲で

古いSF映画

古いSF映画

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  • ポップ
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映画を参照する節は(この曲の場合ブレードランナー(定番な元ネタなんですがね))

未来世紀日本などを発表したところからの影響だろう。

未来世紀日本

未来世紀日本

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music.apple.com

言ってしまえばアーティストはみんなディストピアを意識した楽曲をつくりがちで、この曲もただそれだけなんですが(オーウェルの「1984」とか、ハクスリーの「素晴らしき新世界」、ザミャーチンの「われら」などのイメージソースを必ず元になってるのはお約束)組み合わせというか、料理のしかたが上手い。ラ・ジュテ(1962年の仏映画)っぽくもあるし、士郎正宗攻殻機動隊木城ゆきと銃夢などが主題としているテーマ性をしっかりと組んでいる。タイトルはテリー ギリアム監督作品『未来世紀ブラジル』(原題:brazil)のもじりだし。ゲッチィングのE2-E4を組み込むところとか巧妙すぎる。マニュエル・ゲッチングのE2-E4はシーケンス、ミニマル、トランスなどあらゆるギミックが詰め込まれた傑作なので是非聴いてください。

E2-E4

E2-E4

 

 と、今聴いてもこのくらいの感想が出るくらいには、未来世紀日本の影響というのは当時の人からすればとんでもなかったであろう。他にもhiphopアーティストからの影響を受けていることが公言されているが、悲しいことに書き手の私があまり詳しくないジャンルなので割愛。

 

 

・ポストロック的なアプローチを考える

聴けばわかると思うが、65daysofstaticのradio protectorの序盤のドラムリズムは

Radio Protector

Radio Protector

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amazarashiの季節は〜に通じる。

季節は次々死んでいく

季節は次々死んでいく

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明日には大人になる君へ

明日には大人になる君へ

  • amazarashi
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 まぁこっちの方がわかりやすいかな。

さて、ここでポストロックがいかなるジャンルかを考えてみようと思う(というより足並みを揃える) 。無駄な説明をしないために考えるな感じろスタイルでいくつか音源を列挙する。

まず一番分かりやすい(メジャーなバンドという意味で)toeがあがる。

past and language

past and language

  • toe
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シガーロスもこの手のジャンルでは非常に有名。

サンプルの試聴でもわかると思うが、ミニマルと通じる繰り返しが多用されている。そこに音を加工したりツイストしたする。そういう音楽という認識で一旦大丈夫。過度なまでの繰り返しがオスティナート、というのは久石特集でのべた。

sai96i.hateblo.jp

ここでポストロックを繰り返し音楽という区分で考えると

オスティナート>ミニマル(音の繰り返し)=ポストロック(音の音色、強弱)

ちなみにポストロックに変則的な音楽を加えるとGhosts And Vodkaとか、nuitoのunutellaなどのマスロックに繋がったりする。

sai96i.hateblo.jp

というのが、大枠の認識として捉えるのが一番分かりやすいのではないか。

そこにはヴェルヴェットアンダーグラウンドの名盤というか神盤(1967)

 

Sunday Morning

Sunday Morning

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Femme Fatale

Femme Fatale

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Heroin

Heroin

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 から始まる歴史があるが、それを語るのはまた今度。

(脱線の話題の方が文章に圧が入ってしまうのはゆるして) 

 

余談だが、65daysofstatic→季節は〜のくだりの指摘が既に Night-capさんによって先をこされてしまった。悔しい。

night-cap.net

これが秋田ひろむの「こだわり」をもって出羽さんが編集しているのか、はたまた出羽さんの趣味なのかはわからないが、amazarashiとして出している音源としてはポストロックバンドの影響を受けていると言える。

 

 ここ数年でamazarashiはメジャーになったことでamazarashiの歌詞を論文の題材にしたものがあり、そこで歌詞から頻繁に使われる用語を解析した表があった。

f:id:sai96i:20210504164122p:plain

http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kokugo/nonami/2020soturon/sakaura.pdf

引用元:amazarashi 秋田ひろむの歌詞における表現特性(P9)

これを出現回数値が近い単語で分けると

(人、言う、生きる)  100回以上

(今、笑う、死ぬ、世界、見る)80〜99回

(夢、夜、泣く、言葉、歌)70~79回

(自分、無い、歌う、今日、思う、明日、人生)60~69回

(終わる、涙、全部、一つ、消える、知る)50~59回

(過去、忘れる、風、分かる、心、僕、手、街、空、未来)40~49回

(全て、できる、綺麗、続く、信じる、呼ぶ、嘘、愛、夏、変わる、悲しみ

人間、顔)35回~39回

 

こうしてみると、対義語などが目立つ。生きると死ぬ、笑うと泣く、過去と未来

全部と一つ、今日と明日など これらは「絶望を歌いつつ、それでも」が単語単位として現れていると考える。また、一見出現回数の多さに目が行きがちだが、40-69回に出てくる単語の方がamazarashi味を感じるのは、80~100以上が大枠として言いたいテーマに対して、ディティールを表現する用語だからと推測する。

 

 

 アルバム群レビュー

ではこういった作風・作家性を踏まえた上でアルバムを紹介します。

mini album

光、再考

f:id:sai96i:20210424222026j:plain

1.光、再考
2.少年少女
3.真っ白な世界
4.隅田川

5.ドブネズミ
6.未来づくり

「神様なんてとうの昔に阿佐ヶ谷のボロアパートで首吊った」

という歌詞から漂う異質感の光、再考もあれば、少年少女などのamazarashi史観を通しても屈指の名曲が収録。物語性というより読ませる歌詞構成、単語の秀逸さが光っている。冒頭が

「彼女はきっと戻らない」 

からはじまり

「思い出なんて消えてしまえ」

 

まででの歌詞に深みを(安っぽい言い回しだが)感じることができるのだと思う。隅田川star issueの時代からある楽曲で、そっちで歌っている方が、荒々しさがあるが、あまざらしでの歌唱では、尖さえないものの、語尾の発音などがしっかりしてる分、曲として聴きやすい。全曲ハズレなし。

 

0.6(0.と同じ内容)

amazarashi 0.6

amazarashi 0.6

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1071

1.光、再考

2.つじつま合わせに生まれた僕等

3.ムカデ

4.よだかの星

5.少年少女

6.初雪

 

やはり初期は名曲揃い、既出の楽曲以外でも「つじつま合わせに生まれた僕等」が収録されている。最近はハンターハンターにも流用されるくらいには有名ですね。それくらいメジャーな曲です。初雪では、ピアノが雪を表現しながら、秋田ひろむの一生懸命うたってるけど、途中で声が裏返る、声帯の拙さが聴ける一曲もある。

 ムカデはいいですよね。東京喰種を書いた石田スイはこの曲絶対好きだろうし、これを通して季節は次々〜をオファーしたまであると考える。

後年

神様僕はわかってしまった

 の歌詞は、神様、僕は気づいてしまった。とちょっとペンキで上乗りされた形で、某バンド名として意味を成してきます。他のアーティストがバンド名につかってしまうくらいの文章を書いてしまう秋田さんは偉大ですね。


爆弾の作り方

爆弾の作り方

爆弾の作り方

  • amazarashi
  • ポップ
  • ¥1528

1.夏を待っていました

2.無題

3.爆弾の作り方

4.夏、消息不明

5.隅田川

6.カルマ

 

秋田ひろむの作曲絶頂期すげーっと感じる一枚。爆弾の作り方と、夏を待っていました

無題が3連発とかいう奇跡。

爆弾の作り方

爆弾の作り方

  • amazarashi
  • ポップ
  • ¥255
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中でも爆弾の作り方は、タイトルもそうですし

「薄弱なアイデンティティ

「虚無的なイデオロギー

 

などの厨二っぽさがありながらどこか意味ありげな感じの歌詞がいいですね。この曲はテンポと歌詞が連動している感じが耳に良く、何度でも聴きたくなる楽曲ですね。

夏を待っていました

夏を待っていました

夏を待っていました

  • amazarashi
  • ポップ
  • ¥255
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は、物語調を意識しすぎた感じがして好みではないのですが、編曲の好き度でいえば上位にきます。

無題

無題

無題

  • amazarashi
  • ポップ
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 は、一度成り上がるものの、描きたいことを描いたら、人が潮を引くように去ったという歌詞が抜群だなと。歌詞上では最後に彼女も戻りますし。

 


ワンルーム叙事詩

ワンルーム叙事詩

ワンルーム叙事詩

  • amazarashi
  • J-Pop
  • ¥1785

1.奇跡

2.クリスマス

3.ポルノ映画の看板の下で

4.ポエジー

5.ワンルーム叙事詩

6.コンビニ傘

7.真っ白な世界

 

まだまだだぜ、と秋田ひろむがさらなる高みの作曲力で作られたミニマルバム。もうここ前後だけで完結してもいいのではないかと思うほど。ミニアルバムながら、歌詞の魅力が十二分に詰まった傑作です。

 

 

冒頭から

奇跡

奇跡

奇跡

  • amazarashi
  • J-Pop
  • ¥255
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 展開、歌詞の壮大さ、どれをとってもいい。「それをいちいち悔やんだって〜」から始まる、宇宙まで展開する。3m36sからの助走リズムからの盛り上げ方。初期楽曲の中ではつじつま合わせに匹敵するポップソング。ピアノのアップテンポさと、ドラムのリズミカルな要素がここ付近から強めというか、顕著に出てて面白いです。

 

 

クリスマス 

クリスマス

クリスマス

  • amazarashi
  • J-Pop
  • ¥255
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イントロは「the クリスマス song」っぽいですよね。この曲はエッセンス性という意味では意味のあると思います。「小さいものでも、重なれば大きくなる」 というのはありきたりではありますが、その後言い回しを変えてamazarashiの歌詞に出てくる感じがします。その他に

「ミサイルが飛ぶ」

「汚れた僕が汚した世界」

 

といった言葉選びがamazarashiというか、この頃の秋田ひろむだなと感じられます。

 

ポエジー

ポエジー

ポエジー

  • amazarashi
  • J-Pop
  • ¥255
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amazarashiのポエトリー楽曲。今も、時たま出しますが、この頃のポエトリー楽曲は秋田ひろむの牙剥き出しの歌唱で言葉の鋭さが聴けるのでいいですよ。

 

ワンルーム叙事詩

ワンルーム叙事詩

  • amazarashi
  • J-Pop
  • ¥255
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冒頭から

「全部嫌になったからこの部屋に火をつけた」

 

からのサビで

「燃えろ 燃えろ〜」

 の下りと

「サイレンの音でふと我に帰った、帰るべき我があることに驚いた」

 

など、ワンフレーズの強度がamazarashi楽曲の中でもかなりのもの。

 

 

 


アノミー

アノミー - EP

アノミー - EP

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1528

1.アノミー

2.さくら

3理想の花

4ピアノ泥棒

5.おもろうてやがて悲しき東口

6.この街で生きている

 

アノミー


www.youtube.com

 

「そんなら この神経過敏な愛で 救えた命があったか?」

 

「神様なんて信じない 教科書なんて信じない 歴史なんて燃えないゴミだ 道徳なんて便所の紙だ」

などの歌詞から分かるように、暴力性が強い。ykbxさんのアニメーション動画との協和性がいい。

 

さくら 

さくら

さくら

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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アノミーとは打って変わって柔らかな楽曲であるものの、、タイトルとは裏腹に書いてある内容が暗い。

「僕らの旅を青春なんて名付けて過去にすんな」

 

という歌詞がお気に入りですね。

曲的にも、奇跡と同様、最後に盛り上げる構成がうまい、僕は歌う 歌うっというのが切迫感があっていいですね。 

 


ねぇママ、あなたの言う通り

ねえママ あなたの言うとおり

ねえママ あなたの言うとおり

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1630

1.風に流離い

2.ジュブナイル

3.春待ち

4.性善説

5.ミサイル

6.僕は盗む

7.パーフェクトライフ

 

まぁこの中でなら、性善説でしょう。

性善説

性善説

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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全体の風景をマクロ的な視点で語るっていう意味ではつじつま合わせのリメイクというか、同種、同じ匂いがします。

「僕は僕を保つのに精一杯で、そのくせ誰かの肩にもたれていた」

 

の一文の凄さ。人間の悪性を、詩に落とし込んでいるのは秋田ひろむだからこそ表現しえたものだと思います。

 

ジュブナイル

ジュブナイル

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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 ジュブナイル=少年少女。というのは今更書くことでもないが、まぁ、それにしてはあまりにも本質をつきつつも、それでもやっていけっという冷や水応援歌みたいな曲。

「どうせ誰も助けてくれない それを分かって始めたんだろう」 

 

この文は、刺さる人にはかなりダメージを与えるのではないでしょうか?

 

 


あんたへ

あんたへ

あんたへ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1528

1.まえがき

2.あんたへ

3.匿名希望

4.冷凍睡眠

5.ドブネズミ

6.終わりで始まり

7.あとがき

 

あんたへ

あんたへ

あんたへ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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 人生の失敗=積木で遊ぶ子供という言い回しからとれるように、定番ともとれる応援歌なんですが、挫折から立て直した秋田ひろむが言うとなんだか説得力を感じたり。次作のミニアルバムが虚無病と考えると、あんたへまでがフェーズ1(2010-13)と考えられる。

秋田:“あんたへ”を自分自身がひさびさに聴いて、すごい励まされた感じがして、これはちゃんとアルバムに入れたいなと思ったのが最初です。そこから考え始めて、アルバム全体で何か伝えるということをできないかなと思いました。“あんたへ”自体は自分に向けて作った歌だったんですが、今の僕だったら外に向かって歌えるんじゃないかと思いました。

本来、自分宛に書いた楽曲を他者に発信する側に立つくらいには自信がついたと考えていいでしょう

 

虚無病

虚無病 - EP

虚無病 - EP

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥1222

 1. 僕が死のうと思ったのは

2. 星々の葬列

3. 明日には大人になる君へ

4. 虚無病

5. メーデーメーデー

 

まぁ16年にもなるとamazarashiもメジャー街頭に出てきた頃なので、初期に比べると微妙な曲が増えたなという時期ですが、その中でも明日には大人になる君へと、メーデーメーデー、なにより提供でありながら「僕が死のうとおもったのは」をだせる勢いはいいですね。作家性が強い秋田ひろむが他の歌手に曲を提供するとここまで鬱屈したタイトルになるんだとおもったりしました。

 提供先

 

僕が死のうと思ったのは

僕が死のうと思ったのは

  • 中島 美嘉
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 セルフカバー

僕が死のうと思ったのは

僕が死のうと思ったのは

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 やっぱりシンガーソングライターの提供曲は作曲者の歌声じゃないと満足できないケースが多いですね。決して中島美嘉の声がダメというわけではなく、その人の声で成立している世界観を醸し出してるアーティストが提供する曲はどれも本人が歌ってないから物足りなさを感じずにいられない。最近だと菅田が米津楽曲をうたうくらい違和感がある。

 

この時のインタビューの発言をみるに、初期のテーマからは脱却したからこそ、14.15年くらいからamazarashiは新しいフェーズに入ったというのは間違ってないと考える。

ーー初期の歌詞には、自殺を連想させるものが多く見受けられました。しかし最近では、人生を肯定するような曲が増えてきたように思います。これはどうしてでしょうか?
死にたいとは思わなくなりました。amazarashiの初期にあった「自分を肯定する」というテーマはもう達成したと思います。

meetia.net

 

Album

 

千年幸福論

千年幸福論

千年幸福論

  • amazarashi
  • ポップ
  • ¥2139

 1. デスゲーム

2. 空っぽの空に潰される

3. 古いSF映画

4. 渋谷の果てに地平線

5. 夜の歌

6. 逃避行

7. 千年幸福論

8. 遺書

9. 美しき思い出

10. 14歳

11. 冬が来る前に

12. 未来づくり

 

初期テイストが詰まった作品。黎明作品でありながら、佳作以上傑作未満の作品だと考える。カルピス原液はあるが、もう少しレベルの高いところへ行っていたら傑作と言えた。が、原液の濃度さでいえばダントツなので、そこに酔えるひとはこのアルバムを「好き」という評価をしていると思います。4.7.9がおすすめです。

 

 ラブソング

ラブソング

ラブソング

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

1. ラブソング

2. ナガルナガル

3. セビロニハナ

4. ナモナキヒト

5. ハレルヤ

6. アイスクリーム

7. アポロジー

8. カラス

9. ハルルソラ

10. 祈り

アーティスト、楽曲名をカタカナにしがち症候群に罹患している作品。嫌いじゃないけどあたり曲はないと思う。ラブソング、ナモナキヒトだけはamazarashiだからこそ作れる楽曲だと思いますが、つじつまなどと同レベルかといえば、そこまでではない。

 

夕日信仰ヒガシズム

夕日信仰ヒガシズム

夕日信仰ヒガシズム

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

 

 1.ヒガシズム

2.スターライト

3.もう一度

4.夜の一部始終

5. 穴を掘っている

6. 雨男

7. 後期衝動

8. ヨクト

9. 街の灯を結ぶ

10. 生活感

11. ひろ

12. それはまた別のお話 

 

傑作。名盤といって差し支えがない。第一にあたり曲が多すぎる。12曲中、少なくとも6曲はあたり(スターライト、もう一度、穴を掘っている、雨男、ヨクト、ひろ)

スターライト

スターライト

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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もう一度

もう一度

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
穴を掘っている

穴を掘っている

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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雨男

雨男

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
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ヨクト

ヨクト

  • amazarashi
  • ロック
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ひろ

ひろ

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

スターライトはどん底時代に、自分を鼓舞するために作られた楽曲。「涙は、通り過ぎる駅だ」という一節からもその感じはわかると思います。

──光を感じさせるサウンドとメッセージが光る「スターライト」。amazarashiとしては比較的ストレートに聴き手を鼓舞してくれる楽曲はどんな思いで紡ぎだされたのでしょう?

これはアマチュア時代からあった曲で、作った当時は半分引きこもりのどん底でした。先も見えない生活の中で、自分を鼓舞する為に作ったんだと思います。

銀河鉄道の夜をイメージソースにしながらも、amazarashiの世界になっているところがいいですね。曲の明るさ、ポップさなど込みでamazarashi入門の一曲には最適です。


www.youtube.com

 

 

雨男はブルーハーツ通のamazarashiが「未来は僕らの手の中 」を歌詞に入れるとこの感動や、ずぶ濡れになりながらも前に進むことを強く歌った点など全てにおいて秋田ひろむだからこそ作詞できた歌詞。「雨曝しだが、それでも」というそもそものコンセプトに直に向き合った作品なので別格です。

──個人的にすごく胸に響いたのが「雨男」でした。鬱々とした日々を過ごしながらも、わずかな光を手繰り寄せるように生きていく――そんなリアルなメッセージはamazarashiの真骨頂のような気がします。こういった楽曲は変わらずあふれてくるものですか?

amazarashiらしい曲というか、amazarashiが得意な形の曲だと思います。二番の友達との件とかは実際にあった事で、そういう心を動かされる瞬間があるうちは、こういう曲を作り続ける事が出来ると思います。

ひろ、では19歳で亡くなった友人へのレクイエムとして捧げられてますが

「何度も挫けそうになった事 実際 挫けてしまった事」

 

という自身の挫折の告白歌詞や、対比的な構造の意味では一番、二番で

「それが悲しい お前はまだ19歳のまま」

 

と締めているのに対して最後に

「僕は歌うよ 変わらずに19歳のまま」

 

で結びとなるのがいいですよね。

 

初期のミニアルバムから千年幸福論までがフェーズ1ならヒガシズムから2に入った感じがします。

 


世界収束二一一六

世界収束二一一六

世界収束二一一六

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥2139

1. タクシードライバー

2. 多数決

3. 季節は次々死んでいく

4. 分岐

5. 百年経ったら

6. ライフイズビューティフル

7. 吐きそうだ

8. しらふ

9. スピードと摩擦

10. エンディングテーマ

11. 花は誰かの死体に咲く

12. 収束 

 

タクシードライバー、多数決、季節は次々死んでいく、ライフイズビューティフル

しらふ、エンディングテーマ、花は誰かの死体に咲く、吐きそうだなどの名曲連発

 

タクシードライバーは風景が想像しやすい絶妙なタイトルと歌詞。冒頭の効果音で運転手の話声をいれることによって、曲の世界観をよりわかりやすく提示している。センスがあるなーと思う一作。

タクシードライバー

タクシードライバー

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多数決

多数決

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 タイトルの2116(リリースから100年後)年からわかるようにアルバムのコンセプトは100年後の未来に何を選択するかということだが、それが色濃く反映された楽曲。

 

ライフイズビューティフル

ライフイズビューティフル

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秋田ひろむの歌手としての責任というか覚悟というか一生を書き出しながら、世の非情を表した一曲。色々あるけど人生は美しいという帰結をするのはamazarashiだからこそ。

 

 

スピードと摩擦

スピードと摩擦

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 これは、先述したヒップホップを聴いてるのが活きた曲かなと。

歌詞は命題があって結論があるというよりは、ひたすらに情景描写と心理描写を叩き付けていく、極めて衝動的なものだと感じます。最初に浮かんだイメージを、どのように膨らませていきましたか?

 

この曲は外枠ありきで考えていて、ずっと韻を踏む、言葉数の区切りもずっと同じ…みたいな感じで、詩の定型を始めに考えて、そこから歌詞とメロディーを考えました。長めの川柳みたいなイメージです。言葉の単調な繰り返しの中から“スピードと摩擦”というテーマを思い付きました。疾走してるんだけど、どこか危ういような、それは人の生き方にも通じるような気がしたので、それをテーマに作りました。

okmusic.jp

 

花は誰かの死体に咲く

花は誰かの死体に咲く

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 つじつま合わせの

「その上に花が咲くなら それだけで報われる世界」 

を主軸に描いた楽曲。

人類が誕生し約七百万年 今日までに死んだ人の全ての遺体が
土に埋まってんなら 君が生きてる町も 世界中どこだって誰かの墓場なんだ

抱きしめたあの人も 向かい風の嘲笑も 讃えられる事なかった君の勝利も
一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く

綺麗でもなんでもねえ 命が今日も笑えば
人の傲慢の肯定 逃れられぬ命を 逃げるように生きてよ
笑い合えたこの日々も 失くした日の痛みも なんとか死にきれそうなこんな人生も
一つ残らず土に還るのだ 花は誰かの死体に咲く

 ある種の死生観 が語られている(詰まっている)曲であり、収束がこの次のトラックにあることから、しっかりと線をつなげていることがわかります。

 以上のことから、このアルバムはurakさがあるamazarashiの世界観と共存している感じがたまらなくして大好きです。だからこそ

前作に劣らずの傑作。私はヒガシズムと本作「収束」どっちかが最高傑作と思っているのですが、なかなか決めきれない。

 

ちなみに同業者はこのように評価しています。

多分ここで激論になっていたというのは各楽曲が一つに統合していく構成のことを指しているのであろう。

 

全体的にバランスがいいヒガシズム と、ダークな楽曲で統一された「収束」どっちをとるかで変わる。

music.fanplus.co.jp

 


地方都市のメメントモリ

地方都市のメメント・モリ

地方都市のメメント・モリ

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1. ワードプロセッサ

2. 空洞空洞

3. フィロソフィー

4. 水槽

5. 空に歌えば

6. ハルキオンザロード

7. 悲しみ一つも残さないで

8. バケモノ

9. リタ

10. たられば

11. 命にふさわしい

12. ぼくら対せかい

 

本作からフェーズ3だと思ってる。ヒガシズム、収束 と傑作続きであったのに対して、平均的なアルバムと感じる。全体的に軽い。ヒガシズム、収束であったような引き込まれる重量感サウンドもない。全体的に毒素が抜けた感じで個人的にあまりのれない。

たられば、命にふさわしい、フィロソフィーの3曲意外、ぱっとしない。

たられば

たられば

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命にふさわしい

命にふさわしい

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フィロソフィー

フィロソフィー

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空洞空洞は歌詞の切り口はさすがだがもう一歩欲しい。リタは微妙。

この曲調なら数え歌の音源のほうが格段に優れてる。

空洞空洞

空洞空洞

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リタ

リタ

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数え歌

数え歌

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 水槽は、ポストロックらしさが出てる曲という解釈もできるけど、そんな楽しみ方ができるのはそう言う文脈を知ってる人だけだし。その意味ではあんまり面白くない曲。

amazarashi文脈でいえば夏、消息不明の流れか。

夏、消息不明

夏、消息不明

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空に歌えば 

空に歌えば

空に歌えば

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なんてヒロアカの主題歌だからこそのアップテンポ&王道な形がある(ローカライズがうまいとも言えるが)だけなのでamazarashiだからこその曲にはなってない。(そもそもヒロアカの主題歌がamazarashiってどういうチョイスだと思うけど)途中のポエトリーはファン的にはいいけど初見の人は「なにこれ」ってなるだろうし、秋田ひろむ意外が歌ったら絶対合わないやつ。

そう言う意味で商業楽曲としてどっちつかずで振り切れてない。

natalie.mu

 

バケモノ

バケモノ

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 語尾をずらした箇所をするとradの有心論に聞こえてくるのは良いんだか悪いんだが。

 

 
ボイコット

ボイコット

ボイコット

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1. 拒否オロジー

2. とどめを刺して

3. 夕立旅立ち

4. 帰ってこいよ

5. さよならごっこ

6. 月曜日

7. アルカホール

8. マスクチルドレン

9. 抒情死

10. 死んでるみたいに眠ってる

11. リビングデッド

12. 独白

13. 未来になれなかったあの夜に (long edit)

14. そういう人になりたいぜ

 

評価が難しい。なんというか、黒すぎ(暗すぎではなく)なんですよね。初期amazarashiの荒っぽさでもなく、中期テーマの完成されたコンセプトに沿った統一性も感じられなない。月曜日、さよならごっこ、独白だけはいいですけど。

 

月曜日

月曜日

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さよならごっこ

さよならごっこ

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独白

独白

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夕立旅立ちとか、amazarashiがこれまで作ってきた楽曲というよりかはbumpとかが出すような曲調だし。この曲を、他の曲の面々(曲調)があるなかでいれるのはちょっと違和感を感じる。

「帰ってこいよ」には極めて純粋な故郷へのノスタルジーを感じます。ついでに言えば、「夕立旅立ち」にも同じ匂いを感じます。故郷から離れたい、帰りたい、愛する、嫌う、そうした感情は交互にやって来る気もしますが、今の秋田さんはどの位置にいると思いますか?

僕はもう地元の青森で暮らし出して長いので、地元を離れて頑張る人を見守る「帰ってこいよ」のほうが今の気持ちに近いです。「夕立旅立ち」は故郷を離れる若者の歌で、上京する時の昔の僕の気持ちが色濃いです。故郷に関しては、僕の中で消せないテーマです。

であるのであれば、拒絶がテーマの「ボイコット」には合わないんじゃないと思ったりします。 

 

未来になれなかったあの夜に

未来になれなかったあの夜に (Long Edit.)

未来になれなかったあの夜に (Long Edit.)

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 も、タイトルからして直接的すぎる。秋田ひろむなら「未来になれなかったあの夜に」をもう少し別の言葉で包んで欲しかったと言う印象。

 

独白

独白

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 キラーチューンならぬ、キラーリリックというべきか、それほどまでに秋田ひろむの主張が詰まっている。最たるところは

言葉は積み重なる 人間を形作る 私が私自身を説き伏せてきたように

一行では無理でも十万行ならどうか
一日では無理でも十年を経たならどうか

これはメッセージボトル(ベスト盤)発売の時に

全ての曲に対して強い思い入れがある為、収録曲に関してはとても悩みました。結果、今後歌い続けるであろう曲たちを選びました。
未だamazarashiと出会ってない人の為の一枚、というふうに考えております。

「メッセージボトル」というタイトルは、アマチュア時代に始めて主催したイベントのタイトルです。
その時の僕らの歌は宛のない手紙であり、願いであり、SOSでした。

あの日漕ぎ出した僕らの歌の漂着地点が、今のリスナーです。
そしてここから、今日からの船出の無事を祈って、未だ見ぬ人に出会えるよう願いを込めて「メッセージボトル」

どうか誰かに見つけてもらえますように。

秋田ひろむ氏のコメントより引用
www.amazarashi.com

この過程のことを指していると考えられる。

 

が独白に関しては曲の評価とは別にライブ演出があったにせよ

独白(検閲済み)

独白(検閲済み)

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こんなゴミ見たいな音源をシングルで売ったあとでアルバムで出されてもなと思ってしまう側面もある。。やり方が汚い。曲・歌詞がすごくいいから余計に。デタッチメント的にこれはこれでいいとはさすがに割り切れない。

 

死んでるみたいに眠ってる

死んでるみたいに眠ってる

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 法律を破りたい いい人なんか報われない
ホールデンとかディーン・モリアーティ 車を盗んで逃げ出したい

 この文学読んでます感の歌詞が笑いを弾きますよね。

ホールデンといえばホールデン・コールフィールド(ライ麦畑でつかまえて)しかない。

相変わらず、サリンジャーライ麦を好むアーティストの多さよw。

 

ライ麦ビートルズのジョンレノンも好きだった。そして彼を暗殺した犯人がホールデンに影響された人物というは皮肉だ。

ディーンモリアーティはジャック・ケルアック路上の小説の主人公だろ。で路上の新訳はオンザロード(ハルキオンザロードを彷彿とさせる) 

 

オン・ザ・ロード (河出文庫)

オン・ザ・ロード (河出文庫)

 

 

ハルキオンザロード

ハルキオンザロード

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路上はいわゆるヒッピー族に愛された書。要はカウンターカルチャーなわけだ。

自由奔放にアメリカを横断する主人公と悪友が社会から外れた生き方をするけど結末は主人公がディーンを見捨てて終わるという、アメリカンニューシネマ的。

アメリカンニューシネマとは、簡素にいうと、若者の反抗を描いた作品。

社会なんてしらねー 俺は自由にいきるぜやっふー→最後死ぬ

ていうのが、ざっくりとした特徴。

明日に向かって撃て俺たちに明日はないイージーライダーなどが代表作品。

路上はイージーライダーに近いかな。どれも名作なのでみてください。すると大体ニューシネマの型がわかります。

ビート・ジェネレーション(米文学の運動みたいなもの,ビートたけしのビートはここから)首魁、というか経典とでも言うべきか。アメリカでは非常に影響力があり、ボブディランもその中の一人。そんな彼も今ではノーベル受賞者(16年に文学賞を受賞) ってところが時代を感じますよね。

 ポエトリーリーディングという小説音読する文化もここらへんから始まっている。そしてこれがamazarashiと通じてないはずがない。

色々書いてしまったが、歌詞からこの流れの匂いを感じずにはいられないので書きました。それだけでもこの楽曲歌詞に意味はある。

 

 

 

 

 

 

以上、amazarashi考察&総括記事でした。いつもなら楽曲の側面から切り崩せるのですが今回に限って歌詞性が強いため、その根元を辿ってという作業をするのが大変でした。

(書き直しの回数では言えばダントツ)いままでのamazarashiの考察記事は数多あれど大半が「太宰治寺山修司に影響を受けている」とか「宮沢賢治中原中也などの世界観を落とし込んでいる」といった表層の部分しか書いていなく、それらを読んでいる自分としては「ディティールの面でいくらか書きようがあるだろ」ということで、 書いてみました。音楽的方向では先取りブログが一つあったのが悔しかったのですが、持論をなんとか展開できたのでよしとします。以下、気になる人だけ読んでください。

 

 

 

 

Neruzarashiについて(本編おまけ)

最後にneruzarashiについてほんの少しだけ

NeruというボカロPがいるが、彼の世界観の構築要素の8割はamazarashiからの影響ということで間違えないが、ボカロを通して発表したことで新しい可能性を提示したという点ではやはり評価されるべきだと思う一方。(wowakaがnumber girlのスタイルやzazen boysの半透明少女関係、テスラは泣かないのパルモアをボカロでリブートした結果新しい潮流が生まれたように)

透明少女

透明少女

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パルモア

パルモア

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www.youtube.com

 

 


www.youtube.com

誰もがわかる影響を「頑なに」公言しないのはもったいないというか、しょうもないプライドにこだわっていると思う。マンウィズの曲を真似た時も割り切って「影響を受けました」と言ってしまえば罵詈雑言もある程度治ったものの変なポエムを投稿するだけであった。挙句、内容、楽曲性の差異はあれど、神様、僕は気づいてしまった。なんてコピーバンドをやってしまうくらい(ディスというより、覆面、垂れ幕ライブなど含めamazarashiフォロワーという意味)好きなわけだ。

だからこそ、「神様、僕はわかってしまった」からの引用を散々指摘されるのは、分かりきってるのだから予防線として言っときゃいいのにとも思う。断っておきたいが、別にパクリがだめとは言ってない。

パクる行為そのものはあらゆるクリエイターがやっていることだからむしろするべきで非難することではない。それは 

sai96i.hateblo.jp

 記事である程度書いた。再教育(oath signからのパクリ)にしろ、かなしみに溺れる(夏を待っていました)にしろ、あそこまでの曲を既存の曲をパクるだけで作れるのも才能の一つであることに違いはないし実際にニコ動でもかなりの支持を集めた。ただ、そこにリスペクトってものがあって然るべきという話。実際、Neruは過去にamazarashiのツイートをしていた(画像がみつからないのが個人的に残念)のにもかかわらずツイ消しで逃げたわけだし。

 

 自分が言いたのは

 これくらい潔くなければ(とはいいつつwowakaも発表当時はわりと危ない感じではありましたが自分の音楽に自信をもてるようになったからこそのこのツイートがあるはず)

 

これはamazarashiのファンである補正込みの意見として読んでいただきたいが、秋田ひろむがamazarashiで発表した世界観というのは、ボカロPも参考にしてしまうくらい大きいのではないかと思う。先述の通り、Neruは間違いなくそうだし、カンザキイオリもそうだし

e-talentbank.co.jp

この楽曲は、ファーストアルバム「白紙」のリード曲として制作しました。

音楽を通して経験した苦悩をそのまま表現した曲になっています。

自分は amazarashi というアーティストが好きで、高校生ぐらいの時に作っていた過去の曲は、そのamazarashi さんを真似た曲ばかり作っていました。

 

まふまふもneruのフィルターを通して結構受けてんじゃねーの(少なくとも聴いてるだろうな)と思う。まぁまふまふは方向性としてはamazarashiに影響を受けたNeru(というよりamazarashi的厭世的な世界観をボカロに落とし込んだ音楽性)にほれたたちだと思うので間接だが。まぁ、少なからず後世のアーティストへ(主にネット世代に)影響を与えているよって言う話でした。

 

6枚目のアルバムレビューも公開しています。一読のほどよろしくお願いいたします。

 

sai96i.hateblo.jp