遂に来ました。神様、僕は気づいてしまった。(通称:神僕)のアルバム。しかもfullで。
確かに、アルバム情報の蓋を開けてみれば、既存曲が多く、そういう点では不満ではありますが、数少ない、未発表音源というか、アルバム「20XX」で初めて聴ける音源のトレイラーを聴くと結構期待させる音源が入っており、期待度がかなり上がっています。
神僕に関しては
sai96i.hateblo.jp
これ見てもらえると、ある程度どう言ったバンドかが分かると思います。
あと、トラックリスト順には書いてはいないので、あらかじめご了承お願いします。
トラックリスト
- オーバータイムオーバーラン 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- メルシー 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- Troll Inc. 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- 20XX 作曲:東野ヘいと 作詞:東野へいと
- 匿名 作曲:どこのだれか 作詞:どこのだれか
- deadlock 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- UNHAPPY CLUB 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- TOKYO LIAR 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- 破滅のオレンジ 作曲:どこのだれか 作詞:どこのだれか
- ストレイシープ 作曲:東野へいと 作詞:東野へいと
- 沈黙 作曲:和泉りゅーしん 作詞:和泉りゅーしん
- ウォッチドッグス 作曲&作詞:東野へいと/どこのだれか
- Endpoint(insutrumental) 作曲:和泉りゅーしん
メルシーは、僕の手に触れるな
的な作り方。最初にギターメロディ一本で入って、ドラムで一気に曲に入る。20XX
も同じ系統で、ギターで最初メロディを鳴らして、バッと楽器全体が入ってくる。というか、神僕は割と、初期作の型を、色々な形に組み替えて曲を出すことが多い。
作曲者が違うとはいえ、
も同じ系統で作られていると感じる。匿名は作曲者どこのだれかが、東野へいとの影響を受けていることがよく感じて取れる楽曲であるとも言える。二番目歌詞の冒頭は、まさにどこのだれかだなと思える。
はいい曲ではあるけれど、いちいちしつこい。英語の発音とかは平均的ではあるし、特段悪くはないけれど、サビのメロディを何回も「どこのだれか」のような声質で、しかもああいう風に、張られた声で歌われると結構耳が痛くなってくる。間奏からの怒涛の展開は、あの声室で叫ばれると、うーんってなる。どこのだれかの声って、第一声で聴いた時の衝撃度がとてつも大きい反面、中性的すぎる声がゆえに、シャウトや、大声でうわぁーっと歌うのは、どうしても曲と組み合わせたときに、凹凸が合わない。バランスがいいという点では、ストレイシープのサビくらいが一番丁度いい。
は、まぁ、歌詞面で勝負している気がした。サビのハモリは結構好き。
ストレイシープは、東野へいとの前身というか、ぶっちゃけていうと、neruのハウトゥー世界征服という曲の味があった。実は、歌詞中に「このまま腐ったミカンになるなら〜」という文がある。そして、本作のトラック9に破滅のオレンジという楽曲がある。
skream.jp
それで、このインタビューの中で、破滅のオレンジの由来について、どのだれかが
-タイトルを"破滅のオレンジ"にした意味というのは?
どこの:腐ったみかんは、周りのみかんへ腐敗を伝染させると言います。満たされすぎても、欠けていても、求めても、失っても、"愛"というものは人を腐らせていくものではないかと思い、このタイトルになりました。
と言っている。何が言いたいかというと、tokyo lairの、「このまま腐ったミカンになるなら〜」という歌詞は、どこのだれかの作家性というものがよく出ている一文でもあり、そして、それを本作で楽曲化したという点で、彼の詩から産み出される世界観というものが、しっかりとあるということが明確に現れている。
Neru - ハウトゥー世界征服(How To World Domination) feat. Kagamine Rin & Kagamine Len
今までの神僕の楽曲にかなり強化外骨格がついたような曲。格好良さという意味で随一。作曲者がかなり力を入れていると感じた。vo.も工夫をした歌いかをしており、「無愛想な〜」の言い方とか決めてきたなと。これは推測ですけど、ギターとドラム掛け合いから始まる曲がこれから増えるじゃないかな。今までリリースされたものより、間違いなく、作曲者の中で、曲の方程式というか、幅がかなり広がっていると感じた。
アルバムの方向性を決定づけた曲はなんだったと思いますか?
東野:うーん......1曲ではないんですけど、僕がデモを揃えていくなかで、どこのだれかの「破滅のオレンジ」と、和泉りゅーしんの「沈黙」のデモがワンコーラスあがってたんですね。フル・アルバムはコンセプチュアルに作りたかったから、この2曲とは違うタイプの曲を書こうって逆算して考えたんですよ。そこから1曲目の「オーバータイムオーバーラン」を最後に書いたんです。それは単純に「破滅のオレンジ」と「沈黙」のBPMが遅かったから。神僕の曲として、ピリついていて速い、繊細なロック・ナンバーが必要だろうなって思って書いたりしたんですけど。
作曲者も、神僕の曲として、速さを意識した曲を作ったと語っている。
巻きネジのような効果音から始まる。曲調としては、今までの神僕にはあまりなかった、ローテンポで、なおかつヒップホップというか、ラップ的な裏打ちというか、一定のリズムの刻み方があからさまで(いい意味で)良い。サビでドンと、どこのだれかが歌いだすことで、高速ロックではない、ローテンポであるという一種のハマりにくさというマイナスな要素を、埋めている気がする。というより、いい感じに調和された楽曲になっていると。この感覚はおそらく、和泉りゅーしんがインタビュー内で話していた
和泉:はい。僕は新しいことができたのは嬉しいなと思いましたね。今までの僕らの流れからすると、変化球っぽい「TOKIO LIAR」とか「Troll Inc.」も好きだし、自分も「沈黙」っていう新しいタイプの曲を書いたし。それに対するリスナーの反応は全然わからないし、東野は"「Troll Inc.」は、受け入れられにくい曲だと言ってたけど、自分やどこのだれかは"「Troll Inc.」が一番いい"って言ってるんですよ。だから、今回のアルバムを聴いてもらって、どういう反応が返ってくるか楽しみですね
と同じなのではないかと思う。
tokyo lairのところで、本作はある意味、必然的に生まれた音楽というのは明らかであるというのは書いたが、音楽的にもかなりいい曲に仕上がっている。というのも、曲を作るにあたり、東野へいとへの、全面的な信頼があり、そのおかげで、どこのだれかが書きたい一曲にしっかりと形としてできたといのがインタビュー下記のインタビューから見ても感じられる。スクラッチ等を入れるという点で、斬新さという、インタビュアーの見方もかなり的を得ている。どこのだれかがいう「聴き流して楽しむ」というのも十二分に成功していると、記事を書きながら、破壊のオレンジを聴きながら、実際に体感した。
-どこのさんが作詞作曲をした「破滅のオレンジ」は、スクラッチやフィンガー・スナップの音も盛り込まれた斬新な曲ですが、どんな曲を作りたいと思ったのですか?
どこの:東野がいつも美しいメロディ・ラインを書いてくれるので、僕はリズムの音楽を書きたいと思って。メロディよりも歯切れや語呂を意識して、聴き流して楽しむような平歌。また、サウンド面にギャップを持たせつつ、色味のないメロディを叫ぶようなサビにしたいと思いました。小難しい曲になってしまったかとも思いましたが、今世に蔓延る苦しみのようなものを書くことができたのではないかと満足しています。
東野へいと(neru)とどこのだれか(まふまふ)の共作。全体的にまふまふがメロディーでneruが編曲をしたような楽曲であるように見受けられた。実際、製作陣も↓のようなコメントを残している。イントロ〜bメロからの後に、サビで一気に盛り上がるのにあたり、サビに入る前に、少しずつ盛り上げる構成が良い。「夏を待っていました」をパクった「悲しみの波に溺れる」のリメイク版みたいな曲だなとも感じた。まぁ神僕の存在自体、amazarashiフォロワーみたいなものですので、今更言うことではありませんが。
ただ、トレイラーで聴いた時ほどのインパクトはなかった。が、神僕楽曲の9割を手掛けている東野へいと、そしてそれを歌い上げるどこのだれか この両者が組んだら、どういう曲ができるかというのは、このバンドが結成された時からずっと感じていたというか、実現しないかと思っていたので、そういう意味ではとても本楽曲はすばしいと思います。
-アルバムを締めくくる「ウォッチドッグス」は、東野さんとどこのさんの共作ですけど、これはどういうふうに作ったんですか?
東野:僕がどこのだれかの家に行って、ふたりで作った曲ですね。一応ふたりで作ったんですけど、どちらかと言うと、どこのだれかが主導だったんですよ。ビートとかメロディは彼が考えてくれて、編曲は僕がメインで考えて。歌詞も、最初は僕が考えてたんですけど、結構レンジがあるから他人の言葉だと歌いづらいっていうのがあって、彼が言葉を作り変えていったんですよ
vo.の息を吸うところから始まる。edmとギターメロディ、中盤から盛り上げてきてる。流れてくる音楽が、今までの神僕の音楽で使われた楽曲群の切り抜きのような構成で、最後に持ってくるインスト楽曲としては、出来は十分。
総評:神僕史上、初めてのアルバムということもあり、期待していたと、冒頭に書いたが、全て通しで聴いた結果は、期待していた以上のアルバムであった。確かに、既存曲
云々は拭いきれなかったが、それでも「東野へいと、どこのだれか」 この二人以外にベースの和泉りゅーしんが作曲した曲が2曲も入っており、うち一曲は、誰しもが、上二人のどっちかが手掛けると思っていただであろう、end pointというインスト。これはかなり挑戦的だなと思った。安定している二人が手掛ける方が良いという人が確実にいるなかで、和泉りゅーしんをチョイスしたのはかなりポイントが高い。意外性という点でも意表がつけますし。そして、今作で、和泉りゅーしんの実力というのもしっかりと証明された。
本アルバムを曲単位で、好き順に並べると、1.troll inc、2.破滅のオレンジ、3.ウォッチドッグス、4.オーバータイムオーバーラン、5.20XX、6.沈黙、7.tokyo lair、8.メルシー、9.end point、10.匿名、11.ストレイシープ、12.UNHAPPY CLUB、13.deadlock
という感じになります。採点的にいえば、10点中8.5点と言ったところです。
では、また次の記事で。