Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引く

映画音楽駄話

生存報告的な意味も兼ねて。

 

最近はもっぱら、映画・ドラマの劇伴を聴く。元々、音楽の入り口と言う意味ではクラシック畑出身の人間なので、クラシック音楽の延長戦上にあるインスト型の楽曲によりハマりやすいということであろう。以前、ドラマ劇伴の魅力というタイトルで色々な人気楽曲の良さを素人なりに書いたが

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映画音楽の劇伴はもっと格別なもの、というより作曲者の敷居が必然的に高いのでよりレベルの高い音楽だなぁと改めて感じた。そして先月かなしいニュースが入った。

シンセサイザー作家の旗手であり、名作曲家ヴァンゲリスが亡くなった。自分のTLでは全くといっていいほど騒がれていなかったので、温度差を感じたがそれは別の話。

が、ともかくヴァンゲリスというクレジットを知らない映画好きはいないと断言できるほどこの人が作曲したものは素晴らしいのだ。オタクにカルト的な人気をほこり、日本の文化(特にアニメ)に絶大な影響を与えた、名作『ブレードランナー』の劇伴も彼。

One More Kiss, Dear

One More Kiss, Dear

Love Theme from Blade Runner

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Tears In Rain

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Blade Runner Blues

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この映画を説明するのはあらゆる意味で難しいので(このブログが映画ブログであればいくらでも語れるが、生憎音楽ブログなので)、あまり多くは書かないが、とにかくフィルムノワール、ハードボイルド路線を近未来のタッチで描いた、元祖、礎となった作品であるのだが、映画は音楽:映像で50:50の役割をもつと言われるように、ヴァンゲリスの音楽なくしてブレードランナーという映画が描いている世界観というのは絶対にない。

他にもヴァンゲリスの映画音楽は炎のランナーであったり1492 コロンブスがあったりする。個人的なおすすめはConquest of Paradise

Conquest of Paradise

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そして、面白いことに、この音楽性はブレードランナー以外にはあまり、踏襲されている音楽作品というのがそんなにはない(あまり映画音楽には詳しくないので全くないというところまで断言はできない)。その意味ではブレードランナーの劇伴であると同時にヴァンゲリスでしか表現できない世界がたしかに広がっているということになる。それを真似しようと菅野よう子がそれっぽい曲作ったりしましたが。まぁ本人にしか出せないと言うことが分かってしまう程度にはフォロワーレベルでしたね。

SPACE LION

SPACE LION

アメリカ産の映画は特にそうだが、感情の起伏をまるで数値化したような計算されたオーケストラ的壮大な楽曲もいいが、浸り方のOSTも有りであることを、聴いたことのない人におすすめをしたい。なぜないのかと言う点は生まれた所がギリシャだからというのは大きいであろう。ヨーロッパ圏の作家はアメリカ作家では表せない独特な魅力を持っている。

(逆もまた然りだが、米映画音楽はありふれている故に、当たり前の音楽になりすぎた)

これもまた既に亡くなっている作家であるが、ヨハンヨハンソンという作曲家がいた。

ドゥニ・ヴィルヌーヴという、最高峰の映像作家と手を組み、ボーダーライン・メッセージ・プリズナーズといった作品の音楽を担当した。両方とも名盤

音楽が好きなら絶対に聴け

Decyphering

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Kangaru

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The Beast

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Desert Music

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Prisoners

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The Candlelight Vigil

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Prisoners

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そしていわゆる他にはない音楽性というのをここにも感じた。それに近い記事を例外的に書いたものがあるのでよろしければ。

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そしてヨハンヨハンソンはアイスランド出身。やはり生まれた地によって音楽性というのは決定的なまでに違うと言うことがわかる。ある種の音楽ミームの見地でいえば、ヴィルヌーヴが監督したブレードランナーの続編(本来、続編を作っていいような映画ではないのだが)2049で、彼が劇伴を担当すべきだった(実際に作品作りまで行っていたのに、途中降板と言う結果になり、とりあえずこいつなら間違いないだろうという成り行きでハンスジマー(パイレーツのメインテーマの人(クラウス・バデルトとの共作))が

彼こそが海賊

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担当するわけがだ、ここはヨハンヨハンソンで突っ走るべきだろうと今で思う。非映画音楽作品を聞いても、アイスランド出身者でしかかけない卓越した音楽力というのがある。

フライト・フロム・ザ・シティ

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オルフェ賛歌

オルフェ賛歌

  • シアター・オブ・ヴォイセズ
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塵の山

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結局DUNEのOSTも一流作家が擬態:ヨハンヨハンソンしてみました。という形でしたし。いや素晴らしかったが(それはそうとpart2たのしみですね )

(ハンスジマー個人が小説duneの大ファンだからということもある)

Ripples in the Sand

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Armada

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My Road Leads into the Desert

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この記事で伝えたいのは、映画音楽といっても一辺倒ではないということを是非知っていただきたい。ラミンジャワディ的なサウンドや、ジョンウィリアムズの壮大な音楽もいいですが、他にも素晴らしい映画音楽作家はたくさんいるバーナード・ハーマンとか、知られてないけど凄い作曲家ですし、コルンゴルトの嵐の青春はいわずもがなSWのメインテーマの元ネタ(この手の曲はロマン派の影響が大きのですが)それはこっちの記事へ。

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今回書ききれなかった点はいずれ映画音楽の魅力的な記事にてより深く広く書いてきます。では今回はこの辺りで。