前作の明日色ワールドエンドから約2年ぶりのアルバムということで、まふまふの作曲
力前作と比べてどのくらいまで上がっているのかという点でとても期待値が高い作品でした。アルバムタイトルには一貫して『色』という単語をいれていますね。
収録楽曲も20曲と通常よりやや多めで嬉しい反面、アルバム作品のまとまりにおける
一貫性がないと感じました。
曲数が多いため、一気に全部やるよりも二回に分けます。
を運営している立場ではなく、一音楽ファンとしての感想です。ご了承ください。
神楽色アーティファクト - まふまふ itunesリンクに飛びます。
収録楽曲
忍びのすヽめ
ピアノと笛を使った和風的な組み合わせのイントロが印象に残る。そのあとのギターもまふまふ楽曲っぽさを残しつつ展開されるため、和風テイストに偏ることもなく、A・Bメロ共に和風ロックでありつつ、かっこよさをピアノなどで補いをサビでドカンと爆発する展開が凄く流動的であり上手い。本作に収録されている楽曲の中でも特段気に入りました。間違いなく17年では作れなかったであろう一曲であり、この二年で技術をあげたという証拠にもなっているそんな曲でした。
曲の合間に歌い方を楽曲に合わせ少し崩して歌っているのは意表をつかれた感じがしますが、曲によって工夫した歌唱を入れるのはいいと思います。
自壊プログラム
作風でいうとスズムの赤心性:カマトト荒治療・絶望性:ヒーロー治療薬系統を踏襲していることがわかる。まふまふ氏は時計の音などを含め、かなりスズムサウンドからの影響が強いですね。前作では、輪廻転成がイグジスタンスからの影響がありました。「一生したり顔で見下していろ」のメロディはまさにスズム節と言っていい。ただ、しっかりとオリジナリティという面も現れおりA→Bメロの変わりようは、まふまふ氏が影響を受けた作家もやってないパターンであるせいかとても新鮮でした。
サクリファイス
サビがアンチクロックワイズ系統の楽曲ですね。コーラスで少し壮大さをかましていますね。 どちらかというとまふまふが得意なラウドな曲だと思います。ピアノの使い方が影響を受けたであろう作曲家の堀江さん・スズムとも違った感じなのが凄くいい味を出しています(特に最初のAメロとBメロの裏で鳴っているところなど)。間奏あたりはkemu楽曲を彷彿とさせますね。
まふまふ楽曲におけるピアノの料理法は、主張が強めで、強調したいところに持っていく傾向が多いですね。(Bメロの不協和音的なアプローチ・間奏に突入する前のメロディの裏で土台とみせかけて強調していく展開などが顕著)
余談・・・スズムと堀江さんのピアノの扱い方についての考察は
こちらに少しだけ書いているので興味がある人は是非。
ジグソーパズル
イントロをギターだけで印象付けて、ある程度繰り返した後に歌に入るのまでの構成
は悪くないですが、歌い出すまでが長くて諄いです。
楽曲と歌詞の語感の組み合わせはとてもいいですね。
特に
アイノウ 愛ノー もう足りないよ ジグソー
ジグソーパズルをテーマに楽曲を作ったことの方が私としてはやるなぁっと思ったばかりです。ここ最近確立した作風なせいか、あまり言及できることがないです。
マルファンクション
立ち入り禁止の進化系の曲でかっこよさで言うなら本作の中で一番です。アウトローの少し間を開けるのも悪くない。歌詞の「トリミング〜」のくだりは面白い言い回しでした。サビがちょっとトーマさんのミーミルの花を連想させましたね。
(この程度ならただの被りでしかないでしょうが)
「作為的にマルファンクションしていくだけ」の締めは爽快でした。
朧月
まふまふはこの手の作風を作るのがとても上手いですね。サビに行く前にドラムで下地が盛り上がっていく感じが躍動感を出していると思います。
個人的に声質・歌・曲の3点の交わりは朧月ぐらいがベストマッチしていると感じました。変に媚びっぽくもなければ、音数の多い曲でありがちな乱暴な感じもないですし。
すーぱーぬこになれんかった
ネタ曲いえば怒られるかもしれませんが、部類としてはそっち系だと認識しています。
朧月とは打って変わり早めのテンポかつ、歌い方に可愛さを寄せている分、歌と声はあまり好きになれませんでした。歌詞の「なんでもするから」って狙って書いたのかはわかりませんが、間違いなくネタは知っていると思うので、その点もう少し歌詞はどうにかならなかったのかと思いました。
「もしかすると、生まれる世界を間違えたのかもしれない。」がノゲノラの某キャラのセリフっぽかったです.(パクリ云々という話ではない)
女の子になりたい
まふまふ曲を通り越して田中秀和楽曲であるというのが第一印象。
作家の力量の問題であるが故に仕方がないのですが、編曲:田中秀和が曲を食っているなと感じます。やはり編曲というものは楽曲を左右する大事な過程であるということを再認識しました。編曲:まふまふではこんなにもチャーミーで愛おしい曲にはならないので
まぁ歌詞と声は完全にファンサービスというか、まふまふ氏の声質が好きたまらない人にとってはたまらない一曲にはなっています。
複雑化したデモ音源を田中秀和さんに送ったら、もっと複雑になったらしいので
繰り返しになりますがこの曲は完全に編曲に持って行かれていると思いました。
この曲はGメインのほうが王道なメロディなのですが、そこを敢えてF#/G♭にしているのが如何にも田中秀和さんっぽいなって思いました。
動かざること山の如し
全体を通しても凡作という印象。特出してここがいいという場所もない。
君のくれたアステリズム
前回の明日色でいう「眠れる森のシンデレラ」・「水彩銀河のクロニクル」の作風が進化したファンタジックな楽曲ですね。どちらかというとEDM色が強いですね。
特に1m23s-1m31sのメロディは水彩銀河っぽく感じました。
57sと58sで一音挟んだなのは、実験的というか今後そういう曲を作りたいという感じがしました。既存曲に新しい要素を加えた一曲というのが全体を聴いての感想です。
後半10曲と総評・最終評価含め後編は一週間以内に出せればと思っています。
今後気づいたことがあれば追記していきます。