ブシロードの「BanGDream」というコンテンツがあることは前から知ってはいたけれどなんとなくスルーしていた。が、あるとき、というか最近突然と「まいごいいですよ」という暗号めいた呪文を棒読みで唱える知り合いがいて、最初は『迷家』のことかと思って結構戸惑ったのですが、復唱していくうちにイントネーションの問題で『Mygo!!!!!』であることに気づいてまぁ、せっかくだから音源でも聴くかと思い、アルバム『迷跡波』を全部聴いたわけすが、想像以上にリスナーをぶん殴ってくる音楽で、こういうタイプのバンドをよく作ったなぁと思うわけです。明らかに音楽というよりも「歌詞」で魅せてくるその気概は本当に素晴らしいと。だってこれって色々と参考にしているバンドはあるんでしょうけれど、amazarashiを女子高生のガールズバンドに変換しようという意図があることは間違いなくあって、それは『詩超絆』のイントロが『後期衝動』とワンフレーズながらもそっくりでありその上でポエトリーで進むというその感覚がどうしてもamazarashiを想起させずにはいられなくって、それだけでもよく成立させたなぁと思うのですが、もっと凄いのは、実際に歌を担当している羊宮 妃那という存在です。どう考えても並大抵の表現力では成り立たない。楽曲の担保としてはいくらelements gardenの人たちがどれだけカバーしていても、ポエトリー主体の楽曲が多いスタイルはどうしても歌で魅せるパートが重要になってくるわけで、そこを考えると見事というか、聴いている人以上のものを歌を通して表現をしていくるというのは衝撃なんですよ。これは単に声優ソングが畑ではないという自分のフィールドワークの世界の話なので、この手の表現はそっちの住民からすればいくつか例はあるのかもしれないが、そういう例は残念ながら自分は上田麗奈の『Empathy』
という、演者が歌以上に、表現と全面に出した作品くらいしか知らないものですから、まぁそういうこともあってかなり驚いたと。それもあって、羊宮 妃那と上田麗奈は割と近い声帯というのもあって、そういうところもあって、余計に過剰に反応している側面も否めないんだけどそれは、なんというかそれは「御冷ミァハ 」「ギギ・アンダルシア」「新条アカネ」を全て演じているが上田麗奈だから、ああいうキャラクターは全部上田麗奈がcvをやると最高だぜ、みたいな(男性声優でいうところの「忍野メメ」「霊幻新隆」というラインと「槙島聖護」「ジョン・ポール」というラインを持つ櫻井孝宏とでもいうべきか、今やその可能性は内山昂輝に取られる可能性が高いが、『ダンダダン』のサンジェルマン伯爵の台詞を読むだけでこれ絶対櫻井孝宏、、みたいな妄想もできるくらい、特定のキャラクターにおける「この人しかいない」というものは多分読んでいる人の中にもあるはず。)まぁ、だから、そういった点ではわかる人はわかると思うで容赦してほしい。それこそ羊宮 妃那な作品は『小市民』のヒロインである小佐内ゆきを演じ、なんなら『トラペジウム』で結構な役回りである「大河くるみ」を演じてるし、上田麗奈と共演もしている(そして主演が結川あさきという滅茶苦茶バランスのいい布陣)ので、これは中々熱いとともうわけです。で、まぁその熱さってなにかっていうと、こう、ちょっと暗いキャラクターや不思議性を帯びているといった読みきれないキャラクター(まさに高松燈という主人公的な感覚)を演じたら天下一品な人が歌でその表現をやればとんでもなく、飛躍的に面白いと思うものの、そういう演者に限ってアーティスト活動を控えたりしていて勿体無いなとか思っていたからこそ、そもそもが音楽とリアルバンドと同期させているバンドリというコンテンツ内で楽曲もある、物語もある、アニメもありと、ありとあらゆる要素がある中でメインを張るボーカルというポジションについていることが自分としては相当株が上がるわけです。だって供給が絶対的に約束されているわけですから。では実際にどういう楽曲がおすすめとして挙げられるのか。という点についてだが、これはとにかく『詩超絆』『潜在表明』『音一絵』『栞』の4曲が羊宮 妃那の表現がバッチリわかる。もうこれだけでいい気もする。っていうレベル。
で、これが気に入った人は『過惰幻』『回層浮』。特に『回層浮』は個人的にMygo!!!!!の最高傑作だと思っています。
を聴きましょう。200%の確率でこの二作が羊宮 妃那の表現傑作2本とあげることになるでしょう。それくらい極致といっていい。アニメとかみて、その連動で歌詞を共感という人も大勢いると思うしそれはそれで多いにいいと思うんだが、個人的にはそれよりも羊宮 妃那という異常な表現に魅せられた側なので、選曲をするとそっちによりになってしまうのだが、まぁそういう楽しみ方もあるということで。それ以外にもこのアルバムを楽しむ方法は要 楽奈というちょっと変わったキャラクターがいて、本編では全然喋らないけど実力はあるという設定なのですが、これが面白いもんで中の人に当たる青木陽菜という人もかなりの実力を持っていることによって成立している楽曲『無路矢』
が凄まじくて、コーラスでかなりの高音域を出していて、それが声楽をしっかりとやっている人だからこそ出せる説得力というよりも、納得力で、ツインボーカルという楽曲がそこには確かに成立していたりと、まぁキャラクター以上に中の演者の方が凄いみたいな現象が多々あるおかげで、アニメではそこまで演技としては目立たないけど実際の奏者としては桁違い目立つ、みたいな人もいたりするわけです。こんなに面白い要素で構築されてるバンドは滅多にないと思うんですよ。まぁその安易な想像力はave mujicaによって砕かれるのですがそれはもうちょっと後の話。ちょっとここで、作中バンドと並列したリアルライブという歴史を浅いアニメファンながらも辿ると、大元はやっぱり『けいおん!』が可能性を、0を1にしたというのは大凡納得がいくことでしょう。で、その後に海外のドラマを参考にしつつ歌とアイドルというものにフォーカスした『ラブライブ!』によって連動性のあるコンテンツとしての市場価値があがった。その延長線上にBanGDreamがあることは、そもそものブシロードが語っているところである。で、こういうことを考えあとに、演者がどういう経緯で声優というものに興味を持ったか、あるいはなろうとと思ったかを辿るとやどこかのタイミングで『ラブライブ!』が出てくるわけですよ。だからこれは、コンテンツとしてそういったものを作りたいブシロードと、その世界に憧れて演者になった人が(無論さまざまな迂遠を経ているのでしょうが)ちゃんと同じ枠に収まっているという意味ではとても真っ当なんですよね。だからそういった歴史的な文脈性を踏まえても、Mygo!!!!!というバンドが存在していることがまず継承しているし、その上でボーカルを羊宮 妃那にしたというチョイスがかなり効いている。
BanGDreamはかなりバンドの種類があって、色々な層にアプローチをしていていると思うのだが、Mygo!!!!!はかなり意欲的な試みだと思うし、それがしっかりと成功しているのはプロデューサーの力なんでしょう。ともかく依然として『ラブライブ!』シリーズも続いている現状を考えればある意味競合にあたる作品タイトルにはなっているが、その差別化として「リアルバンド」をある意味、再現ではなく、成立させるための人材という要素を加えた上で演者を選んでいるからこそ、青木陽菜とか羊宮 妃那といったそもそもポテンシャルとして確実に素晴らしい役者が選ばれるし、リアルバンドが違和感なく成立しているのでしょう(ライブとかは行けない体質なので実態はわからないけどまぁ盛況しているので、凄いのでしょう)し、普段そういうものを聴かない層も客層として流れてくるから裏方の方々からすればしめしめといったところなんでしょうが、これほど面白いものをみせてくれるならなんぼでも曲は聴きますよという心意気です。アニメの話をしていないのは、見てない人に対して説明するのがやや面倒くさいので、全13話を紐解くには全く別のテンションで語らないといけないし、なにより「面白い」けど楽曲のほうが面白いと感じる自分としてはアニメよりも曲を聴いた方が楽しいということを伝えたいわけです。
で、そんなMygo!!!!!があれば流石にブシロードといえどこれ以上に凄いものは出してこないだろと高を括っていたら「Ave mujica」という、より強度あるバンドが出てくるというこの用意周到さというか、一枚岩でないという企業側の思惑にはいい意味でやられましたね。このバンドは表現として詩を歌で歌うというスタイルとはことなり、楽器構成から中の人演者の経歴含め、まぁとにかく全員がいい方は俗っぽいがSクラスみたいな形をとっている。まず散々語られてきているであろうバンド構成は7弦ギター×2(Periphery、Peripheryをやりたいんですか!!)と五弦ベース(ドリーム・シアターですか、そうですかつまりは『Scene Seven: I. The Dance of Eternity』ですか、あるいはLinkin Park の『Crawling』ですか。もしくはMUSEの『Hysteria』のごとくバリバリのベースラインの曲がこれから出るんですか、もっと言えば『Duality』期待しちゃいますよいいんですか、ソロパートにMarcus Miller 級を期待していいんですか)にキーボードとオルガンのW (こんなスタイルは古い例を出せばELPとかでしか見ない光景)にツーバス(デスメタルでもやるのかという)という、低音領域マシマシで超絶技巧構成という間違ってもガールズバンドというか普通のバンドでも「そんなんねーよっていう」と言えてしまうほど随分と豪勢な構成なわけです。
これってそれこそメタルとかプログレとかそういう音楽領域とかが主流なわけで、普通はとらないわけです。その分慣れてない人かすればまず演奏するということ自体も困難だし。明らかに音楽プロデューサーの趣味だろとか思うわけですが、それこそ「ぼくがかんがえた最強のばんど!!」をガールズバンドに適応するそのセンス、最高だぜ。そして奏者に関しても、先述のようにリアルバンド性を意識しているのがさすがのブシロードで、国際大会のジュニアコンクールで優勝している人とか、リアルにドラマーな人とか、ミュージカルでバリバリ歌ってましたとか、そういうある意味で声優ではない人たちが声優になっているといような図式で構築されているわけです。だから、圧倒的に高レベルなバンド構成でもリアルバンドとして成立してしまっているというこの面白さはある種Mygo!!!!!以上なんですよね。楽曲的な面白さであればどう考えてもAve mujicaのほうが面白いと言わざるを得ない。普通そこまでやるかっていうほど、狂ってる。どういうスタイルで攻めるかの違いだからそこにMygo!!!!!との大幅な差異はないんだけど、表現力で推すならこっちは技術力でゴリ押しするぜっていう勢いがないとこんな発想はそうそう生まれない。異常です。だがそれがいいというか、こういう構成でも成立するんだ、今の時代っていう感想で、このような形でアニメコンテンツ性でありながら、超絶バンドが成立するのは間違いなく日本だけだろうなとか思います。そんな面白すぎる楽曲群がこちらの『Elements』。
そして総合統括はdiggy-moという、制作側の選定もちゃんと考えられている。やっぱり本気なんです。だからこそ、新年の新作アニメで、一体どのような未解禁曲が飛んでくるのか方が個人的に重要で、というかave mujicaって構成的にアニメどうこうよりもそっちの方が興味惹かれるの普通だと思うんですよね。いやいやこれは相当おもしれーバンドになりますよ。ただ、やっぱり全員が全員テクニック的にとんでもないかと言えば現状の音源を聴く限りだと、ドラムとkey、ボーカルの3点がかなり強調されている楽曲が多く、7弦もそこそこ活躍するのだが、基本そんなに目立つ楽曲が見受けらなくて、次に来る新曲でこの感想は裏切られるのかもしれないが、少なくとも抑えるところは抑えているという印象もあって、むしろ安心するんですよね。これで全員が本当に誰がどう聴いても超絶技巧で「バン!!!」とだされるとそれこそ何にも言えないくらいの感想しかでないわけでして。そんなave mujicaにもしっかりと期待を持ちつつ、これを聴くと余計に笑みが溢れるんですよね。コンセプト性もあるのかと。それこそ『火の鳥』の「宇宙編」のごとくどこまで行くんだという感想しかない。このバンドの技巧性を考えて、全員が超絶技巧を発動できるレベルに仕上がっているのならそれこそ「absolution」並みのものが出てきても全然驚かないので、その辺よろしくお願いしますとむしろ達成して欲しい欲求を伝えたい。ではそんななかで、『ELEMENTS』の聞きどころの感想をつらつらと書くと、全員に主役の場があるのは
この曲。どのパートにもしっかりと「キメる」パートがある。全員がちゃんと輝いているなと思える一曲。イントロとアウトローにおける五絃ベースの存在感といい、ギターのソロといい、明らかにテクニック的に演者に信頼を寄せているピアノパートは高尾奏音という本物が弾くことを想定しているであろうパートである。
(過去ポストだが、その経歴からしてこの「ラフマニノフ好きです」っていうのは相当重みがある。
わあああ(><)いつもありがとうございます!(笑)
— 高尾奏音 (@Kanon_Takao) 2017年7月13日
そうなんですね!!😳😳😳✨
私もラフマニノフ好きです(*^^*)
かっこいい超絶技巧になるように頑張りますっ😭😭😭✨
↑ぜひその超絶技巧を、ave mujicaのキーボード・オルガン担当として圧巻のパートを楽曲で披露してくださいの一点張りですね。ここまでくると。
そしてなによりも声の張りが明らかにミュージカルを張った人だと一発で聴いてわかるレベルの聞き応えのある歌い方なんですよね。色々書きましたけど結局その上でのボーカルの輝きが、ave mujicaの場合、呼吸が非常に安定していて、力強い高音を持続させる余裕があって、言葉が観客に飛んでくるような抑揚に、空気感としてはやっぱりホールで歌ってるよなっていう存在感がちゃんと音源レベルでも感じられという歌の力強さがちゃんとそこには存在している。しつこいようですがこれはそれなりのバックボーンをもつ佐々木李子というキャスティングの勝利としか考えられない。ドラムはまぁそういう構成ですから、そりゃ暴れる激しさはいうまでもないですね。歌唱の凄さが出ているのはやっぱりこれですね。発声の一つ一つだけでも何回でも聴ける。バラードだからこそ歌唱が目立つ楽曲というのは、この『▽』という曲でボーカルの力強さを指し示すものであることは明白だと思うんですよね。ピアノ、ボーカル、弦楽器という構成もエモーショナルというか、ピアノと弦楽器の組み合わせの上にボーカルを添えたバラードという極上の場でミュージカル経験者が歌うっていうのはなんて贅沢なんだと思わざるを得ない。
佐々木李子の歌い方の凄みが出ているのは次の楽曲『Earth』でもそうで、この楽曲は高音低音の表現と、声の張りがガラスのような硬度性をもってリスナーを刺してくる楽曲ですが、最後の「you are my reason」のnを最後まで溜めた上で歌い切るというのも、やっぱり普通の歌い方だよね、という感想にはならなくてくどいようだけど発声を活かした締め方と解釈したほうが納得がいくんですよ。ほかだとサビ前とサビの歌い方がまさにそれなんですけど、一音一音に対する伸びが単に歌が上手いというのとは違う。
ラストの『Ether』
という楽曲でも楽器隊の凄さはまぁそりゃ笑えるほどすごいのですが、その点は初手の段階で、それができる人材と方向性を提示しているということを理解すれば、ある程度聴けばだんだん納得できるのですが、そんな激しい楽曲の中で目立つボーカルというのが実は一番実力を問われるのでは、とかこのアルバムを50周くらいした時から思い始めているわけです。(11月のリプレイ上ではave mujicaは総再生時間が1800分なので、20分のミニアルバムとすると90回というのが実際の回数です)
「これはとんでもないぞ」と。
ave mujicaはアニメでは本当、登場の仕方があまりにも「ブシロードの都合だろこれ」という形だったので、そういった意味で最初は印象に残らなかったのですが、やっぱり曲を聴けば全然そんなことなくてむしろ別の領域で色々狂ってるバンドなんだなって思って、Mygo!!!!!含め、一旦この二つのバンドの面白さは伝達しておこうと思い、真っ当な記事というよりもかなり砕けた雑談モードで紹介記事として書いてみました。みなさんも是非耳に通して聴いてみてください。きっと色々な意味での面白さや発見があると思いますし、アニメも興味があれば鑑賞するといいと思います。ちょうど新作にあたる「ave mujica編」が2025年の年始から放映されるので、今「mygo!!!!!」をアニメと音楽の二つをチェックして、ave mujicaは音源を散々聴いてそのカオスっぷりを味わった上でアニメを迎えると多少は見方に、新しい「補助線」を引けると思います。
afterglowにじんが『燦々』を提供していて
Mygo!!!!!でちょっとそれっぽい香りがする『砂寸奏』とかあるわけで、なんかめちゃくちゃアウターがサイエンスしてそうなきもすんだけどそれはともかくですね
この楽曲の歌詞の「Uh wow wow Uh wow wow」は別の意味でその言葉の含意を見出してしまう。
これがあるなら逆に堀江晶太がave mujicaを『fanatic』『ダーウィン先生の倦怠』くらいのモードで提供してもおかしくないはずなので、そこらへんどうかお願いしますという淡い期待も書いておこう。なんていったって堀江晶太御大はベーシストだから!!!!
別のバンドリグループで「夢ノ結唱」があるけどこっちはこっちで長谷川白紙とかTHE SPELLBOUNDとかある中でkemuもいるっていう完全にそっち系の人を起用している背景を考えれば、ブシロードに一回でも提供している作家が再度ブシロードというのは可能性全然あるわけだし。
(本当、書く作曲家の使い分けのうまさには拍手しかないですよTHE SPELLBOUNDなんてspclの流れということを踏まえた上でどうか、みたいな考えがないとまずもって選ばないでしょとか色々話たいことはあるが趣旨がずれるので、これはまた別の話)
いや、「夢ノ結唱」こそ真にボーカロイド(Cevio AI)構築という意味では「おもしれー」枠なのかもしれないが、、ここら辺も別の話ですね。まぁ沼です。
それでは。
p.s. apple musicのリプレイ機能では11,558分のうち、6,975分聴いていたようで、、
11月は本当に大半はこの2バンドの音源を聴いていたようです。