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Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引く

劇伴・声・音──若山詩音・羊宮妃那という座標

2020年代における劇伴の存在感としてドラマでは『岸辺露伴は動かない』において菊地成孔御大が最高級を尽くしたことが絶対的であることはおそらく満場一致のはずだ。この件に関しては進行形でありならも部分的には以下の二つの記事に列挙しているので気になる方は参照されたし。

sai96i.hateblo.jp

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あと変則で「石野卓球中田ヤスタカ」記事もあったりします。

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では、アニメでは何がそれに該当するかといえば、恐らく『リコリス・リコイル』の睦月周平が書いた楽曲群であることは、これもまた想像に固くない。

そして、国際的な側面においても、『プロジェクトKV』のティザーに若山詩音の声(クレジットないけど確定です)と、まるで『リコリコ』を想起させるキャラデザ、そして音楽が(流石に睦月周平テイストすぎた)あったことからも、海外からみた直近の日本アニメの最大の作品というのもおそらくこの作品ということになるのだろう。残念ながら配信がないのだが、作品と音楽があれほど一致した作品もそうそうない。ヒットの有無ではなく、「音楽を聴けば作品が立ち上がる」こと。アニメファンでなくともOSTを聴く人は多く、あれを聴いていれば、もうすでにその音は記憶されているはずだ。そして『リコリコ』は音響設計においても緻密に構築された作品であり、その劇伴は2020年代のベストと言っていい。というところから、この記事の基本ベースを始める。

(ここを延長させた劇伴論もいつかは書きたいが)

地続きとして『ガルクラ』で書けたので貼っておきます。

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では、ここから少し変わった切り口ではあるが、声優の話を展開する。あまりにも直球すぎると思うが、推しがどうこうという話よりももう少し踏み込んだ話を、直感と感性と、実際の類例を踏まえた上で、ではどうか?という話である。タイトルに挙げた二人の声優についてはそういう文脈を兼ねている。

 

・若山詩音編

まず、若山詩音だが、最近では一躍時の人として話題作に出演を決めている現行において波に乗っている声優であることは間違いない。では、そこに至る過程はなんだったのか?というあたりから整理していきたい。

発露は『空の青さを知る人よ』(2020年)であることは疑いようもないが、アニメ層にその存在感を届いたのは『SSSS.DYNAZENON』における南夢芽の演技である。元々前作の『SSSS.GRIDMAN』が2010年代後期のアニメの中でもヒットした部類ということもあり、その一種の後発(元々は両方とも『電光超人グリッドマン』がベースとはいえ)としての作品ということもあり、注目度は高く実際に評価された。ここで一つ思考の補助として入れておきたいのは、坂本勝のキャラクターデザインが、ヒット要因の一つになっている点だ。それだけでは当然あのようなヒットにはならないが、しかし現実として、『SSSS』シリーズにおけるヒット要因においてキャラクターデザインの妙があったことは、以後のキャラクター商法における展開をみてもまず違いない。

そしてこの話は前作がヒーロー響優太の話であったことに対して、人間関係をベースに構築していくタイプということもあり、キャラが全員どこか鬱屈している。そのような作品でもあったため、人間同士の会話、しかも南夢芽は姉の絡みといい、決して明るい話は回ってこない。こうした作品において、キャラデザの魅力もあった上でしっかりとそれに対応する演技とキャラクターに息を入れることができたという点は非常に大きい。そして、その次に来るのが先にも紹介した『リコリコ』における「たきな役」。本作はオリジナルアニメでありながら相当なヒット作として評価を受けたこともあり、その中で主演級を担当したことが、手前二作に対応する形で代表作としてアニメ視聴者には記憶されて、以後の『ダンダダン』『負けヒロインが多すぎる!』といった作品に繋がり現在があるといっていいだろう。

 

そしてここに至るまで『SSSS.DYNAZENON』『リコリコ』『マケイン』の3本において、浮かぶ要素がある。それは「安済知佳」の存在と、キャラクターデザインの通底さである。

『SSSS.DYNAZENON』では飛鳥川ちせを、『リコリコ』はメインキャラの錦木千束、『負けヒロインが多すぎる!』では志喜屋夢子を担当している。

さて、三作立て続けで人物としてのはり方に違いはあれど、若山詩音とここまで共演するのは果たして偶然といえるのか?といえば個人的にはむしろ設計された音響監督の意図を見出し方が正解ととる。

安済の演技には「逸脱」や「異形」の気配が常に宿っている。まともな人間を演じるよりも、壊れていたり、どこか人間でないキャラクターにおいてこそ、その声の特質が最大限に引き出されるのだ。

クズの本懐』の花火のような繊細かつ屈折した心理描写、『地縛少年花子くん』の七峰桜、そして『リコリコ』の千束に潜む重さと明るさの共存、これらすべてが「声による逸脱」を物語る。対比的に、若山詩音は詩性と感性によって微細な陰影をキャラクターに宿し、安済知佳の異質さと共演することで、作品全体の音響構造に多層性を与える結果となっている。「逸脱型」の力がある声優で、むしろナチュラルなリアル演技よりも、声だけで奇異を成立させられる類の声優。音響監督がその特質を理解した上で、「どこかおかしな女の子」「現実との距離感がズレた人物」に起用する傾向が増えているのも納得だ。

この「詩性/逸脱」のツインエンジンが2020年代の音響設計にどれほどの影響を与えたか、その起点としてこの三作は再検証に値する。

無論オーディションで勝ち上がっての起用など色々あるのでしょうが知らない世界のことは語れないので、語れる範疇という意味でもやはりこのツーペアは安定の組み合わせとして認識されていると読む。少なくともそういう意識がどこかにないと立て続けの連続起用はそうそうないだろう。というのも、若山詩音の場合は、今まさに波に乗っている声優だが、安済知佳は2015年の『響け!ユーフォニアム』で脚光を浴びた中堅にあたる存在だ。そういった役者が、直近の話題作において若山詩音と並んで起用される機会がここまで続くことに、自分としては偶然だけでは済まない音響的な相性を見出したくなる。

 

そこに加えて『リコリコ』『マケイン』はキャラデザが同一のいみぎむる氏であることも含め、恐らく奇跡的にこの三者というものは噛み合ったのではないか?と思うのだ。つまりキャラデザの側面が強いアニメでもあった『SSSS.』シリーズにおける坂本勝の潮流がいみぎむるにより移り、声優二人がそのまま延長としても機能してしまったという側面が機能している。実際問題、この二人が今後も何かで共演したところで、視聴者はむしろ信頼しか出てこないと思う。それがある意味で音響的な証明にもなりうるのだ。そういった作品におけるキャラクターの声あえまで信念深く考えるのが音響監督の仕事でもあるはずだから。

そして個人的には、『マケイン』において、若山詩音で『CRAZY FOR YOU』という10年以上前の楽曲を歌わせたことも相当含意がある。

CRAZY FOR YOU

CRAZY FOR YOU

  • 焼塩檸檬(CV: 若山詩音)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

というのも、原曲の『Crazy for you』は当時kz(livetune)をして以下のような発言が出たほどryo(supercell)テイスト軸なのだ。

つまり、かつて活性出会った時のsupercellのフォロワー楽曲が時を経て現代の最前線の声優が歌ことで生まれる存在感、というよりも再定義されるとでも形容すべきか。この事実は以下の3点に集約できる。

  • 音楽的文脈(ryoイズム)

  • 歴史的文脈(2010年代J-Pop感性)

  • 演者の音響的特性(若山詩音の存在的声)

演技以外にも、音楽的にどうか?という点において意識したかどうかはともかくとして若山詩音の存在感を極めて強調させたカバーであったことには違いない。

 

2025.7.6追記

『モエチャッカファイア』のカバーによって現状、ダウナーと呼ばれる暗い気分、だるさを表に形容した歌い方というのも一流であることがわかりました。

先述の『Crazy for you』との真逆をここまで成立させる演者。

やはり只者でありません。というか2020年代の軸として若山詩音を入れないことが嘘になります。

Moechakkafire - Single

Moechakkafire - Single

  • エレン・ジョー(CV:若山詩音)
  • J-Pop
  • ¥255

music.apple.com

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・羊宮 妃那編

BanGDreamの『Mygo!!!!!』で今や新規気鋭から脱し次期を代表する役者間違いなしの羊宮 妃那だが、この声が持つ魅力はいくつかあり、それらについて過去の記事で何回か言及したが改めて整理する。

sai96i.hateblo.jp

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要は、声の質感としてとても上田麗奈の属性に近いということだ。これは別にジェネリックとかそういった意味合いではなく、あくまでも近い声という意味では上田麗奈に似ているという点であることは留意したい。そしてここにかかる「上田麗奈的」な属性というのは何かといえばこれも散々語られていることだが「このキャラ、風貌、空気感はこいつ!!」というのはアニメをある程度見ている人であれば誰しもが一人くらい思いつけると思うが、ようはあれに近いものだ。

ここにかかる要素として上田麗奈のベストアクトキャラは

『ハーモニー』の御冷ミァハ

『SSSS.GRIDMAN』の新条アカネ

閃光のハサウェイ』のギギ・アンダルシア

そしてこれからでいえば『チェンソーマン レゼ篇』であり『タコピーの原罪』でありと、キャリアワークスを知っている人からすればむしろ他に誰が演じるのか?というくらい、やはり音響的な設計が究極を極めている、独走状態を走っている。ということだ。上田麗奈しか演じられない領域がそこには確かにあるのだ。

 

 

そう考えた時に羊宮 妃那が直近で演じた『小市民』の小佐内ゆきは、間違いなく10年前だったら上田麗奈が担当していたタイプのような属性を持つキャラであり、(それくらい上田麗奈の声が持ち味として非常に鋭角出会ったことの証左でもあるのだが)それを上田麗奈ほど視聴者を突き刺すような冷徹さだけはなく、それこそ『Mygo!!!!!』の燈における不思議っこを演じられるタイプの声質をも兼ね備えている羊宮 妃那だからこそ、というところに、この役者の素晴らしさが内蔵されている。そして、これは=ではない。しかし≒であることには違いないということは誰もが気づいているし、それは案外証明されていたりする。それは『トラペジウム』で上田麗奈と羊宮 妃那が共演していることからも、汲めるところがあると言えるだろう。

この両者の表現者としての特質的な点は歌における表現にこそ本質的な「凄さ」と「技術」が否応なく余すことなく出てしまうところ。

上田麗奈も羊宮 妃那も元々は自己表現として「歌が苦手」という点で共通点がある。

natalie.mu

もともと私は歌うことがすごく苦手というか……嫌いと言ってもいいくらいなんですよ、実は。

──ええー。

なので「アーティストとして活動しませんか?」と言っていただいてから、1年ほどお返事を待っていただいたんです。

「MyGO!!!!!」高松燈役 羊宮妃那インタビュー:歌が苦手だった、でも逃げずに向き合い続けた━━約3年間の軌跡

羊宮氏:
歌って、馴染みあるものじゃないですか。
みんなとカラオケに行く中でも、身近に「歌える人」はいっぱいいました。

そのうえで、歌が好きだったり、歌が上手い人たちもいっぱい周りにいたんです。だから、より「自分の声は歌が上手い人のものじゃないな」「自分の歌い方は音痴だな」と思うことが、何度も何度もありました。「自分は上手くなれないな」と、めちゃくちゃ思っていました。

なので、歌を頑張ろうと練習に向き合い、少し自信がついたとしても、何かできないことにぶつかると、”やっぱり私は下手なんだ”という鎖のようなもので、スタート地点に戻されるような…お芝居の練習のときの気持ちとはまた違った気持ちがたくさん、たくさんありました。

 

それでいて、いざ音源を聴くとお分かりの通り、もちろん巧いですが、それ以上に歌を使った表現にまで昇華されているといえる。異常な表現(演技)というものが単純に歌いあげる以上に発露してしまい、Mygo!!!!!の楽曲なのに、実質羊宮 妃那の叫びに全てが収斂される(それは主役のキャラの同期性以上に羊宮 妃那の一種の圧が上回る)。ということだ。そうでなければ以前より最高傑作としてあげている『回層浮』『過惰幻』

回層浮

回層浮

  • MyGO!!!!!
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
過惰幻

過惰幻

  • MyGO!!!!!
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

のような楽曲を聴いた時に顕在化する暴力的なまでの叫びというのはそもそも歌い上げることができない。つまり「歌」は苦手だが、「表現」としての素質がそれをも包括することで、結果的に生まれたものがMygo!!!!!の楽曲群であるということだ。そしてこういうタイプは普通の声優ソングとしては中々タイプとして存在しない。ここで例外的に同一として語るに足り得る対象が上田麗奈なのだ。

Empathy

Empathy

新条アカネソング

いつか、また。

いつか、また。

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御冷ミァハソング

旋律の糸

旋律の糸

  • provided courtesy of iTunes

『Empathy』が最も通底しているアルバムであるが、本作も「巧さ」よりも自身が担当してきたキャラクターをどのように歌詞に当てはめて、そして歌い上げるのか?という軸足で構築されているという点からもわかるように歌<表現という側面がとても強い。そしてそれは、『Nebula』における「scapesheep」に最も集約されていく。

(ちなみに音楽的なアプローチは当時喝采を浴びていたビリー・アイリッシュの『Bad guy』というチョイスも絶対影響しています)

Nebula

Nebula

scapesheep

scapesheep

bad guy

bad guy

  • provided courtesy of iTunes

つまりは音楽を通した上田麗奈の作品と言っても過言ではなく、それは先のインタビューは最初から意図されているとみていいだろう。歌が苦手ならそれを作品の一環として還元されている。

今回はどの曲も、私が今まで声優として演じてきたキャラクターたちに対して、私自身が共感した部分をすくい取って、それを歌を通して表現しようという気持ちで1曲1曲作っていったんです。なので、まず「私はこの作品のこのキャラクターのこういうところに共感しました」というリストを作ってお送りして。そのうえで、各作家さんが書いてくださった歌詞に対して、場合によっては少しニュアンスを変えていただいたり、そういうディスカッションをしながら詰めていきました。

このように、まず直感的に誰もが思う「声質」の類似性があり、そして歌が苦手であるのにもかかわらず、実際に作品として出てくる歌唱のパワーは通常のそれとはとても言い難いほどの禍々しさで帯びている。

このように整理すると両者とものやはり表現者としては破格であり、そんな二人がメインではないにしろ『トラペジウム』にて四人組アイドルの2名を担当したことはやはり、声優史的な意味合いを持つ。

これは時間が経てば立つほどに力を増す。なぜなら「ギギ・アンダルシア」が上田麗奈で、「ララァ」が羊宮妃那という構図であり、『千歳くんはラムネ瓶のなか』では同じヒロインをドラマ版/アニメ版という構図ができあがってるからだ。

 

 

 

なりたいじぶん

なりたいじぶん

  • 東ゆう(CV:結川あさき), 大河くるみ(CV:羊宮妃那), 華鳥蘭子(CV:上田麗奈) & 亀井美嘉(CV:相川遥花)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes
方位自身

方位自身

  • 東ゆう(CV:結川あさき), 大河くるみ(CV:羊宮妃那), 華鳥蘭子(CV:上田麗奈) & 亀井美嘉(CV:相川遥花)
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

その上で、主演の結川あさきはまだデビューもまもないがまた、非常に適合してくる。

それは、一見してアイドルアニメという枠組みで一風変わった「東ゆう」というキャラクターを演じ切ったことと、その後『逃げ上手の若君』でボーイッシュな北条時行を見事に演じ切ったという2点だけで事足りる。つまりキャラクターとして距離を置かれやすいタイプのアイドルになりたい主人公と、真逆の意味で松生優征という稀代のストーリーテラーであるが、非常に曲(癖)のある人物像を描くことで有名な作家の人物を違和感なく演じ切っている点にある。角が立ちすぎているキャラと、ジャンプ的でありながら造形が様変わりなキャラをまだキャリア初期に演じ切ってしまっているという意味ではやはり、破格なスキルを持っているといっていいだろう。つまり対上田麗奈、羊宮 妃那という変種的な幻想憑依型が二人もいる中でその両者に引けを取らない演技を共演作で成し遂げているのだ。

(だいたいなんだよ

とか思うわけですが、この予告で凄さ一発でわかるほど有望以上にもう確定的に上手くそれは先の二人とはまた別種の演者であることが視聴した観客は一発でわかる。そのくらいの自信がなければ映画の一番肝となるシーンを抜粋して予告として昇華するという荒技はまぁ方法論としては一般的ではない。

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これはどちらかといえば『トラペジウム』がいかにすごいキャストなのか?という話の転換でもあるのだが、凶悪、禍々しさがでる演者がそういう味の演技はしていないとはいえ、存在感を出すというのはただごとではない。

(羊宮 妃那もこの作品ではかなり叫びの演技が出てきます)

こうした作品を通した上で『逃げ上手の若君』pv1にフォーカスを当てると抑揚のコントロール以上とか、そういうもの以上に、まず声質が間違いなく少年声もいける素質も兼ね備えていることがわかる。

つまり現時点でに確定事実としては結川あさきは中性的なバランサーの声質を持つ役者であり少年役で化ける可能性も秘めながら正統派な役もこなせるしそれが既に証明されてしまっている。

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以上の条件から、ちょっとした閉鎖空間にて

なんて決めたほど演技力にかなり可能性があり、そして見事に受賞された。

たった一年でこの二作を演じ切ったのだから受賞を読めない方がおかしいと思うほど

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その上で西尾維新ルートのキャラも

(しかも夕方多夕!!というベストオブベスト!!!)

確立しているというこのルート確立感。

 

 

そしてこれによって2014年に上田麗奈、2022年に若山詩音、2023年羊宮 妃那そして2024年に結川あさきという文脈に綺麗に落ち着くのだ。

つまりこれまで書いてきた声優の凄さというものはその時の一番波にのっている演者という象徴としての「新人声優賞」を受賞という一点に収斂してゆく。偶然ではなく全てが必然として結果として「時代を担う声優」として新人賞を獲っているのだ(上田麗奈は主演女優も獲っているし、安済は新人はとっていないものの主演女優も獲っているという意味で今回名前を出した役者はみな結果的に圧倒的な評価を得ている)。

 

 

では最後に、ここまで語ってきたすべてを一つの仮説として提示したい。

2020年代、新人声優賞という確かな実績を持ち、音響設計においても「呼応」し続けてきた若山詩音と羊宮妃那という2人が、もし今後Wヒロインとして並び立つ作品が出たとしたら、それは音楽・演技・音響・キャラデザすべての文脈が交差するアンセム作品になるだろう。もはやそれは「キャスティング」という次元ではなく、構造的必然であり、音の文脈の到達点である。というのが自分なりの結論だ。

 

声優の声=音という感覚で思索すると以上のようなことが自然と点と点で結ぶことができる。そしてこればかりは放言でも譫言でも戯言でもなく、その直前まで世界はすでにそこに近づいている。

2025年4月より放送される『小市民』二期では、『SSSS.GRIDMAN』でヒロイン立花を演じた宮本侑芽が、主人公小鳩常悟朗の彼女にあたる仲丸十希子役を担当しているのだ。そう、もう一歩ズレていれば(『SSSS.DYNAZENON』)そこに若山詩音がいたかもしれない。つまり、現実そのものがこの文脈に近づきつつあるということを留意しながら、今後アニメ作品の音を咀嚼しながら鑑賞していきたい。

 

part2

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part3

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・『レゼ篇』にみる音響監督論

音響監督視座の記事を読むと、この記事で得てしている傾向が理解できます。

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・結川あさき論も書きました。