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Music Synopsis

音楽に思考の補助線を引く

表音・表意・表義で考える──アニメ『LIAR GAME』キャスティング私論

ついに来た。甲斐谷忍のメディアミックス最大のヒット作、『LIAR GAME』のアニメ化。ずっとこの瞬間を待っていた。

とにかく大好きな漫画だし、実写ドラマ版も大好きだ。

というか『ソムリエ』『霊能力者 小田霧響子の嘘』どれとっても甲斐谷忍作品は全部大好きでしかたがない。

 

しかし、今回アニメ化されるのは明らかに原作準拠の展開だろう。となれば、ドラマ版では省略されていた秋山深一や神崎直、ヨコヤ、福永らの細やかな描写がついに動きと声をともなって描かれる。この事実だけで胸が高鳴る。

LIAR GAME

LIAR GAME

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特に楽しみなのは、あの第四巻で描かれる名シーン「人は疑うべきだ」から始まる会話が、声と演出を伴ってどう描かれるのかという点だ。超重要名あのシーン。

ドラマ版では、これに呼応するかのように戸田恵梨香演じる神崎直が「人を疑うくらいなら、騙された方がマシです」と言い切る場面がある。

実はこの言葉は、原作の直とは真逆のスタンスを象徴している。

たとえば第三回戦の直前、秋山はこう語る。「信じることは高尚だが、その実態は無関心に近い」と。

ドラマ版の直は理想で応じるが、原作の直は、もっと逡巡と成長の中にある存在だ。

ステージを重ねるごとに賢くなっていき、ヨコヤ相手に出し抜くような展開も見られる。要するに、原作の神崎直は、ドラマ版ほど一本調子な騙されキャラではないのだ。

一方で、ドラマ版の福永ユウジ。こいつはかなり強烈です。鈴木浩介によって演じられたこのキャラクターは、原作での「ニューハーフ」という設定が外され、徹底的な裏切りと策謀を体現する存在へと改変された。この変更は、漫画原作の実写化において最も成功したキャラクター改変の一つだとさえ思う。実写版『LIAR GAME』が傑作とされるゆえんは、こうした脚色の妙に加え、中田ヤスタカによる硬質なBGM、戸田恵梨香松田翔太という主役陣の抜群の配役など、あらゆる要素が奇跡的に噛み合った点にある。
数ある漫画原作ドラマの中でも、いまなお数少ない「完全勝利」と呼べる一作だ。

 

ちなみに、実写版『LIAR GAME』の脚本を担当したのは、今や『ラストマン』『グランメゾン東京』『東京MER』『全領域異常解決室』などを手がけ、役者を軸にした構成と、象徴的なセリフまわしで知られる黒岩勉。現在のTBS・フジ両系列を代表する売れっ子脚本家の一人である。そしてもう一人が岡田道尚。いま振り返れば、脚本チームもまた異様に豪華だったのだ。

 

「じゃあアニメ化があるはず」と思っていた人は、きっと少なくないはずだ。

というのも、声優の演技とアニメ的な映像演出の掛け合わせによって、むしろ原作の描写のほうが映えるはずだという直感がある。たとえば、LGT事務局。原作では複数のディーラーたちがそれぞれの局面で登場し、リアクション芸人兼ナレーション的な解説役として機能している。この「顔のない組織的な語り」は、アニメのカット構成や声の演出と非常に相性がいい。

 

だって複数人の声優を入れてリアクション芸をさせることが確定的なのだから。

 

一方でドラマ版では、仮面の男が象徴的に画面に映し出され、LGT事務局の「顔」として前面に配置されていた。人格を与えられたキャラクターとしてのディーラー像が明確に立っており、観る側に強い印象を残す作りになっていた。

これは演出的には非常に理にかなっている。原作のような制度の無機質さをそのまま映像化するのではなく、むしろ仮面という記号を用いて、ホラー調のテイスト──たとえば『SAW』を想起させるような不気味さを助長することで、視覚的な緊張感と不安定さを演出していたのだ。実写だからこそ立ち上がった演出様式であり、原作とは異なるアプローチながら、それはそれで成立していたと言える。そして「声が人格の輪郭そのものになる」構造をとして、喜山茂雄の発話をナレーションとして組み込むことで完璧なモニターに映りながらもリアルタイムでプレイヤーの会話もできるディーラー像があった。その意味では、印象の強さで、喜山茂雄が優先されることも考えられなくはないが、ここは検討しどころである。

 

Golden Rule

Golden Rule

さて、そろそろ本題に入って、各キャラクターのアニメ版キャスティングについて語っていきたい。音響構文的な意味で、声優が命を吹き込むことで、キャラクターがどう変わるのか。声=演技=キャラ再構築の可能性に、ここでは最大限の期待を込めて私論を述べる。なお、下記の記事を前提するため、未読の方はぜひ一読のほどお願いします。

sai96i.hateblo.jp

 

 

神崎直は長谷川育美である。神崎直(長谷川育美)流石にこれです。

「初々しさ×真っ直ぐさ」の等身大。一番向いてる役でしょ。というか、神崎直の馬鹿正直さ、賢さ、直向きさを考えた時にどういう声がいいかを考える時、まず「ない」であろう役者声質は表義、表意だと思うんです。だってそれこそわかりやすい例であげますけど、表義声優の「存在感」で圧倒する感じは、むしろ直以上に声の演技が勝負を圧倒してしまうから。ゆえに彼女の声は表義(存在感で場を制圧)や表意(語り部としての押し)ではなく、表音寄りの質素な中域が望ましい。

 

長谷川育美の事務所サンプルは、その条件を満たす。冒頭の「わたし嘘ついた」で見せる短く切る語尾と、終盤ナレーションの中域固定は、神崎の馬鹿正直さ/賢さ/直向きさを演出ではなく音そのもので支えられる設計だ。

 

それにしても、「長谷川育美いいなぁ」とおもって所属事務所のリンク先でサンプルボイスを聴いたらなんと都合いいことに「わたし嘘ついた」というセリフから始まるありがたさ。なら話は早い。この「嘘ついた」を反転、重みのあるセリフにするキャラ作りを成せばいいだけの話なんですよ。長谷川育美だからこそできるといっても過言ではない下地が全て揃っているのだから。鈴代では強すぎる。直は無垢な合理性を担う役。ここで幼さや過剰な可憐、強さに寄ると、秋山の理詰めが薄くなる。

あと終盤にあるナレーションの喋り方といい、歪曲した言い方にはなるが、変に萌え萌えしくないし、かといって硬直したような声でもない=柔軟性・中庸性=神崎直にふさわしい。なによりも、甲斐谷忍のキャラクターには適格な声だと思うのだ。だから長谷川育美がいいかなと。外さないと思うし、吸血鬼もやればバンドキャラも演じた今、逆に神崎を演じるというのは役を広さを提示できると思う。

www.raccoon-dog.co.jp

そもそも「決め」で場を支配する役目は秋山にある。神崎が過度に表義的だと、作品の力点がズレる。だから、式としては、表音×質素×可読性で算出するべきであり、その三点で、圧倒的に長谷川育美を第一に推す。神崎は真っ直ぐな18歳なので、この可変幅としても長谷川育美がベストと思う。そういう役で張ってきているのだから。

 

 

秋山深一は中村悠一。別に韻を踏みたいわけではない。

おそらくこの配役は、一見すると「わかりやすい」と受け取られるかもしれない。
しかしながら、秋山深一というキャラクターの本質。つまり「常勝の天才」として場を制圧するだけの論理性と静かな支配力を、声の演技として担保するためには、低音の安定感と「理性のカリスマ」が絶対条件となる。

いくら「天才詐欺師」という設定があっても、それを支える声の地力がなければ空転してしまう。その点で、中村悠一は唯一の適任者といっても過言ではない。

実際、彼がこれまで演じてきたキャラクターには共通して「論で戦う」強さがある。たとえば『呪術廻戦』の五条悟には余裕と格があり、『魔法科高校の劣等生』の司馬達也には圧倒的な思考支配力がある。その両者を掛け合わせたような存在が秋山深一である。

 

「五条の余裕」×「司馬の理詰め」=秋山 これがないと秋山深一じゃないです

 

加えて、長谷川育美との組み合わせも絶妙だと思う。中堅トップと次世代トップという布陣は、作品としての安定感と可能性の両立を意味しており、神崎と秋山という関係性にも適した声のバランスが得られるはずだ。

秋山は喋る台詞量が少なくとも、発話一つひとつの圧が物語を支配するキャラクターである。だからこそ、中村悠一の重低音で知性を包むような声が最適。

これ、多分作品を知っている人なら誰でも、中村悠一をまず最初に置くと思う。どう考えても、アニメの秋山を最後まで担保できるのは中村悠一神崎を長谷川で合わせれば、作品の理(秋山)×善(直)の骨格が音だけで立つしペアリングとしてもかなりいい線は明らか。

 

さて、逆に検討しがいがあるのがヨコヤである。
これはなかなか難しい。だが原作における「お茶目と毒」「カリスマと小物感」を一つのフレームに収めたキャラクター像を考えるならば、悪役としての重みと愛される軽さの両立を演じ切れる声優は、もう神谷浩史しかいない。一見、意外に思われるかもしれない。しかし、冷静に考えてほしい。


ヨコヤは、御曹司として金と地位をバックに、恐怖と威圧で人を支配するオールバックな存在である。だがその一方で、密輸ゲームで神崎に「透視」に対して裏をかかれた瞬間の、あのやや情けないリアクション。あるいは「パンデミックゲーム」における小切手のくだりで騙されるところとか、あれを成立させるには、完璧な発声・演技技術を持つ声優が必要だ。

 

畢竟、ヨコヤとは阿良々木暦をものすごく性格悪くして、金持ちにしてLIAR GAMEに参加させたようなキャラなのだ。と、いうよりも阿良々木暦間桐慎二を合体させたようなキャラクターがヨコヤ。「阿良々木暦の弁」×「慎二の狡猾さ」ということ。

だからこそ、神谷浩史の持つ綺麗すぎる滑舌と、言葉の品位に反比例する中身の歪さという演技のズレが、このキャラを声で再構築するためには不可欠となる。神谷の乾いた中域+綺麗な子音は、母音だけに薄く笑いを滲ませるだけで優位を作れる。音量で煽らず、間で支配できるというのは原作のヨコヤの温度に一致。だからこそ勝ちが崩れた瞬間には語尾の宙吊りで小物のほころびも作れる。そう、例えば『パンデミックゲーム』における小切手のくだりとか、ああいう小物が一瞬出る感じまで含めてヨコヤ。しかしシリーズ屈指の頭脳明晰なキャラクター。それぞれの声優史で言えば

「五条の余裕」×「司馬の理詰め」の秋山vs「阿良々木暦の弁」×「慎二の狡猾さ」のヨコヤ

秋山=理性と余裕の合成、ヨコヤ=饒舌と奸智の合成というわけですよ。

このキャスティングで、長谷川育美が真正面で素直さで挑めば絶対面白いし映える。むしろこれ以上の正解はないと断言できる。何より、中村悠一=秋山深一との知性×知性の掛け合いに耐えうる演者であるという点。これは、ここまで積み上げてきたキャスティング私論のなかでも絶対条件の一つであり、そうなると神谷浩史は演技・声質・経験・象徴性のすべてにおいてベストアンサーとなる。ヨコヤに必要なものは歪んだユーモア・自己愛であり、相反する知性、支配と反支配であり、滑舌の綺麗さです。これが前提条件となる時に該当するベストの役者は一人しかいません。

中村悠一(秋山)の中低域ドライに対し、神谷の中〜中高のガラス質が静かな対決を成立させる。これがいいんです。散々、『さよなら絶望先生』や西尾維新の<物語>シリーズで作品で鍛え上げられてきた、饒舌×自省を、性格を悪化させ金と恐怖で増幅した側面だけ抽出した演技を今こそと思うので、神谷浩史を第一候補に置く。

 

ひとまずメインとなる三人は

  • 中村悠一=低音×理性×支配構文(秋山)

  • 神谷浩史=滑舌×毒×歪んだ愛嬌(ヨコヤ)

  • 長谷川育美=可読性×質素さ×柔軟(神崎)

 

三文法で換算すれば

神崎(長谷川) O:60/E:25/G:15

秋山(中村) O:35/E:45/G:25

ヨコヤ(神谷) O:45/E:30/G:35

配分的にも、配役的にもこれが最良であると個人的には思います。

Silent Revive

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他方、神谷浩史を第一候補に置く一方で、どう演技を見せるかという意味では他の案もある。ここで重要になってくる、というよりも候補として挙げられるのが表意系の声優だ。つまりヨコヤは敵キャラ、表意声優、演技の高低さでリアクション芸もある程度必要になってくるとなった時に挙げられるのが、どう魅せるかというのはもちろん前提ではあるが、ヨコヤがガラス質であることを踏まえると、石田彰内山昂輝岡本信彦福山潤も射程に入らなくもないが、そうすると役者内キャリア的想像力にも引っ張られる。逆にそこをもってくることでキャラを立てるというのも一つの手段ではあるが。それこそ『PSYCHO-PASS』の縢秀星イズムと渚カヲルみたいな使い分けの石田彰ルルーシュと殺せんせーの低音から高音まで、という意味での福山潤というような意味で味付け的な方法論でいくのであればこうした音響構文もありではある。だからこそこのスケールでいえば、さほどその方面で決定打がない内山昂輝もありではある。無邪気な薄笑いと冷たさの反転が鮮烈。であり、理性と温度差が立つという意味では、艶のあるテノールで演じ切るというのも原作とドラマ調の中間立をとるというような可能性ではあってもいい。

 

無論、神谷浩史という滑舌と毒の均衡点がベストとする立場は揺るがない。だが、原作の温度感に異なるニュアンスを持たせるのであれば、これら表意声優による演技の変奏も十分に可能である。結局のところ、ヨコヤというキャラクターは「どう演じるか」で印象が大きく変わる余地を持つ。だからこそ、このような演技構文ベースの検討は、キャスティング私論においていくつかの案を講じるのは必須となる。

 

では、ディーラーもといい、事務局の面子(複数)となった時に誰が最適かといえば、これはもう間髪入れずに櫻井孝宏がどう考えてもベスト。この人ほど諧謔さを出せる声優はいないから。中立的・上から目線・演技で感情を装う無感情を作れる稀有な演者という意味において、『LIAR GAME』というアニメの布陣に参加させない方が変とおもうくらい、必須です。原作のLGT事務局は、実は完全な無機質ではない。ゲームの案内をしつつ、皮肉めいた余白を残したり、プレイヤーにとって不気味な演技性を漂わせる存在です。その表現に必要なのは、ただのロボティックな声ではなく、「中立を装った遊戯者」のようなニュアンスである。そしてそれをプレイヤーだと圧が強すぎるが、調停者としてなら成立するという意味でも、櫻井孝宏はマストと考える。というか来歴そのものがそういうキャラを演じてきた側面がありすぎるため、「裏切りキャラの声」の象徴となった今、櫻井孝宏がいない方があまりにも不自然。

 

そして、さらに重要なのは、原作においてこの事務局の中の人間が、実は秋山深一の大学時代の師である丘辺教授や、ヨコヤの父親など、プレイヤーと地続きの存在であったという事実である。となれば、丘辺教授は誰がいいか?答えは明確。大塚芳忠だ。

彼が演じれば、知性・威厳・遊び心・哲学性──あらゆる重層性を1トーンの声に込めることができる。そして何より、中村悠一に「教えられる側」としての納得感がある声の持ち主である。「成熟した知性の語り」は、彼のためにある。秋山=中村の声が響くなら、その背後には確実に大塚芳忠の声が必要だ。ルートAで描かれる講義口調の長台詞に最適。笑っているのか無感情なのかを曖昧に保てるし、だからといって、媚びも贔屓もしない冷徹差としての演技も完璧にできる。

丘辺教授(大塚芳忠)は威厳 × 知性 × 教育者/中低音 × 荒さ × 包容力

秋山深一(中村悠一)は理性 × 詭弁 × 対話者/低音 × 安定 × 冷静

この組み合わせ、合わないはずがない。

 

では、ヨコヤ父は誰か。そりゃ中田譲治だろと。威圧で押さず冷たい権威を出せる低域が必要だ。Fate』の言峰綺礼と『コードギアス』のディートハルト。あの二つを混ぜれば、完璧な「支配者のDNA」ができあがる。

もちろん、小山力也という選択肢もある。これも『アカギ』の南郷さん路線としてのメタ込みだが、彼の声には「人生に疲れた男」の色が混ざる。それは良い味でもあるが、ゲームの運営側としての支配構造にはやや湿度が高すぎる。

その意味で、乾いた権威で支配できる中田譲治はやはりベストだ。

あとは、乾いた威厳という観点から、津田健次郎も候補には挙がる。が、彼はスマートすぎる印象もあり、やはりヨコヤの親というキャラクター造形においては、中田譲治の方が濁りがある分、説得力がある。

 

Scramble

Scramble

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では次にモブ、および中ボスあたりは誰が盛り上げるべきか問題について。

先に声優だけ列挙しよう

高木渉

松岡禎丞

早見沙織

この三人は入れましょう。いい感じに敵を演じてくれる配列になってくれます。

高木渉に関しては佐藤雄三が作る以上、『アカギ』で矢木を担当したし、甲斐谷忍の別の作品『ONE OUTS』でも出演していたので、多分座組として参加する率が高いのと、まずありかたとして、借金取り、会場警備の早口畳みかけ、パニック参加者の上擦った悲鳴、ルール誤読して詰む男のリアクション担当、どれでもcv高木渉で説明できる便利さがあるし、一方で敵役につるむ攻略が難しい役で声も張れる。その意味では、高木は1話1高木で場の凹凸を即席で立てると場面が締まるし、視聴者も笑えると思うし、そういう存在がいてほしい気もする。だって『LIAR GAME』だもの。

 

松岡禎丞、この人は本当に、いい意味で小物役がものすごく似合う。主人公型を貼る時はとてもかっこいいのだが、悪役となると小物感を演じさせたら天下一品だと思う。

こうX上で書いたのだが、これ本気でそう思っている。つまりラスボスを飾るには悪役声の序列(実力ではなく声の性質として)は

みたいな空気ってあると思うんです。その上で天才キャラを演じるための担保として、『ノーゲーム・ノーライフ』の空役もしっかりと演じ切った実績もあるので、そういう意味でも盤上のゲームで策略を見抜く有能キャラはやはり演じられる基盤を持つという一点だけを考えても、必要な役者であると言える。松岡はイキって崩れる様式美といったら一応に断じてしまうのは失礼かもしれないが、でもそういう時が最も輝いているんですよ。悪役というポジションにいる時は。

 

そして早見沙織。意外に思う人もいるかもしれないが、『賭ケグルイ』の蛇喰夢子を演じた早見であれば、神崎直を煽りたおす女敵役として申し分ない。なにより最終的に秋山深一に先を越されて、美しく、涼しい顔で負けを認めて消えていく。そんなキャラが一人は必要だと思う。早見沙織は基本的になんでも演じられるし、無機質さでいっても斧乃木余接を演じられるから切り替えも上手いし、という意味では女性声優、表意型としては最適である。つまり表意型であることと、ギャンブル漫画の主演を張ったこの二点が『LIAR GAME』の、ある種の参加資格として足り得る演者であると言える。上品に煽る女ボス枠をアニメオリジナルで入れるなら、蛇喰夢子の資産をショー寄りに使い、直を気持ちよく挑発→秋山と直に刈られて美しく散る導線が描ける。

 

それって『LIAR GAME The Final Stage』における武田なんですよね。うん、やはり早見沙織の狂った倫理キャラ演技を見てみたい。

 

あとは知能派プレイヤーという意味では甲斐田裕子や、青木瑠璃子あたりの超強烈な知性と個性をもつ声で演じられると、それこそ中堅以上は確定で張れる。ハリモトあたりの決勝戦あたりには最適。ハリモトは、山路和弘津嘉山正種麦人菅生隆之付近がいいな。大塚芳忠は知性あるあの声でディーラー、教授にまわるならむしろこの帯くらいしかいない。残念ながら、津嘉山正種さんは逝去されてしまったのが非常に悔しいし、それでいえば土師孝也さんもそう。一種、役柄として老年さと狡猾さを演じられる役者というのは様々な条件兼ねてなかなかいないからこそという面はある。

 

そしてここらからはメタな話にはなるが、監督が『アカギ』『ONE OUTS』と人となれば、この両方を演じたのが、萩原聖人であることは流石に忘れてはいけない。でも主演をという作品ではない気がするんです。だからあえて特別出演として、敵役に回ることで視聴者は「赤木しげる、渡久地東亜きちゃったよ……」みたいなメタではあるが、同じギャンブル漫画の象徴である福本伸行的想像力を寄与することができるという意味では、キャスティングに入れてくる可能性の方が高いのではないか?ということだ。ゲスト悪役/特別ディーラーで一発。どうでしょうか?

個人的には、ディーラーはそれぞれ以下の感じで想定している。

これくらい固めて欲しい。そしてこれは豪華声優を集めるというよりも、表意最大級火力の声優と表義性を有した特有の力学的発話ができる役者、色のある表音声でキャラを出す役者、という三すくみにおいて、意味付けができる陣営です。このくらい固めないとあのゲームの陣営は運営としては回せないんですよ。

 

 

「原作メンバー」の母集団における主要5人(直/秋山/福永/ヨコヤ/丘辺)+事務局(複数)で初期〜密輸までの声の骨格は成立するので、ここが勝負です。

自分なりのベストキャスティングは

中村(秋山)/長谷川(直)/神谷(ヨコヤ)/芳忠(丘辺)/櫻井(事務局)

これですね。完全に黄金率です。仮にもメディアミックスで大盛り上がりしたコンテンツなので、このくらい豪華であってほしいです。原作に寄せるなら余計に。

 

ということで、アニメ版『LIAR GAME』のキャスティングを音響構文的に誰がどう配置すると、物語として合致するかという側面の思考性で考えてみました。2026年。蓋を開けてみれば全然違うというも当然あり得るが、こういう『LIAR GAME』があってもいいよねという妄想キャスティングの一つとして受け止めていただければと思います。

 

本当は「少数決」というゲームの偉大さ、「椅子取りゲーム」とか「入札ポーカー」とか色々とどういうゲームを構成に入れるかという話をしたいのだが、キリがないのでそれはここのうちに留めておきます。もうすでに制作側は懸命にゲームを作っていると思うとそれだけで非常に楽しい感情が湧いてきます。早いところみてみたいですね。アニメ版『LIAR GAME』。

The Battle Begins

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